鹤鸣茶社

鹤鸣茶社

成都市内にはいくつもの茶座があります。

茶座というのは公園などにある青空茶館で、お手軽なお値段でお茶が楽しめる
市民の憩いの場といったスペースです。
これも四川のお茶文化の1つですね。

市内中心部にある人民公園の中には鹤鸣茶社という茶座があります。
100年もの歴史を持つ、成都市内では最も古くからある茶座です。
池のほとりにテーブルと椅子が沢山並べられていて
多くの人がお茶を飲みながら思い思いに過ごしています。

鹤鸣茶社

ここでは成都らしく蓋碗でお茶をいただきます。
(蓋碗の発祥はここ成都と言われています)

メニューには四川省ならではの緑茶や蒙頂黄芽といった黄茶やジャスミン茶
鉄観音や岩茶などの青茶などが並んでいます。

オーダーすると茶葉と蓋碗、お湯の入ったポットを持ってきて
写真のように淹れてくれます。

四川ならではの緑茶、手工毛峰という鹤鸣茶社オリジナルの手作りのお茶をオーダーしました。
手作りということで見た目は悪いですが、甘く花の香のある美味しい緑茶でした。

鹤鸣茶社

面白いのは緑茶でも一度洗茶を行なっていたことです。
これはお茶の種類に関わらず、必ず行なっていました。
他の茶座や茶業さんでは緑茶を洗茶していなかったことからも
この鹤鸣茶社ならではの淹れ方なのかもしれません。

お茶はテーブルに置かれたポットでお湯を継ぎ足しながら長時間楽しめるようになっています。
ポットのお湯が無くなれば追加のお湯を持ってきてくれますので
周囲はお茶を飲みながら読書する人、グループでトランプする人、
絵を書いている人もいれば昼寝している人もいます。

鹤鸣茶社

食事もできるようになっています。

茶座では簡単な麺料理などのメニューもありますが
持ち込みの制限がないようで、隣接するレストランの食事を持ってくることも可能です。

これは茶座に隣接する鐘水餃小吃楼の鐘水餃です。
鐘水餃というのは辣油のかかった水餃子で、一般的には紅油水餃子と呼ばれる四川小吃です。
お店の名前を取ってここでは鐘水餃と呼ばれています。
見た目ほど辛くもなく、美味しい水餃子でした。
(とはいえ、餃子とワンタンの中間みたいな感じで、どちらかと言うと红油抄手に近い気がします)

鹤鸣茶社

この制服を着た人たちは耳掃除屋さんです。

茶座ではこの耳掃除屋さんをはじめ、占い師の方や色々な商売も行われています。
お茶をオーダーしてしばらくすると売り込みに来ます。

私たちはお願いすることはなかったのですが
中には耳掃除してもらっている人もちらほらいました。

お茶のある生活が根ざしている成都の文化を実感できました。
素敵ですね。


2008年 感徳老観音
2008年 感徳老観音

成都でも人気の鉄観音。
鉄観音は成都にかぎらず中国の人にとっては一番人気のある青茶なのではないかと思うほどです。

一般的な鉄観音は10年ほど前に台湾より清香型の製茶技術が伝わったことで
茶葉の発酵度が低く軽いものが主流となりました。
現在主流の清香型は香り高く爽やかである一方
発酵度が低く、焙煎もほとんど行われていないために成分が強く、胃への負担が強いものとなってしまいました。

鈴茶堂が扱う鉄観音は最近主流の清香型ではなく、昔ながらの作り方を守られた鉄観音です。
清香型にはない落ち着きのある甘い香りに加えて、年月を経るほどに丸く深みのある味に育っていきます。

この鉄観音は2008年のものですが、ビンテージ違いの2005年2000年もございます。

現地でもなかなか入手できない伝統的な製法を守られた鉄観音です。