チベットのラサには沢山の茶館があります。
この光明港琼甜茶館もそのひとつで、旧市街地のバルコルにあるチベットの人々でにぎわう茶館です。
早朝から大昭寺をとりまくバルコルには巡礼の人たちがたくさん歩いています。五体投地をしている人も。なかにはとても熱心な信者の方でボロボロの服装で五体投地をしながら進んでいる人もいます。おそらくこのラサへの巡礼自体を五体投地で進んできたのだと思います。その純粋な信仰心を目の当たりにすると心が打たれるような気持ちになります。
薄暗い茶館の中では人々がお茶を飲みながら思い思いに過ごしています。
おしゃべりに夢中の人たちやくつろいでいる人たち、食事をする人たち。
共通しているのは、みなさん本当にたくさんお茶を飲みます。
グループの人たちはポットでお茶をオーダーしています。ひとりの人や少人数の場合は一杯単位でオーダーしていますが、ポットであっても一杯単位であってもお代わりしながら何杯もお茶を飲んでいました。
ここでもお茶はバター茶ではなく甜茶、ミルクティーです。
ベースのお茶は黒茶といっても普洱茶ではなく蔵茶を使用しているそうです。
現地の方に質問させていただいたところ、最もチベットで一般的なお茶は蔵茶で、次に湖南省の茯茶だそうです。といっても茯茶よりも蔵茶が圧倒的に多いそうで、普洱茶は実際にチベットで見かけることは殆どありませんでした。
確かにこうした甜茶やバター茶には癖が比較的少ない蔵茶の方が美味しく楽しめるように思います。
茶館の厨房では大きな鍋で甜茶を作っていました。
鍋に蔵茶を入れて煮出したものに、ミルクと砂糖を加えて大きな攪拌器でよく混ぜます。最近はミキサーのような電動の攪拌器が普及していて、昔ながらの手動の攪拌器はもう殆ど使われていないようです。
光明港琼甜茶馆
西藏自治区拉萨市城关区藏医院路香巴拉酒店斜对面(近北京中路)
0891-6885357
今年の四川の新茶が到着しております。
どれも美味しく、上質な新茶です。
鈴茶堂定番の蒙頂甘露・蒙頂石花に加えて、今年はとある古刹の依頼で作られた希少なお茶も入荷しております。
今年は気温が低い日が続いていたため、例年より1週間ほど遅く茶摘がはじまりました。蒙頂山茶区の標高の低い地域は例年通り3月上旬からはじまっていましたが、標高の高い地域は気温が上がるのが遅れていたようです。
私たちがお願いしている蒙頂の作り手さんは蒙頂山の中でも主峰、その中の標高1200m付近にある茶畑の茶樹から1つ1つ手摘みした茶葉にこだわっています。
中国を代表する銘茶、蒙頂甘露です。
2014年3月27日に摘み取り、製茶されています。
今年の蒙頂甘露は甘い栗の香りと清らかな甘い花の香り、その香りに答えるように深みのある甘味と爽やかな旨みが心地よく、飲み終えたあとも甘さが戻ってくるような蒙頂甘露に仕上がっています。
日本ではあまり馴染みのない蒙頂石花ですが、その歴史は古く、中国の銘茶の中では最も古いお茶とも言われています。
2014年4月3日に摘み取り、製茶されています。
とろみのある金色のお茶は甘い花とほっこりと香ばしい豆のような香りです。
丸い柔らかな甘味と上質な旨み、ミネラル感が感じられます。
翡翠のような、ふっくらと肥えた芽で構成された、とても美しいお茶です。
このお茶は1500年を越える歴史のある、ある古刹の依頼で作られました。
蒙頂山主峰の標高1100m付近で栽培されている在来種の茶樹から2014年3月26日に摘み取り、製茶されています。
仏教とお茶の関わりが深いのは良く知られていますが、中国ではこうしたお寺で開光(祈祷して魂を入れる)したお茶を、そのお寺の信者に分けるということが良くあります。このお茶もそうした目的で作られています。
その開光はされていませんが、今回、作り手さんにお願いして特別に分けていただきました。
とろみのある金色のお茶はキャラメルのような甘いお菓子のような甘い香りが強く感じられます。その甘い香りに応じるように濃厚な甘味とミネラル感がしっかりと感じられます。
緑茶がここまで複雑に濃厚な甘味を持てるのかと驚かされます。
希少なお茶ですが、それ以上に驚くほどに美味しいお茶です。