福建省」カテゴリーアーカイブ

武夷山 最後の茶摘み

武夷山

2016年5月の福建省訪問では南福建の安渓、漳平、南靖と回って北福建の武夷山も訪問してきました。
とはいえ、5月中旬、製茶時期を南福建の産地に合わせてであったこともあり、武夷山では茶摘みもそろそろ終了。製茶も一段落して、あとは半月後からの火入れを待っている状態でした。当店がお世話になっている茶業さんも同様で、この年の茶摘みは終了しています。

武夷山

中国スタッフの研修も兼ねての武夷山訪問ということもあり、静けさを取り戻した茶畑を訪問してきました。これは最高に肉桂が採れると有名な牛蘭坑の茶畑です。山間にある狭い空間のみが本当の牛蘭坑とされます。当然、牛蘭坑肉桂の産出量も相当に少ない筈ですが、実際にはもっとたくさんの「牛蘭坑肉桂」が流通しています。一時期日本でも魚沼産コシヒカリが実際の産出量を超えた量がその名前で流通していることで問題になりましたが、同じようなことは岩茶にもあります。中には上質な肉桂を大紅袍と偽って高額で販売されているケースも見かけます。信頼できる生産者から直接入手するということ、見分ける知識を持つということはとても重要です。

武夷山

これも牛蘭坑です。この茶畑はその茶業さんが所有する畑で、この後にこの畑から摘み取り、製茶した、できたばかりの毛茶(荒茶)を試飲させていただきました。まだ焙煎前のお茶ですが、深みのある独特のミネラル感は十分に、とても美味しいお茶でした。
2016年は茶摘みの時期に雨が多く、また、雨量も例年になく多かったため、南福建ほどではないですが製茶には難しい年でした。そういった年でも良いお茶は生まれます。ただし量が少ないため、価格の上昇が残念ながら多く見られました。

武夷山

武夷山の中を歩いていると積んだ茶葉を運んでいるところに出会いました。これは現地でもとても大きいメーカーの武夷星茶業さんのスタッフで(当店では武夷星の取扱はございません)、聞けばその年最後の茶摘みだったそうです。この運んでいる茶葉は1つで30キロ以上あります。相当に重いのですが、この2つを持って小走りで移動しています。そのスピードも相当なもので、追いつくのも結構大変です。

武夷山

相当な重労働なのだと思います。50mほど進んでは休憩して・・・ということを繰り返しながら運んでいます。休憩中に色々とお話をおうかがいしました。武夷山では車が入れる場所にある茶畑は少なく、特に良い場所となると人が歩いて行くのもやっと、ほとんど登山という状態になります。そのため、人の手で茶摘みをし、人の力で茶葉を運ぶということは欠かせない昔からの方法で、今も変わらず続いています。こうした人たちのおかげで、美味しい岩茶が作られています。


新会柑 青柑 古樹雲南紅茶
新会柑 青柑 古樹雲南紅茶

古茶樹で有名な雲南省南糯山の樹齢150年以上の茶樹から作られた、上質な雲南紅茶を茶枝柑と呼ばれる果実の中に詰め、熟成を行ったお茶です。当店でも大変人気のある新会柑 珍珠青柑の紅茶版です。

現在中国では青柑のお茶が流行っている関係で、その紅茶版も見られるようになりました。ただし、紅茶の場合はレモンを使用していることが殆どで、青柑のような優しい爽やかな香りを楽しめることが少ないという状態です。紅茶本来の味わいや風味を損なわず、レモンのような強い風味ではなく、青柑の優しい香りも楽しめるお茶を目指して作られました。

北京の有志茶商と企画、製造した、こだわりのお茶です。
無農薬栽培の青柑に、2016年の雲南紅茶を使用しています。通常は大地茶、平地に近い状態の茶園の紅茶が使われますが、南糯山の急傾斜にある古茶樹園の樹齢150年以上の雲南紅茶を贅沢に使用しています。もちろん無農薬栽培の紅茶です。

新会柑 青柑 六堡茶
新会柑 青柑 六堡茶

広西梧州茶廠の六堡茶を茶枝柑と呼ばれる果実の中に詰め、熟成を行ったお茶です。

こちらも北京の有志茶商と企画、製造した、こだわりのお茶です。
8月から10月にかけて収穫された無農薬栽培の青柑に、品質が確かなことで有名な2013年の特級三鶴六堡茶を丁寧に詰めています。通常はその後に低温焙煎を行って乾燥させますが、この六堡茶はその風味を失わないように晒乾、プーアル生茶のように太陽の光でゆっくりと乾燥させています。そのため、六堡茶本来の優しい美味しさは損なわず、また、青柑の香りも晒乾によって柔らかく、これらの調和が見事な仕上がりとなりました。
今までの青柑茶とは違います。


2月11日から2月15日までのあいだ中国出張のため、発送業務をお休みさせていただきます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。

2月8日22時までにクレジットカード・代金引換によるお支払い方法をお選びいただいたご注文は2月10日までに発送させていただきます。銀行振込やゆうちょ銀行送金などのお支払い方法をお選びいただいた場合は2月8日中に入金確認ができたご注文を2月10日までに発送いたします。それ以降のご注文は2月16日以降の発送となります。また、ご注文が混みあう場合はお休み前の発送締め切りを早めさせていただく場合もございます。ご了承ください。

発送業務をお休みさせていただいている期間もご注文は変わらずお受けいたしておりますが、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどにいつもより少しお時間をいただく場合がございます。
大変ご不便をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

客家のお茶作り

雲水謡

漳平を後にして、次に向かったのは漳州市南靖県にある雲水謡古鎮です。ここでは客家の土楼に宿泊してお茶作りを見ることができました。
客家土楼は世界遺産にも指定されていますが、有名な土楼は主に同じ漳州市でも永定県、山をいくつか越えた場所にあります。この雲水謡古鎮はあまり交通の便が良い場所ではないせいか、比較的観光客の少ない落ち着いた村になっています。
この地域には客家が多く住んでいるため、たくさんの土楼があります。ほとんどは地元の人が実際に生活をする土楼で観光客は中に入ることはできません。いくつか観光用に開放されている土楼もありますが、生活用の土楼とは全く雰囲気が違います。今回宿泊した土楼は実際に客家の人たちが住む土楼で、宿泊することでゆっくり生活に密着した土楼を見学することができました。

雲水謡

土楼の周囲は茶畑です。この村の中、周囲はほとんど茶畑といってよいほどです。この地域のお茶は鉄観音ではなく金観音が多いようで、自家消費用であったり、有名な茶産地ではないので全国に流通するわけではありませんが、厦門などへも出荷されているようです。ちょうど訪れた5月は製茶の真っ只中で、集落のあちらこちらで製茶が行われていました。

雲水謡

基本的に小規模な茶農家さんが多く、素朴な製茶方法でお茶を作っています。製茶機械は最小限といったところで、基本的に自家消費、地域消費の地元密着型のお茶づくりです。畑仕事をしながら、家事をこなしながら家族全員で製茶を行うといった、昔ながらの、お茶づくりの原点のような風景を見ることができます。そんなお茶づくりをしているせいか、この村の人たちは自分たちの作ったお茶を販売するということには、あまり執着していないようです。生活に根ざしたお茶です。

雲水謡

この地で仲良くなった地元の方に金観音を分けていただきました。6月のお茶会のお土産にお持ちいただいた金観音がそのお茶です。決して製茶技術が上手な訳でも、綺麗に団揉されている茶葉ではありませんが(どちらかと言えば、きちんと団揉されていない茶葉です)、自家用にと作られたそのお茶の素朴な美味しさは他にはない優しい味わいであったと思います。実際、お茶会にご参加いただいた方からも販売のリクエストをいただきましたが、元々が自家用のお茶のため、生産量が少なく、販売するほどの量を確保することができません。

雲水謡

村は樹齢1000年を超えるガジュマルの木があり、大きな川を囲むように昔からの石畳が美しい場所でした。10年前ほどの映画「雲水謡」のロケ地にもなったほどの素朴で美しい自然に囲まれた場所です。
こうした素朴で美しい場所の土着のお茶も、いつかご紹介できたらと、新たに友人になった茶農家さんと今も連絡をとりあっています。有名なお茶や高価なお茶ももちろん美味しいのですが、またこうした人の生活に密着したお茶もとても美味しいものです。何年かかかるかもしれませんが、ぜひこうした生活の原点のようなお茶も楽しんでいただくことができればと思っています。


12月19日から1月11日までのあいだ中国出張のため、発送業務をお休みさせていただきます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
今回は中国でも遠方、雲南省の西双版納の方まで足を伸ばすため、かなり長期間のお休みとさせていただいております。

発送業務をお休みさせていただいている期間もご注文は変わらずお受けいたしておりますが、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどに、いつもより少しお時間をいただく場合がございます。特に今回は通信環境の無い地域へ訪問している期間もございますため、最長で1週間程度お時間をいただく可能性もございます。
大変ご不便をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

炭焙煎 漳平水仙

漳平

炭焙煎の漳平水仙を作る茶農家さんも訪問させていただきました。
通常の漳平水仙は電気の乾燥機を使って乾燥や焙煎を行います。電気のないころは炭焙煎が普通であったと思いますが、火の調節などが難しく、現在、炭焙煎を行うことのできる茶農家は数件となってしまいました。
この茶農家さんでは昔からの製法を変えること無く、今も炭焙煎のみの漳平水仙を作り続けています。

漳平

造形し、紙で包んだ漳平水仙をこのような篭に入れて焙煎を行っていきます。この焙煎篭は武夷山などのものと似ていますが、少し形状が異なるようです。見た感じでは若干こちらのほうが口が広く、浅いような印象です。
炭焙煎と聞くと茶色い焙煎がしっかり効いた茶葉を思い浮かべますが、この焙煎具合にも色々あります。軽火のものから重火まで、その時の茶葉の状態を見て決めていくそうです。

漳平

数時間おきに天地をかえして、まんべんなく焙煎できるようにします。この焙煎工程は茶葉の状態にもよりますが、最低でも2〜3日。長い場合は茶葉を休ませながら1週間から1ヶ月以上になることも。最初の焙煎、2日位はほとんど徹夜で作業にあたります。焙煎を行うことのできる作り手さんが少ないこともあり、大変な重労働です。
この茶農家では茶摘みから焙煎までのすべての工程を自分たちで行います。時期によっては他の茶農家から持ち込まれた漳平水仙の焙煎依頼もあるそうですが、電気乾燥機で焙煎する場合と炭焙煎で行う場合では発酵度合いを変えた方が良いなど、なかなか思うような仕上がりにはならないようです。焙煎工程を理解しているからこそ分かるという、まさに職人の技術ですね。

漳平

頻繁に炭の状態をチェック、灰を被せて火の調節を行います。この火の調節が本当に難しく、技術を問われます。散茶の形状の茶葉と異なり、紙で包まれている漳平水仙の場合は水分量を低下させることも、均一に焙煎を行うこともなかなかできることではありません。散茶の焙煎よりもずっと長い時間が必要な上、より低温で行うことが求められます。そんな大変な作業のせいか、年々炭焙煎のものは生産量が低下しつつあります。

漳平

この茶農家では使用する炭も自家製にこだわっています。炭の質が悪いとうまく焙煎ができないとのことで、製茶の時期に合わせて炭から作っているそうです。これは本当に大変なことです。炭の材料となる木材探しから(山の中へ入って自分で探すそうです)、その炭焼きまで作り手が一人で行うというのは他に聞いたことがありません。武夷山などでも天然木から作られた炭(練炭を使うことも多いので)を使う作り手さんはいますが、炭焼きからというのはなかなかいません。

炭焙煎を行った漳平水仙は清香系のものもありますが、多くは軽火(軽焙煎)と重火(重焙煎)です。先日ショップでご紹介した炭焙煎は重火タイプのものになります。(完売いたしました。ありがとうございます。)
近年は焙煎を行った漳平水仙でも電気乾燥機を使用したものが多いのですが、炭火焙煎のものはまた香りや味わいの深さが異なります。


漳平水仙 紅茶 2016年秋茶
漳平水仙 紅茶 2016年秋茶

甘い果実香と深みのある旨味、甘さを持っています。
中国紅茶にしては珍しく甘く柔らかい中にミネラル感も感じることができます。
紅茶でありながらも煎持ちが非常によく、かなり長く楽しめます。英徳紅茶にも通じるような心地良い独特な余韻もしっかり感じられます。


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漳平水仙 発祥の地

漳平

漳平水仙の発祥の地とされる茶農家さんを訪問させていただきました。
一口に漳平といってもかなり広い地域になります。漳平水仙を作っているのは漳平市ですが、これは広さにして日本の1つの県位はあります。その中でも双洋镇と呼ばれる地域で行われていますが、それでもそれなりの広さがあります。その中でも漳平水仙発祥の茶農家さんは山の中の方にあります。

漳平

こちらも昔ながらの土壁の農家で、かなり大きい方ではないかと思います。茶畑のある山の中腹にある集落の1つで、今も人が変わらず製茶や農業を営んでいます。メインはお茶作りですが、他の茶農家と同様に養蜂も行われていました。
漳平の中でもこの茶農家を含むこの集落が最も昔から漳平水仙を作ってきた人たちです。今も漳平の他の地域から製茶技術を学びに訪れる人が絶たないとのこと。ここの作り手さんたちも快く教えているようです。

漳平

古い農家ですが、かなり立派な闽南式建築で見応えがあります。基本的にこの地域は土壁で、これは温湿度の調節にも役立っているそうです。日本と同じですね。
最近は現代式のコンクリートによる家も増えているそうですが、昔ながらの土壁の家の方がはるかに快適とのこと。ただし、この建築方法を行うことができる技術者が年々減ってしまっているそうで、壊れてももう直すことが難しいそうです。お茶に限らず技術の伝承というのは難しいですね。

漳平

訪問した際には造形工程が行われていました。基本的に家族総出で行います。他の地域と少し造形方法が異なります。これは本来の作り方がこれだったということではなく、人手不足を補うために造形方法を変えたのだそうです。製茶にあたっての人手不足はどの地域でも深刻な問題です。特に漳平水仙のような特殊なお茶は他の地域から技術者を呼ぶ訳にもいきません。

漳平

一度にたくさんの固形茶を造形できるように工夫されています。四角形のセルクルのような型を並べて、そこに毛茶(荒茶)を詰めて蓋をして、大きな万力のような機械で一度に圧力をかけて固めます。この方法だと1つ1つ作る必要がなく、一度にたくさんの固形茶を作ることができ、またお茶を詰める人、圧力をかける人と分業も可能になります。

漳平

家の裏の山には茶畑が広がっています。こちらは完全な自然農法、まったく何も手を入れていない茶畑です。最初から手をかけないと決めていたのではなく、ここ数年は人手不足が深刻で、茶畑の整備まで手が回らなくなってきてしまったとのこと。また、作り手もこの集落にはわずか3名となってしまい、今年は摘み取ることすら出来ない茶畑が半分以上になったとか。以前は紅茶も作っていたそうですが、今はそこまで手が回らないとのこと。漳平水仙の紅茶は作ることができる作り手、茶農家さんが限られているので残念です。
わずかに残る作り手さんのうちの1人にお話をお伺いしました。製茶時期でお忙しい状況であったにも関わらず、できたばかりの漳平水仙を数種類淹れてくださり、お茶のこと、自然のこと、村のこと、色々なことを教えていただきました。ありがとうございます。


漳平水仙 紅茶 2016年秋茶
漳平水仙 紅茶 2016年秋茶

甘い果実香と深みのある旨味、甘さを持っています。
中国紅茶にしては珍しく甘く柔らかい中にミネラル感も感じることができます。
紅茶でありながらも煎持ちが非常によく、かなり長く楽しめます。英徳紅茶にも通じるような心地良い独特な余韻もしっかり感じられます。

南糯山 古樹雲南紅茶 2016
南糯山 古樹雲南紅茶 2016

通常、雲南紅茶は俗に言う茶畑で栽培された若い栽培茶樹から作られますが(台地茶)、この紅茶は上質なプーアル生茶を作るような、少数民族が代々大切に守ってきた古茶樹から手摘みで丁寧に摘み取られた茶葉から作られています。

雲南紅茶は甘味を出しやすく、飲んで誰もが美味しいと思うお茶が多いものです。その反面、味わいが単調で飽きやすい、飲み続けにくいということもあります。この雲南紅茶は複雑さと奥行きの深さが違います。

2016年はここ数年では一番と言えるほどに美味しく上質に仕上がりました。
複雑なミネラル感、上品な香りと甘味のバランスが最高の仕上がりとなっています。


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水仙茶合作社見学

漳平

漳平では水仙茶合作社の見学もさせていただきました。

当店の漳平水仙はここのものではありませんが、この水仙茶合作社は国からの補助金と村人たちの一部が資金を出し合って設立した会社です。もちろん、当店がお世話になっている茶農家のように参加せず、自分たちだけで製茶を続けているケースもありますが、現在市場に流通している漳平水仙の多くは、この合作社を経ているのではないかと思います。

漳平

個人の茶農家では揃えるのが大変な製茶機械も全て共同で使用することができます。栽培した茶葉の摘み取りも製茶も全て共同で行うため、個人の負担を減らすという意味ではとても良い方法であると思います。特に漳平水仙のような特殊なお茶は専用の製茶機械は殆ど存在しません。そのため、一般的な製茶機械を工夫しながら使用していくしかありません。その分、手間がかかってしまったり、時間がかかってしまうという問題があり、それを個人の茶農家で吸収していくのはなかなか大変なことです。

漳平

丁度訪問した際は造形工程を行っていました。作業をしている人たちは、この会社に出資をした村の人達です。
漳平水仙の造形は荒茶(毛茶)の状態、まだ水分の多い柔らかい茶葉を1つ1つ型に入れて押し固め、専用の紙で包んでいきます。これがなかなか難しく、少し作業を体験させていただきましたが、適量に綺麗に整形するのは技術が必要です。

漳平

これが造形に使用する型です。この型も自分たちで作っています。型の中には鉄の重しが入っているので、なかなか重量のある木型になっています。一般的にはこの型を使用しますが、茶農家によっては別の形状の型を使用する場合もあります。それについてはまた追ってご紹介したいと思います。

この漳平でも人手不足は深刻な問題です。こうした合作社はその人手不足を解消するのにも役立っているようです。各個人の茶農家が製茶を行うよりも、お互いに協力して製茶を行うほうがずっと効率がよく、人手も集まります。

漳平

こうして紙に包んだ状態になった茶葉を感想、焙煎していきます。紙ごと乾燥を行うこと、固形になっていることなどからも通常の乾燥機をそのまま使用することはできません。散茶の状態を想定している乾燥機では温度が高すぎてしまいます。そのため、茶葉の様子を頻繁に確認しながら乾燥機の扉を開けながら行います。この扉を開ける角度も含め、乾燥時の温度管理は作り手さんの腕次第です。

合作社は人手不足などの問題解消にはとても有効な対策の1つだと思います。一方で一定の品質は保たれるものの、茶農家さん、作り手さんによって変わる品質、味わいが全て均一化されてしまうという問題もあります。それでも福建の中でも取り残されてしまった感のある漳平水仙が、今後市場で生き残り続けていくためにも合作社の役割には期待をしたいところです。


新会柑 珍珠青柑
新会柑 珍珠青柑

陳皮プーアル茶の1種ですが、青い小さな新会柑と呼ばれる広東省の果実の中に宮廷級プーアル熟茶を詰めて焙煎しているお茶です。これがプーアル茶ではなく、上質なアールグレイのように爽やかで美味しいお茶に仕上がっています。

雲南省の西双版納モウ海茶区で作られたプーアル熟茶を茶枝柑と呼ばれる果実の中に詰め焙煎、熟成を行ったお茶です。ここ数年、中国で徐々に流行りはじめ、様々な品質のものが流通するようになりました。通常は陳皮プーアル茶と呼ばれるオレンジ色の果実に詰め込んだプーアル熟茶ですが、これは新会柑と呼ばれる広東省の果実、中でも青柑を使用しています。非常に香りが爽やかなのが特徴で、その香りはまるで上質なアールグレイのように素晴らしく美味しいお茶に仕上がっています。

近頃は天然のアールグレイ果汁を使った紅茶は少なくなりましたが、これはそれを思い出させるような素晴らしい香りと味わいを持っています。青柑の爽やかで品のある香りはもちろん、プーアル熟茶の深みのある柔らかい旨味と甘味がプーアル茶であることを忘れさせてしまうほどにバランスよく味わい深いお茶になっています。
人工香料には決してまねできない品格のある高い香りと深い味わいがお楽しみいただけます。

漳平水仙の産地

漳平

漳平水仙の産地を訪問してきました。

数年前、漳平水仙を初めてご紹介した頃は日本はもちろん、中国国内でも殆ど知られていないお茶でした。福建省南部以外の場所で漳平水仙と言っても知らない茶商が殆どといった感じで、日本でも知名度の無いマイナーなお茶としてWebショップでご紹介しても殆ど売れなかったお茶でした。今では中国国内での知名度も少しずつアップし、日本でも少しずつ人気が出てきているようです。おかげさまで毎年、前年の倍以上の量を入荷し続けておりますが、殆ど完売する状況で、嬉しくありがたく思っています。漳平水仙の知名度アップに少しながらお手伝いできたかと思っていますが・・・

当店の漳平水仙の故郷はこのような昔のままの村で作られています。土壁の昔ながらの茶農家で、話には聞いていたものの実際の村がとても素朴な状態のままであることに驚かされました。

漳平

漳平水仙の産地全てがそうではないのですが、この村では茶畑と山、そして人が住む村について昔から変わらず守られている事柄があります。それは山の上の方、頂上付近には茶畑を作らないことが1つです。これは山とその自然を守ることが目的で、たしかに茶樹は一般的にあまり深く根を生やしません。そのため、斜面を全て茶畑にしてしまうと崩落が発生したりすることがあります。そういったことを防ぐためにも山の上の方、3分の1は原生林のまま手をつけないというルールがあるそうです。
もう1つは茶畑より上に家を建てないということ。これは茶畑を生活排水などで汚染しないようにということです。そして、化学肥料や農薬は絶対に使わないということ。たとえ種子の殺菌剤であっても薬は使用しません。これが徹底されています。その徹底ぶりがすばらしく、ここまで環境、茶畑に配慮する茶産地は私も初めて見ました。

漳平

漳平水仙には桂花香型と蘭花香型と大きく2種類に分けられます。これは茶畑の標高の違いです。比較的低い場所の茶畑から摘み取られたものは桂花香型とされ、山の上の方、1割ほどの場所から摘み取られた茶葉から作られたものが蘭花香型となります。この香りの差は標高差によって作られるもので、台湾などの高山気と同じようなものです。蘭花香型の方が清涼感のある透明な香気が感じられます。
写真は蘭花香型となる茶畑です。藪のようにしか見えませんが、ちゃんとした茶畑になっています。人の手は最低限しかかけずに自然のままに作る、山と共生していくという姿勢が徹底されているのがよくわかります。

余談ですが、紙で包むこの製茶方法が台湾の包種茶の元となったと言われています。漳平とこの周辺で昔から行われていた製茶方法が台湾へ伝わり、今の包種茶となったそうです。

漳平

漳平水仙の茶畑は生き物がたくさんいます。これは一般的に無農薬有機栽培を行っている茶畑よりもずっと多いです。かつて一度も化学肥料や農薬を使ったことのない土、土地ならではの光景です。ですので、漳平水仙の茶葉には細かい虫食いの跡がたくさんあります。あまりにも多い場合は製茶に使うことはできませんが、写真程度の状態では普通に製茶に使用されます。この場所では自然の生き物を受け入れ、共に生きていくということが当たり前に受け入れられています。害虫ではなく、共に生きる仲間という感覚のようです。ですので、特に駆除などはせず、対策としては茶葉よりも虫が好む木、果樹などを茶樹の近くに植えるという程度しか行いません。

漳平

また、特徴的なのはこの巣箱です。茶畑で養蜂も行っています。茶樹の間や農家の軒先などにたくさん設置していて、この養蜂も村の重要な収入源となっています。とても香りの良い美味しい蜂蜜になります。
他にも茶油なども作られています。茶産地では茶油も作ることがよくありますが、この漳平水仙の茶油は今まで色々と試してきた中でも一番と言って良いほどに香りが良いものでした。


漳平水仙 紅茶 2016年秋茶
漳平水仙 紅茶 2016年秋茶

甘い果実香と深みのある旨味、甘さを持っています。
中国紅茶にしては珍しく甘く柔らかい中にミネラル感も感じることができます。
紅茶でありながらも煎持ちが非常によく、かなり長く楽しめます。英徳紅茶にも通じるような心地良い独特な余韻もしっかり感じられます。


12月19日から来年1月11日までのあいだ中国出張のため、発送業務をお休みさせていただきます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
今回は中国でも遠方、雲南省の西双版納の方まで足を伸ばすため、かなり長期間のお休みとさせていただいております。
12月16日22時までにクレジットカード・代金引換によるお支払い方法をお選びいただいたご注文は12月18日までに発送させていただきます。銀行振込やゆうちょ銀行送金などのお支払い方法をお選びいただいた場合は、12月16日中に入金確認ができたご注文を12月18日までに発送いたします。それ以降のご注文は来年1月12日以降の発送となります。また、ご注文が混みあう場合はお休み前の発送締め切りを早めさせていただく場合もございます。ご了承ください。
発送業務をお休みさせていただいている期間もご注文は変わらずお受けいたしておりますが、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどに、いつもより少しお時間をいただく場合がございます。特に今回は通信環境の無い地域へ訪問している期間もございますため、最長で1週間程度お時間をいただく可能性もございます。
大変ご不便をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

安渓 茶都

安渓 茶都

感徳の村を後にして、安渓の都市部まで戻ってきました。訪問させていただいた感徳の村は、やはり山の中にあるため、同じ安渓でも都市部まで戻るのには数時間かかります。まずは安渓での宿を決めて、急いで茶都に向かいました。

安渓には主に鉄観音の集積市場とも言える市場があり、それがこの茶都です。実際にお茶を仕入れるかというと、全てがそうではないのですが、決まった販路を持たない、あるいは新たに販路を拡大したい茶業や茶農家がこの茶都に集まります。また、茶市場としても機能しているため常設の店舗もあります。

安渓 茶都

中心部にはこのように店舗を持たず、青空市場のように茶葉が並んでいます。(実際には屋根があります)この時は既に夕方近かったため、かなり販売者も少なくなっていましたが、鉄観音のみでこの量は圧巻です。
これらの販売者は殆どが周辺の農村地帯から、これらの荷物を抱えてここまでやってきます。中にはバスを乗り継いでという人も。ですので、とにかく売りたいという気持ちが強く、歩いているだけでかなりの客引きにあいます。

安渓 茶都

品質は様々です。正直に言えば、あまり良いお茶は無かったようです。これは時間的なものもあるかもしれませんし、時期的なものもあるかもしれません。とはいえ、日本へ輸入する場合、このような市場では品質のトレースができませんので、実際には入手することはできません。ですので、一通り見学という形で終了していたのですが、常設店舗のある卸売店の方がまだ良い品質のものが多いように見受けられました。
個人用にせよ、何にせよ、原産地であっても、きちんと後までトレースできる信頼できる店舗から入手するのは変わらないですね。やはり口に入るものですから・・・

安渓 茶都

基本的には鉄観音が殆どという市場ですが、資本力のある茶業によるプロモーションも行われていました。この時も鉄観音のかなり大きな茶業さんと別に漳平水仙の茶業さんも来ていました。
この漳平水仙の茶業さん、ここ数年でかなり資本力を付けて出てきているので、その品質はともかく漳平水仙の知名度アップに頑張っているようです。この安渓以外でもちらほらと見かけるようになりました。


新会柑 珍珠青柑
新会柑 珍珠青柑

陳皮プーアル茶の1種ですが、青い小さな新会柑と呼ばれる広東省の果実の中に宮廷級プーアル熟茶を詰めて焙煎しているお茶です。これがプーアル茶ではなく、上質なアールグレイのように爽やかで美味しいお茶に仕上がっています。

雲南省の西双版納モウ海茶区で作られたプーアル熟茶を茶枝柑と呼ばれる果実の中に詰め焙煎、熟成を行ったお茶です。ここ数年、中国で徐々に流行りはじめ、様々な品質のものが流通するようになりました。通常は陳皮プーアル茶と呼ばれるオレンジ色の果実に詰め込んだプーアル熟茶ですが、これは新会柑と呼ばれる広東省の果実、中でも青柑を使用しています。非常に香りが爽やかなのが特徴で、その香りはまるで上質なアールグレイのように素晴らしく美味しいお茶に仕上がっています。

近頃は天然のアールグレイ果汁を使った紅茶は少なくなりましたが、これはそれを思い出させるような素晴らしい香りと味わいを持っています。青柑の爽やかで品のある香りはもちろん、プーアル熟茶の深みのある柔らかい旨味と甘味がプーアル茶であることを忘れさせてしまうほどにバランスよく味わい深いお茶になっています。
人工香料には決してまねできない品格のある高い香りと深い味わいがお楽しみいただけます。

早朝からの製茶

安渓感徳

福建省安渓の感徳の山の中にある村に泊めていただいた翌日は早朝から製茶を見せていただきました。
前日まで曇りがちな空も、この日は綺麗に晴れ上がり、山の中の冷たい気温に太陽の光が熱を帯びているのが感じられます。やはり福建省は太陽が強いですね。この太陽の強さが美味しい鉄観音を作り出します。
5時頃から日が昇り、日の出とともに村も活気がでてきます。早朝から畑にでる村人も多く見かけます。この村も高齢化が進んでいるようで、畑で元気に作業をする村人の中には90歳を超えているという人も珍しくありません。

安渓感徳

山肌に張り付くように建つ製茶場に息を切らしながら朝早くからお邪魔させていただきます。ちょっとした山登りのような傾斜で、ご覧の通り、本当に平地の少ない山間の小さな村です。
村の半分以上は製茶に関わる仕事をしていますが、携わっている村人の殆どは高齢者です。同じ鉄観音でも平地の大規模な茶畑や大きな工場のあるような地域であればともかく、このような山間の傾斜のきつい小さな茶畑で、最低限の製茶機械で家族で行うような茶農家では、鉄観音といえども生産量に大きな違いがあります。裕福な暮らしをできるほど生産することが出来ないというのが現状で、若い人の殆どは茶業を辞めて街へ働きに出てしまいます。

安渓感徳

まだ6時を過ぎた頃だというのに、製茶場ではフル回転で製茶が行われています。おばあちゃんやおじいちゃんが険しい崖のような茶畑で1つ1つ摘んできた大切な茶葉を1つとも無駄にしないように、真剣に製茶が続けられています。聞けば昨夜から殆ど寝ていないとのこと。それでも和気あいあいと家族ぐるみで協力しながら作業を続けています。見ている以上に重労働ですが笑顔。快く質問にも答えてくださいました。
工程毎に頻繁に試飲を繰り返し、意見も活発に出されます。それらの意見もしっかり聞いた上で家長である作り手がその程度を決めていきます。

安渓感徳

5月中旬の訪問時は主に清香系の製茶が行われています。いわゆる青い鉄観音です。下旬になると濃香系の製茶がはじまります。茶色い焙煎が行われている鉄観音が清香系です。この濃香系の鉄観音は近年はあまり作られることのなくなってしまった鉄観音ですが、この茶農家では昔から変わらず作り続けています。濃香系を作ることを止めて久しい茶農家や茶業では清香系の製茶しかできなくなってしまっている、濃香系の製茶情報を喪失してしまっていることが多く見られます。そのため、良く市場に出回っている濃香系は売れ残った清香系や品質の低い清香系を焙煎して「濃香系」と言って販売しています。これでは濃香系の美味しさが分かりません。本来の濃香系は茶葉の成長度合い、発酵の度合いも違います。濃香系を作るためには茶葉の状態が成長しすぎず、でもしっかりと成分を保っていること。そして毛茶(荒茶)の状態から休ませ、6月頃から茶葉を休ませながら炭火で焙煎を行っていきます。
2016年は雨が多く、この茶農家では残念ながら濃香系の製茶を断念してしまいました。翌月に再度訪問して焙煎も見せていただく約束をしていたのですが、来年になりそうです。とはいえ良いお茶が作れないならば妥協せず製茶しないという決断は消費者として心強く、嬉しいです。その分の収入が無くなる訳ですから、茶農家にとっては相当な決断です。品質の低いお茶は作りたくないというその姿勢は応援していきたいと思っています。


中茶牌 藍印鉄餅 春尖 2006
中茶牌 藍印鉄餅 春尖 2006

この価格帯では近年稀にみるほどの美味しく上質な普洱生茶です。
価格がお手頃ということもありますが、何より驚く位にとても美味しいということ。
特に樟香系の香りがお好きな方にはぜひ試していただきたいと思います。

中茶牌の鉄餅の歴史は古く、1950年代まで遡ります。
元々はロシアなどの輸出向けに鉄の型を使って整形する製法で作られていた普洱生茶です。通常、石と布を使って整形する普洱茶ですが、この鉄の型を使うことで独特の風味が生まれ、当時、初期生産のものは今や手の届かないほどに高価なお茶として知られています。この藍印鉄餅は2006年に作られた、その鉄餅の復刻版です。

雲南中茶公司による、この藍印鉄餅は春尖、早春の清明節前に1芯3葉で摘み取られた上質な茶葉を使用して2006年に作られました。出庫直後から広州乾倉で、ほぼ10年間熟成を行っています。

広州乾倉の中でも非常に腕の良い茶商によって熟成されているせいか、高く見事と言えるほどの綺麗な樟香が楽しめます。心地よい柔らかい収斂味、しっかりと、そして長く続く回甘とのバランスが本当に素晴らしい生茶に育っています。生茶の強さはすっかり影を潜めて、柔らかく、優しく、それでいて力強い、まさに普洱茶熟成のお手本のように育っています。

通常であれば倉熟成を行い、ここまで状態が良く、香り高い普洱茶はそれなりに高価になります。今回、黒茶専門家として大陸ではとても高名な師のおかげで現地と殆ど変らない価格でご提供できることになりました。とても美味しく、そして本当におすすめできる普洱茶です。

※1筒(7枚)でご購入をご希望の場合はお問い合わせください。(45,500円・税抜)

安渓感徳 鉄観音の村

安渓感徳

厦門から鉄観音の産地、安渓までは車で1〜2時間ほどで到着します。しかしながら、安渓と一口に言ってもとても広く、安渓の市街地を中心としてもかなり広大なエリアで鉄観音は作られています。
今回はいつもお世話になっている感徳の茶農家さんを訪問させていただきましたが、安渓に到着したあとも山の中にずっと入っていくため、更に2時間以上かかる山奥にあります。

安渓感徳

事前に話を聞いていたよりもずっと山奥のひっそりとした村で、住人よりも鶏や鴨などの家畜の方が多そうな静かな村でした。電気は通っているものの水道やガスはありません。水がとても綺麗な地域のため、山の水をそのまま使っています。
昔からの土壁で作られた家が殆どで、険しい山肌にかろうじて引っかかっているかのように建っています。
ここでは茶農家さんのお宅に滞在させていただき、鉄観音の製茶を見せていただきました。

安渓感徳

集落のある場所から上の険しい山は殆どが茶畑になっています。この集落では無農薬、自然農法を徹底しているため、雑草もそのままです。
これには生活上の理由もあります。もちろん作るお茶の商品として無農薬、自然農法であることが価値を高めるということももちろんですが、これらの茶畑の斜面の下に位置する集落では山の水を生活用水として使っています。もちろん飲用にも利用しているため、水を得る山を汚さないということは自らの生活にも大事なことなのです。

安渓感徳

歩くのも大変なほど険しい山肌を縫うように茶樹が植えられています。そのため、他の地域のように整然とした茶畑にはなっておらず、藪のような茶畑になっています。間には楊梅の木や、足元には山苺などの植物も豊富にあります。そのせいか鳥や虫をはじめとした生き物がとてもたくさんいる茶畑になっています。
おやつに山苺を食べながら茶畑を見学させていただきました。とても心地の良い茶畑でした。

安渓感徳

既に製茶の始まっている製茶場へ。萎凋中の茶葉です。爽やかな花の香りが充満していて、小さな建物ですが、香りが充満しています。
山奥にあるため、平地よりもかなり気温は低いのですが、茶葉から発せられる熱で製茶場は暖かく、この時は萎凋の具合を冷房をつけたり消したりして調節していました。逆の場合もあります。製茶場はいつでも冷房、暖房と使えるように整備されています。
朝に摘み取られた茶葉です。基本的に鉄観音の茶葉は朝も早いうちから摘みはじめ、お昼頃には摘み取りを終了します。しかしながら、実際には1日中摘み取りが行われていることが殆どです。これは鉄観音に限らず、中国や台湾の茶産地で行われていることです。

安渓感徳

この村では昔のまま、朝のみしか摘み取りを行いません。これは味わいや香りを最大限に良くするためということがあります。一方で摘み取りを行う人出が足りないという現状もあります。安渓は茶産地の中でもトップクラスの環境の良さ(製茶するための環境が整っているという意味で)ですが、安渓の中でもこのような山奥の村はあまりその恩恵を受けられていないようです。
摘み取り時期には摘み子さんが周辺地域からやってきますが、多くは安渓の中でも、もっとアクセスのしやすい産地の大規模な茶業さんのところへ行くことが殆どです。この村では家族で今も製茶を続けています。茶畑の中には人出が足りなくて摘み取りができない場所もあります。人手不足はこの村でも深刻な問題です。

安渓感徳

私たちが到着したのがお昼過ぎということもあり、萎凋が終わった茶葉の揉捻を見せていただきました。ご存知のように丸い茶葉の鉄観音はこのように布で包む団揉と呼ばれる方法で行われます。
台湾でよく見ていたこの団揉ですが、やはり大陸の鉄観音とはまた方法が少し違います。また、台湾ではこの団揉を行う専門職の職人さんが製茶時期になると各茶業さんを回って仕事をしていることが多いのですが、安渓ではあまりそのような習慣はないとのこと。(とはいえ、安渓も広いので場所によって違うかもしれません。)特にこの村では家族総出で製茶を行うこともあり、この時は若い息子さんがお父さんに団揉の方法を教わりながら手伝っていました。こうして製茶が引き継がれていくのですね。それでも、こうした小さな山奥の村では過疎が進んでいるそうです。大手の茶業さんはともかく、小さなこうした村の茶農家では鉄観音といえども販路がすくなく、決して儲かる仕事ではありません。そのため、街に出てお茶とは関係のない仕事に就くことも多く、廃業する茶農家さんも増えているそうです。

安渓感徳

団揉は何度も繰り返し行われます。毎回布を解いて、茶葉の状態を確認しながら丁寧に団揉していきます。やりすぎても茶葉がボロボロになってしまう、団揉が足りないと煎の効かない低品質のお茶になってしまう・・・作り手の技術が試される工程です。茶葉の状態を見ながら慎重にすすめていきます。この時は本当に真剣で、別の工程では和気あいあいと話しながら作業をしていた作り手さんたちも、団揉の工程では無言で黙々と作業しています。

この日は萎凋や発酵、団揉などを見せていただきました。茶農家さんのお宅に泊まらせていただき、翌朝は早朝から開始される製茶を見せていただきます。


10118.6
感徳鉄観音 12年老茶

福建省安渓感德の伝統的製法を守り作り続けている作り手による鉄観音の12年老茶です。
2004年の春に作られた鉄観音を火入れを繰り返しながら熟成させてきました。

伝統的製法の鉄観音の入手は年々難しくなっています。お茶には流行があり、10年ほど前に鉄観音も大きく変わりました。台湾より清香型の製茶技術が伝わり、茶葉の発酵度が低く軽いものが主流になりました。
現在主流の清香型は香り高く爽やかである一方、発酵度が低く、焙煎もほとんど行われていないために保存がききません。そういった青々とした鉄観音は常温保存すらできません。冷蔵庫で半年、冷凍庫で1年といったところです。また、成分が強く、胃への負担が強いものとなってしまいました。

ビンテージの鉄観音は現在、とても入手が難しく、また本物があっても非常に高価なものになりました。この鉄観音は茶農家さんの倉庫で眠っていたものを譲っていただいたものです。終了後の再入荷はありません。

福建厦門 天成茶葉市場

福建

2016年の5月、北京から福建省へお茶の旅に出ていました。

厦門から入り、鉄観音で有名な安渓へ。
仲良くしていただいている茶農さんのお宅に滞在させていただきました。
また、その後は漳平水仙(ショウ平水仙)を見せていただきに漳平へ。
そこから北福建の武夷山へ、いつもの武夷岩茶の茶業さんを訪問してきました。

まずは寝台列車で北京から厦門へ向かいます。
夜に北京を出て、翌朝に厦門に着くので便利なのと、最近は車内も綺麗で意外と快適です。

天成茶葉市場

厦門では有名な茶葉市場、天成茶葉市場に行ってきました。
最近は郊外の高速鉄道駅の近くに新しい茶葉市場が出来ているそうですが、昔からある市内のこの市場が今も地元の人達に利用される、活気のある茶葉市場になっています。

鉄観音を中心としたお店が多く、また、茶器を扱う店舗が多いのも特徴的です。あまり大きくない小じんまりとした市場ですが、一通りのお茶は殆ど揃っているようです。ただ、やはり福建省。緑茶の扱いは他の地域よりもずっと少ないです。やっぱり福建省ですね。

天成茶葉市場

ここでは知り合いの茶業さんのご親戚がやっているお店をベースに市場を見学させていただきました。
ちょうどこの時期は鉄観音の出荷が始まったころで、いたるところで鉄観音の茎取りの作業が行われています。今や鉄観音では当たり前のように行われている茎取りですが、実はここ15年ちょっと位の話です。経済的に豊かになってきて、茎を外して見栄えを良くしようとなったとのこと。
茎の部分には甘味や旨みがたくさん詰まっているので、私個人としては取らないで欲しいとも思うのですが(美味しいですよ)、この外した茎は枕にしたり、茎茶として楽しんだりします。


既にリピートをされてるお客様もいらっしゃるほどです。ありがとうございます!
いくつかご質問をいただいておりますが、広州入倉といえども土臭さなどは全く感じられません。非常に綺麗な樟香がお楽しみいただけます。

中茶牌 藍印鉄餅 春尖 2006
中茶牌 藍印鉄餅 春尖 2006

この価格帯では近年稀にみるほどの美味しく上質な普洱生茶です。
価格がお手頃ということもありますが、何より驚く位にとても美味しいということ。
特に樟香系の香りがお好きな方にはぜひ試していただきたいと思います。

中茶牌の鉄餅の歴史は古く、1950年代まで遡ります。
元々はロシアなどの輸出向けに鉄の型を使って整形する製法で作られていた普洱生茶です。通常、石と布を使って整形する普洱茶ですが、この鉄の型を使うことで独特の風味が生まれ、当時、初期生産のものは今や手の届かないほどに高価なお茶として知られています。この藍印鉄餅は2006年に作られた、その鉄餅の復刻版です。

雲南中茶公司による、この藍印鉄餅は春尖、早春の清明節前に1芯3葉で摘み取られた上質な茶葉を使用して2006年に作られました。出庫直後から広州乾倉で、ほぼ10年間熟成を行っています。

広州乾倉の中でも非常に腕の良い茶商によって熟成されているせいか、高く見事と言えるほどの綺麗な樟香が楽しめます。心地よい柔らかい収斂味、しっかりと、そして長く続く回甘とのバランスが本当に素晴らしい生茶に育っています。生茶の強さはすっかり影を潜めて、柔らかく、優しく、それでいて力強い、まさに普洱茶熟成のお手本のように育っています。

通常であれば倉熟成を行い、ここまで状態が良く、香り高い普洱茶はそれなりに高価になります。今回、黒茶専門家として大陸ではとても高名な師のおかげで現地と殆ど変らない価格でご提供できることになりました。とても美味しく、そして本当におすすめできる普洱茶です。

※1筒(7枚)でご購入をご希望の場合はお問い合わせください。(45,500円・税抜)