漳平を後にして、次に向かったのは漳州市南靖県にある雲水謡古鎮です。ここでは客家の土楼に宿泊してお茶作りを見ることができました。
客家土楼は世界遺産にも指定されていますが、有名な土楼は主に同じ漳州市でも永定県、山をいくつか越えた場所にあります。この雲水謡古鎮はあまり交通の便が良い場所ではないせいか、比較的観光客の少ない落ち着いた村になっています。
この地域には客家が多く住んでいるため、たくさんの土楼があります。ほとんどは地元の人が実際に生活をする土楼で観光客は中に入ることはできません。いくつか観光用に開放されている土楼もありますが、生活用の土楼とは全く雰囲気が違います。今回宿泊した土楼は実際に客家の人たちが住む土楼で、宿泊することでゆっくり生活に密着した土楼を見学することができました。
土楼の周囲は茶畑です。この村の中、周囲はほとんど茶畑といってよいほどです。この地域のお茶は鉄観音ではなく金観音が多いようで、自家消費用であったり、有名な茶産地ではないので全国に流通するわけではありませんが、厦門などへも出荷されているようです。ちょうど訪れた5月は製茶の真っ只中で、集落のあちらこちらで製茶が行われていました。
基本的に小規模な茶農家さんが多く、素朴な製茶方法でお茶を作っています。製茶機械は最小限といったところで、基本的に自家消費、地域消費の地元密着型のお茶づくりです。畑仕事をしながら、家事をこなしながら家族全員で製茶を行うといった、昔ながらの、お茶づくりの原点のような風景を見ることができます。そんなお茶づくりをしているせいか、この村の人たちは自分たちの作ったお茶を販売するということには、あまり執着していないようです。生活に根ざしたお茶です。
この地で仲良くなった地元の方に金観音を分けていただきました。6月のお茶会のお土産にお持ちいただいた金観音がそのお茶です。決して製茶技術が上手な訳でも、綺麗に団揉されている茶葉ではありませんが(どちらかと言えば、きちんと団揉されていない茶葉です)、自家用にと作られたそのお茶の素朴な美味しさは他にはない優しい味わいであったと思います。実際、お茶会にご参加いただいた方からも販売のリクエストをいただきましたが、元々が自家用のお茶のため、生産量が少なく、販売するほどの量を確保することができません。
村は樹齢1000年を超えるガジュマルの木があり、大きな川を囲むように昔からの石畳が美しい場所でした。10年前ほどの映画「雲水謡」のロケ地にもなったほどの素朴で美しい自然に囲まれた場所です。
こうした素朴で美しい場所の土着のお茶も、いつかご紹介できたらと、新たに友人になった茶農家さんと今も連絡をとりあっています。有名なお茶や高価なお茶ももちろん美味しいのですが、またこうした人の生活に密着したお茶もとても美味しいものです。何年かかかるかもしれませんが、ぜひこうした生活の原点のようなお茶も楽しんでいただくことができればと思っています。
12月19日から1月11日までのあいだ中国出張のため、発送業務をお休みさせていただきます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
今回は中国でも遠方、雲南省の西双版納の方まで足を伸ばすため、かなり長期間のお休みとさせていただいております。
発送業務をお休みさせていただいている期間もご注文は変わらずお受けいたしておりますが、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどに、いつもより少しお時間をいただく場合がございます。特に今回は通信環境の無い地域へ訪問している期間もございますため、最長で1週間程度お時間をいただく可能性もございます。
大変ご不便をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。