基本的に工場内は撮影禁止とのことで、写真はとても少ないのですが、掲載の許可をいただきましたので改めていくつかご紹介させていただきます。
これは一源井と呼ばれる井戸です。勐海茶厂(モウ海茶廠)に古くからある井戸で、圣泉(聖泉)とも呼ばれ、とても大事にされています。この井戸の水質が非常によく、今も餅茶の成形の際に使用する蒸気はこの井戸の水が使われているそうです。
工場内を一通り見学した後に、すぐそばにある研修施設でこの井戸の水を使ってお茶を淹れていただきました。とても柔らかくて甘い水で、この水を使ったお茶は優しく深みがあり、美味しくいただきました。
ちなみに工場の周囲には研修施設の他にも社員寮や社宅などが立ち並んでいて、このあたりはモウ海茶廠とその関連施設で働く人たちの集落のようになっています。とても福利厚生なども充実していて、雲南省だけでなく中国全土からモウ海茶廠へ就職しに来る人も多いのだそうです。
現在の一源井は葉などが井戸に落ちることを防ぐために鉄帽子と呼ばれる蓋がされています。最上部はガラスになっています。中を除くとかなり深い井戸であることが分かります。10m以上の深さがあるそうで、中にはパイプが設置されていて、そこから工場内へ汲み上げられています。
苔とシダが生えていて、井戸の中は不思議な静かさを持った雰囲気になっています。
この井戸の底にも入ることができるそうです。ただし実際に製茶に使用している水ということもあり、徹底的に管理されています。入ることができる人はごく一部の方だけだそうです。
これは熟茶の醗酵槽です。現在のモウ海茶廠ではこのように近代的な設備で醗酵を行っています。
この醗酵槽がある7号院(7号館)では40年以上にわたって熟茶の醗酵に使用する麹菌の研究が続けられています。研究施設も見せていただきましたが、様々な麹菌があり、原材料の茶葉の種類や状態、目的とするお茶の味わいや香りに合わせて使い分けを行っているそうです。
こうした近代的な醗酵槽だけでなく、昔ながらの醗酵槽も復刻版としての製品を作る際に一部使用していますが、衛生管理、製品管理という観点からも現在はこのような設備で醗酵を行うことが主流になっているそうです。
工場内はとても近代的なビルが並んでいると思えば、平屋の昔ながらの製茶場も並んでいたりします。どちらも稼働している工場で、製品によって、工程によって使い分けを行っているそうです。
普洱熟茶には定評のある勐海茶厂(モウ海茶廠)の大益・普洱熟散茶です。
大益には珍しく固形茶ではなく散茶の形状で2009年の製造です。
深みのある旨味と甘味があります。香りはナッツのような香ばしい香りとナツメのような果物の香りがあります。カビ臭さなどは一切感じません。湯温が高い時にはアミノ酸系の旨味が強く感じられます。湯温が下がってくると回甘が強くなってきて、果物のような味と香りが強く出てきます。
普洱茶は臭いと思っている方、美味しく無いお茶と思っている方にはもちろん、普段使いの普洱茶として飲みやすくおすすめです。まさに普洱熟茶の基本となるような美味しいお茶です。
雲南省の西双版纳勐海茶区で作られた普洱熟茶を茶枝柑と呼ばれる果実の中に詰め、焙煎、熟成を行った陈皮(陳皮)普洱茶です。
11月から1月にかけて収穫された大紅柑に宮廷級普洱熟茶を丁寧に詰め、何日もかけて低温で焙煎を行います。
大紅柑は陳皮と呼ばれる漢方として珍重される果実でもあります。年数が経過すればするほど体によく、香りが良くなるとされ、この陳皮普洱茶も10年以上保存が可能なものです。果実、大紅柑自体の品質も大変に良いものを使用しています。漢方生薬として珍重される程に品質の高い大紅柑です。
ヘタの部分を除き、中に詰められている宮廷級普洱熟茶を取り出し、大紅柑の皮を必要に応じてちぎって一緒にお茶と淹れてお楽しみください。甘く柔らかい香りが素晴らしく、また、使用されている普洱熟茶の甘味に寄り添うように一体感のあるお茶が楽しめます。とても身体が温まり、飲みやすく、バランスの良いお茶です。上質なオレンジティーのような香りと甘い味わいで、普洱茶とは思えないほどの洗練された美味しさです。