軟臥車両の入り口に立っている女性の車掌さんに切符を見せて乗車です。
軟臥は寝台車両の中でもグリーン車のような扱いで、複数の車掌さんが常にスタンバイしていて検札からシーツの取替え、掃除などを忙しく担当していました。おかげでトイレや洗面所も綺麗で想像していた以上に快適に過ごすことができました。
指定されている軟臥のコンパートメントに向かいます。軟臥は1室4ベッドのコンパートメントになっていて、使い捨てスリッパなどの用意などもあります。ベッドは2段ベッドになっています。コンパートメントには扉があり、鍵もかかるようになっていますが、今回は満席だったようで私たちと別の乗客も1人同じコンパートメントであったため、鍵を使用することはありませんでした。
中国らしいと言えばお湯がいつでも無料でもらえることです。おかげで乗車中はずっとお茶を飲んで過ごすことができました。
また、日本には今はない食堂車も健在です。食事時は満席になってしまうほどの人気で、実際に食事も美味しかったです。
北京を出てしばらくすると河北省に入ります。広々とした乾燥気味の大地が続く華北地方らしい景色が続きます。
お茶を飲みながら景色を眺めて、お茶について話をしながら過ごします。
翌朝、日が昇って周囲が見えるようになると景色が見違えるように変わっています。
これは江西省付近の景色ですが、山が多く華北のような見渡すような平地が少ない感じです。水が豊かで小麦畑から水田に変わっています。一晩で景色の様相が一変していました。
列車は2時間ほど遅れて武夷山駅に到着しました。
6月というのに気温は夏そのもの。湿度の多さも出発した北京とは全く違い、湿度で空気が重い感じがするほど。
霧の多さをいきなり実感するような天気で、お茶処というのが実感できます。
北京西駅を出発して17時間。1700kmの距離を移動しました。
改札を出た所で現地にいる迎えにきてくれた武夷山岩茶研究所の方と再会。
武夷山駅は武夷山の街の中心部から少し離れた場所にあります。迎えの車に乗り込んで、早速市内へ向かいます。
この武夷山へ旅の途中、ずっと楽しんでいたお茶です。
基本的に大陸を旅する時は台湾のお茶を、台湾を旅する時には大陸のお茶を持っていきます。この時は仕上がったばかりの溪頭高山茶を持っていました。
普段は岩茶しか飲まない武夷岩茶研究所の人たちも、これは美味しい!譲ってもらうことはできますか?と聞かれたほどに美味しく上質な高山茶です。暑い中でも爽やかに楽しめます。もちろんアイスティーや水出しでもお勧めです。
近年主流の醗酵の浅いタイプではなく、しっかりと醗酵を行う製法で作られた溪頭高山茶を後熟成していたものです。甘い桜餅のような香りが心地よく、さらっと淹れていただければ清らかな高山気も楽しむことができます。甘く旨みの深い味わいで、雑味がないため、さっと軽く入れると高山気をしっかり楽しめるお茶に、じっくり淹れると旨みの強いしっかりと味わえるお茶と、淹れ方を変えて楽しめます。
このお茶はもしお手持ちに別の高山茶があれば是非茶葉を比べていただきたいと思うほどに丁寧に作られています。岩茶研究所の作り手さんたちも驚くほどに製茶技術が高いお茶です。
1つ1つの茶葉がとても小さく丸められていて、一般的な高山茶の半分ほどの大きさです。
標高1100m前後の茶畑から作られた高山茶を伝統的な凍頂烏龍茶の製法で作った焙香高山茶です。2012年の春茶を後熟成させていました。
この焙香高山茶の特徴はその甘い香りと味わいです。先にご紹介した溪頭高山茶と同じ地域、茶樹から作られたとは思えないほどに違うお茶に仕上がっています。溪頭高山茶が爽やかな甘さを持っているのに対して、この焙香高山茶は濃厚な深みのある甘味と見事な蜜香があります。
岩茶研究所の作り手さんに一番人気だったのはこの焙香高山茶でした。
お得な溪頭 高山茶セットもございます。
7月、8月中にご注文いただいた方には、美味しい水出し・アイスティーの作り方をお付けしてお届けしています。(黒茶のみのご注文は除きます。ただし、黒茶の保管方法・飲み方をお付けしております。)