成都から車で2時間半ほど行くと蒙頂山があります。
蒙頂山は茶樹の人工栽培が世界で最初に行われた場所で、その歴史はなんと紀元前の漢に遡ります。
その当時から今も変わらず蒙頂山ではお茶作りが行われています。
鈴茶堂が扱う春韻白毫や四川高山紅茶を作っている茶業さんを訪問してきました。
蒙頂山といってもこのあたりは観光地もなく、ただひたすら茶畑しかないような場所です。後で聞きましたが、この村に来た日本人は私たちが初めてだったそうです・・・
この地域の茶畑はどこも茶摘みが始まったようで、蒙頂山の麓にある村では路上で摘み取った茶葉を売る茶農家さんとそれを買い取る茶業さんで臨時の茶葉市場ができていました。
そんな光景を眺めながら更に山の中へ行くと目的の茶業に到着します。
周囲は見渡す限りの茶畑です。平らな場所もあれば歩くのも怖くなるような急傾斜まで、見渡す限りが茶畑です。
すべてこの茶業さんの自家農園だそうです。
とはいえ、茶業としては規模が小さい方なんだとか・・・凄いですね。
ご挨拶もそこそこに早速茶畑を見せていただきました。
摘み子さんだけでなく、職人さんまで総出で茶摘みをしています。
凄い速さで新芽の芽の部分だけを摘み取っています。実は手の動きが早すぎて写真を撮るのに大変だったほどのスピードです。
農薬を使わない茶畑には小さな蜘蛛などの虫もいました。茶樹の下の方を除くと放し飼いの鶏が餌を探しながら歩いています。
とても気持ちのよい素敵な茶畑で、美味しいお茶が作られるのも納得です。
摘み取った茶葉は宝石のように綺麗です。
ふっくらとした萌葉はそのままでもとても良い香りがします。
1つそのまま食べさせていただきましたが、甘くて美味しい茶葉でした。
茶畑見学の後はすぐそばにある製茶工場を見せていただきました。工場といっても小さな体育館ほどの大きさです。
こちらも摘み取った茶葉を製茶している真っ最中で、ベテランの作り手でもある社長の指示のもとに数人の作り手の方々が忙しく動き回っています。
実際に製茶を行なっているところの撮影はできませんでしたが、とても丁寧に真面目に作っているのが印象的でした。
工場の中は爽やかなお茶の香りが充満していてとても良い香りなのですが、摘みとった新芽の白毫が舞って雪が降っているような状態で、しばらくすると身体中真っ白になるほどです。
そんな中でも作り手のみなさんは製茶中のお茶から目を離さず、真剣そのものです。
社長も私たちの案内をしてくださる間も、途中経過を確認して作り手さんに指示を出しながら工場内を移動します。
ひと通り製茶の様子を見せていただきながら、色々なお話を伺いました。
とても研究熱心で真面目な社長は実はとても寡黙な方なのですが、私たちの質問に真摯に答えてくださいました。
茶畑のこと、茶葉のこと。製茶の難しさ・・・
こうやって、あの美味しいお茶たちが生まれてくるんだなと納得できる訪問でした。
美味しいお茶を作り出している社長の手です。
とても真面目で無骨な素敵な手なので、恥ずかしがる社長に無理にお願いして撮影させていただきました。
社長が伝統的な四川紅茶の製法を何年もかけて研究して生まれた四川高山紅茶です。
一般的な四川紅茶よりももっと香り高く深い甘みを持つこの紅茶は、鈴茶堂でも人気のあるお茶の1つです。
天然の茶葉の香りとは思えないほどの香りと、砂糖を入れていないとは思えないほどの甘い紅茶を是非おためしください。
日本では殆ど知られていませんが、実はかなり日本人好みの美味しい蒙頂山の緑茶です。
中国最古の銘茶とも言われ、唐の玄宗皇帝から清代末までの皇帝献上茶でした。現地では蒙頂甘露と同じ位かそれ以上に馴染みのあるお茶で、お茶に関する歴史書などでは蒙頂甘露よりも高い評価を受けているお茶です。文化大革命などにより、一度その製法が途絶えてしまったお茶の1つですが近年になって復活しました。
とろっとした金色のお茶は甘い花と香ばしいナッツのような香り、丸い柔らかな甘味のある上質な緑茶に仕上がっています。煎持ちもよく、上手く淹れれば10煎以上楽しむことができます。