やはり政和県、水吉建窯まで来たのであれば武夷山に立ち寄らないということは考えられません。いつもお世話になっている茶業さんの製茶場を訪問させていただきました。
この時期(2014年4月上旬)の武夷山はシーズン直前といったところで、観光客も少なく静かな雰囲気でありながらも、じっくりとパワーを溜めているような、動き出すタイミングを計っているような熱を帯びているような不思議な雰囲気でした。
前回訪れた時にはフル回転していた焙煎室も時折、ビンテージの岩茶をメンテナンスする他はお休み状態です。とはいえ、この茶業さんは非常に衛生面も気にしているということもあって、チリひとつ落ちていないような非常に綺麗な状態でありました。
一口に製茶場といっても管理する人によって状態は様々です。シーズン中、実際に製茶場を使う時期は清潔を保つけれどもという茶業さんが殆どですが、こちらは感心させられるほどに徹底して清掃が行き届いています。正直なところ、ここまで製茶場を綺麗に保っている茶業さんを私は他に知りません。中国ではもちろんですが、台湾や日本でも殆どいないのでは?と思います。
こちらは熟成中のビンテージの岩茶、水仙です。
とてもパワーのある良い岩茶は最初に摘み取られ、製茶された年にはまだまだ強すぎるということは良くあることです。むしろ、その年に美味しく楽しめることの方が少ないように思います。この水仙もタイミングを見て試飲、火入れをを行いながらじっくりと美味しく完成するのを待っているところです。
製茶場の中にはそのような岩茶がいくつもあって、シーズン中のように沢山の職人さんがいるという訳ではありませんが、工場長が一人でずっとこの作業を繰り返してオフシーズンを過ごしています。
折角来てくれたんだからと、とっておきの牛欄抗肉桂をいただきながら、少しずつ動き始めていた茶樹の状態や今シーズンの予想などといった情報交換など、とても充実した時間を過ごさせていただきました。
シーズン中は忙しくてなかなか細かい話まではできないけれど・・・と、この時はかなりマニアックなお話もお伺いすることができ、大変勉強させていただきました。
昨年も大変ご好評をいただいた岩茶 慧苑肉桂が入荷しています。
とてもパワーのある岩茶ですので、他の岩茶よりも熟成に時間がかかりました。
慧苑肉桂という名前ですが、一般的には武夷肉桂と呼ばれる岩茶です。ただし、慧苑坑という特別な場所で摘み取られた茶葉から作られているため「慧苑肉桂」と呼ばれています。
慧苑坑という場所は正岩茶区の中心となる特別な地域です。その場所で育った武夷岩茶は特別な香気と味わいを持っています。正岩茶ならではの味わい、岩韻が素晴らしいこのお茶は、むせ返るような見事な花果香と質の良い岩茶特有の蜜蝋のような深み、ミネラル感、甘味がとても上品なバランスで同居しています。
岩茶本来の美味しさを知るのに最適な、最高のお手本のような武夷肉桂です。
大紅袍母樹の1つに起源する岩茶です。
雀舌は岩茶の中でも香り高く、味わい深い品種として知られていますが、この雀舌は特に力をしっかりと秘めた岩茶に仕上がっています。これがお茶ですか?と驚かれる方もいらっしゃるほどです。
肉桂のなかでも最高峰とされるのが、この牛欄抗で作られる肉桂です。その味わいや香りは説明が必要ないほど、素晴らしいものがあります。
現地でも殆ど作られることが無く、流通が非常に少ない希少な岩茶です。やはりこの品の良さ、美味しさは他の岩茶ではなかなか感じることはできません。