4月に中国・雲南省を訪れました。
その際に目的地ではないのですが、現地友人たちのおかげで大益ブランドで有名な勐海茶厂(モウ海茶廠)を訪問、内部を見学させていただきました。
モウ海茶廠といえば普洱茶。中でも普洱熟茶は最初にその製法を作り出したのがこの茶廠です。四川省で作られる蔵茶などの技術を取り入れて熟茶の製法を編み出したと言われています。今でもモウ海茶廠、大益の普洱熟茶といえば品質の高さでよく知られています。
モウ海茶廠の工場は雲南省の普洱茶の産地にいくつかありますが、訪問させていただいた工場は最も古くからある勐海の中心にほど近いばしょにある工場です。手前に「勐海茶厂」と大きく書かれた門をくぐって、しばらく進むと工場があります。門から工場までは結構距離があり、その間には工場で働く人たちや、かつて工場で働いていた人たちの住居などで、ちょっとした集落のようになっています。
基本的に工場内は撮影禁止とのことで写真でご紹介できないのが残念ですが、とても広く清潔な工場です。
古くからある建物と新しく造られた建物が混在していて、製品や工程に合わせて使い分けられています。
敷地内には古い井戸もあります。その水が非常に美味しく良い水質であることから熟茶の製造に使われているそうです。今も現役で使用されている井戸で、特別にその水を飲ませていただきましたが、とても美味しいお水でした。
すべての工程を見せていただき、色々と説明や質問などにも応えていただきましたが、すべてに共通して印象的なのは衛生管理が徹底していることです。基本的に大手の製茶工場では衛生管理が行き届いていることが多いのですが、中でも大益、モウ海茶廠のそれはかなり徹底されています。
また、コスト削減や生産管理への工夫など、さすがと思わせることも多いです。例えば昔からの普洱餅茶は7枚を1セットとして竹の皮と竹ひごでまとめますが、大益では廃止して専用の紙袋に入れてまとめます。これは昔ながらの方法の場合は専門の技術が必要となり、誰でもできる工程ではなくなってしまいます。また、作業効率も決して良いとは言えません。紙袋に入れるという変更により、それほどの技術が必要ないことや時間の短縮などが期待できます。このような工夫は至る所で行われていて成形工程などもモウ海茶廠ならではの工夫が見られます。
工場内は撮影禁止ですが、工場のすぐそばにモウ海茶廠のブランド、大益のカフェがあり、そこでは自由に撮影させていただきました。
まるでスターバックスのようなカフェです。ただし大益が運営していますので、コーヒーではなくすべてお茶です。ラテなども普洱茶ラテです。これが結構美味しいのですが、熟茶の甘さと濃さが意外とラテにすると相性が良く、さっぱりと軽く楽しめるようになっています。普洱茶が原材料に使われているクッキーやケーキなどもあります。
工場の前にあるこのカフェはショールームの役割も兼ねているようで、大益の様々製品が展示販売されています。また、一般の方は立ち入ることができませんが、上階にはプレゼンルームと研修施設もあります。(それとは別に本格的な研修施設も近くにあります。)
このカフェ、雲南省の昆明長水国際空港や景洪のシーサンパンナ・ガサ空港にもあります。なかなかこの工場まで来る方はいらっしゃらないと思いますが、昆明や景洪にお越しの際は利用してみると面白いかもしれません。
モウ海茶廠では製茶工程はもちろん、発酵に使用する麹菌の種類についてなど、工場内外の施設なども含めてじっくり見学させていただきました。熟茶についての認識が改まった旅のはじまりです。
この勐海のモウ海茶廠からそう遠くない場所にある古茶樹で有名な雲南省南糯山の樹齢300年以上の茶樹から作られた、非常に上質な古樹雲南紅茶です。
通常、雲南紅茶は俗に言う茶畑で栽培された若い栽培茶樹から作られますが(台地茶)この古樹雲南紅茶は上質なプーアル生茶を作るような、少数民族が代々大切に守ってきた古茶樹から手摘みで丁寧に摘み取られた茶葉から作られています。
艶やかな黒褐色の茶葉にゴールデンチップの金色が差し込んだ非常に美しい茶葉です。金色一色の雲南紅茶と違い、非常に深い甘味と複雑な旨み、古樹の持つミネラル感が素晴らしい紅茶です。
雲南紅茶は甘味を出しやすく、飲んで誰もが美味しいと思うお茶が多いものです。その反面、味わいが単調で飽きやすい、飲み続けにくいということもあります。この雲南紅茶は複雑さと奥行きの深さが違います。
2017年は大変品質が向上し、美味しく香り高く仕上がりました。複雑なミネラル感、上品な香りと甘味のバランスが最高の仕上がりとなっています。例年とは格の違う美味しい紅茶となり、現地価格もかなり上昇、倍近くの価格となってしまいましたが、作り手さんのご好意で昨年とあまり変わらない価格でご提供させていただきます。