日隆鎮で最初に教えていただいたのはバター茶の作り方です。
この蔵茶は現地で一般的に流通しているものです。1つの塊がかなり大きなもので500gあります。あまり味の良いランクのものではありませんが、価格が安いため現地の方が日常的に飲用している蔵茶です。(風味が劣るためWEBショップでのご紹介はしていませんが、ご希望の方にはご連絡いただければお譲りします。)
このランクの中にも康砖(康磚)と 金尖と更に分かれています。康砖(康磚)と金尖の違いはメーカーによって異なるようです。鈴茶堂が取り扱いしている四川省雅安茶厂(茶廠)ではこの違いを茶葉のグレード・配分の違い(基本的には配分の違いのみで、康磚の中でも様々なグレードに分けられます)としています。他のいくつかのメーカーも同様の回答だったのですが、いくつかの中国国内で行われている評茶員などの講座では康砖(康磚)は穀雨に摘採されて作られたものとし、金尖は立夏に摘採されて作られたものとして教えているようですので、そういった分け方をしているメーカーもあるのだと思います。
現地では煮茶法を使っています。ヤカンに茶葉を入れて煮出します。鈴茶堂で販売している蔵茶はメーカーのアドバイス通りに2回に分けて煮出す方法をお勧めしていますが、現地の方はそんなことは気にせず、お湯や茶葉を継ぎ足しながら1日中火にかけて飲み続けているようです。
このようなドンモと呼ばれるバター茶専用の攪拌器具を使います。どの家庭にも1つは必ずある器具で、これは装飾のない質素なものだとか。
こちらはバター茶に使うヤクの乳から作られたバターです。バターと言ってもインドなどで使われるギーと同じく澄ましバターの一種で、色が濃くなっているのもそのせいです。ヤクの乳を沸騰させて殺菌した後、乳酸発酵を行います。その後、撹拌してバター状にした後、加熱して溶かし、固形になった部分をろ過します。
通常のバターよりも常温で長期間保存が可能になるため、チベットを含めてこのあたりでギーが利用されるようです。これらの工程を経ることで独特の香りと色が生まれます。
これはバター茶に入れるハダカムギの粉です。他にもクルミの粉など様々なものが入ります。本来は更に牛乳(ヤクミルク)も入れるそうなのですが、最近は手に入らないとのことで、今回は脱脂粉乳と思われる粉ミルクで代用していました。
この地域では塩を入れていましたが、地域によっては砂糖を入れるところもあるそうです。バター茶に入れるものも場所によって異なるそうで、あくまでもこの地域のバター茶の作り方だそうです。
ドンモに材料を全て入れて撹拌します。かなり疲れそうな作業です・・・そのためか、最近は電動ミキサーのような攪拌器具もあるそうです。日本でも試してみたい場合はミキサーで代用できそうですね。
撹拌し終わったあとは金色のアルマイト製と思われるポットに移していただきます。このポット、蔵茶やバター茶が提供される場所には必ずありました。冷めてくるとポットごと火にかけて温めます。
作ったバター茶と饅頭で朝ごはんをいただきました。少し癖のある味ですが、慣れればそんなに気になりません。好みは人によって分かれると思いますが、独特のギーの匂いに慣れてしまえば美味しくいただけます。塩気が効いていて身体が温まるお茶でした。私だけはおかわりして飲んでいました。
バター茶や詳細な作り方については、改めて講習会やお茶会などで実際にご紹介させていただこうと思います。
チベットで飲まれているお茶の殆どは蔵茶だそうです。普洱茶の方が有名なので、そちらの方が多いのかと思っていたのですが、実際にチベット文化圏で飲まれているお茶の7割以上はこの蔵茶ということを知りました。四川省の雅安から茶馬古道を通ってチベットへ運ばれる蔵茶の一部はチベットを抜けてネパールやインドなどのチベット文化圏までも運ばれているそうです。
次回はバター茶以外の蔵茶の楽しみ方と、この地方での伝統的な食事についてご紹介します。
鈴茶堂でも一番人気の蔵茶です。
四川省雅安茶廠の蔵茶は癖が少なく、プーアル茶のような刺激性もカフェインもないため
飲むタイミングを気にせず、空腹時でも就寝前でもお楽しみいただけます。
とても体に優しく、疲れた胃腸にも優しい健康茶です。
暖かいままお楽しみいただくだけでなく、冷やしても美味しく楽しめます。
使いやすいティーバックタイプもございます。
蔵茶 康磚(ティーバッグ)
蔵茶 康磚(ティーバッグ)おためし
蔵茶の中でも味を追求するのであれば、こちらの金尖 雅細です。
チベットの高僧が楽しむ蔵茶とされています。
黒茶とは思えない華やかな甘い花果香があり
蔵茶の優しさはそのままで、深みのある甘さがとても美味しいお茶です。