福建省」カテゴリーアーカイブ

武夷山の茶畑

武夷山 大紅袍母樹

武夷山では製茶場だけでなく、同行していた現地スタッフの見学ということも兼ねて主要な場所へ訪れたりしながら茶畑を見学させていただきました。
シーズン前ということもあって、茶業さん自ら同行しての説明は大変勉強になりました。ありがとうございます。

まずは有名な大紅袍母樹から。
絶壁とも言える崖の途中にかたまって生えているので近寄っては見ることができませんが、今回は望遠レンズを使ってじっくりと茶樹の様子を見てきました。まだ茶葉の萌え始めということもあって(2014年4月上旬)、ちょっと寂しいような茶葉の量でしたが、それでもしっかり新芽が動き始めているのが確認できました。生えている場所も凄いですが、樹齢も相当なもので300年から400年とも言われています。それだけの樹齢でも、これだけ力強いというのは、本当に凄いと思います。植物の力に改めて驚かされます。

老枞水仙(老欉水仙)

こちらは流香涧(流香澗)の老枞水仙(老欉水仙)です。
老欉水仙というだけあって、樹齢も高く、その分樹高も高く成長しています。老欉というのは老木、この場合は老茶樹を意味しています。
この写真の場所、流香涧(流香澗)は武夷山の中でもとても良い茶畑がある場所として有名ですが、それ以外の地域でも老欉水仙はとても大事にされていることが殆どです。一般的に茶樹の商業樹齢はそれほど長いものではありませんが、老欉水仙は年月を経て初めて老欉水仙になれるという、世代を超えて育てていく茶樹ですので、どの茶業さんも本当に大事に育てています。また、機械をなるべく使わず、炭火を使う昔ながらの作り方をされていることも多いように思います。他の茶樹品種に比べても、やはり老欉水仙は特別な品種の茶樹のようです。

武夷山 牛栏坑(牛欄抗)

こちらは牛栏坑(牛欄抗)の茶畑です。
この場所で採れる武夷肉桂は牛栏坑(牛欄抗)肉桂、通称、牛肉と呼ばれ、武夷肉桂の中でも最高級のものになります。
正岩地区の茶畑は良い場所になると、どこも厳しい場所にありますが、この牛欄抗は中でも岩がむき出しのままになっていったり、岩茶と呼ばれる理由が分かるような厳しさがまた違う場所になっています。
とはいえ、武夷山の中では、それでもかなりアクセスしやすい、穏やかな場所にある茶畑になります。非常に良いとされる場所の多くは岩山に立てかけられた梯子をよじ登ってやっと到着するような茶畑です。

武夷山と一口に言っても岩により、谷により、本当にその環境が異なります。こうした激しいとも言える環境の違いが、武夷岩茶の味わいの違いに反映されていることは間違いありません。更に製茶するタイミング、環境、作り手の技量によっても大きく左右されます。


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百年老枞水仙(百年老欉水仙)
慧苑坑にある樹齢160年ほどの水仙の茶樹から摘み取った茶葉で作られた貴重な老欉水仙です。
特別な古樹だけが持つ落ち着きある、凄みすら感じる旨味を持つ岩茶に仕上がっています。

流香涧(流香澗) 雀舌 2012年
流香澗 雀舌 2012年

大紅袍母樹の1つに起源する岩茶です。
雀舌は岩茶の中でも香り高く、味わい深い品種として知られていますが、この雀舌は特に力をしっかりと秘めた岩茶に仕上がっています。これがお茶ですか?と驚かれる方もいらっしゃるほどです。

岩茶 牛欄抗肉桂 2012年
岩茶 牛欄抗肉桂 2012年

肉桂のなかでも最高峰とされるのが、この牛欄抗で作られる肉桂です。その味わいや香りは説明が必要ないほど、素晴らしいものがあります。

青獅子岩 金牡丹
青獅子岩 金牡丹

現地でも殆ど作られることが無く、流通が非常に少ない希少な岩茶です。やはりこの品の良さ、美味しさは他の岩茶ではなかなか感じることはできません。

シーズン前の武夷岩茶製茶場

武夷山

やはり政和県、水吉建窯まで来たのであれば武夷山に立ち寄らないということは考えられません。いつもお世話になっている茶業さんの製茶場を訪問させていただきました。
この時期(2014年4月上旬)の武夷山はシーズン直前といったところで、観光客も少なく静かな雰囲気でありながらも、じっくりとパワーを溜めているような、動き出すタイミングを計っているような熱を帯びているような不思議な雰囲気でした。

岩茶製茶場

前回訪れた時にはフル回転していた焙煎室も時折、ビンテージの岩茶をメンテナンスする他はお休み状態です。とはいえ、この茶業さんは非常に衛生面も気にしているということもあって、チリひとつ落ちていないような非常に綺麗な状態でありました。
一口に製茶場といっても管理する人によって状態は様々です。シーズン中、実際に製茶場を使う時期は清潔を保つけれどもという茶業さんが殆どですが、こちらは感心させられるほどに徹底して清掃が行き届いています。正直なところ、ここまで製茶場を綺麗に保っている茶業さんを私は他に知りません。中国ではもちろんですが、台湾や日本でも殆どいないのでは?と思います。

岩茶

こちらは熟成中のビンテージの岩茶、水仙です。
とてもパワーのある良い岩茶は最初に摘み取られ、製茶された年にはまだまだ強すぎるということは良くあることです。むしろ、その年に美味しく楽しめることの方が少ないように思います。この水仙もタイミングを見て試飲、火入れをを行いながらじっくりと美味しく完成するのを待っているところです。
製茶場の中にはそのような岩茶がいくつもあって、シーズン中のように沢山の職人さんがいるという訳ではありませんが、工場長が一人でずっとこの作業を繰り返してオフシーズンを過ごしています。

牛欄抗肉桂

折角来てくれたんだからと、とっておきの牛欄抗肉桂をいただきながら、少しずつ動き始めていた茶樹の状態や今シーズンの予想などといった情報交換など、とても充実した時間を過ごさせていただきました。
シーズン中は忙しくてなかなか細かい話まではできないけれど・・・と、この時はかなりマニアックなお話もお伺いすることができ、大変勉強させていただきました。


岩茶 慧苑肉桂
岩茶 慧苑肉桂

昨年も大変ご好評をいただいた岩茶 慧苑肉桂が入荷しています。
とてもパワーのある岩茶ですので、他の岩茶よりも熟成に時間がかかりました。

慧苑肉桂という名前ですが、一般的には武夷肉桂と呼ばれる岩茶です。ただし、慧苑坑という特別な場所で摘み取られた茶葉から作られているため「慧苑肉桂」と呼ばれています。

慧苑坑という場所は正岩茶区の中心となる特別な地域です。その場所で育った武夷岩茶は特別な香気と味わいを持っています。正岩茶ならではの味わい、岩韻が素晴らしいこのお茶は、むせ返るような見事な花果香と質の良い岩茶特有の蜜蝋のような深み、ミネラル感、甘味がとても上品なバランスで同居しています。

岩茶本来の美味しさを知るのに最適な、最高のお手本のような武夷肉桂です。

流香涧(流香澗) 雀舌 2012年
流香澗 雀舌 2012年

大紅袍母樹の1つに起源する岩茶です。
雀舌は岩茶の中でも香り高く、味わい深い品種として知られていますが、この雀舌は特に力をしっかりと秘めた岩茶に仕上がっています。これがお茶ですか?と驚かれる方もいらっしゃるほどです。

岩茶 牛欄抗肉桂 2012年
岩茶 牛欄抗肉桂 2012年

肉桂のなかでも最高峰とされるのが、この牛欄抗で作られる肉桂です。その味わいや香りは説明が必要ないほど、素晴らしいものがあります。

青獅子岩 金牡丹
青獅子岩 金牡丹

現地でも殆ど作られることが無く、流通が非常に少ない希少な岩茶です。やはりこの品の良さ、美味しさは他の岩茶ではなかなか感じることはできません。

水吉建窯

水吉建窯

政和で白茶製茶場を見学させていただいた後に水吉建窯へも立ち寄ることができました。

水吉建窯とは、天目茶碗を焼成したとして知られている陶窯です。この付近では以前にご紹介した武夷遇林亭窯址をはじめとして、いくつかの古窯跡が残っています。唐代から作陶が盛んな地域ですが、その中でも最も有名な古窯跡といえば、この水吉建窯です。あの曜変天目茶碗はこの水吉建窯で作られたのではないかという説もあるほどです。

水吉鎮

この水吉建窯がある水吉鎮は政和と武夷山の丁度中間位の場所にあります。周囲には何もない場所で、有名な窯跡にも関わらず周囲はほんの少しの集落と田畑、山林があるのみです。
実はこの辺り、今でこそ武夷山で大切にされている老枞水仙(老欉水仙)の発祥の地でもあります。この付近で老欉水仙が発見され、今に至っているそうです。とはいえ、現在はこの付近でのお茶作りは随分と下火になってしまったようで、今も製茶業を営んでいる人はほんの僅かになってしまったそうです。

水吉建窯

一般公開されていないこともあって、訪れる人もなく、ひっそりと水吉建窯はありました。(見学には事前に許可が必要です)
周囲の住民の方もこの遺跡が一体何なのかは良く知らないようです。
観光用に一般公開されている遇林亭窯址と違って最低限の修復しかされていないということで、窯跡の中はもちろん、周囲十数メートルに渡って陶片が放置されています。ただし、窯跡から離れた場所の陶片はどうやら近年のもののようです。この地域では最近まで作陶が行われていたんですね。今は研究目的の一部を除いては、どうやら行っていないようです。

水吉建窯

遇林亭窯址と同様に山の斜面を利用して作られている龍窯(中国式の登り窯)です。規模としては遇林亭窯址よりもずっと小さいように見えるのですが、実際は世界でも例を見ない、最大級の龍窯だそうです。135.6mもの長さだそうですが、傾斜が比較的緩いせいもあって下から見上げるとそれほど大きく感じなかったのかもしれません。
非常に保存状態が良く、窯頭の様子もしっかり見せていただきました。

この地からあの曜変天目茶碗が生まれたのかもしれないと思うと、とても感慨深いです。見学できるよう手配してくださった茶業さんたちに感謝いたします。


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百年老枞水仙(百年老欉水仙)
慧苑坑にある樹齢160年ほどの水仙の茶樹から摘み取った茶葉で作られた貴重な老欉水仙です。
特別な古樹だけが持つ落ち着きある、凄みすら感じる旨味を持つ岩茶に仕上がっています。

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慧苑坑 瓜子金
甘く深みのある果香と柔らかい甘味のバランスが良い岩茶に仕上がっています。
煎を進めていくと甘い味わいが変化してお菓子のようなニュアンスもでてきます。
火入れの程度は中火。強すぎず弱すぎず、絶妙のバランスで火入れが行われています。

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天心岩 黄玫瑰
黄玫瑰はまだ比較的新しい品種で、2013年から本格的に収穫がはじまりました。
綺麗な優しいバラの香りのする岩茶です。
美しい琥珀のようなお茶は香りだけでなく爽やかな甘味と複雑で上品な滋味
しっかりとしたミネラル感と合わさり、上品で軽やかな美味しさがあります。


年末年始は発送業務をお休みさせていただきます。

12月27日18時までのクレジットカード・代金引換によるお支払い方法をお選びいただいたご注文はその29日までに発送させていただきます。
銀行振込やゆうちょ銀行送金などのお支払い方法をお選びいただいた場合は、12月27日15時までに入金確認ができたご注文を同じく29日までに発送させていただきます。それ以降のご注文は翌年1月10日以降の発送となります。
また、1月11日はイベントのため、発送業務をお休みさせていただきます。

ご注文状況によっては上記締め切り日時前に年内発送を締め切らせていただく場合や発送までお時間をいただく場合もございます。年内発送をご希望される場合はご注文時の備考欄に「年内発送希望」とお書き添えください。

発送業務をお休みさせていただいている期間も、ご注文は変わらずお受けいたしております。
大変ご不便をおかけしますが、どうぞご了承いただけますようお願いいたします。

白茶製茶場

政和大白茶種

急斜面から丁寧に手で摘み取られた茶葉は、摘み子さんがそれぞれ製茶場へ持ち込みます。摘み子さんの賃金はその茶葉の量によって決まります。まだシーズンが本格的に始まっていないこともあってか価格が確定していなかったようで、重量を量ったあとは工場長と摘み子さんの価格交渉が長く続いていました。

この白茶に限らず、物価や人件費が高騰している中国では、どこの製茶場でも摘み子さんも含めて人件費の上昇が大きな問題になってきています。単純に流通価格に反映できれば問題ないのですが、景気に陰りが見えてきていることもあって、なかなかそのまま反映できるということではないようです。そんな事情もあって、摘み子さんや作り手さんの確保は茶樹の成長度合いをみながら、ぎりぎりまで招集できないとのことでした。

白茶 製茶場

白茶は摘みとった茶葉をそのまま、揉捻などの加工をせず、なるべく人の手に触れることがないように室内の風通しの良い場所でそのまま自然に酸化発酵させて作られます。
まだ一部の茶畑でしか十分に成長していないこともあって、ほんの少しですが、このように製茶が進められていました。

白茶 製茶場

本格的に茶摘みがはじまるようになると、こちらの出番になります。
シーズン真っ盛りになると、この棚にびっしりと茶葉が並べられて製茶が行われます。まだこちらの出番はないので前のシーズンが終了した時のままになっているそうですが、その時期には床にムシロを引いて、十分に発酵した茶葉をムシロの上に落としていくそうです。
例年では新明節前に製茶が本格化するそうだったのですが、2014年は気温が低い日が続いていて、私達が訪問した新明節になってもまだ殆ど稼働できていない状態でした。

白茶 製茶場

発酵を行う部屋は製茶場の2階部分にあります。というのも、発酵時に気温が低すぎるような場合には1階のこのボイラーで温風を出して2階全体を温めることができるようになっています。
燃料は薪です。この製茶場には電気がかろうじて引かれているのみで、水道もガスもありません。周囲に居住しているのも茶業さんのご一家のみ。本当に山の中の製茶場です。

白茶 製茶場

こちらは白茶を乾燥させて仕上げているところです。
白茶の定義としては茶葉を摘み取ったまま、手を加えずに自然に酸化発酵させるのみとされていますが、実際には出来上がったお茶の中の水分量が多すぎて保存することができません。実際にはこうして熱を加えて乾燥させて仕上げています。

政和白茶

出来上がったばかりの白茶をいただきました。
美しい翠色の茶葉がとても美しく、甘く爽やかな美味しい白茶です。無肥料のお茶に共通する、喉にしっかりと残るような独特の甘さのある白茶で、本当に美味しいお茶でした。


野生寿眉
野生寿眉

普段は人の立ち入らない山の中に群生している茶樹から作られた白茶で野生種を使用しているため白茶の分類上、寿眉としていますが、丁寧に手摘みで作られた上質なお茶です。茶農家さんの自家用に作られたこのお茶を譲っていただきました。

繊細な花の香りを感じるお茶です。驚くほど粘性のある茶水はしっかりと爽やかな甘味があります。茶樹の力強さを感じさせるミネラル感もあり、派手さはありませんが、しみじみと美味しいお茶です。

毎日のお茶としてもお勧めできる価格でご紹介できるのは、この茶農家さんが私たちの中国の親友の友人という茶縁のおかげです。

漳平水仙 紅茶 2014年
漳平水仙 紅茶 2014年

福建省の珍しい紅茶、漳平水仙紅茶、ご好評をいただいております!

甘い果実香と深みのある旨味、甘さを持っています。
中国紅茶にしては珍しく甘く柔らかい中にミネラル感も感じることができます。
紅茶でありながらも煎持ちが非常によく、かなり長く楽しめます。
英徳紅茶にも通じるような心地良い独特な余韻もしっかり感じられます。

白茶の茶業さん訪問

政和大白茶種の茶畑

武夷山駅から車で数時間、ようやく目的地の白茶茶業さんの茶畑、製茶場に到着しました。見事な赤土の茶畑で、見渡す限り山の斜面部分には茶樹が植えられています。

この茶業さんの茶畑は無農薬はもちろん、無肥料を徹底して管理されています。30キロ平方メートル以上もの広さの茶畑ですが、無農薬および無肥料で栽培を徹底することで政府より現代農業技術の模範基地として指定を受けているそうです。無農薬栽培も大変なことですが、無肥料で栽培するとなると生産量がどうしても激減してしまいます。この両方を徹底して行うということは、なかなかどうして難しいことです。

茶摘み

例年であれば新明節前から茶摘みが始まるのですが、この2014年の春は気温がなかなか上がらず、茶畑の殆どの場所では茶摘みがまだ始まっていませんでした。茶樹の成長度合いによって茶摘みが始まっている場所もありましたが、まだまだ小規模です。実際には私達が訪問した1週間後から本格的に始まったそうです。

茶畑の斜面はとてもきつく、茶摘みの人たちは立って摘むのがやっとという感じです。場所によっては斜面に這いつくばるようにして摘み取っていきます。実際にその斜面まで行ってみましたが、慣れていないと茶摘みを行うどころか立っているのがやっとという傾斜地です。

政和大白茶種

政和大白茶種の茶樹です。
まだこの時は新芽が十分に大きくなっていない状態の茶樹が殆どでした。この芽がもっと大きく肥えてくるようになると本格的に茶摘みが始まります。
場所によっては既に摘み取れるまでに成長した茶樹もあり、少し茶摘みもさせていただきましたが、基本的に人の手を加えていない茶畑のため、茶樹が人の背の高さ以上になっていたり、足元が不安定な傾斜地だったりと、なかなか重労働です。

湧き水

これは茶畑の中にある湧き水です。
この茶畑では無農薬・無肥料を徹底しているため、とても綺麗な水が湧き出ていました。実際に飲むこともできるとのことで、飲ませていただきましたが、とても柔らかく甘いお水でした。
この地域では水道が整備されていないため、茶業さんの住居も兼ねる製茶場では、この茶畑の山から湧き出ているお水を使って生活をしているそうです。実際には電気しか通っていないような山奥です。

この茶畑の下にある水田ではオタマジャクシが沢山いました。この水田も自家用のお米を育てているということもあって、無農薬・無肥料で管理しているそうです。

野いちご

茶畑には茶樹以外の植物もそのままの状態になっています。
最も多く見かけたのが、この野いちごです。丁度私達が訪問した時には白く可愛らしい花が咲いていました。他にも山椒の木が花を付けていたりと、とても美しい茶畑を見せていただきました。


無農薬・無肥料栽培 政和白茶
無農薬・無肥料栽培 政和白茶

この時に訪問した福建省政和の茶業さんによるものです。こちらは最適な気候になるまで十分に待ってから作られた白茶です。

ここ数年で一番美味しい、凄いと思う白茶です。

無農薬・無肥料で栽培された政和大白茶種の茶樹から丁寧に摘みとって作られた白茶です。茶商によっては野生茶として流通されるような白茶で、ほとんど管理はされていませんが急勾配の山の斜面にある茶園のものです。当店では日本で言う「野生」とは概念が違うと考えますので野生茶とは呼びませんが、極めて人の手をかけないよう、自然のままの状態で育てられています。そのため生産量が少なく、斜面がきびしいために茶摘みも容易ではないため、ほとんど流通することのない白茶です。

珍しいだけでなく、とても甘く美味しいお茶です。
今年は例年にないほどたくさんの白茶を試飲しましたが、この白茶が飛びぬけて甘く美味しい白茶でした。

香りは甘い花の香りがこの上なく清らかに感じられます。粘性のあるトロっとしたお茶は複雑で柔らかく、花の蜜を添加しているのではないかと思ってしまうほどに爽やかで濃厚な甘味を感じていただけます。蜜のような味わいにミネラル感と滋味が合わさり、言葉にならないほどの美味しさです。

白茶の産地・福建政和へ

北京西駅

4月の清明節の直前に白茶の産地・福建省政和まで産地を見学させていただくために向かいました。
いつものようにベースとなっている北京から出発です。

福建省政和は一番近い鉄道の駅や空港というと武夷山になります。今回も北京から福州まで向かう寝台列車で武夷山駅を目指して移動です。すっかり使い慣れてきた北京西駅から昨年、武夷山へ向かう際にも利用した列車で移動です。

武夷山駅

北京を出発した翌朝、武夷山駅に到着しました。

まだ武夷山でのお茶作りが始まっていないということもあって、割と閑散とした武夷山駅です。これがあと半月もすると各地から武夷岩茶を買い付けに来る茶商さんたちで賑わいます。昨年に訪れた武夷山駅と同じ駅には思えないほどに静かな駅前でしたが、嵐の前の静けさのような駅前でした。

武夷山駅

お世話になっている茶業さんが武夷山駅まで迎えに来てくださいました。
白茶の産地である政和県までは、この武夷山駅から車で3時間ほどかかります。行く途中の道はまだ新しい綺麗な高速道路を利用していくので、距離としてはかなり遠い場所になります。自分たちだけで行こうと思っても、なかなか難しい距離の場所です。

越南粉

まずは駅前でこの地方ならではの米粉から作られた麺、越南粉や米粉(細い麺を米粉と呼ぶようです)で朝食をとってから向かいます。これがさっぱりしていてとても美味です。朝早くでもスルッと食べれてしまうような優しい味わいで、南方の食文化というのが実感できる食べ物の1つです。


流香涧(流香澗) 雀舌 2012年
流香澗 雀舌 2012年

大紅袍母樹の1つに起源する岩茶です。
雀舌は岩茶の中でも香り高く、味わい深い品種として知られていますが、この雀舌は特に力をしっかりと秘めた岩茶に仕上がっています。これがお茶ですか?と驚かれる方もいらっしゃるほどです。

岩茶 牛欄抗肉桂 2012年
岩茶 牛欄抗肉桂 2012年

肉桂のなかでも最高峰とされるのが、この牛欄抗で作られる肉桂です。その味わいや香りは説明が必要ないほど、素晴らしいものがあります。今回は少量ですが、ご紹介させていただくことにしました。

青獅子岩 金牡丹
青獅子岩 金牡丹

今年も青獅子岩の金牡丹を入荷しました。
現地でも殆ど作られることが無く、流通が非常に少ない希少なお茶ですが、やはりこの品の良さ、美味しさが素晴らしいと思います。今年も美味しく仕上がっています。

正山小種の産地 武夷山桐木訪問

龍鳳谷景区

武夷山の茶産地訪問の最後は正山小種の産地、桐木村を訪問しました。

桐木村は武夷山星村鎮桐木関と呼ばれる地名ですが、実際は岩茶を作っている「武夷山」からは5~60キロ離れた場所にあります。片道車で2時間はかかる場所で、九曲渓の遥か上流に位置しています。
この地域は国家級自然保護地区に指定され、数年前から外国人の立ち入りが禁止されています。中国人は保護地区内から招待があれば入ることができます。手前にある龍鳳谷景区までは誰でも行くことができますが、その先の桐木関へはゲートがあり招待の有無と身分証明書のチェックがあります。今回、私たちがお世話になっている作り手さんのご好意で特別に招待していただきました。もちろん、外国人であることは周囲に秘密の訪問です。

ゲートの中には小規模の昔ながらの製茶場から近代的な工場などが急勾配の山道沿いにポツポツと建っていました。私たちがお世話になっている作り手さんはその中でもかなり標高の高い場所に製茶場を持っているため、更に山道を車で登っていきます。

ゲートを過ぎてすぐの頃は道沿いの茶畑も急傾斜ではあるものの、私たちの良く知っている「茶畑」といった感じが多く続いています。これらの半分近くは水仙種の茶樹です。
通常、正山小種の殆どは古来から桐木にある在来の茶樹(桐木奇种と呼ばれていましたが実際には複数の名称で呼ばれる様です)と中葉種の水仙の両方をブレンドして作られています。これは在来種の採取量が少なく、非常に繊細な味わいの品種のため、在来種のみで作られた紅茶は味わいの深みを出すことが難しいという理由です。

桐木 正山小種茶畑

ようやく目的の作り手さんの製茶場に到着しました。標高1000mを越える場所で、先ほどまで真夏のように暑かったのが嘘のように寒いと感じるほどの気温です。
製茶場の周囲は茶畑に囲まれていますが、茶畑といっても写真の様な状態です。シュロの根元に生えている背の低い植物が茶樹で、全て在来種になります。樹齢100年は軽く越えているだろうとのことでした。元々、遥か昔からこの地にあった茶畑で、詳細は分からないとのことでした。農薬は当然ながら肥料すら与えていないそうです。

審評室

まずは製茶場の審評室で今年の正山小種、妃子笑、金駿眉などの評茶をさせていただきました。

この作り手さんは金駿眉の製法を作り出したメンバーのお一人で、日本でも中国茶の書籍で紹介されていることもあるような方です。とても品質には厳しく、お茶の審評は欠かせません。オランダ王室をはじめ、ヨーロッパ王室向けの正山小種を任されていて、壁にはEUをはじめとした各国の有機認証の証書が飾られています。
普通ならこんな親しくさせていただくことはもちろん、お話させていただくのも難しいような方なのですが本当に良くしていただいています。この日は試作中の新しい製法で作られた紅茶も試飲させていただきました。

正山小種工場

数時間、たくさんのお茶をいただき、色々なお話をさせていただいた後は製茶場を見せていただきました。

この建物は正山小種ではスタンダードなものです。
少し地面を掘り下げて作られている1階部分に窯があります。写真では薪が積み上げられている所の丁度後ろの部分です。その窯で松材の薪を使って火を炊きます。植物の伐採が禁止されているこの地域では薪となる松の伐採も禁止されているため、薪は全て保護地区外から運んでくるそうです。
その上、人が休憩している後ろで茶葉を燻します。製茶の工程にあわせて必要とする温度が変わります。そのため茶葉は工程によって2階、3階と移動していきます。内部の床は薪を燃やした煙が上りやすいように板を渡しただけのような簡素な作りになっています。

正山小種工場

ちょうど訪れた日にも製茶を行っていました。製茶場にある小さな扉を開けると煙が充満している中に茶葉があります。まさにモルトウィスキーでいうところのフロアモルティングです。外からの光が届く範囲以外は真っ暗で何も見えません。その上、内部は長年の製茶によって煤で真っ黒になっています。

この茶葉はこの地で摘み取られたものですが、実際には桐木以外の地で摘み取られた茶葉を持ち込み、桐木の正山小種として流通するケースが多いそうです。実際、桐木は険しい山間にひっそりとあるような場所で、決して茶畑が作りやすいとは言えません。また、自然保護地区に指定されてからは既にある茶畑以外、新たに茶畑を作ることは禁止されています。そのような事情もあって生産量を増やすことは難しいようです。

この地で育った在来種のみを使った正山小種はとても優しく柔らかいお茶です。私たちが普段知っている正山小種とは全く違う繊細な味わいと香りで、同じ「正山小種」とは思えません。


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伝統 正山小種

この作り手さんが作った正山小種です。
通常、正山小種の殆どは古来から桐木にある在来種と中葉種の水仙の両方をブレンドして作られています。これは在来種の採取量が少ないということ、非常に繊細な味わいの品種で在来種のみで作られた紅茶は味わいの深みを出すことが難しいという理由です。
この正山小種は桐木の中でも標高1000mを越える地域に昔からある樹齢100年を越える在来種からのみ作られています。通常であれば繊細すぎる味わいに仕上がってしまうことが多々ありますが、名人ともいえる作り手の技術で繊細さを持ちながら非常に上品で滋味深い紅茶になっています。

また、正山小種と言えば独特の焙煎香が挙げられますが、輸出用には追加焙煎を行って非常に強い香りをつけています。そのような追加焙煎を行わない中国国内流通用の上質な正山小種でも出荷先地域によって香り付けの程度が異なります。華北方面は強めに、華南方面は弱めにというように調節されていますが、この正山小種はそのような調節を行わないこの地域本来の香りで仕上げています。

中国国内流通向けの伝統的製法の味わいの濃い正山小種もございます。
(在来種・水仙種使用)
正山小種

また、使用品種の違いを比較しやすいお得なセットもご用意しました。
正山小種 テイスティングセット

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金駿眉

価格が上昇しすぎてしまって入荷する予定はなかったのですが、今回は少量ですが入荷しました。
これは金駿眉を最初に作り出した作り手の1人から譲り受けたもので、生産地の桐木の中でも標高1200m以上の高地で採取した樹齢100年を超える野生茶樹の茶葉から作られたものです。
本物の金駿眉を飲んでみたいという方からのお問い合わせが多く、今回、作り手が保管していた分を少量分けていただきました。作出した本人自ら製茶したオリジナルの金駿眉です。


10月27日から11月21日、11月23日から11月30日までのあいだ、中国および台湾へ出張・研修のため、発送業務をお休みさせていただきます。
かなり長期に渡るお休みとなります。ご迷惑、ご不便をおかけして申し訳ありません。

10月25日21時までにクレジットカード・代金引換によるお支払い方法をお選びいただいたご注文、銀行振込やゆうちょ銀行送金などのお支払い方法をお選びいただいた場合は同じく10月25日中に入金確認ができたご注文を10月26日に発送させていただきます。それ以降のご注文は11月22日または12月1日以降の発送となります。

11月は発送可能日が22日のみとなっております。ご注文が集中した場合は22日に発送できない場合もございます。その場合はメールにてご連絡、ご相談させていただきます。

発送業務をお休みさせていただいている期間も、ご注文は変わらずお受けいたしておりますが、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどにいつもより少しお時間をいただく場合がございます。ネット接続環境が不明な場所へも行くことを予定しておりますため、ご返信などに最長で5日程度のお時間をいただくことも予想されます。

ご不便をおかけしますが、どうぞご了承いただけますようお願いいたします。

武夷山 茶農家さん訪問

武夷山 茶農家さん訪問

お世話になっている武夷岩茶研究所の工場の他にも、茶農家さんも訪問させていただきました。
武夷山が世界遺産に指定されて保護景観地区の指定が行われる前までは天心岩の方にお住まいだったのですが、現在は保護景観地区内に居住することは基本的に許されていないため、以前の場所とは離れた場所に村が移動しています。

こうした「岩茶村」というのはいくつかあるようです。武夷宮からそれほど離れていない大王峰の見える訪れやすい場所にある岩茶村は観光客向けの看板が出ていたりするために目につきますが、それ以外にも看板すら出ていないような保護景観地区外の山間部に小さな集落として岩茶村が点在していたりします。私たちが訪れたこの茶農家さんも、そういった注意していないと見落としてしまいそうな小さな集落にあります。歩いているのは人よりも鶏の方が多いような、静かで小さな村です。

武夷山 茶農家さん訪問

こちらでも最終焙煎工程で忙しくしていました。
この茶農家さんは牛蘭坑と宝国岩の間にある険しい場所に茶畑を持っていて、そこで摘まれた茶葉から作られた岩茶はとても力強く滋味深い優しい岩茶になります。家族で製茶をしている小さな茶農家さんですが製茶設備はしっかりしています。お世辞にも立派とは言えない自宅兼製茶場の中には古いけれど綺麗に使われている製茶機械が並んでいます。

武夷山 茶農家さん訪問

この茶農家さんでは正岩地区以外の半岩地区、外山地区でとれる茶葉も扱っています。基本的に炭焙煎は行っていませんが、正岩地区の品質の良い茶葉は昔ながらの炭焙煎を行います。その際は炭から作る程のこだわりようで、製茶場の外には炭を作るための木材が積み上げられています。

武夷山 茶農家さん訪問

製茶場を見学させていただいた後は今年の岩茶の審評を行わせていただきました。この時ばかりは90歳になろうかという先代、お爺ちゃんも一緒です。様々な岩茶を確認させていただきましたが、今年は水仙の出来が特に良かったようで、とても気に入った岩茶に出合いました。ただし、非常にパワフルな水仙でしたので、こちらはまだ熟成を行っていただいています。みなさまにご紹介できるのは、まだ当分先になりそうです。


新入荷した鉄観音老茶、ご好評をいただいております。
中でも一番のお勧めはこちらの中国と台湾にまたがって作られた絶品の鉄観音です。

鐵觀音茶王
鐵觀音茶王

鉄観音発祥の地、中国福建省安渓の西坪で無農薬・有機栽培で大切に育てられた茶葉を使い、高い製茶技術を持つ作り手が丁寧に作った鉄観音を台湾の凍頂烏龍茶で有名な南投県凍頂へ運び、熟練した焙煎技術者によって焙煎、後熟成を行った非常に贅沢な鉄観音老茶です。
私たちが師事する台湾の高名な茶人が自ら福建省まで赴き、茶摘みから監修して作り上げた最高の鉄観音です。

3年間ゆっくりと火入れを行いながら熟成させてきた、言わば「好いとこ取り」の傑作となりました。

凄みを感じるほどに滋味深く、柔らかく、華やかな鉄観音です。

四川高山紅茶
四川高山紅茶

ちょっと寒いような秋の日には甘くてコクのある紅茶がとても美味しく感じられます。

中国の四川省・蒙頂山主峰で栽培された茶葉を使用して丁寧に作られた紅茶です。四川省の紅茶と言うと聞きなれない方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?四川省の紅茶という意味で「川紅」(センホン)と呼ばれる、あまり見かけない希少な紅茶です。

ティーポットで、中国式であれば茶壷や蓋碗で淹れてみてください。
綺麗な透明度の高い褐色の紅茶です。
花の香りと香ばしさ、濃厚に深く甘い果実の香りをしっかり感じることができますが、自然の茶葉だけの香りというのですから驚きです。味は深みのある濃厚な甘さと旨みをしっかりと感じていただけます。

体の中から優しく暖まるような本当に美味しい紅茶です。


10月27日から11月21日、11月23日から11月30日までのあいだ、中国および台湾へ出張・研修のため、発送業務をお休みさせていただきます。
かなり長期に渡るお休みとなります。ご迷惑、ご不便をおかけして申し訳ありません。

10月25日21時までにクレジットカード・代金引換によるお支払い方法をお選びいただいたご注文、銀行振込やゆうちょ銀行送金などのお支払い方法をお選びいただいた場合は同じく10月25日中に入金確認ができたご注文を10月26日に発送させていただきます。それ以降のご注文は11月22日または12月1日以降の発送となります。

11月は発送可能日が22日のみとなっております。ご注文が集中した場合は22日に発送できない場合もございます。その場合はメールにてご連絡、ご相談させていただきます。

発送業務をお休みさせていただいている期間も、ご注文は変わらずお受けいたしておりますが、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどにいつもより少しお時間をいただく場合がございます。ネット接続環境が不明な場所へも行くことを予定しておりますため、ご返信などに最長で5日程度のお時間をいただくことも予想されます。

ご不便をおかけしますが、どうぞご了承いただけますようお願いいたします。

武夷遇林亭窯址

武夷遇林亭窯址

武夷山では茶畑や製茶場の見学、焙煎技術のブラッシュアップの他に武夷遇林亭窯址の見学にも行ってきました。川下りで有名な武夷山九曲渓の北側、星村から5キロほどの山間の静かな場所にその遺跡があります。

遇林亭窯址は中国でも最大規模、非常に状態のよい宋代古窯跡として1950年代に発見されました。同じく福建省建陽県水吉鎮にある建窯と同じ系統の陶窯と言われています。お茶好きの方なら多くの方がご存じとは思いますが、建窯は天目茶碗が作られていたとされる有名な窯です。この建窯と遇林亭窯址はそれほど離れた場所にある訳ではありません。この遇林亭窯址でも同様に黒釉の天目茶碗が作られていたとされ、この遇林亭窯址以外にもこのあたりでは小規模ではあるものの同様の古窯跡がいくつか発見されています。

武夷遇林亭窯址

これらの窯で作られた器は黒釉、烏泥釉と呼ばれる黒い釉薬を施した天目茶碗が有名です。主に油滴天目や灰被天目、最も有名なのは日本の国宝に指定されている曜変天目が作られていたと言われています。
曜変天目がこの遇林亭窯で作られていたかどうかは分かりませんが(可能性は低そうです)、あの美しい器が作られた場所はこの地かもしれないと想像することができるだけでもお茶好きには楽しい窯跡です。

窯跡の周囲は綺麗に整備されていて、美しい公園のようになっています。すぐそばには綺麗な水が流れていて、鉱物を含んだ作陶にとって豊かな土、窯の燃料とすることができる木材が豊富な山間地、作りだした陶器を運搬する水路となる九曲渓のあるこの地形は窯を設けるのに適していた地形であるということが容易に理解できます。

武夷遇林亭窯址

遇林亭窯址は1号窯と2号窯の1つの窯が発見されています。
1号窯は山の斜面を利用して作られている龍窯(中国式の登り窯)と呼ばれるタイプの窯です。全長73m以上にもなる巨大な窯は一度に5万個の器を焼くことができたそうです。
現在はこのように屋根が付けられていて窯頭から窯尾までは両脇に設けられた階段で見学できるようになっています。

2号窯は同じく龍窯ですが、更に大きく、全長113m以上にもなります。こちらは一度に8万個の器を焼くことができたとか。ここまで大きいと流石に窯尾まで行くのは一苦労です。

武夷遇林亭窯址

発見された器の多くは黒釉だったそうですが、中には青白釉の器や金銀彩が施された破片などもあったそうです。

観光シーズンを外していたからか、私たちの他には誰もいない状態で、ゆっくりと遺跡を見学することができました。残念ながら資料館と思われる建物は閉館されてしまっている状態で出土品などを見ることはできませんでしたが、器好きとしては龍窯跡を実際に見ることができただけでも嬉しい訪問でした。


すっかり季節も秋になりました。爽やかな秋にぴったりのお茶をご紹介します。

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伝統 漳平水仙 2013年

中国・福建省の漳平市という場所で伝統的に作られている烏龍茶です。
その形はとても珍しい固形の烏龍茶で、四角い茶餅の形をしています。

中国の茶商さんですら知らない人が殆どという流通の少ない珍しいお茶で、私たちは何年もこの漳平水仙を作る茶農家さんを探していました。やっと納得いく品質の漳平水仙を作る茶農家さんとのご縁ができ、昨年からご紹介させていただいています。

爽やかな香りと味を持つお茶です。普通にお湯で淹れるのはもちろん、アイスティーにしたり、水出しにしても美味しくお楽しみいただけます。

非常に煎が続くのも特徴で、通常の淹れ方であれば15煎以上は楽しめます。私たちの場合は2日にかけて楽しんだり、お湯で普通に淹れた後に水出しにして楽しんだりしています。それでも茶葉が多すぎるという場合は千枚通しなどで茶葉を砕かないように、注意しながら半量程度の大きさに固形茶を崩してお使いください。

こちらは伝統的な製法を守って作られているものです。

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桂花 漳平水仙 2013年

漳平水仙には桂花香型と花香型とありますが、この漳平水仙は金木犀の花の香りを持つ桂花香型になります。
ふわっとむせ返るように出てくる金木犀の香りが見事な落ち着きのある香りを持ち、甘く、柔らかい味と旨味、複雑なミネラル感が印象的です。2013年はとても綺麗に香りが出ています。

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漳平水仙 紅茶 2013年

漳平水仙紅茶も入荷しております!

烏龍茶の漳平水仙よりも実は人気の高い紅茶ですが、昨年は予想以上に早く完売してしまい、ご不便をおかけしました。
今年も入荷しております。
紅茶も今年はとても美味しく仕上がっています。


10月27日から11月21日、11月23日から11月30日までのあいだ、中国および台湾へ出張・研修のため、発送業務をお休みさせていただきます。
長期間にわたるお休み、大変申し訳ありません。

発送業務をお休みさせていただいている期間も、ご注文は変わらずお受けいたしておりますが、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどにいつもより少しお時間をいただく場合がございます。ネット接続環境が不明な場所へも行くことを予定しておりますため、ご返信などに最長で5日程度のお時間をいただくことも予想されます。

ご不便をおかけしますが、どうぞご了承いただけますようお願いいたします。

武夷山市茶葉研究所と天遊峰、桃源洞茶区

武夷山市茶葉研究所

御茶園のすぐ近くには武夷山市茶葉研究所があります。ここでは研究所の所長さんにお会いしてお話を伺うことができました。

この研究所では茶樹品種の保存や新品種の開発などが行われています。この場所だけでも100種類以上の茶樹が植えられているそうです。種の保存と美味しく作りやすい品種への改良は農産物を扱う上では本当に大事なことで、沢山の人の日々の努力によって私たちが美味しいお茶を今も楽しむことができるのだなと改めて実感しました。

その茶畑の奥には古い昔からの製茶所があります。ここで作られた岩茶は研究所と同じ系列の武夷星茶業から販売もされています。(当店では武夷山市茶葉研究所および武夷星茶業の岩茶のお取り扱いはしておりません。)

天遊峰

研究所の先には武夷山の中でも有名な天遊峰があります。巨大な一枚岩で出来ている岩山で、その大きさはアジアで1番の大きさだそうです。武夷山観光では必ず訪れる一番の観光地ですが、この天遊峰にも茶畑があります。

写真はその天遊峰の頂上から見た武夷山の景色です。写真ではとても分かりにくいですが、下の方にこれから天遊峰に登ってくる人が米粒のような大きさで写っています。これが一枚岩とは思えないほどの大きさに圧倒されます。

観光コースから見ると天遊峰の正面、多くは後ろの方にある桃源洞と呼ばれる場所にあります。

桃源洞茶区

この写真はかなり山を下ってきた場所にある茶畑です。もちろん頂上に近い場所にも茶畑があり、実際にはそちらの方が品質が良いとされています。頂上に近い場所の茶畑でも写真を撮っていたのですが、岩に挟まれているような地形で眺望が全くなく、どこの茶区の写真なのか分からないような状態で・・・山を少し下ってくるとこうして眺望が開けてきます。

桃源洞でも様々な品種のお茶が栽培されています。肉桂や水仙はもちろん、鉄羅漢や水金亀などもありました。


凍頂烏龍茶 2013年春茶
凍頂烏龍茶 2013年春茶

鈴茶堂がイチオシの作り手による凍頂烏龍茶です。
近年主流の焙煎の浅いタイプではなく伝統的な製法を守って作られた凍頂烏龍茶になります。

日本人にとって凍頂烏龍茶は馴染みがありすぎて「当たり前のお茶」と思われてしまっているかもしれません。本当はとても美味しい滋味あふれる基本でありながら、とても高度な技術が必要なお茶です。

最近はベトナムなどで作られた茶葉を持ち込んで作った安価な「凍頂烏龍茶」が多く流通していますが、凍頂の地で栽培された茶葉を使い、技術のある作り手がきちんと作った凍頂烏龍茶は全く美味しさが違います。この凍頂烏龍茶は代々この地で製茶を営んできた作り手が伝統的な製法を頑なに守って製茶したものです。その味わいは滋味深く、本来の凍頂烏龍茶そのものです。

この作り手の凍頂烏龍茶には実質的な賞味期限はありません。
非常に製茶技術と焙煎技術が高いため一般的な烏龍茶よりも水分量が少なく、年月を経ることで後熟成が進み、柔らかさや味の深みがどんどん増してきます。湿度と匂い移り、高温を避けて保存していただければ10年と長く楽しめるものです。

特級 蒙頂黄芽
特級 蒙頂黄芽

黄茶は皇帝献上茶として珍重されてきましたが、生産数が少なく、今ではなかなか見つけられない貴重なお茶です。独特の風味をもつものが多く、好みが大きく分かれるお茶でもあるのですが、この蒙頂黄芽は誰もが美味しいと思うような品格のある黄茶に仕上がっています。
この蒙頂黄芽を作っている作り手さんはとても真摯で真面目な方で、農閑期には大学で製茶について教鞭を取っています。その作り手さんが蒙頂黄芽をより美味しくするために研究して作りだしたお茶です。伝統的な製法を守りながらも技術を少しずつ改善していった集大成ともいえるこの蒙頂黄芽は、私たちが知っているどの黄茶よりも遥かに美味しいお茶になっていました。

香ばしさを感じる甘く爽やかなお茶です。リピートされる方も多く、隠れた人気商品です。
まだ夏の残り香を感じるような秋の日にお勧めのお茶です。


10月のお茶会には多くの方のお申込みをいただき、どうもありがとうございました。
おかげさまで満席となりました。

当初予定していた人数の倍以上までお席を増やしておりますので、当日はお席によって茶席が見えにくいといったこともあるかと思いますが、1人でも多くご希望の方にお茶を楽しんでいただこうと思っておりますので、どうぞご了承いただければと思います。
満席後、お申込みいただいた方には本当に申し訳ありません。また次回のお茶会の際、お申込みいただければ幸いです。