易武の風景

易武

易武郷自体もかなり山奥といった場所にありますが、易武茶山全体からみれば入り口となる場所です。西双版納の茶産地の中でも易武は資本の大きい企業とも言えるような茶業さんが少ないのですが、数件ある大きな茶業さんはこの易武郷にあります。
易武郷から少し外れると易武古鎮と呼ばれる昔からの集落があります。易武郷は大きな茶業さんや製茶の時期は賑わうホテルが数件、その他は人々の日常生活に必要な食材や日用品の市場や商店、食堂などがありますが、易武古鎮は住居かとても小さな茶業さんがあります。

古鎮の茶業さんでは易武茶山のもっと奥にある麻黑寨や曼撒寨などいった場所などから持ち込んできた茶葉を製茶しています。茶葉は鮮葉の場合もあれば、茶農家さんから買い付けた毛茶(荒茶)など様々です。実際、とても小さな茶業さんが多く、製茶技術のレベルもバラバラです。餅茶の成形を行うことのできる設備や技術を持つ製茶場は少数で、製茶場としての認可を受けていない茶業さんも少なくありません。昔ながらといってしまえばそれまでですが、今後は衛生管理や原材料となる茶葉のトレースなども課題となってくると思いますが税金の問題もあり、意識や知識の向上といった部分は、まだ時間がかかるのかもしれません。(当店では認可を受けていない製茶場、茶農家からの仕入れは行っていません。)

易武

普洱茶は日光の力を借りて作られます。この時期の易武は至る所で茶葉を乾燥させている光景が見られます。萎凋を行っているもの、揉捻が終わって乾燥工程にあるもの、餅茶の成形が終わり固形茶の乾燥工程にあるものなど様々です。勐海(モウ海)などでは比較的機械化されている固形茶の乾燥工程でも易武では殆どが日光を使って乾燥させています。設備がないということもありますが、日光を使った方がより味わいが深くなると易武の人たちは口にします。自然の光だけに強すぎる日は影を作ってその光を弱めたり、弱い日は太陽が出てくるまでじっと待っていたり、お茶を作る仕事もなかなか大変です。

こうして茶葉を並べて萎凋や乾燥を行っている間にも頻繁に試飲します。この茶葉はどの程度の強さで、萎凋の程度はどの程度がいいのか、陽の光が強すぎていないかなどを確認しながら製茶を進めていきます。のどかな風景に見えますが、春の製茶時期は静かな戦いの場です。最後まで全ての工程でベストを尽くすべく徹底的に茶葉の状態を確認しています。特に鮮葉に近い状態の茶葉は製品茶の状態のお茶よりもはるかに刺激が強く胃にかなり負担がかかります。舌が鈍るので茶菓子などを一緒に食べるということもできず、茶師さんたちの胃もこの時期は大変です。

易武

これは友人の親戚が営む製茶場です。同じ古鎮の中にあり、ここでも餅茶の成形を行うことの出来る数少ない製茶場です。散茶や毛茶(荒茶)と違い餅茶はその製品としての普洱茶がどこの茶業から出品されたものなのかなどを明記する必要があります。製品のトレースができなければ出荷できないに等しい状態です。(私製茶などは除きます)現在は中国国内でもそういった品質に対する姿勢が厳しくなってきていることもあり、彼らの製茶場は非常に衛生的に管理されています。製茶場の敷地内は野外でもゴミ1つ落ちていない状態が普通ですし、室内に至っては更に徹底されています。日本も含め世界的にも非常に衛生的、綺麗にしていることに驚かされます。
もちろん、その反対の製茶場もあります。正直な所、ここでつくられたお茶は飲みたくないと思うようなこともあります。産地を訪れ、生産現場を確認、信頼できる人から譲っていただくというのはとても大事なことだと改めて実感しました。


中茶牌 藍印鉄餅 春尖 2006
中茶牌 藍印鉄餅 春尖 2006

中茶牌の鉄餅の歴史は古く、1950年代まで遡ります。
元々はロシアなどの輸出向けに鉄の型を使って整形する製法で作られていた普洱生茶です。通常、石と布を使って整形する普洱茶ですが、この鉄の型を使うことで独特の風味が生まれ、当時、初期生産のものは今や手の届かないほどに高価なお茶として知られています。この藍印鉄餅は2006年に作られた、その鉄餅の復刻版です。

雲南中茶公司による、この藍印鉄餅は春尖、早春の清明節前に1芯3葉で摘み取られた上質な茶葉を使用して2006年に作られました。出庫直後から広州乾倉で、ほぼ10年間熟成を行っています。広東入倉ですが土臭さなどは感じられません。

広州乾倉の中でも非常に腕の良い茶商によって熟成されているせいか、高く見事と言えるほどの綺麗な樟香が楽しめます。心地よい柔らかい収斂味、しっかりと、そして長く続く回甘とのバランスが本当に素晴らしい生茶に育っています。生茶の強さはすっかり影を潜めて、柔らかく、優しく、それでいて力強い、まさに普洱茶熟成のお手本のように育っています。

班盆古樹純料谷花茶 2012年
班盆古樹純料谷花茶 2012年

樹齢300年以上の茶樹から完全手作りで作られた普洱生茶です。
名前の中にある「班盆」という言葉はこのお茶の産地の村の名前です。雲南省の有名な布朗山、その中にある老班章と程近い場所にある村で、標高は1700~1900mという場所にあります。班盆は老班章と同様に古茶樹園が知られ、このお茶はその中でも樹齢300年以上の茶樹から作られています。

この普洱茶はまるで蜜をそのまま飲んでいるかのような、素晴らしい香りを持っているお茶です。普洱茶というと独特の香りを連想する方も多いと思いますが、このお茶は緑茶や白茶に近いような、フレッシュさを持っています。

今回、このお茶は中国で高名な普洱茶専門家である私たちの師から特別に譲っていただきました。師が自ら現地へ赴き、作った、とても貴重なお茶になります。あまりにも上質な茶葉を使用しているため、グラム数の大きくなる餅茶にすると非常に高額になってしまうために、1つ1つ小さな固形茶にしたというお茶です。
是非この機会に特別な普洱茶をお楽しみください。