中国の茶館には大きく分けて2つのタイプがあります。
1つは気軽に利用できる元祖カフェのような茶館ですが、こちらは主に台湾や中国でも南の方に多く見られます。もう1つはビジネスの場としての茶館で、日本の料亭のような役割を持っています。北京の茶館はこのタイプが多く見られます。意外に思われるかもしれませんが、中国では商談や接待をする際にお酒ではなくお茶で行うことが多くあります。
この上海にある大可堂普洱会所は両方のタイプを合わせた茶館です。
天山茶城を見学した後はこの大可堂普洱会所でお茶をいただいてきました。
1900年台前半に建てられた洋館を利用した茶館はとても素敵な場所でした。インテリアも素晴らしく、中には高価なアンティークもあるようです。
茶譜(お茶のメニュー)は名前の通りに普洱茶(プーアル茶)が中心です。素晴らしいラインナップで通常では入手できないようなビンテージの普洱茶が並びます。ただし、創業当初に作られた茶譜とのことで、これは是非いただいてみたいと思う普洱茶の殆どは品切れたままになっていました。確かに今となっては入手することすら困難なお茶ばかりです。再入荷の予定はたたないと思います。
高価で貴重な普洱茶以外にもお手頃な普洱茶も揃っています。ですが、折角ここに来ることがあるのなら熟成を重ねた上質な普洱茶を味わっていただきたいと思います。今、茶譜にあるそういったお茶も無くなれば再入荷されることはないと思いますし、何より本当に入手の難しい普洱茶ばかりです。ぜひ普洱茶の本当の美味しさを味わってみてください。全く違うことに驚かれると思います。
ここのオーナーさんは相当なコレクションを持っていたのですね。凄いです。
私たちは1990年台初頭の中茶牌8653鉄餅をいただきました。茶葉はグラムで指定できます。8g、12g、16gと選べますが大人数ではない限り8gで大丈夫です。こちらは8gで500元(約6700円)でした。安いお値段ではありませんが、茶館ということやお茶うけも含まれていること、グループで1つのオーダーで良いことを考えれば良心的な価格だと思います。
お茶はお店の方が丁寧に淹れてくださいます。非常に良質な普洱茶ですので何十煎も楽しめます。
中茶牌8653鉄餅はとても甘く美味しい普洱茶でした。
大可堂普洱会所
中国・上海市徐汇区襄阳南路388弄25号(近永嘉路)
021-64676577 64675077
普洱熟茶には定評のある勐海茶厂(モウ海茶廠)の大益・普洱熟散茶です。大益には珍しく固形茶ではなく散茶の形状で2009年の製造です。
深みのある旨味と甘味がある美味しい普洱熟茶です。
香りはナッツのような香ばしい香りとナツメのような果物の香りがある、とても美味しい普洱熟茶に仕上がっています。もちろん、カビ臭さなどは一切感じません。湯温が高い時にはアミノ酸系の旨味が強く感じられます。湯温が下がってくると回甘が強くなってきて、果物のような味と香りが強く出てきます。
云南下关茶厂(雲南下関茶廠)の2007年特級沱茶です。
下関茶廠は雲南省临沧(臨滄)地区の春摘みの喬木型雲南大葉種のみを使用して沱茶(お椀型の普洱茶)を作り続けている歴史ある茶廠です。沱茶であれば下関茶廠の右に出るものはいないほど品質の良い普洱茶を作り続けていることで知られています。
気品を感じるような爽やかな甘味と旨味があり、甘味、旨味、微かな渋味のバランスがとても良くとれています。煎持ちもかなり良く、1日中楽しんでいただくこともできるお茶です。
今も十分楽しめ、これからも長く数十年単位で楽しめる上質な普洱生茶です。