政和で白茶製茶場を見学させていただいた後に水吉建窯へも立ち寄ることができました。
水吉建窯とは、天目茶碗を焼成したとして知られている陶窯です。この付近では以前にご紹介した武夷遇林亭窯址をはじめとして、いくつかの古窯跡が残っています。唐代から作陶が盛んな地域ですが、その中でも最も有名な古窯跡といえば、この水吉建窯です。あの曜変天目茶碗はこの水吉建窯で作られたのではないかという説もあるほどです。
この水吉建窯がある水吉鎮は政和と武夷山の丁度中間位の場所にあります。周囲には何もない場所で、有名な窯跡にも関わらず周囲はほんの少しの集落と田畑、山林があるのみです。
実はこの辺り、今でこそ武夷山で大切にされている老枞水仙(老欉水仙)の発祥の地でもあります。この付近で老欉水仙が発見され、今に至っているそうです。とはいえ、現在はこの付近でのお茶作りは随分と下火になってしまったようで、今も製茶業を営んでいる人はほんの僅かになってしまったそうです。
一般公開されていないこともあって、訪れる人もなく、ひっそりと水吉建窯はありました。(見学には事前に許可が必要です)
周囲の住民の方もこの遺跡が一体何なのかは良く知らないようです。
観光用に一般公開されている遇林亭窯址と違って最低限の修復しかされていないということで、窯跡の中はもちろん、周囲十数メートルに渡って陶片が放置されています。ただし、窯跡から離れた場所の陶片はどうやら近年のもののようです。この地域では最近まで作陶が行われていたんですね。今は研究目的の一部を除いては、どうやら行っていないようです。
遇林亭窯址と同様に山の斜面を利用して作られている龍窯(中国式の登り窯)です。規模としては遇林亭窯址よりもずっと小さいように見えるのですが、実際は世界でも例を見ない、最大級の龍窯だそうです。135.6mもの長さだそうですが、傾斜が比較的緩いせいもあって下から見上げるとそれほど大きく感じなかったのかもしれません。
非常に保存状態が良く、窯頭の様子もしっかり見せていただきました。
この地からあの曜変天目茶碗が生まれたのかもしれないと思うと、とても感慨深いです。見学できるよう手配してくださった茶業さんたちに感謝いたします。
百年老枞水仙(百年老欉水仙)
慧苑坑にある樹齢160年ほどの水仙の茶樹から摘み取った茶葉で作られた貴重な老欉水仙です。
特別な古樹だけが持つ落ち着きある、凄みすら感じる旨味を持つ岩茶に仕上がっています。
慧苑坑 瓜子金
甘く深みのある果香と柔らかい甘味のバランスが良い岩茶に仕上がっています。
煎を進めていくと甘い味わいが変化してお菓子のようなニュアンスもでてきます。
火入れの程度は中火。強すぎず弱すぎず、絶妙のバランスで火入れが行われています。
天心岩 黄玫瑰
黄玫瑰はまだ比較的新しい品種で、2013年から本格的に収穫がはじまりました。
綺麗な優しいバラの香りのする岩茶です。
美しい琥珀のようなお茶は香りだけでなく爽やかな甘味と複雑で上品な滋味
しっかりとしたミネラル感と合わさり、上品で軽やかな美味しさがあります。
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