麻黒寨

麻黒寨

易武の麻黒寨で茶農家を営む友人を訪ねてきました。
易武茶山は道が悪く、奥へ行くほど悪路となります。麻黒寨までは比較的道路が整備されていますが、それでも道は細く、場所やタイミングによっては土砂崩れをおこしていたりします。そんな林道のような山道を越えて麻黒寨に到着です。

麻黒寨も小さな集落です。殆どが茶農家という場所で、集落には小さな商店があるのみといった場所です。山間に傾斜にそって張り付くように自宅兼製茶場が建てられているような風景の場所です。友人の製茶場も傾斜の途中にあり、崖の途中にあるような小さな製茶場です。全て手作りの素朴な製茶場ですが、とても綺麗にしているのが印象的です。

麻黒寨

友人の製茶場を見せていただきました。山の奥の方にある古樹茶の製茶を行っていて、ちょうどこの時は醗酵を行っていました。
最近は手間がかかるという理由で萎凋、(軽)醗酵を行わない作り手が増えています。しかしながら、普洱茶でもきちんと萎凋や醗酵を行ったお茶の方が味わいも香りも良いお茶となります。
この友人は萎凋、醗酵の重要性をきちんと認識していて、こうして萎凋槽も製作、設置しています。とても丁寧な製茶をする作り手です。こうした丁寧な製茶を行う作り手は今では少数派になってしまいました。

麻黒寨

最上階は晒日乾燥を行う場所になっています。乾燥工程の様子を見ても西双版納の日光の強さが分かります。最終乾燥を行うこの場所は直射日光が当たらないように半透明の屋根が設置されています。これでも茶葉の状態によっては焼けてしまうので、乾燥状態にあわせて適宜茶葉を奥場所を変えたり、日よけを追加したりと調整しながら乾燥を行います。

こうした小さな製茶場では餅茶の加工はできず、毛茶または散茶までを製茶しています。餅茶にする場合は既にご紹介したような餅茶の成形ができる製茶場へ茶葉を持ち込んで加工を依頼することになります。

麻黒寨

乾燥中の茶葉です。とても丁寧に茶葉が並べられているのがわかりますか?
均一に乾燥させていくために、1枚1枚丁寧に並べて乾燥を行っています。もちろん、この後も茶葉の天地を返したりと細かく調整しながら行っていきます。通常は天地を返しながら平らに茶葉を広げて乾燥させますが、この作り手は丁寧にこうした製茶にこだわっています。こうした丁寧なお茶作りはずっと守っていって欲しいと思います。


2017年 麻黒寨 喬木古樹茶
2017年 麻黒寨 喬木古樹茶

この友人が作った麻黒寨の喬木古樹茶です。

麻黒寨とその周辺にある茶樹はかなりの古茶樹が多いものの、文化大革命時代の農業改革で茶樹の高さを切り詰める切り戻しが行われています。その中でもわずかですが切り戻しをされずに、そのままの状態で残っている茶樹もあります。(非常に少ないです)日本から来たということで、ちょうど製茶が終わったばかりの切り戻しを行っていない茶樹から作られた普洱生茶を特別に譲っていただきました。
この喬木古樹茶はその名の通り、樹齢500年、樹高6mの古茶樹から作られています。農薬はもちろん、肥料も与えずに自然のままに生きる茶樹から丁寧に摘み取り、機械を使用せずに全て手作業で作られた普洱生茶です。

易武らしさは十分に、萎凋を丁寧に長く行い、普洱茶として最高に丁寧に作られた上質なお茶です。普洱茶の概念が変わるお茶です。易武の易しい甘さ、高い品格のある花香、それでいて茶樹の力強いミネラル感もしっかりと感じられます。
2018年の現在もとても美味しく楽しめます。しかし、このお茶は2020年前後、3年が経過した頃にはまた違うお茶へ進化します。この変化も不思議で面白いのが本当の普洱生茶の醍醐味でもあります。

易武百花潭小餅
易武百花潭小餅

易武滇王小餅に続いてコストパフォーマンスの高い普洱生茶です。おかげさまですぐにリピートされるお客さまも多く、残り僅かとなっております。

易武の中でも香り高い普洱生茶が作られることで知られる百花潭の喬木古茶樹から作られている普洱生茶です。とても美味しく香り高いお茶が作られる場所ですが、産出量が少なく、なかなか市場に出回りにくいというお茶でもあります。
しっかりと萎凋を行った最近では珍しく丁寧な製茶を行い、昔ながらの石磨圧延で成形された1枚100gと楽しみやすいサイズになっています。

蜂蜜のような艶やかな金色の透明度の高い茶水です。見事な甘い花香が感じられます。百花潭ならではの香りの良さ、高さを持っています。味わいはその香りのように優しく、甘く、そしてミネラル感もしっかりと感じられ、大変にバランスの良い普洱生茶に仕上がっています。