今までは餅茶の成形をご紹介してきましたが、普洱茶の固形茶には色々な形があります。歴史と共に作り出されてきた形として今も伝わる固形茶の形状は様々ですが、最近増えているのが小さな丸い粒のような固形茶です。最近になって作られるようになった固形茶のため名称が定まっていないのですが、茶粒、粒茶とか小龍珠と呼ばれることが多いようです。
餅茶と同様に蒸して柔らかくした毛茶(荒茶)を1回分ずつ丸めて写真のように布で包んで口を縛り固形茶にしていきます。似たような大きさでは観光客などへのお土産用に生産されることの多い小沱茶があります。キノコの笠に似た形の沱茶をそのまま小さく1回分にしたものです。ただし、小沱茶でも沱茶の形にするためには専用の型が必要であるため、ある程度の大手ではないと生産できないという事情もありました。この粒茶は特別な型も機械も必要とせず、ここ数年、急速に作られることが増えてきています。通常サイズの餅茶のサイズでは高価になりすぎてしまうような普洱茶をこうした小さな固形茶にすることからはじまり、今では様々なグレードの茶葉でも作られるようになってきました。
この友人の製茶場で使う布はこうした晒木綿のみを使っています。この素材は製茶場によって様々です。形が綺麗にできるのは布ではなくビニールです。多くの製茶場では見た目を良くするためにビニール素材を使って成形を行います。
しかしながら、ビニールは通気性がありません。成形には荒茶を軽く蒸して柔らかくして行いますが、布で包んだ後はその形を固定化するためにしばらくはそのまま休ませます。この時にビニールでは中に茶葉が不要に蒸されてしまい、味や香りに影響が出てしまいます。
ここでも品質のこだわりがあり、形は綺麗にならないけれども香りと味を損なう素材は使わないとのことで、晒木綿以外は使っていません。
以前にもお話しましたが、固形茶を作ることの出来る製茶場は多くありません。製茶時期は自分たちのお茶を優先して行いますが、茶農家や固形茶の成形をすることが出来ない茶業から茶葉が持ち込まれることもあります。固形茶の製造依頼という需要も実は結構あります。
固形茶の成形は主に製茶の落ち着いた時期を狙って持ち込まれることが多いのですが、餅茶の他にも様々な形の固形茶を作るための型もありました。中には型ごと持ち込みされる場合もあるそうです。
これは内飞(内飛)と呼ばれる普洱固形茶の中に入れる紙です。これだけで実はコレクターもいるほど、茶業、製茶場によって色々と違います。またビンテージの普洱茶の鑑定などでは真偽を確かめるための重要なアイテムの1つでもあったりします。
これは友人製茶場のものですが、持ち込みされる茶葉の場合は内飛も持ち込みしてもらうのだそうです。
この友人の製茶場、易武天能茶庄の普洱茶です。
使用する茶葉は易武の山深い場所にある自然のままに育った古茶樹、茶葉の殺青(発酵を止める工程)もガスではなく薪を使い、製茶機械を可能な限り使用しない昔ながらの製法にこだわっています。もちろん、圧延工程も昔ながらの石磨圧延です。
非常に高く綺麗な、そして長く続く見事な、易武の人たちの言うところの「蘭花香」が感じられます。ちょうど熟成が一段落したところで、本来持っている香り高さに加えて蜜のような甘い香りも深く出ています。易武らしい甘味は深くしっとりと、優しいミネラル感とあわせて複雑な、それでいて喉に心地よい仕上がりになっています。3年間熟成させていますが、易武での徹底した乾倉管理ということもあり、いわゆる陳香は感じられません。
飲み終えた時にはぜひ葉底、茶殻もご鑑賞ください。大変に丁寧に作られた綺麗な茶葉です。
先日の中国出張の際に長く家族ぐるみでお付き合いしている友人茶商から自家栽培した陳皮を使った陳皮普洱茶をいただきました。帰国後に改めて飲んでみたところ、とても優しく美味しいお茶であることに驚き、ぜひ当店でもご紹介させて欲しいとお願いしたところ特別に作っていただけることになりました。
友人の故郷、浙江省で自家用に栽培された無農薬の陳皮を贅沢に使った陳皮普洱茶です。
陳皮は友人茶商の親戚が特別に栽培しているマンダリンオレンジ(陳皮の原料)を使用しています。この農家では主に佛手柑を栽培していますが自家および親戚内での消費用として無農薬・有機栽培で陳皮も作っています。
普洱茶は熟茶に定評のある大益のものを使用しています。普洱茶の専門家でもある友人のセレクトで癖のない飲みやすい美味しい普洱茶を選んでいます。
元々は自家用のお茶として作られているため、ご予約分のみの製造、ご紹介となります。
一般的な陳皮普洱茶のような強い香りはなく、優しいほっとするような柑橘の香りが特徴的です。普洱茶は癖のない上質な熟茶を使用しているため、飲みやすく、さらっとした甘味が感じられます。カフェインが殆ど無いお茶でもありますのでお休み前のお茶としてもおすすめです。また、寒い季節の健康管理に取り入れるのもおすすめです。一般的な陳皮普洱茶や青柑茶の香りが強すぎて苦手という方にもおすすめいたします。
ご予約は1月28日24:00までとさせていただきます。
陳皮の量に限りがありますため、予定数を超えた場合はご予約を早期終了させていただきます。
発送は入荷後、2月10日頃を予定しております。