易武 再訪

易武

2017年の春の雲南行きでは易武での製茶を中心に見せていただいてきました。前年12月に訪れた易武古鎮で代々製茶を営む友人の製茶場を再訪、こちらをベースに色々と見せていただきました。
12月に来た際には静かだった古鎮も4月は製茶シーズン真っ最中ということもあり、静かな中にも活気があるような、この時期独特の雰囲気に変化しています。小さな古鎮にも人が増え、地元の人たちに加えてこの時期は買い付けに来る茶商さんたちの姿も見られます。特にここ最近は中国国内で普洱茶が投資対象として注目を集めていることもあり、そのような普洱茶を買い付けようと長期間に渡って滞在するバイヤーも多く見られます。

易武

製茶自体は3月から始まりますが製茶工程自体は4月でも最盛期という状態です。毛茶(荒茶)のメンテナンスは当然、広い茶山ではまだ茶摘みも始まっていない場所もかなりあります。一口に易武といっても茶山はとても広く、また場所によって気温などもかなり異なります。山深い場所にある野生茶樹などはこれからが茶摘み、製茶の本番ということも。
早朝に出かけていって登山、茶摘みを行って下山、戻ってくるのは夜も遅い時間という場所も多く(そういった場合はそのまま深夜まで製茶を行います)、この時期の作り手さんたちは本当に大変です。

易武

2017年の春の雲南は私たちが滞在していた時には無かったものの、大雨や雹などでかなりの減産となってしまい大変な年でもありました。易武だけでなく、勐海(モウ海)の老班章なども同様で、全体的に普洱茶の価格高騰が激しい年でもありました。
こうした話を聞くとその年のお茶はよくないのではと思いがちですが全てのお茶がよくないということではありません。大雨や雹に見舞われる前に摘み取りができた茶葉も少なくありません。また、茶山は広く、山を越えるだけで気候も変わるようなことも少なくなく、被害のない場所などもあります。茶農家さんや茶業さんも生活があるため、減産した分は価格に反映するしかないということはありますが、特に中国では縁が重視されるということもあり、信頼関係がしっかりしている場合はそれほど影響しないということもあります。なにより、こういった年は普洱茶に限らず他の茶産地も同様ですが、突出して良いお茶も出てくることも多く、自然というのは不思議なものです。

易武

易武には数日間滞在させていただき、茶摘みから製茶までじっくりと見せていただきました。
茶摘みについてはかなり山奥の野生茶樹まで行かなくてはならないということで、当初は危険すぎるので連れていけないとまで言われたものの、日本からわざわざ来たのだからと連れていっていただいたりとご迷惑をおかけしながらもたくさん勉強させていただきました。
かなりたくさんのことを教えていただいたので全てをご紹介しきれないのですが、少しずつご紹介させていただきます。


南糯山 古樹雲南紅茶 2017
南糯山 古樹雲南紅茶 2017

古茶樹で有名な雲南省南糯山の樹齢300年以上の茶樹から作られた、非常に上質な古樹雲南紅茶です。通常、雲南紅茶は俗に言う茶畑で栽培された若い栽培茶樹から作られますが(台地茶)この古樹雲南紅茶は上質なプーアル生茶を作るような、少数民族が代々大切に守ってきた古茶樹から手摘みで丁寧に摘み取られた茶葉から作られています。
毎年楽しみにされるお客さまも多く、当店でも人気の高い紅茶です。

艶やかな黒褐色の茶葉にゴールデンチップの金色が差し込んだ非常に美しい茶葉です。金色一色の雲南紅茶と違い、非常に深い甘味と複雑な旨み、古樹の持つミネラル感が素晴らしい紅茶です。

雲南紅茶は甘味を出しやすく、飲んで誰もが美味しいと思うお茶が多いものです。その反面、味わいが単調で飽きやすい、飲み続けにくいということもあります。この雲南紅茶は複雑さと奥行きの深さが違います。雲南紅茶は飽きやすい味わいが多く、当初は当店でもご紹介していなかったのですが、この南糯山の紅茶は私たちの認識を覆すものでした。自信を持っておすすめいたします。

無量山 寨子坡 2008年
無量山 寨子坡 2008年

蜂蜜のような香りと甘くミネラル感がしっかりとある、とても美味しい普洱茶です。
渋味や苦味が少ないのは無量山のお茶の特徴ですが、この2008年の寨子坡もその特徴が良く出ているため、渋味・苦味はもちろん、雑味は一切感じません。回甘も強く、余韻が長く続きます。煎持ちも良く、柔らかく優しく、しっかりと美味しいお茶になっています。

この2008年の無量山 寨子坡は現地に住むイ族によって作られました。標高1700~2400m付近の半野生古茶樹(無肥料・無農薬)から摘み取られた茶葉を使用しています。採取した場所の標高にばらつきがあるのは茶園のものではなく、原生林のような山の中に点在する茶樹から摘み取っているため、正確な標高が分かりません。また、樹齢も樹高などから200年は軽く越えていると思われますが、正確な樹齢は分からないということです。昔ながらの作り方で丁寧に作られた普洱茶です。