中国四川省にある世界遺産、都江堰では青城雪芽という緑茶が作られています。都江堰と同様に世界遺産に指定されている美しい青城山に茶畑、製茶場があります。この年の四川訪問の際にはこの製茶場も訪問、見学させていただきました。
青城雪芽は50年あまり前に作り出され、古くからあるお茶ではありませんが、この地では昔から製茶が行われてきた茶経にも登場する茶産地です。都江堰とその付近は文化大革命などで消失してしまった銘茶も多く、この青城雪芽もそういった昔の製茶方法を復活、改良して作られたと言われています。
一般的に良く言われているのは清明節の前後に茶摘、製茶するということですが、実際にはもう少し早くから茶摘みが行われることが多く、その年の気候にもよりますが、清明節の頃には殆ど終わりということも少なくありません。
他の四川省の茶産地と同様に温暖で雨の多い気候で、夏は暑くなりすぎず涼しく過ごせる、過ごしやすい気候です。
この製茶場では無農薬、有機栽培を行っています。荒れ地か単なる山にしか見えませんが茶畑です。茶畑の間には野苺などもたくさん自生しています。茶樹以外の植物も豊かで、自然に任せているそうです。標高1800〜2000mの茶山は意外と急な斜面が続く山肌に茶畑が作られています。蛇なども多くいて、本当に自然豊かな茶畑でした。
この日は生憎の雨で茶摘、製茶はお休みでした。本来、中国茶は雨が降っていると茶摘みを行わないと言われますが、実際には少しの雨であれば、かつ、品質が高い高級茶ではない場合、茶摘みも製茶も行うことが多くあります。この製茶場では品質に影響する雨の日はお休みするとのことで、品質に対する姿勢の厳しい製茶場でした。
それなりの規模の茶業なので機械化出来る部分はしっかり機械化されていますが、こういった殺青などに使われる鉄鍋を見ても分かるように、人が行っている工程も多く残されています。こういったお茶の味や香りを左右する工程はやはり人が行うということなのだそうです。
お休みの製茶場は少し寂しい雰囲気ですが、その分、ゆっくり見学させていただきました。
工場のいたるところに作業指針や作業目標が貼りだされていて、しっかり厳しく管理されているのが分かります。実際に製茶作業が行われている時はたくさんの人で熱気がこもってしまうほどだそうです。
青城雪芽は一芯一葉で摘み取られて作られる白毫の美しいお茶です。同じ四川でも蒙頂茶とはまた違う甘さを持っています。爽やかな甘味とミネラル感の強さ、滋味の深さが複雑で後を引く美味しさがあります。
いつか青城雪芽もショップでご紹介させていただければと思います。
中国・福建省の漳平水仙という場所で伝統的に作られている烏龍茶です。
その形はとても珍しい固形の烏龍茶で、四角い茶餅の形をしています。
中国の茶商さんですら知らない人が殆どという流通の少ない珍しいお茶で、私たちは何年もこの漳平水仙を作る茶農家さんを探していました。やっと納得いく品質の漳平水仙を作る茶農家さんとのご縁ができ、ご紹介させていただいています。今年はその産地まで訪問させていただき、色々と現地の様子を見せていただきました。
話に聞いているよりもずっと昔のままの村で、今も殆ど手作業で1つ1つ丁寧に作られています。また、無農薬、有機栽培を徹底しており、茶畑の中には養蜂の巣箱がたくさん配置されています。茶畑で取れるこの蜂蜜も村の大事な収入源となっています。
漳平水仙には桂花香型と花香型とありますが、このショウ平水仙は花香型の中でも最高品質の蘭花香型になります。標高800m以上の、漳平では最も高地の茶畑で作られています。また、機械を可能な限り使用しない伝統的な製法で作られています。
今年の漳平水仙は爽やかな甘味、ミネラル感、奥行きの深い滋味が花香と共に、上品にバランス良くまとまっていて、品格のある蘭香と爽やかで深みのある優しい甘味が感じられます。
甘い果実香と深みのある旨味、甘さを持っています。中国紅茶にしては珍しく甘く柔らかい中にミネラル感も感じることができます。紅茶でありながらも煎持ちが非常によく、かなり長く楽しめます。英徳紅茶にも通じるような心地良い独特な余韻もしっかり感じられます。
元々生産量の少ない紅茶ですが、今年は特に少なく、大変に貴重な紅茶となりました。