チベット文化圏」カテゴリーアーカイブ

チベット シガツェ

シガツェ・ゾン

チベットではラサに続く第2の都市、シガツェにも行ってきました。
第2の都市と言っても街自体はそれほど大きくもなく、暖かい、素朴で素敵な街でした。

写真はシガツェの街から見上げるシガツェ・ゾンと呼ばれる城塞建築です。中国共産党によるチベット侵攻の際、ここシガツェ・ゾンではかなりの抵抗を行ったそうで、そのせいで徹底的に破壊されてしまったそうです。かつての姿が分からず、現在は中国政府によってポタラ宮を模した形で再建されています。

シガツェ 自由市場

シガツェの有名なタシルンポ寺(扎什倫布寺)の近くには自由市場があります。他にも地元の人々が集まる大きな市場もあり、買い物をする人たちで賑わっています。
この自由市場では羊肉やヤク肉などの食肉から野菜、食料品、茶葉、衣料品から日用品まで揃っています。ここで私たちがチベットへ来た目的の1つでもあるドンモと呼ばれるバター茶を作る撹拌機を探しました。

ドンモ

このドンモ。事前に日本で調べて行った情報ではチベット人のお宅には必ずあるとされていました。しかし実際にラサで聞いてみたところ、現在は電動の撹拌機(ミキサーのような形状をしています)が主流になっていて、このドンモを持っている、まだ使っている家は少なくなってきているとのことでした。さらに、ドンモはお店で販売するようなものではなく、家を建てた時などに余った木材で大工さんに作ってもらうなどして入手するもので、売っているお店は観光客用の骨董品屋さんにあるかどうかと言われてしまいました。
それでも諦めきれず、シガツェでもドンモを探していたのですが、市場の蔵茶を売るお店の女性にドンモが売っている場所がないかどうか尋ねたところ、ドンモを販売している場所を教えてもらうことができました。

ドンモ製造工房

チベットでは外国人がチベット人の自宅などを訪問することが禁じられています。そのため、周囲がわかるような写真を掲載できないのですが、特別にドンモの製造工房を見せていただきました。
ドンモの材質は様々で最も上質なものは硬い木製のもので、他には柔らかい木製のもの、合板で作られたものなど様々なものがありました。またドンモに付けられた飾りも様々です。

シガツェ

気に入ったドンモを譲ってもらい、その大きなドンモを抱えて宿泊しているホテルへ戻る途中、たくさんの人たちから「何故漢民族がドンモを持って歩いているのか?」と質問を受けました。日本人だと答えると余計驚かれます。若いチベット人のなかにはドンモを見ても何か分からない人もいました。電動撹拌機の普及が進んでいて、都市部でのドンモの使用は本当に少数派になってきているのかもしれません。

ツァンパ

これはそのバター茶を使うことで有名なツァンパという食べ物です。日本で言う「はったい粉」で、加熱した麦を粉にしたものです。
ここにチベットのチーズやバター、砂糖または塩などを入れてバター茶で練って食べるものです。現地の方のお話では主に朝食に食べるそうです。意外と美味しい食べ物ですが、慣れていないせいか上手くこぼさずに練るのがなかなか大変です。

シガツェでは多くの方のご厚意によって無事にドンモを入手することができましたが、こうした伝統的な道具は今後姿を消していってしまうように思います。電動の撹拌機は確かに便利ですが、何だか寂しい気もします。


品切れでご迷惑をおかけしておりましたが、再入荷いたしました!


蔵茶 康磚

鈴茶堂でも一番人気の蔵茶です。
四川省雅安茶廠の蔵茶は癖が少なく、プーアル茶のような刺激性もカフェインもないため
飲むタイミングを気にせず、空腹時でも就寝前でもお楽しみいただけます。
とても体に優しく、疲れた胃腸にも優しい健康茶です。
暖かいままお楽しみいただくだけでなく、冷やしても美味しく楽しめます。

使いやすいティーバックタイプもございます。

蔵茶 康磚(ティーバッグ)
蔵茶 康磚(ティーバッグ)おためし


蔵茶 金尖 雅細

蔵茶の中でも味を追求するのであれば、こちらの金尖 雅細です。
チベットの高僧が楽しむ蔵茶とされています。
黒茶とは思えない華やかな甘い花果香があり
蔵茶の優しさはそのままで、深みのある甘さがとても美味しいお茶です。

ラサ お茶事情

ラサ市内

チベットではバター茶(酥油茶・ཇ་སྲུབ་མ་)や甜茶と呼ばれる甘いミルクティーを日常的に飲んでいます。
気候が厳しいという理由から、平地にある他の地域のようにミルクなどの乳脂肪分を入れずにそのままお茶を楽しむといったことや、塩や砂糖を入れずに楽しむといったことはほとんど無いようです。

これは街中にたくさんあるバターやミルク、チーズを販売するお店です。基本的にはヤク(牦牛・གཡག་)のミルクを使用しています。
実際にはヤクよりも牛のほうが安価で販売されているそうですが、チベットの人々はあまり牛を好まないそうです。なかにはヤクのバターやミルクと偽って牛乳やそのバターを販売するお店もあるそうです。現地のチベット人の方によれば味が違うので飲んでみると違いが分かるそうです。

ラサ市内

バターやミルクだけではなく、甜茶や茶葉を販売するお店もたくさんありました。
使用、販売されている茶葉のほとんどは四川省で作られた蔵茶です。鈴茶堂では味わいの関係から四川省雅安茶廠(中国蔵茶)の蔵茶しか扱っていませんが、実際に蔵茶を製造する茶廠はたくさんあります。ほとんどが四川省雅安茶廠から独立して設立した茶廠で、その味わいは様々です。四川省雅安茶廠のように癖の少ないものもあれば、かなり癖が強いものまで様々です。
他には湖南省で作られる茯茶がちらほらと見られましたが、雲南省の普洱茶は殆ど見かけることはありませんでした。おそらく普洱茶は他の地域で人気が高く、価格が高騰しているため、日常的なお茶としてチベットへ運ばれてくることが今は少なくなってきてしまっているのだと思います。その反面、蔵茶はチベットの人々が日常的に飲むことができるように中国政府によって価格が値上がりすぎないようにコントロールされています。

ラサでは漢民族を中心としたチベット以外の場所から移住してきた人々のためと思われる茶荘(茶葉販売店)も少ないながら見られます。こういった茶荘は他の地域と変わらず鉄観音や普洱茶、緑茶なども販売しています。

丁江茶馆

茶館もたくさんありました。
歴史のある有名な茶館から地元の人しか行くことがないローカルな茶館まで様々です。その数は最も茶館が多いと言われる四川省成都を越えるのではないかと思うほどです。ただし、成都の茶館の殆どは麻雀やトランプをするための、日本で言うところの雀荘というタイプのものですので、純粋にお茶を楽しむ茶館としてはラサの方が多いのかもしれません。

チベットの茶館でのお茶はほとんど甜茶と呼ばれるミルクティーしか選ぶことはできません。バター茶はどちらかと言うと食事に近いものになるそうで、茶館によっては扱っていないお店もありました。逆にレストランや食堂ではバター茶を提供していることが多いようです。

丁江茶馆

茶館には色々な人達がやってきます。
一人でくる人はもちろん、小さなお子さん連れのお母さん・おばあちゃん、若い人からお年寄り、なかには商談をするために来る人も見かけました。知らない人でも近くに座れば仲良く世間話が始まるのもチベットならではです。

そして必ず見かけるのが物乞いをする人たちです。茶館でお茶を飲んでいると必ずと言って良いほど見かけます。中には子供の物乞いもいて、歌を歌うからお金をくださいというような子も見かけました。
日本や他の地域ではあまりこの感覚はありませんが、チベットでは物乞いの人にお金を渡すことを美徳としていました。物乞いをしている人は何らかの事情で働くことができないため、それを支えることで功徳を積むという仏教の考え方です。大体金額にして5角(日本円で大体8〜9円)を渡していました。
お金を受け取る方も仏教の考え方を持っていて、必要以上には受け取らないようです。ある時、細かいお金がなかったため、5元(日本円で大体8〜90円)を渡そうとしたところ、多すぎるとして断られてしまいました。現地の人が言うには、そういった時はお茶を奢ってあげるそうです。

ラサでは本当にお茶で人々が繋がっているようです。


昨年は早い時期に完売してしまった明前 四川玖瑰紅茶、雲南の緑茶も入荷しております!
どちらも日本にはあまり輸入されることのないお茶ですが、珍しいという以上に美味しくお楽しみいただけます。

思茅 頭春茶
思茅 頭春茶

頭春茶と呼ばれる雲南緑茶です。中国・雲南省南部の思茅にある標高1800m付近にある茶園で2014年3月15日に摘み取られました。今年に最初に摘み取られた茶葉で作られたお茶です。

思茅はお茶づくりの歴史がとても古い地域です。多くの野生茶樹、人工栽培の茶園、過去に人工栽培の茶園として利用されていたけれども何十年と放置された古茶樹園など様々な種類の茶樹が豊富に存在しています。

甘い爽やかな花の香りと雲南紅茶を連想させるような深みのある優しい甘さが感じられます。飲み終えた後の余韻も長く、体の中から甘さが戻ってきます。
特に2014年は甘さが強く美味しく仕上がっています。

明前 四川玖瑰紅茶 2014
明前 四川玖瑰紅茶 2014

人気の四川高山紅茶の明前茶です。

名前にある玖瑰(メイグイ)は日本で言うところのハマナス、バラの原種です。
この四川紅茶はその玖瑰の香りのする紅茶として命名されています。後から香りを添加したり、花茶のように花の香りを移した紅茶ではなく、茶葉本来の香りがまるでバラのようであることから名づけられています。四川省蒙山の標高1200m以上という高山地帯で栽培された茶葉を3月15日に摘み取って作った特別な紅茶です。

緑茶と違い、酸化発酵を行って作る紅茶の場合はある程度成長した茶葉が必要になります。若い茶葉で美味しい紅茶を作るには高い技術力が必要です。この紅茶がとても美味しく仕上がっているのは、この作り手さんが常に真摯に製茶技術の向上を日々努力している結果です。四川高山紅茶を既にお楽しみいただいている方には、その技術の高さが実感していただけていると思います。

黒々とした茶葉に金粉をまぶしたような、金色の美しい茶葉は甘い可憐なバラの香りがあり、柔らかく品のある自然な甘味とミネラル感を味わっていただけます。淹れたお茶の湯温が下がるとまた変化します。花の香りと合わせてキャラメルのような甘い香りが立ち上り、味わいもより深い甘みが増してきます。
特に2014年は香りも甘味も非常に綺麗に出ています。

光明港琼甜茶館

八廓 བར་སྐོར་

チベットのラサには沢山の茶館があります。
この光明港琼甜茶館もそのひとつで、旧市街地のバルコルにあるチベットの人々でにぎわう茶館です。

早朝から大昭寺をとりまくバルコルには巡礼の人たちがたくさん歩いています。五体投地をしている人も。なかにはとても熱心な信者の方でボロボロの服装で五体投地をしながら進んでいる人もいます。おそらくこのラサへの巡礼自体を五体投地で進んできたのだと思います。その純粋な信仰心を目の当たりにすると心が打たれるような気持ちになります。

光明港琼甜茶館

薄暗い茶館の中では人々がお茶を飲みながら思い思いに過ごしています。
おしゃべりに夢中の人たちやくつろいでいる人たち、食事をする人たち。

共通しているのは、みなさん本当にたくさんお茶を飲みます。
グループの人たちはポットでお茶をオーダーしています。ひとりの人や少人数の場合は一杯単位でオーダーしていますが、ポットであっても一杯単位であってもお代わりしながら何杯もお茶を飲んでいました。

光明港琼甜茶館

ここでもお茶はバター茶ではなく甜茶、ミルクティーです。
ベースのお茶は黒茶といっても普洱茶ではなく蔵茶を使用しているそうです。
現地の方に質問させていただいたところ、最もチベットで一般的なお茶は蔵茶で、次に湖南省の茯茶だそうです。といっても茯茶よりも蔵茶が圧倒的に多いそうで、普洱茶は実際にチベットで見かけることは殆どありませんでした。
確かにこうした甜茶やバター茶には癖が比較的少ない蔵茶の方が美味しく楽しめるように思います。

光明港琼甜茶館

茶館の厨房では大きな鍋で甜茶を作っていました。
鍋に蔵茶を入れて煮出したものに、ミルクと砂糖を加えて大きな攪拌器でよく混ぜます。最近はミキサーのような電動の攪拌器が普及していて、昔ながらの手動の攪拌器はもう殆ど使われていないようです。

光明港琼甜茶馆
西藏自治区拉萨市城关区藏医院路香巴拉酒店斜对面(近北京中路)
0891-6885357


今年の四川の新茶が到着しております。
どれも美味しく、上質な新茶です。
鈴茶堂定番の蒙頂甘露・蒙頂石花に加えて、今年はとある古刹の依頼で作られた希少なお茶も入荷しております。

今年は気温が低い日が続いていたため、例年より1週間ほど遅く茶摘がはじまりました。蒙頂山茶区の標高の低い地域は例年通り3月上旬からはじまっていましたが、標高の高い地域は気温が上がるのが遅れていたようです。

私たちがお願いしている蒙頂の作り手さんは蒙頂山の中でも主峰、その中の標高1200m付近にある茶畑の茶樹から1つ1つ手摘みした茶葉にこだわっています。

2014年 明前 蒙頂甘露
2014年 明前 蒙頂甘露

中国を代表する銘茶、蒙頂甘露です。
2014年3月27日に摘み取り、製茶されています。

今年の蒙頂甘露は甘い栗の香りと清らかな甘い花の香り、その香りに答えるように深みのある甘味と爽やかな旨みが心地よく、飲み終えたあとも甘さが戻ってくるような蒙頂甘露に仕上がっています。

2014年 明前 蒙頂石花
2014年 明前 蒙頂石花

日本ではあまり馴染みのない蒙頂石花ですが、その歴史は古く、中国の銘茶の中では最も古いお茶とも言われています。
2014年4月3日に摘み取り、製茶されています。

とろみのある金色のお茶は甘い花とほっこりと香ばしい豆のような香りです。
丸い柔らかな甘味と上質な旨み、ミネラル感が感じられます。
翡翠のような、ふっくらと肥えた芽で構成された、とても美しいお茶です。

2014年 明前 蒙頂山禅茶
2014年 明前 蒙頂山禅茶

このお茶は1500年を越える歴史のある、ある古刹の依頼で作られました。
蒙頂山主峰の標高1100m付近で栽培されている在来種の茶樹から2014年3月26日に摘み取り、製茶されています。

仏教とお茶の関わりが深いのは良く知られていますが、中国ではこうしたお寺で開光(祈祷して魂を入れる)したお茶を、そのお寺の信者に分けるということが良くあります。このお茶もそうした目的で作られています。
その開光はされていませんが、今回、作り手さんにお願いして特別に分けていただきました。

とろみのある金色のお茶はキャラメルのような甘いお菓子のような甘い香りが強く感じられます。その甘い香りに応じるように濃厚な甘味とミネラル感がしっかりと感じられます。
緑茶がここまで複雑に濃厚な甘味を持てるのかと驚かされます。

希少なお茶ですが、それ以上に驚くほどに美味しいお茶です。

チベット ラサ 倉姑寺茶館

ポタラ宮

四川省成都でチベット自治区に入境する準備をした後は目的のチベット自治区にあるラサへ向かいました。
現在(2013年11月時点)はチベット自治区への入境には政府が発行する入境許可証(パーミット)が必要です。この許可証を取得するためには旅行会社を通して事前にチベット自治区を旅行する全ての行程とその手配をしておく必要があります。またガイドも必要です。事前にそれらの手配をしていましたが、最後に成都で現地の旅行会社から入境許可証を受け取って、ようやくチベット自治区へ入れます。

ラサは聞いていたよりも青く素晴らしく美しい空の青さでした。
その空の下に浮かび上がるようにポタラ宮が街の中心にあります。

倉姑寺茶館

チベットでは実際に蔵茶をはじめとする黒茶がどのように飲まれているのか見せていただきました。
まず最初に訪れたのはこの倉姑寺茶館です。仓姑寺(倉姑寺)という尼寺が運営する茶館で、地元の人々に人気のある茶館です。

建物の中は意外と大きく、半野外の席から2階の席までかなりの席数があります。それでもお昼時はほとんど満席に近い混雑振りで、その人気の高さがうかがえます。尼寺が運営しているというだけあって、茶館のスタッフは全員尼さんです。若い女性からお年を召した方までいらっしゃいました。

倉姑寺茶館

倉姑寺茶館に限らず、チベットの茶館では軽い食事も提供されています。

これはモモです。中にヤク肉の餡が入った蒸し餃子のような食べ物です。
モモというとチベット風水(蒸し)餃子というように良く言われていますが、実際には小麦粉を原料とした主食にあたる料理を指すようです。ラサではこの蒸し餃子のような料理をモモと呼んでいましたが、四川省のアバ・チベット族チャン族自治州の方ではパンをモモと呼んでいます。

他にもトゥクパと呼ばれる「うどん」のような麺なども提供されています。

倉姑寺茶館

お茶はバター茶ではなく甜茶、ミルクティーです。黒茶にミルクと砂糖を入れて混ぜたものをポット単位で購入してガラスのコップでいただきます。人数が少ない場合はグラス単位で注文することもできます。

チベットというとバター茶をいつも飲んでいるように思っていましたが、実際に一番飲まれているのはこの甜茶のようです。バター茶は朝などにツァンパと呼ばれる裸麦の粉と一緒に食事としていただくことが多いそうで、お茶として楽しんでいるのはこの甜茶の方がずっと多いのだとか。
それにしてもチベットの人たちは本当にたくさんお茶を飲みます。甜茶を何杯も、ポットをお代わりしてまでずっと飲んでいます。

甜茶の味はなかなか美味しいものでした。日本にいると普段は甘いお茶を飲むことが少ないのですが、チベットのように気候が厳しい場所ではこの糖分が必要なものだと身体で実感できます。
甘さも程よく、とても美味しいお茶でした。

仓姑寺甜茶馆
西藏自治区拉萨市城关区林廓南路(近玛吉阿米)



蔵茶 康磚

鈴茶堂でも一番人気の蔵茶です。
四川省雅安茶廠の蔵茶は癖が少なく、プーアル茶のような刺激性もカフェインもないため
飲むタイミングを気にせず、空腹時でも就寝前でもお楽しみいただけます。
とても体に優しく、疲れた胃腸にも優しい健康茶です。
暖かいままお楽しみいただくだけでなく、冷やしても美味しく楽しめます。

使いやすいティーバックタイプもございます。

蔵茶 康磚(ティーバッグ)
蔵茶 康磚(ティーバッグ)おためし


蔵茶 金尖 雅細

蔵茶の中でも味を追求するのであれば、こちらの金尖 雅細です。
チベットの高僧が楽しむ蔵茶とされています。
黒茶とは思えない華やかな甘い花果香があり
蔵茶の優しさはそのままで、深みのある甘さがとても美味しいお茶です。

チベット食と蔵茶

モモ

チベット族の方に色々と教えていただきながら、普段この地域の方が食べている食事をいただきました。

このパンはモモと呼ばれる主食です。チベット料理のモモというと水餃子の様な料理が有名ですが、このあたりではこのパンをモモと呼ぶそうです。このモモというチベット料理は地域によって違うようで、別の場所では饅頭(具の無い蒸しパン)もモモと呼ばれるとか。そう遠くない陝西省にこの地域のモモに似たパンがありますが(もっと大きさは小さいです)、それらは饃饃(モーモー)と呼ばれます。どこかで関連しているのかもしれませんね。

大きさはとても大きく、人の顔よりも大きいパンです。チベット族の方のテーブルには必ず1枚はある主食です。あまりの大きさに驚いたのですが、半分といった単位では販売していなく基本は1枚です。食べきれない分は持ち帰ります。素朴なパンですが、粉本来の味わいが伝わってくる美味しいパンでした。

豚ベーコン

天井から吊り下げられていた豚肉とその場にあった野菜を炒めたものです。この時はキクラゲでした。
この豚肉は雲南省のデチェン・チベット族自治州のあたりで食べている琵琶肉と呼ばれる保存用加工肉に似ているようです。この琵琶肉には藏猪と呼ばれる山岳地帯でも飼育が可能な豚が使われることが多いのですが、この地域も標高が高いことからも、この藏猪が使われていたのかもしれません。
味付けはこのベーコン状の豚肉の塩気だけで、とてもシンプルでした。それだけに素材の美味しさが楽しめます。もちろん化学調味料は使用されていません。チベット自治州に入ってから食べた食事の中では一番美味しい食事でした。

ジャガイモ

地元で作られるジャガイモを茹でただけのシンプルなものですが、とてもしっとりしていて美味しいジャガイモでした。特に赤い皮のジャガイモはデンプン由来の甘みが強く美味しかったです。味付けなどは一切無く、別皿に添えられた塩でいただきます。

食事自体はこれらの至ってシンプルなものでした。とはいえ、かなりお腹いっぱいになる内容です。

蔵茶

お茶といえば蔵茶です。厨房の端に蔵茶が火にかけられています。ヤカンの中には蔵茶と水が入っていて、1日中このように火にかけながら煮だしています。煮だしたお茶が減ったら水を足し、薄くなったら蔵茶を足します。

ここではバター茶ではなく、もっと軽いミルクティーをいただきます。バターやクルミ、ハダカムギの粉は入ってはいませんが、日本のミルクよりももっと乳脂肪分が多いミルクと塩を入れて撹拌します。それをアルマイト製(と思われます)のポットに移して冷めないように火の近くで保温しています。

蔵茶

ほんのりと塩味のするミルクティーは思っていた以上に身体が暖まります。かなり美味しいミルクティーで、塩を入れて楽しむ発想がなかただけに驚きました。食事とも合わせやすく、現地ではかなり癖の強い蔵茶を使っているのですが、塩を入れたミルクティーにすると癖も殆どありません。
食事の内容が良くなった現在のこの地域ではバター茶よりもこのミルクティーが良く飲まれているそうです。確かにバター茶はそれだけでお腹にたまるような、食事の1つであるようなお茶でしたが、このミルクティーは気軽に飲むことができます。生活の変化とともに蔵茶の飲み方も変化していくんですね。


民国60年 包種老茶
民国60年 包種老茶

台湾・石錠の茶商の倉庫で発見された、民国60年、1971年の老茶です。忘れ去られていた包種老茶で非常に良い状態です。

4~5年前に作られた包種茶の老茶というのは本物、偽物を問わず見つけることはできますが、民国60年、1971年の老茶は、まず出まわることはありません。現在は窒素肥料の使用などの問題が挙げられる台湾ですが、40年前には肥料はもちろん農薬も使われることもなく、現在の茶樹にはないパワーの感じられる上質な茶葉です。今となってはこのような良質な茶葉の入手が本当に難しくなりました。

とろりとした甘さ、南国の果実を思わせる柔らかい酸味が、40年近く経った老茶とは思えないほどフレッシュに感じられます。それでいて老茶ならではの優しさ、柔らかさがあり、言葉では表現しきれない程に複雑な美味しさを持っています。

日本はもちろん、台湾でもまず見つけることのできない品質の老茶です。

普洱熟散茶 2009年
普洱熟散茶 2009年

このプーアル熟散茶は普段使いにお勧めのお茶です。

深みのある旨味と甘味があります。ナッツのような香ばしい香りとナツメのような果物の香りも楽しめます。

とても香り、味ともに良く、身体の温まるお茶です。入門用のプーアル茶としても最適です。

四姑娘山・双橋溝の台所

食堂

この地域に住むチベット族の方に親切にしていただき、彼らが日常的に食べる食事や飲んでいる蔵茶についても教えていただきました。
この建物は教えていただいた四姑娘山・双橋溝にある食堂です。一見しただけでは食堂とは思えないような建物で、見落としてしまいそうな小さな建物です。そしてこの背景の雄大な景色が素晴らしく、食事後はチベット族の方に山々の説明をしていただいたりと景色も十分に堪能することができました。

食堂内の厨房

色々と教えていただいたチベット族の方に手招きされて厨房内の端にあるテーブルに落ち着きました。
食堂はこの付近で働くチベット族の方か漢族のツアー客が主な利用者のようです。ツアー客は別棟で中華料理を食べていて、この厨房内の客席はどうやら顔なじみのチベット族の方の指定席のようです。
厨房といっても部屋の真ん中に大きな窯がある部屋といった感じです。写真では分かりませんが、薪を燃やす煙が充満していて慣れるまで少し時間がかかります。

食堂内の厨房

建物の中はかなり暗いのですが、天井に開いたこんな穴のおかげで厨房内は明るく太陽の光に照らされています。雨の日は大丈夫なのでしょうか・・・?

食堂内の厨房

天井からは豚肉のベーコンと思われる枝肉が吊り下げられています。この厨房内の煙で燻されているようです。雲南省やこの付近(アバ・チベット族自治州)のチベット族の方たちは豚肉も食べるようです。

食堂内の厨房

建物は質素ですが、綺麗に使い込まれています。
メニューはありません。その場にある食材と調理法を指定してオーダーするシステムです。

モモ

チベット族の方に色々と教えていただきながら、普段彼らが食べている食事とお茶を楽しむことができました。

少し長くなってしまったので、食事の内容やお茶については次のエントリでご紹介します。


1970年代 重庆乌龙沱茶(重慶烏龍沱茶)
1970年代 重庆乌龙沱茶(重慶烏龍沱茶)

沱茶は実は四川省重慶でも作られていたのをご存知ですか?(現在は四川省ではなく重慶直轄市)その品質はとても良く、雲南の下関よりも良いと言われてましたが、時代の流れで下関の味が好まれるようになり、一度その姿を消してしまいました。近年になって復活しましたが、現在は下関の雲南大葉種や福鼎大白茶種が使われています。

重慶「烏龍」沱茶となっているのは、烏龍種から作られているからです。今ではその姿を消してしまいましたが、昔は重慶に烏龍在来種がありました。その烏龍在来種から晒日緑茶を作り、現在もある沱茶と同様の作り方をしたのがこのお茶です。

40年の熟成を経た貴重な重慶烏龍沱茶です。今回、台湾の黒茶においては非常に高名な私たちの師から特別にいくつか譲っていただきました。名前を御紹介することはできませんが、台湾で黒茶の書籍が発行される際は必ずこの師に鑑定や監修を依頼するというほどの方です。

香港の有名な老茶商の乾倉での熟成を経て、香港返還直前に台湾へ移した貴重な重慶沱茶です。40年近い年月を経て熟成した重慶沱茶というだけでも非常に貴重ですが、烏龍沱茶は今後も恐らく流通することはありません。
また、珍しいというだけでなく、とても美味しいお茶です。ナツメのような甘さと旨みがあり、柔らかい烏龍茶の味わいがあります。

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倉熟成 老プーアル茶 入荷しました!

重慶烏龍沱茶を譲っていただいた台湾の師のご好意で、日本ではまず入手できないような倉熟成を経た老プーアル茶が到着しました。

近年作られているプーアル茶で現在流通しているものは未入倉と呼ばれる加工用の倉で保管されていないものが殆どです。おそらく熟成を行ったプーアル茶は全体流通量の10%もありません。プーアル茶ブームにより多くの人がプーアル茶を求めるようになった結果、プーアル茶自体の品薄と、今まで緑茶などしか飲まなかった人が倉熟成された本来の深みのある味わいを好むようになることもなく、中国でも殆どの人たちが好むのは熟成していない未入倉のプーアル茶です。これはプーアル茶に限らず青茶(烏龍茶)などにも同じことが起きていて、武夷岩茶や鳳凰単欉、鉄観音などもどんどん醗酵も火入れも浅く、緑茶のような加工が主流となってきています。

その本来の味わいが楽しめる倉熟成のプーアル茶をご紹介できることになりました。どのお茶も名品と呼ばれるものばかりです。
詳細な説明は是非各商品ページをご覧ください。

乙级蓝印青饼(乙級藍印青餅) 1999年

甲级绿印青饼(甲級緑印青餅) 1999年

7542青饼(青餅) 中茶牌 1995年

广南贡饼(廣南貢餅) 1992年

8592 中茶牌 熟餅 1996年

なかには数の確保が難しいものもあり、在庫数が僅かというものもございます。ご了承ください。

プーアル茶はおいしくない、臭いお茶と思っておられる方には特にお勧めしたい名品ばかりです。中には紅茶のような味わいのものもあります。
また、固形茶に慣れていない初心者の方にもお勧めです。新しい固形茶は崩す際に茶葉を傷つけてしまうと雑味が出てしまいますが、熟成された固形茶にはその心配はありません。

是非本物の熟成を経たプーアル茶で本来の美味しさを知ってください

バター茶の作り方

蔵茶

日隆鎮で最初に教えていただいたのはバター茶の作り方です。

この蔵茶は現地で一般的に流通しているものです。1つの塊がかなり大きなもので500gあります。あまり味の良いランクのものではありませんが、価格が安いため現地の方が日常的に飲用している蔵茶です。(風味が劣るためWEBショップでのご紹介はしていませんが、ご希望の方にはご連絡いただければお譲りします。)
このランクの中にも康砖(康磚)と 金尖と更に分かれています。康砖(康磚)と金尖の違いはメーカーによって異なるようです。鈴茶堂が取り扱いしている四川省雅安茶厂(茶廠)ではこの違いを茶葉のグレード・配分の違い(基本的には配分の違いのみで、康磚の中でも様々なグレードに分けられます)としています。他のいくつかのメーカーも同様の回答だったのですが、いくつかの中国国内で行われている評茶員などの講座では康砖(康磚)は穀雨に摘採されて作られたものとし、金尖は立夏に摘採されて作られたものとして教えているようですので、そういった分け方をしているメーカーもあるのだと思います。

蔵茶

現地では煮茶法を使っています。ヤカンに茶葉を入れて煮出します。鈴茶堂で販売している蔵茶はメーカーのアドバイス通りに2回に分けて煮出す方法をお勧めしていますが、現地の方はそんなことは気にせず、お湯や茶葉を継ぎ足しながら1日中火にかけて飲み続けているようです。

ドンモ

このようなドンモと呼ばれるバター茶専用の攪拌器具を使います。どの家庭にも1つは必ずある器具で、これは装飾のない質素なものだとか。

ヤクバター

こちらはバター茶に使うヤクの乳から作られたバターです。バターと言ってもインドなどで使われるギーと同じく澄ましバターの一種で、色が濃くなっているのもそのせいです。ヤクの乳を沸騰させて殺菌した後、乳酸発酵を行います。その後、撹拌してバター状にした後、加熱して溶かし、固形になった部分をろ過します。
通常のバターよりも常温で長期間保存が可能になるため、チベットを含めてこのあたりでギーが利用されるようです。これらの工程を経ることで独特の香りと色が生まれます。

ハダカムギの粉

これはバター茶に入れるハダカムギの粉です。他にもクルミの粉など様々なものが入ります。本来は更に牛乳(ヤクミルク)も入れるそうなのですが、最近は手に入らないとのことで、今回は脱脂粉乳と思われる粉ミルクで代用していました。
この地域では塩を入れていましたが、地域によっては砂糖を入れるところもあるそうです。バター茶に入れるものも場所によって異なるそうで、あくまでもこの地域のバター茶の作り方だそうです。

ドンモ

ドンモに材料を全て入れて撹拌します。かなり疲れそうな作業です・・・そのためか、最近は電動ミキサーのような攪拌器具もあるそうです。日本でも試してみたい場合はミキサーで代用できそうですね。

バター茶

撹拌し終わったあとは金色のアルマイト製と思われるポットに移していただきます。このポット、蔵茶やバター茶が提供される場所には必ずありました。冷めてくるとポットごと火にかけて温めます。

作ったバター茶と饅頭で朝ごはんをいただきました。少し癖のある味ですが、慣れればそんなに気になりません。好みは人によって分かれると思いますが、独特のギーの匂いに慣れてしまえば美味しくいただけます。塩気が効いていて身体が温まるお茶でした。私だけはおかわりして飲んでいました。
バター茶や詳細な作り方については、改めて講習会やお茶会などで実際にご紹介させていただこうと思います。

チベットで飲まれているお茶の殆どは蔵茶だそうです。普洱茶の方が有名なので、そちらの方が多いのかと思っていたのですが、実際にチベット文化圏で飲まれているお茶の7割以上はこの蔵茶ということを知りました。四川省の雅安から茶馬古道を通ってチベットへ運ばれる蔵茶の一部はチベットを抜けてネパールやインドなどのチベット文化圏までも運ばれているそうです。

次回はバター茶以外の蔵茶の楽しみ方と、この地方での伝統的な食事についてご紹介します。



蔵茶 康磚

鈴茶堂でも一番人気の蔵茶です。
四川省雅安茶廠の蔵茶は癖が少なく、プーアル茶のような刺激性もカフェインもないため
飲むタイミングを気にせず、空腹時でも就寝前でもお楽しみいただけます。
とても体に優しく、疲れた胃腸にも優しい健康茶です。
暖かいままお楽しみいただくだけでなく、冷やしても美味しく楽しめます。

使いやすいティーバックタイプもございます。

蔵茶 康磚(ティーバッグ)
蔵茶 康磚(ティーバッグ)おためし


蔵茶 金尖 雅細

蔵茶の中でも味を追求するのであれば、こちらの金尖 雅細です。
チベットの高僧が楽しむ蔵茶とされています。
黒茶とは思えない華やかな甘い花果香があり
蔵茶の優しさはそのままで、深みのある甘さがとても美味しいお茶です。

アバ・チベット族チャン族自治州・四姑娘山

川蔵公路

チベット自治州へ来た目的は雅安近辺に残る茶馬古道の跡を確認することと、蔵族(チベット族)の方が実際にどのように蔵茶を飲んでいるか学びたいということでした。
その目的地である四姑娘山の麓にある日隆鎮へ向かいますが、想像以上の悪路でなかなか先に進むことができません。

丹巴

落石やがけ崩れが多く、当初1日で移動できると思っていた日隆鎮までたどり着けず、途中のカンゼ・チベット族自治州にある丹巴の町で急遽1泊したり、その丹巴では私自身が高山病で倒れてしまい、地元の方のお世話になったりと、なかなか順調とは言えませんが、何とか先に進むことができました。

石碉楼

丹巴はギャロン・チベット族(嘉絨蔵族)が多く住む山間の小さな町で、町外れにはこのような石碉楼を見ることができます。この石碉楼は木組みに石を組み合わせた建物で戦いの際に立てこもるために建てられたそうです。多くは清代に作られたものだそうです。
(この写真はアバ・チベット族チャン族自治州に入ってから見た石碉楼です)

アバ・チベット族チャン族自治州

カンゼ・チベット族自治州を抜けてアバ・チベット族チャン族自治州に入ってから、また目まぐるしく景色が変わっていきます。河の対岸にある崖の上にあるのは、それなりに大きな建物です。想像以上にスケールの大きな、素晴らしい景色が続きます。
標高も高くなってくるに従って、太陽の光が眩しく、目に見える色彩が鮮やかになっていくのが印象的でした。

日隆鎮

ようやく着いた日隆鎮の町はとても美しい、静かな場所でした。可愛らしいチベット式の建物が並んでいます。どの建物も比較的新しいのは、おそらく四川大地震の被害後に立て直された建物が多いからではないかと思います。
人よりも馬やヤク、牛などに出会う方が多いような、素朴な場所でした。
このあたりの標高は3200mです。空気が薄いということもありますが、空気がとても綺麗です。

四姑娘山

滞在中は大きく天気が崩れることもなく、とても美しい景色を堪能することができました。
素晴らしい山の景色や色とりどりに咲く花、美しい清流や夜は目が眩む程の沢山の星など、本当に素晴らしい場所でした。

四姑娘山

地元の蔵族の方がにはとても良くしていただき、蔵茶を使ったバター茶の作り方を教えていただいたり、蔵族の方が普段食べる伝統的な食事やミルクティー(奶茶)などについても詳しく教えていただくことができました。
この地が気に入って移住したという漢族の方にもお会いしたのですが、何とお茶好きでもありました。茶器や茶道具一式を貸していただき、四姑娘山から湧きでた美味しい水と愛用しているお茶をいただきました。このお水が本当に美味しくて、今も忘れられないほどです。

四姑娘山

私たちが思っている以上に蔵茶は現地に住む方々の生活の一部となっていました。

次回からは、この地方でのバター茶の作り方などについてご紹介していこうと思います。


白磁 聞香杯セット
白磁 聞香杯セット

シンプルな白磁の聞香杯セットです。
品質に定評のある台湾・三希陶瓷の牙白シリーズの品茗杯・聞香杯・茶托のセットになります。

聞香杯は素材やつくりによって良し悪しが決まります。しっかりと熱を保つ素材で作られていない聞香杯は、香りを充分に引き出すことができません。この聞香杯はしっかり温めると手に持つのが熱くなるほどに保温性の高い、上質な素材を使用しています。

D01.5-2
白磁 茶杯(大)

台湾・三希陶瓷社製の茶杯です。聞香杯セットと同じ素材で作られています。

大ぶりの茶杯で手になじみやすく、たっぷりとお茶を楽しみたいときにお勧めです。お茶の色を楽しみやすい上品な白色で口当たりも良い茶杯です。

茶馬古道の難所・二郎山を越えてカンゼ・チベット族自治州へ

川蔵公路

西蔵門戸(チベットへの入り口)と呼ばれる雅安の街を出て二郎山へ向かいます。
二郎山は四川からチベットへ続く茶馬古道の中でも一番の難所と呼ばれた険しい山で、当時は隧道(トンネル)などもなく、多くの方が命を落とした場所でもあるそうです。

まずは成都からチベットまで続く川蔵公路、G318国道を走ります。岩山のような険しい山の間を抜けて走ります。日本ではあまり見かけないような傾斜のきつい山々で、最初はお茶畑もちらほらと見えていたものも標高が上がるにつれて段々と姿を消していきます。

二郎山茶馬古道の碑

途中で見かけた茶馬古道の碑です。すっかりイタズラ書きがされていますが、このあたりではかつてお茶を背負って茶馬古道を歩いた茶葉運搬人の方が今でも住んでいらっしゃると、以前に四川省雅安茶厂(茶廠)の所長に伺ったことがあります。

この石碑のあたりから段々と舗装も怪しくなってきて、車の相互通行ができないような状態になってきます。かつて茶馬古道として交易が盛んだったことと同じように、今はこの川蔵公路がチベット地域と四川地域をつなぐ交易路として人々に利用されているようです。

川蔵公路

細い山道である上にがけ崩れや落石も多く、補修工事が頻繁に行われています。さらに荷物を運搬するトラックやそれらの工事用車両なども沢山通行していることもあってか、片側通行になることもしばしば。
何十分も全く動かないような渋滞を何度も繰り返して何とか前に進みます。渋滞となると付近の農家の人々が飲み物や収穫した果物やトウモロコシを売りに出てきます。川蔵公路を通る人々も慣れているようで、それらの果物を買ったりしてゆっくりしている人や日光浴をはじめる人、中にはトランプをして遊びはじめる人もいるような状態です。

二郎山隧道

予定を大幅にオーバーして二郎山を超える二郎山隧道に到着しました。

この二郎山隧道は人民解放軍がチベット侵攻(共産党の表現では開放ですが・・・)を行うために作ったトンネルで、茶馬古道でも一番の難所とされる二郎山を超えて侵攻を行うためには必ずここにトンネルを作らなくてはならなかった要所でもありました。険しいこの地にトンネルを作ることは非常に過酷だったようで、解放軍にも多くの犠牲が出たと聞きます。

チベットでは蔵茶が生活に欠かせないものでした。解放軍はまず雅安側にある蔵茶の茶廠を支配下におき、このトンネルを作り、チベット侵攻を行います。このチベット侵攻時、毛沢東は「チベットを侵攻するのには武器を少なめ、お茶を沢山持って行きなさい」と指示したと言われています。それほどチベットの人々の生活に蔵茶は大事なものでした。

解放軍のチベット侵攻が終わり、この二郎山隧道が出来てからは人が二郎山を越える必要も無くなります。荷馬車で蔵茶をチベットまで運ぶようになります。朝鮮戦争後はアメリカ軍が朝鮮半島に残した軍用トラックを使って運ばれるようになりました。今も当時の写真は四川省雅安茶廠に残されていて、チベットへ蔵茶が運ばれる量がこの二郎山隧道が出来たこと、輸送手段の変化によって飛躍的に増加したことが記録されていました。(二郎山隧道の一般通行が可能になったのは2001年のようです)

カンゼ・チベット族自治州

二郎山隧道を抜けるとカンゼ・チベット族自治州(甘孜蔵族自治州)です。

二郎山隧道を抜けたところには軍による検問があり、チベット高原のチベット自治区のように入境許可書が必要ないとはいえ、ツアー参加ではない外国人の通行は禁止される可能性があります。そのため現地のドライバーと中国語が達者な弊店代表が対応し、中国語があまり達者ではないWEB担当の私と上海から同行されていたお客様は後部座席で寝たふりをして通過しました・・・

検問を抜けるとそこはチベットでした。
驚くように素晴らしい青い空と光がとても美しく、目に見える山の緑も今まで見てきた景色とは全く違う鮮やかな色彩を放っていました。二郎山はチベットとの境界と言われますが、それを実感できるような、本当に素晴らしい青空です。


先日ご紹介を開始した台湾茶ですが、大変ご好評をいただき、本当にどうもありがとうございます。
台湾・老欉佛手は発売後1日で完売してしまい、量の確保ができず申し訳ありませんでした。
他にもまだまだ素晴らしい台湾茶が到着しておりますので、是非お試しください!

凍頂烏龍茶 2012年冬茶
凍頂烏龍茶 2012年冬茶

凍頂烏龍茶の2012年冬茶がようやく届きました。

台湾の凍頂烏龍茶の産地、南投県のあたりは気温がなかなか下がらず、11月上旬で標高の高い杉林渓がようやく冬茶の摘み取りに入れたという、かなり厳しい状況でした。11月中旬以降になって、それよりも標高の低い凍頂茶区でも冬茶の摘み取りが始まったという状況でしたが、鈴茶堂がお世話になっている作り手が納得する程の気温、茶樹の状態ではなく、一時は冬茶の製造を断念することも考えていた程でした。12月に入ってから、ようやく量は少ないものの、納得できる品質の冬茶を作ることができました。他の作り手がとっくに冬茶の摘み取りを終えるころまで充分に待ってから作られた今回の冬茶は数が少ないものの非常に良い出来だそうです。

この作り手の凍頂烏龍茶は伝統的に醗酵が強く、火入れもしっかり行うため、実質的な賞味期限がないどころか、年月を経た方がより柔らかく美味しくなります。この冬茶も本当に美味しいのは半年後、6月以降です。
ご紹介するのには早いかとも悩んだのですが、非常にバランスよく、美味しい冬茶ですので、その後熟成の変化もお楽しみいただけることと思い、ご紹介させていただきます。

既にリピートされている方も多い凍頂烏龍茶ですが、春茶とはまた違った味わいがあります。台湾では1年中春茶しか飲まない人や、冬茶しか飲まない人もいるほど味わいや香りが異なります。どうぞ好みの味を見つけてください。

今シーズンは冬茶の量が少なく、その分価格も上昇していますが、作り手のご好意により春茶と同じ価格でご紹介できることになりました。この機会に最上質の冬茶をお試しください。

同じ作り手による老茶も入荷しております。
伝統凍頂烏龍茶 7年老茶
伝統凍頂烏龍茶 11年老茶

凍頂烏龍茶 蘭亭序
凍頂烏龍茶 蘭亭序

冬茶などと同じ作り手の蘭亭序と名づけられた凍頂烏龍茶です。これ以上ないほどに素晴らしい香りと味わいを持つお茶ということから、書の最高傑作と呼ばれる王羲之の蘭亭序の名前が付けられました。

この蘭亭序は毎年作ることができません。鮮葉の状態や製茶時の気温や天気などの要因が合わさって出来る、まさに天からの授かりものです。当然ながら生産量も極めて少なく、今回は特別に作り手から譲っていただくことができました。

甘く複雑で深い旨みと、香ばしく言葉では言い表せないような上品で華やかな花果香があり、まるで上質なお酒のようなお茶です。茶樹から作られた「お茶」とは思えないほどで、むしろ葡萄などの果物から作られた飲み物と言われた方が納得できるような感じを受けます。

こんな凄い烏龍茶があったのかと驚かれると思います。私たちも試飲して本当に驚いたほどに美味しいお茶です。

特級 香檳烏龍茶 (東方美人)
特級 香檳烏龍茶 (東方美人)

この香檳烏龍茶は6月中旬に完全手摘みで摘み取られた茶葉を使用し、ロットの中でも最高品質のものです。落ち着きを出すために後熟成を行い、現在はこれ以上ないほどに最高の香り、味わいになっています。

東方美人の多くは新竹、苗栗などで作られる青心大有種のものが主流です。これらは果実香の強い、味わいのしっかりした火入れが強い特徴を持ちます。苦味が出やすく、中には苦味がそのまま出ているものや、多くは複数のロットや様々な品種から作られた東方美人をブレンドします。一方、石錠で作られる東方美人は青心烏龍種から作られ、軽やかな香りと味わいで、まさにシャンパンのようです。香檳烏龍という名前は石錠で作られた東方美人に与えられたと言われています。

その石錠郷の中でもこれ以上のものはないほどに上質な東方美人です。もしお手元に東方美人があれば是非比べていただきたいと思うほどに丁寧に美味しく作られています。