飲み頃を迎え始めた2023年の鳳凰単叢をご紹介いたします。
桂花香型に属する郡体香です。
2023年の鳳凰単叢をいろいろと試飲していた時に店主はもちろん、中国側スタッフ、北京姉妹店スタッフも全員唸ったのがこの古樹郡体香でした。じっくりと沁み入るように美味しい、ずっと手元に置いておきたくなるような、そんな鳳凰単叢です。
最初は清らかで上品な花香が、続いてバターのような乳香、香ばしい火香、果香、煎をすすめると蜜香も感じられます。バランスの良い味わいは奥深い滋味と程よいミネラル感、なんといっても清らかな粉糖を思わせる雑味のない甘味がすばらしく、さっぱりとした美味しいバターケーキを連想するようなお茶です。
雷扣柴はちょっと変わった由来を持つ鳳凰単叢です。雷劈茶という別名も持つこの鳳凰単叢は母樹が落雷にあったことから、この名前が付けられました。栽培量が少ないため、珍しい鳳凰単叢となります。芝蘭香系の香型です。
その名を思わせる優しいながらもピリっとした味わいと上質なスープのような滋味、爽やかな甘味、ミネラル感も強く、非常に奥行きのある味わいです。ずっと飲んでいたくなるような、あとをひくお茶です。
ちょっと玄人好みの鳳凰単叢かもしれません。
標高700m前後にある茶畑で育てられた樹齢80〜90年ほどと思われる老樹を友人茶農家で丁寧に製茶して作られました。
芝蘭香は柏槇(ビャクシン)と蘭の香りを持つとされています。柏槇はヒノキ科の針葉樹の1種で、清涼感のある香りを持ちます。お酒に詳しい方はジンの香り付けに使うジュニパーベリーが取れる西洋杜松(セイヨウネズ)系の木と言えば分かりやすいかもしれません。
日常的に気軽に楽しめる芝蘭香で、かつ、芝蘭香らしい柏槇香がよく感じられる、もちろんきちんと美味しいお茶ということで、この芝蘭香を選びました。もっと高価で上質な芝蘭香も多々ありますが、コストパフォーマンスの良い芝蘭香として自信を持っておすすめできるお茶です。
お茶好きの方に「潮州」というと鳳凰単叢をはじめとする烏龍茶を連想することが多いですが、この潮州は陶芸の街でもあります。
その歴史は古く、宋代までさかのぼります。今も現地では茶器はもちろん、さまざまな陶器の生産が行われています。
潮州の人々はほとんどと言って良いほどに、お茶と言えば鳳凰単叢で、みなさん毎日ずっと鳳凰単叢を楽しんでいます。蓋碗を使用することも多いですが、この手拉壺も同様に長く愛されている茶器です。
手拉壺といってもさまざまな品質の作品がありますが、着色を行わず、泥料の品質の高い、きちんと美味しくお茶を淹れることのできる、かつ、使いやすい作品としてご紹介いたします。