お茶の旅」カテゴリーアーカイブ

チベット食と蔵茶

モモ

チベット族の方に色々と教えていただきながら、普段この地域の方が食べている食事をいただきました。

このパンはモモと呼ばれる主食です。チベット料理のモモというと水餃子の様な料理が有名ですが、このあたりではこのパンをモモと呼ぶそうです。このモモというチベット料理は地域によって違うようで、別の場所では饅頭(具の無い蒸しパン)もモモと呼ばれるとか。そう遠くない陝西省にこの地域のモモに似たパンがありますが(もっと大きさは小さいです)、それらは饃饃(モーモー)と呼ばれます。どこかで関連しているのかもしれませんね。

大きさはとても大きく、人の顔よりも大きいパンです。チベット族の方のテーブルには必ず1枚はある主食です。あまりの大きさに驚いたのですが、半分といった単位では販売していなく基本は1枚です。食べきれない分は持ち帰ります。素朴なパンですが、粉本来の味わいが伝わってくる美味しいパンでした。

豚ベーコン

天井から吊り下げられていた豚肉とその場にあった野菜を炒めたものです。この時はキクラゲでした。
この豚肉は雲南省のデチェン・チベット族自治州のあたりで食べている琵琶肉と呼ばれる保存用加工肉に似ているようです。この琵琶肉には藏猪と呼ばれる山岳地帯でも飼育が可能な豚が使われることが多いのですが、この地域も標高が高いことからも、この藏猪が使われていたのかもしれません。
味付けはこのベーコン状の豚肉の塩気だけで、とてもシンプルでした。それだけに素材の美味しさが楽しめます。もちろん化学調味料は使用されていません。チベット自治州に入ってから食べた食事の中では一番美味しい食事でした。

ジャガイモ

地元で作られるジャガイモを茹でただけのシンプルなものですが、とてもしっとりしていて美味しいジャガイモでした。特に赤い皮のジャガイモはデンプン由来の甘みが強く美味しかったです。味付けなどは一切無く、別皿に添えられた塩でいただきます。

食事自体はこれらの至ってシンプルなものでした。とはいえ、かなりお腹いっぱいになる内容です。

蔵茶

お茶といえば蔵茶です。厨房の端に蔵茶が火にかけられています。ヤカンの中には蔵茶と水が入っていて、1日中このように火にかけながら煮だしています。煮だしたお茶が減ったら水を足し、薄くなったら蔵茶を足します。

ここではバター茶ではなく、もっと軽いミルクティーをいただきます。バターやクルミ、ハダカムギの粉は入ってはいませんが、日本のミルクよりももっと乳脂肪分が多いミルクと塩を入れて撹拌します。それをアルマイト製(と思われます)のポットに移して冷めないように火の近くで保温しています。

蔵茶

ほんのりと塩味のするミルクティーは思っていた以上に身体が暖まります。かなり美味しいミルクティーで、塩を入れて楽しむ発想がなかただけに驚きました。食事とも合わせやすく、現地ではかなり癖の強い蔵茶を使っているのですが、塩を入れたミルクティーにすると癖も殆どありません。
食事の内容が良くなった現在のこの地域ではバター茶よりもこのミルクティーが良く飲まれているそうです。確かにバター茶はそれだけでお腹にたまるような、食事の1つであるようなお茶でしたが、このミルクティーは気軽に飲むことができます。生活の変化とともに蔵茶の飲み方も変化していくんですね。


民国60年 包種老茶
民国60年 包種老茶

台湾・石錠の茶商の倉庫で発見された、民国60年、1971年の老茶です。忘れ去られていた包種老茶で非常に良い状態です。

4~5年前に作られた包種茶の老茶というのは本物、偽物を問わず見つけることはできますが、民国60年、1971年の老茶は、まず出まわることはありません。現在は窒素肥料の使用などの問題が挙げられる台湾ですが、40年前には肥料はもちろん農薬も使われることもなく、現在の茶樹にはないパワーの感じられる上質な茶葉です。今となってはこのような良質な茶葉の入手が本当に難しくなりました。

とろりとした甘さ、南国の果実を思わせる柔らかい酸味が、40年近く経った老茶とは思えないほどフレッシュに感じられます。それでいて老茶ならではの優しさ、柔らかさがあり、言葉では表現しきれない程に複雑な美味しさを持っています。

日本はもちろん、台湾でもまず見つけることのできない品質の老茶です。

普洱熟散茶 2009年
普洱熟散茶 2009年

このプーアル熟散茶は普段使いにお勧めのお茶です。

深みのある旨味と甘味があります。ナッツのような香ばしい香りとナツメのような果物の香りも楽しめます。

とても香り、味ともに良く、身体の温まるお茶です。入門用のプーアル茶としても最適です。

四姑娘山・双橋溝の台所

食堂

この地域に住むチベット族の方に親切にしていただき、彼らが日常的に食べる食事や飲んでいる蔵茶についても教えていただきました。
この建物は教えていただいた四姑娘山・双橋溝にある食堂です。一見しただけでは食堂とは思えないような建物で、見落としてしまいそうな小さな建物です。そしてこの背景の雄大な景色が素晴らしく、食事後はチベット族の方に山々の説明をしていただいたりと景色も十分に堪能することができました。

食堂内の厨房

色々と教えていただいたチベット族の方に手招きされて厨房内の端にあるテーブルに落ち着きました。
食堂はこの付近で働くチベット族の方か漢族のツアー客が主な利用者のようです。ツアー客は別棟で中華料理を食べていて、この厨房内の客席はどうやら顔なじみのチベット族の方の指定席のようです。
厨房といっても部屋の真ん中に大きな窯がある部屋といった感じです。写真では分かりませんが、薪を燃やす煙が充満していて慣れるまで少し時間がかかります。

食堂内の厨房

建物の中はかなり暗いのですが、天井に開いたこんな穴のおかげで厨房内は明るく太陽の光に照らされています。雨の日は大丈夫なのでしょうか・・・?

食堂内の厨房

天井からは豚肉のベーコンと思われる枝肉が吊り下げられています。この厨房内の煙で燻されているようです。雲南省やこの付近(アバ・チベット族自治州)のチベット族の方たちは豚肉も食べるようです。

食堂内の厨房

建物は質素ですが、綺麗に使い込まれています。
メニューはありません。その場にある食材と調理法を指定してオーダーするシステムです。

モモ

チベット族の方に色々と教えていただきながら、普段彼らが食べている食事とお茶を楽しむことができました。

少し長くなってしまったので、食事の内容やお茶については次のエントリでご紹介します。


1970年代 重庆乌龙沱茶(重慶烏龍沱茶)
1970年代 重庆乌龙沱茶(重慶烏龍沱茶)

沱茶は実は四川省重慶でも作られていたのをご存知ですか?(現在は四川省ではなく重慶直轄市)その品質はとても良く、雲南の下関よりも良いと言われてましたが、時代の流れで下関の味が好まれるようになり、一度その姿を消してしまいました。近年になって復活しましたが、現在は下関の雲南大葉種や福鼎大白茶種が使われています。

重慶「烏龍」沱茶となっているのは、烏龍種から作られているからです。今ではその姿を消してしまいましたが、昔は重慶に烏龍在来種がありました。その烏龍在来種から晒日緑茶を作り、現在もある沱茶と同様の作り方をしたのがこのお茶です。

40年の熟成を経た貴重な重慶烏龍沱茶です。今回、台湾の黒茶においては非常に高名な私たちの師から特別にいくつか譲っていただきました。名前を御紹介することはできませんが、台湾で黒茶の書籍が発行される際は必ずこの師に鑑定や監修を依頼するというほどの方です。

香港の有名な老茶商の乾倉での熟成を経て、香港返還直前に台湾へ移した貴重な重慶沱茶です。40年近い年月を経て熟成した重慶沱茶というだけでも非常に貴重ですが、烏龍沱茶は今後も恐らく流通することはありません。
また、珍しいというだけでなく、とても美味しいお茶です。ナツメのような甘さと旨みがあり、柔らかい烏龍茶の味わいがあります。

aaa
倉熟成 老プーアル茶 入荷しました!

重慶烏龍沱茶を譲っていただいた台湾の師のご好意で、日本ではまず入手できないような倉熟成を経た老プーアル茶が到着しました。

近年作られているプーアル茶で現在流通しているものは未入倉と呼ばれる加工用の倉で保管されていないものが殆どです。おそらく熟成を行ったプーアル茶は全体流通量の10%もありません。プーアル茶ブームにより多くの人がプーアル茶を求めるようになった結果、プーアル茶自体の品薄と、今まで緑茶などしか飲まなかった人が倉熟成された本来の深みのある味わいを好むようになることもなく、中国でも殆どの人たちが好むのは熟成していない未入倉のプーアル茶です。これはプーアル茶に限らず青茶(烏龍茶)などにも同じことが起きていて、武夷岩茶や鳳凰単欉、鉄観音などもどんどん醗酵も火入れも浅く、緑茶のような加工が主流となってきています。

その本来の味わいが楽しめる倉熟成のプーアル茶をご紹介できることになりました。どのお茶も名品と呼ばれるものばかりです。
詳細な説明は是非各商品ページをご覧ください。

乙级蓝印青饼(乙級藍印青餅) 1999年

甲级绿印青饼(甲級緑印青餅) 1999年

7542青饼(青餅) 中茶牌 1995年

广南贡饼(廣南貢餅) 1992年

8592 中茶牌 熟餅 1996年

なかには数の確保が難しいものもあり、在庫数が僅かというものもございます。ご了承ください。

プーアル茶はおいしくない、臭いお茶と思っておられる方には特にお勧めしたい名品ばかりです。中には紅茶のような味わいのものもあります。
また、固形茶に慣れていない初心者の方にもお勧めです。新しい固形茶は崩す際に茶葉を傷つけてしまうと雑味が出てしまいますが、熟成された固形茶にはその心配はありません。

是非本物の熟成を経たプーアル茶で本来の美味しさを知ってください

バター茶の作り方

蔵茶

日隆鎮で最初に教えていただいたのはバター茶の作り方です。

この蔵茶は現地で一般的に流通しているものです。1つの塊がかなり大きなもので500gあります。あまり味の良いランクのものではありませんが、価格が安いため現地の方が日常的に飲用している蔵茶です。(風味が劣るためWEBショップでのご紹介はしていませんが、ご希望の方にはご連絡いただければお譲りします。)
このランクの中にも康砖(康磚)と 金尖と更に分かれています。康砖(康磚)と金尖の違いはメーカーによって異なるようです。鈴茶堂が取り扱いしている四川省雅安茶厂(茶廠)ではこの違いを茶葉のグレード・配分の違い(基本的には配分の違いのみで、康磚の中でも様々なグレードに分けられます)としています。他のいくつかのメーカーも同様の回答だったのですが、いくつかの中国国内で行われている評茶員などの講座では康砖(康磚)は穀雨に摘採されて作られたものとし、金尖は立夏に摘採されて作られたものとして教えているようですので、そういった分け方をしているメーカーもあるのだと思います。

蔵茶

現地では煮茶法を使っています。ヤカンに茶葉を入れて煮出します。鈴茶堂で販売している蔵茶はメーカーのアドバイス通りに2回に分けて煮出す方法をお勧めしていますが、現地の方はそんなことは気にせず、お湯や茶葉を継ぎ足しながら1日中火にかけて飲み続けているようです。

ドンモ

このようなドンモと呼ばれるバター茶専用の攪拌器具を使います。どの家庭にも1つは必ずある器具で、これは装飾のない質素なものだとか。

ヤクバター

こちらはバター茶に使うヤクの乳から作られたバターです。バターと言ってもインドなどで使われるギーと同じく澄ましバターの一種で、色が濃くなっているのもそのせいです。ヤクの乳を沸騰させて殺菌した後、乳酸発酵を行います。その後、撹拌してバター状にした後、加熱して溶かし、固形になった部分をろ過します。
通常のバターよりも常温で長期間保存が可能になるため、チベットを含めてこのあたりでギーが利用されるようです。これらの工程を経ることで独特の香りと色が生まれます。

ハダカムギの粉

これはバター茶に入れるハダカムギの粉です。他にもクルミの粉など様々なものが入ります。本来は更に牛乳(ヤクミルク)も入れるそうなのですが、最近は手に入らないとのことで、今回は脱脂粉乳と思われる粉ミルクで代用していました。
この地域では塩を入れていましたが、地域によっては砂糖を入れるところもあるそうです。バター茶に入れるものも場所によって異なるそうで、あくまでもこの地域のバター茶の作り方だそうです。

ドンモ

ドンモに材料を全て入れて撹拌します。かなり疲れそうな作業です・・・そのためか、最近は電動ミキサーのような攪拌器具もあるそうです。日本でも試してみたい場合はミキサーで代用できそうですね。

バター茶

撹拌し終わったあとは金色のアルマイト製と思われるポットに移していただきます。このポット、蔵茶やバター茶が提供される場所には必ずありました。冷めてくるとポットごと火にかけて温めます。

作ったバター茶と饅頭で朝ごはんをいただきました。少し癖のある味ですが、慣れればそんなに気になりません。好みは人によって分かれると思いますが、独特のギーの匂いに慣れてしまえば美味しくいただけます。塩気が効いていて身体が温まるお茶でした。私だけはおかわりして飲んでいました。
バター茶や詳細な作り方については、改めて講習会やお茶会などで実際にご紹介させていただこうと思います。

チベットで飲まれているお茶の殆どは蔵茶だそうです。普洱茶の方が有名なので、そちらの方が多いのかと思っていたのですが、実際にチベット文化圏で飲まれているお茶の7割以上はこの蔵茶ということを知りました。四川省の雅安から茶馬古道を通ってチベットへ運ばれる蔵茶の一部はチベットを抜けてネパールやインドなどのチベット文化圏までも運ばれているそうです。

次回はバター茶以外の蔵茶の楽しみ方と、この地方での伝統的な食事についてご紹介します。



蔵茶 康磚

鈴茶堂でも一番人気の蔵茶です。
四川省雅安茶廠の蔵茶は癖が少なく、プーアル茶のような刺激性もカフェインもないため
飲むタイミングを気にせず、空腹時でも就寝前でもお楽しみいただけます。
とても体に優しく、疲れた胃腸にも優しい健康茶です。
暖かいままお楽しみいただくだけでなく、冷やしても美味しく楽しめます。

使いやすいティーバックタイプもございます。

蔵茶 康磚(ティーバッグ)
蔵茶 康磚(ティーバッグ)おためし


蔵茶 金尖 雅細

蔵茶の中でも味を追求するのであれば、こちらの金尖 雅細です。
チベットの高僧が楽しむ蔵茶とされています。
黒茶とは思えない華やかな甘い花果香があり
蔵茶の優しさはそのままで、深みのある甘さがとても美味しいお茶です。

アバ・チベット族チャン族自治州・四姑娘山

川蔵公路

チベット自治州へ来た目的は雅安近辺に残る茶馬古道の跡を確認することと、蔵族(チベット族)の方が実際にどのように蔵茶を飲んでいるか学びたいということでした。
その目的地である四姑娘山の麓にある日隆鎮へ向かいますが、想像以上の悪路でなかなか先に進むことができません。

丹巴

落石やがけ崩れが多く、当初1日で移動できると思っていた日隆鎮までたどり着けず、途中のカンゼ・チベット族自治州にある丹巴の町で急遽1泊したり、その丹巴では私自身が高山病で倒れてしまい、地元の方のお世話になったりと、なかなか順調とは言えませんが、何とか先に進むことができました。

石碉楼

丹巴はギャロン・チベット族(嘉絨蔵族)が多く住む山間の小さな町で、町外れにはこのような石碉楼を見ることができます。この石碉楼は木組みに石を組み合わせた建物で戦いの際に立てこもるために建てられたそうです。多くは清代に作られたものだそうです。
(この写真はアバ・チベット族チャン族自治州に入ってから見た石碉楼です)

アバ・チベット族チャン族自治州

カンゼ・チベット族自治州を抜けてアバ・チベット族チャン族自治州に入ってから、また目まぐるしく景色が変わっていきます。河の対岸にある崖の上にあるのは、それなりに大きな建物です。想像以上にスケールの大きな、素晴らしい景色が続きます。
標高も高くなってくるに従って、太陽の光が眩しく、目に見える色彩が鮮やかになっていくのが印象的でした。

日隆鎮

ようやく着いた日隆鎮の町はとても美しい、静かな場所でした。可愛らしいチベット式の建物が並んでいます。どの建物も比較的新しいのは、おそらく四川大地震の被害後に立て直された建物が多いからではないかと思います。
人よりも馬やヤク、牛などに出会う方が多いような、素朴な場所でした。
このあたりの標高は3200mです。空気が薄いということもありますが、空気がとても綺麗です。

四姑娘山

滞在中は大きく天気が崩れることもなく、とても美しい景色を堪能することができました。
素晴らしい山の景色や色とりどりに咲く花、美しい清流や夜は目が眩む程の沢山の星など、本当に素晴らしい場所でした。

四姑娘山

地元の蔵族の方がにはとても良くしていただき、蔵茶を使ったバター茶の作り方を教えていただいたり、蔵族の方が普段食べる伝統的な食事やミルクティー(奶茶)などについても詳しく教えていただくことができました。
この地が気に入って移住したという漢族の方にもお会いしたのですが、何とお茶好きでもありました。茶器や茶道具一式を貸していただき、四姑娘山から湧きでた美味しい水と愛用しているお茶をいただきました。このお水が本当に美味しくて、今も忘れられないほどです。

四姑娘山

私たちが思っている以上に蔵茶は現地に住む方々の生活の一部となっていました。

次回からは、この地方でのバター茶の作り方などについてご紹介していこうと思います。


白磁 聞香杯セット
白磁 聞香杯セット

シンプルな白磁の聞香杯セットです。
品質に定評のある台湾・三希陶瓷の牙白シリーズの品茗杯・聞香杯・茶托のセットになります。

聞香杯は素材やつくりによって良し悪しが決まります。しっかりと熱を保つ素材で作られていない聞香杯は、香りを充分に引き出すことができません。この聞香杯はしっかり温めると手に持つのが熱くなるほどに保温性の高い、上質な素材を使用しています。

D01.5-2
白磁 茶杯(大)

台湾・三希陶瓷社製の茶杯です。聞香杯セットと同じ素材で作られています。

大ぶりの茶杯で手になじみやすく、たっぷりとお茶を楽しみたいときにお勧めです。お茶の色を楽しみやすい上品な白色で口当たりも良い茶杯です。

茶馬古道の難所・二郎山を越えてカンゼ・チベット族自治州へ

川蔵公路

西蔵門戸(チベットへの入り口)と呼ばれる雅安の街を出て二郎山へ向かいます。
二郎山は四川からチベットへ続く茶馬古道の中でも一番の難所と呼ばれた険しい山で、当時は隧道(トンネル)などもなく、多くの方が命を落とした場所でもあるそうです。

まずは成都からチベットまで続く川蔵公路、G318国道を走ります。岩山のような険しい山の間を抜けて走ります。日本ではあまり見かけないような傾斜のきつい山々で、最初はお茶畑もちらほらと見えていたものも標高が上がるにつれて段々と姿を消していきます。

二郎山茶馬古道の碑

途中で見かけた茶馬古道の碑です。すっかりイタズラ書きがされていますが、このあたりではかつてお茶を背負って茶馬古道を歩いた茶葉運搬人の方が今でも住んでいらっしゃると、以前に四川省雅安茶厂(茶廠)の所長に伺ったことがあります。

この石碑のあたりから段々と舗装も怪しくなってきて、車の相互通行ができないような状態になってきます。かつて茶馬古道として交易が盛んだったことと同じように、今はこの川蔵公路がチベット地域と四川地域をつなぐ交易路として人々に利用されているようです。

川蔵公路

細い山道である上にがけ崩れや落石も多く、補修工事が頻繁に行われています。さらに荷物を運搬するトラックやそれらの工事用車両なども沢山通行していることもあってか、片側通行になることもしばしば。
何十分も全く動かないような渋滞を何度も繰り返して何とか前に進みます。渋滞となると付近の農家の人々が飲み物や収穫した果物やトウモロコシを売りに出てきます。川蔵公路を通る人々も慣れているようで、それらの果物を買ったりしてゆっくりしている人や日光浴をはじめる人、中にはトランプをして遊びはじめる人もいるような状態です。

二郎山隧道

予定を大幅にオーバーして二郎山を超える二郎山隧道に到着しました。

この二郎山隧道は人民解放軍がチベット侵攻(共産党の表現では開放ですが・・・)を行うために作ったトンネルで、茶馬古道でも一番の難所とされる二郎山を超えて侵攻を行うためには必ずここにトンネルを作らなくてはならなかった要所でもありました。険しいこの地にトンネルを作ることは非常に過酷だったようで、解放軍にも多くの犠牲が出たと聞きます。

チベットでは蔵茶が生活に欠かせないものでした。解放軍はまず雅安側にある蔵茶の茶廠を支配下におき、このトンネルを作り、チベット侵攻を行います。このチベット侵攻時、毛沢東は「チベットを侵攻するのには武器を少なめ、お茶を沢山持って行きなさい」と指示したと言われています。それほどチベットの人々の生活に蔵茶は大事なものでした。

解放軍のチベット侵攻が終わり、この二郎山隧道が出来てからは人が二郎山を越える必要も無くなります。荷馬車で蔵茶をチベットまで運ぶようになります。朝鮮戦争後はアメリカ軍が朝鮮半島に残した軍用トラックを使って運ばれるようになりました。今も当時の写真は四川省雅安茶廠に残されていて、チベットへ蔵茶が運ばれる量がこの二郎山隧道が出来たこと、輸送手段の変化によって飛躍的に増加したことが記録されていました。(二郎山隧道の一般通行が可能になったのは2001年のようです)

カンゼ・チベット族自治州

二郎山隧道を抜けるとカンゼ・チベット族自治州(甘孜蔵族自治州)です。

二郎山隧道を抜けたところには軍による検問があり、チベット高原のチベット自治区のように入境許可書が必要ないとはいえ、ツアー参加ではない外国人の通行は禁止される可能性があります。そのため現地のドライバーと中国語が達者な弊店代表が対応し、中国語があまり達者ではないWEB担当の私と上海から同行されていたお客様は後部座席で寝たふりをして通過しました・・・

検問を抜けるとそこはチベットでした。
驚くように素晴らしい青い空と光がとても美しく、目に見える山の緑も今まで見てきた景色とは全く違う鮮やかな色彩を放っていました。二郎山はチベットとの境界と言われますが、それを実感できるような、本当に素晴らしい青空です。


先日ご紹介を開始した台湾茶ですが、大変ご好評をいただき、本当にどうもありがとうございます。
台湾・老欉佛手は発売後1日で完売してしまい、量の確保ができず申し訳ありませんでした。
他にもまだまだ素晴らしい台湾茶が到着しておりますので、是非お試しください!

凍頂烏龍茶 2012年冬茶
凍頂烏龍茶 2012年冬茶

凍頂烏龍茶の2012年冬茶がようやく届きました。

台湾の凍頂烏龍茶の産地、南投県のあたりは気温がなかなか下がらず、11月上旬で標高の高い杉林渓がようやく冬茶の摘み取りに入れたという、かなり厳しい状況でした。11月中旬以降になって、それよりも標高の低い凍頂茶区でも冬茶の摘み取りが始まったという状況でしたが、鈴茶堂がお世話になっている作り手が納得する程の気温、茶樹の状態ではなく、一時は冬茶の製造を断念することも考えていた程でした。12月に入ってから、ようやく量は少ないものの、納得できる品質の冬茶を作ることができました。他の作り手がとっくに冬茶の摘み取りを終えるころまで充分に待ってから作られた今回の冬茶は数が少ないものの非常に良い出来だそうです。

この作り手の凍頂烏龍茶は伝統的に醗酵が強く、火入れもしっかり行うため、実質的な賞味期限がないどころか、年月を経た方がより柔らかく美味しくなります。この冬茶も本当に美味しいのは半年後、6月以降です。
ご紹介するのには早いかとも悩んだのですが、非常にバランスよく、美味しい冬茶ですので、その後熟成の変化もお楽しみいただけることと思い、ご紹介させていただきます。

既にリピートされている方も多い凍頂烏龍茶ですが、春茶とはまた違った味わいがあります。台湾では1年中春茶しか飲まない人や、冬茶しか飲まない人もいるほど味わいや香りが異なります。どうぞ好みの味を見つけてください。

今シーズンは冬茶の量が少なく、その分価格も上昇していますが、作り手のご好意により春茶と同じ価格でご紹介できることになりました。この機会に最上質の冬茶をお試しください。

同じ作り手による老茶も入荷しております。
伝統凍頂烏龍茶 7年老茶
伝統凍頂烏龍茶 11年老茶

凍頂烏龍茶 蘭亭序
凍頂烏龍茶 蘭亭序

冬茶などと同じ作り手の蘭亭序と名づけられた凍頂烏龍茶です。これ以上ないほどに素晴らしい香りと味わいを持つお茶ということから、書の最高傑作と呼ばれる王羲之の蘭亭序の名前が付けられました。

この蘭亭序は毎年作ることができません。鮮葉の状態や製茶時の気温や天気などの要因が合わさって出来る、まさに天からの授かりものです。当然ながら生産量も極めて少なく、今回は特別に作り手から譲っていただくことができました。

甘く複雑で深い旨みと、香ばしく言葉では言い表せないような上品で華やかな花果香があり、まるで上質なお酒のようなお茶です。茶樹から作られた「お茶」とは思えないほどで、むしろ葡萄などの果物から作られた飲み物と言われた方が納得できるような感じを受けます。

こんな凄い烏龍茶があったのかと驚かれると思います。私たちも試飲して本当に驚いたほどに美味しいお茶です。

特級 香檳烏龍茶 (東方美人)
特級 香檳烏龍茶 (東方美人)

この香檳烏龍茶は6月中旬に完全手摘みで摘み取られた茶葉を使用し、ロットの中でも最高品質のものです。落ち着きを出すために後熟成を行い、現在はこれ以上ないほどに最高の香り、味わいになっています。

東方美人の多くは新竹、苗栗などで作られる青心大有種のものが主流です。これらは果実香の強い、味わいのしっかりした火入れが強い特徴を持ちます。苦味が出やすく、中には苦味がそのまま出ているものや、多くは複数のロットや様々な品種から作られた東方美人をブレンドします。一方、石錠で作られる東方美人は青心烏龍種から作られ、軽やかな香りと味わいで、まさにシャンパンのようです。香檳烏龍という名前は石錠で作られた東方美人に与えられたと言われています。

その石錠郷の中でもこれ以上のものはないほどに上質な東方美人です。もしお手元に東方美人があれば是非比べていただきたいと思うほどに丁寧に美味しく作られています。

望魚古鎮

望魚古鎮

雅安郊外にある望魚古鎮です。
上里古鎮と同じように茶馬古道の宿場町の1つで、茶馬古道上にある古鎮では最も美しい古鎮と呼ばれていますが、雅安市街地から望魚古鎮までの山道があまり整備されていないこともあってか、まだまだ訪れる人の少ない場所です。

望魚古鎮

山深い場所にあり、集落のすぐ横には美しい川がゆっくりと流れています。上里古鎮もそうですが、水道が整備されていない昔は水が非常に重要だったのでしょう。古鎮と呼ばれる場所は大抵水のある場所の近くにあるようです。
望魚古鎮は川沿いの急な長い階段を上った山の中腹のような場所にあります。もしかしたら水害を避けるために川沿いではあるけれども、水のある場所よりも遥かに高い場所に集落を作る必要があったのかもしれません。現在はその長い階段の下に新しい建物の小さな集落ができていました。

望魚古鎮

観光に訪れる人も少なく、私たち以外の観光客に出会うことはありませんでした。
ここの古鎮もこれらの古い建物に昔と変わらずに生活している人々がいます。いくつかの建物は客棧と呼ばれる宿や食堂の看板がありますが、営業している雰囲気ではありませんでした。

建物の土台となっている石組みも基礎に近い部分は相当に古い状態で、もしかしたら茶馬古道の宿場町としてこの古鎮が栄えていたころからあるものかもしれません。とても静かで美しく、時間が止まっているかのような場所です。

茶馬古道

小さな集落を奥へと進んでいき、建物も無くなり、歩くのも難しくなってきた頃、当時使われていた茶馬古道の石畳が現れました。茶馬古道です。
注意していないと見落としてしまうような、まるで獣道のような道筋ですが、確かに古い石畳が残されています。更に奥へと続いていましたが、もう何年も使われていないようで歩くのも困難なほどに荒れてしまっていました。

茶馬古道の跡は中国の近代化に伴って、どんどん姿を消してしまっています。あるいは忘れ去られて朽ち果ててしまっている部分も多くあります。私たちが見ることができた茶馬古道の石畳もあと何年かしたら無くなってしまうのかもしれません。


勐海生餅 2010年
勐海生餅 2010年

四川からチベットへは蔵茶が運ばれましたが、雲南からは普洱茶が運ばれました。

普洱茶の製造が民営化してから市場には様々な品質の普洱茶が流通するようになりました。その殆どは新茶園、台地茶と呼ばれる新しく作られた茶畑から採られた量産茶葉を使って作られる普洱茶です。これらは生産性を目的として背の低い茶樹を密集した状態で植える、日本で見られる茶畑とそれほど大きく変わりません。新茶園の茶葉から作られる普洱茶も良いところはありますが、化学肥料の問題、普洱茶本来のミネラル感の喪失などの問題もあります。

この勐海生餅は雲南省班章山の中でも指定された一部の地域の茶葉だけを使用して作られた特別オーダーの普洱茶です。
班章山の中にも古くからある古茶園と新茶園があります。どちらも「班章山」として流通するため、注意が必要です。この勐海生餅はもちろん班章山の古茶園、樹齢300年以上の古茶樹から採られた茶葉のみを使用して作られています。まだ若い普洱茶ですが、既に美味しく楽しめるだけの茶質を持ち、また熟成用としても最適な最高品質の普洱茶です。

10906.2
大益 老茶頭 2011年

勐海茶厂(モウ海茶廠)の大益老茶頭です。普洱熟茶で2011年のものになります。
茶頭というのは普洱熟茶を製造するのに必要な渥堆工程(麹菌などによる後発酵)で発生する、いわゆる半端モノです。渥堆工程では積み上げた茶葉に水をかけ、温度と湿度を上げた状態で後発酵を行います。その発酵過程で茶葉同士が固まりになってきます。それを人間が鍬のような道具でほぐしていくのですが、そこで発生する、特に熟成が進んだために、ほぐしきれなかった塊を茶頭(茶头)といいます。
しっかり熟成が進んでいる良質の茶葉が多く、お値打ち品です。
勐海茶厂(モウ海茶廠)は熟茶の技術には定評があり、この茶頭も非常に評判が高く人気があります。元の茶葉はどの普洱熟茶を作ったのか分かりませんが、もしかしたら、とても高級な普洱熟茶を作っていた時の茶頭かもしれません。

蔵茶博物館

蔵茶博物館

上里古鎮には蔵茶博物館があります。
あまり宣伝もされていないので、うっかりすると見落としてしまうかもしれません。

昔の建物を利用した小さなスペースですが、蔵茶を作るために使われていた昔の道具などの展示があり、製法が機密扱いとなっている蔵茶の製茶方法が少しでも理解できるような、私たちにとってはとても勉強となる内容でした。

蔵茶博物館

この博物館は鈴茶堂が取り扱っている四川省雅安茶廠から提供された道具や写真で構成されているようです。

現在は衛生的な工場で完全管理されて製茶が行われていますが、昔はこのような道具を使って作られていたのですね。

蔵茶博物館

中には今もあまり変わらないような道具や機械もあります。
例えばこの揉捻機も現在使われているものとあまり形状は変わらないようです。

蔵茶博物館

蔵茶ならではの道具もあります。

本来の蔵茶は枕型と呼ばれる枕や大きめのレンガのような形をしたお茶です。これらをまとめて竹で編んだ籠に入れてチベットへ運びます。今も現地やチベットで楽しまれる一般消費的な蔵茶はその形状です。(日本人的には飲んでも美味しいという感じではなく、鈴茶堂が扱っている蔵茶はそれよりも上のレベル、チベットでは高僧が楽しむような等級の蔵茶です)
その独特の形状を作るための道具も展示されていました。

蔵茶博物館

四川省雅安茶廠の工場は非常に衛生的で完全管理されている工場のため、今ではこうした木枠が使われることはありませんが、雅安にある小規模の茶廠や工場ではまだ使われているかもしれませんね。

蔵茶博物館

これは蔵茶を背負うための背負子です。
雅安の少し先、二郎山と呼ばれる山は今でこそトンネルが作られ、楽に車も人も移動できるようになっていますが、その昔は四川省の茶馬古道のなかでは一番の難所と呼ばれる険しい峠でした。
こうした背負子を使って百キロ以上にもなる蔵茶を背負い、重さに負けないよう鉄の杖を持ってチベットまで蔵茶を運んでいたそうです。



蔵茶 康磚

鈴茶堂でも一番人気の蔵茶です。
四川省雅安茶廠の蔵茶は癖が少なく、プーアル茶のような刺激性もカフェインもないため
飲むタイミングを気にせず、空腹時でも就寝前でもお楽しみいただけます。
とても体に優しく、夏バテや疲れた胃腸にも優しい健康茶です。
暖かいままお楽しみいただくだけでなく、冷やしても美味しく楽しめます。

使いやすいティーバックタイプもございます。

蔵茶 康磚(ティーバッグ)
蔵茶 康磚(ティーバッグ)おためし


蔵茶 金尖 雅細

蔵茶の中でも味を追求するのであれば、こちらの金尖 雅細です。
チベットの高僧が楽しむ蔵茶とされています。
黒茶とは思えない華やかな甘い花果香があり
蔵茶の優しさはそのままで、深みのある甘さがとても美味しいお茶です。

上里古鎮

上里古鎮

四川省へ移動して、成都で数日ゆっくりした後、まずは上里古鎮を訪れました。

上里古鎮は山間の静かな集落で、かつては雅安で作られた蔵茶をチベットまで運んだ茶馬古道の重要な宿場町の1つでした。唐代には町としてかなり栄えていたそうです。今でも明清代の橋や建物が残る古鎮で、四川省の十大古鎮の一つに指定されています。

名山の茶畑

成都から車で2時間半ほど、蒙頂山の麓の名山地域に広がる茶畑を眺めながら、まずは雅安の町へ向かいます。名山のこのあたりは標高6〜800m程度で、主に緑茶や紅茶が作られています。訪れた9月上旬のこの時期は夏の紅茶の茶摘も終わり、静かな茶畑が広がっていました。

雅安の町を過ぎて世界遺産にも指定されている碧峰峡(パンダが初めて発見された地域でパンダ繁殖基地で有名です)を抜け、険しい山の中をしばらく走ると上里古鎮に到着します。

上里古鎮

集落に入ると広場に収穫された穀物が広げられて天日干しされているのに出会いました。この風景は上里古鎮だけでなく、名山でもあちこちで見られます。保存食として乾燥されているだけでなく、白酒の材料ともなるのだそうです。

古い建物の間に新しく作られた建物も混在して独特の雰囲気を出しています。新しく作られる建物は周囲の景観を崩さないように昔の建築様式で作られています。
比較的雅安市内やパンダ繁殖基地からアクセスしやすい場所にもあることから多くの観光客が訪れる観光地でもありますが、観光客と昔と変わらずそこで生活する人々が混在する、不思議で暖かい集落でした。

上里古鎮

集落は川に沿って建物が続いていて昔ながらの薬屋さん、雑貨屋さん、お茶屋さんなどが並んでいます。観光地としてお土産屋さんやレストランもありますが、半分以上はこの古鎮に暮らす人々が利用する生活に密着したお店です。
観光用に保存されているように見える古い建物でも、昔と変わらずに人々が暮らしている家であったりします。

建物は古いだけでなく、非常に凝った美しい作りをしているものが多く見られます。このあたりは水に恵まれ、豊かな土地であったために農業やお茶の産地とその商業拠点としてかなり栄えました。そうして得た財を子供たちの教育に使うようになり、教育を受けた子どもたちは役人として出世したことで、当時、最先端だった建築技術を用いて邸宅を建てたそうです。
上里古鎮が五家口という別名を持つ集落であるのは、なかでも有名で壮麗な韓家、陽家、陳家、張家、許家といった名家があったからと言われています。今でもそのいくつかは残されていて見学することもできます。中には宿泊施設として利用できる建物もあります。

二仙橋

このあたりはは橋がとても多くあります。水に恵まれた土地であるため、上里古鎮には古代から近代にかけて十本の橋が造られているそうです。清代の乾隆帝年間に作られた二仙橋や立交橋が石造りのアーチ型でとても美しく、今も昔と変わらず使われています。

流石にもう使われてはいませんが、清代の水車小屋や川の流れを利用して動く石臼の粉挽き小屋なども見学できます。

上里古鎮

古鎮を川沿いに奥へと歩いて行くと茶座が並んでいます。茶座というのは四川省のあちこちで見られる青茶茶館です。成都市内では公園や寺院などに、雅安などでは川沿いなどの景色の良いところに設置されていて、お茶を楽しみながらトランプやお喋り、読書をする地元の方々でいつも賑わっています。素敵な習慣ですね。

私たちも茶座でお茶をいただきながら一休み。このあたりで作られる蒙頂甘露や蒙頂黄芽などを楽しみました。


四川高山紅茶
四川高山紅茶

伝統的な四川紅茶の製法を何年もかけて研究して生まれた四川高山紅茶です。
一般的な四川紅茶よりももっと香り高く深い甘みを持つこの紅茶は、鈴茶堂でも人気のあるお茶の1つです。
天然の茶葉の香りとは思えないほどの香りと、砂糖を入れていないとは思えないほどの甘い紅茶を是非おためしください。


貢品 碧潭飄雪

蒙頂山で栽培された茶葉を使って丁寧に作られた蒙頂甘露に
四川省はもちろん、中国大陸でも最も品質の良い四川省楽山市のジャスミンの花を厳選して
丁寧に香りを移したジャスミン茶です。
ベースとなるお茶はもちろん、使われるジャスミンの花にもこだわり抜いて作られた美味しいジャスミン茶です。


春韻白毫

君子蘭の香りを丁寧に移した、とてもめずらしい花茶です。
このお茶のベースにも、ここ蒙頂山で作られた蒙頂甘露が使われています。
花茶が苦手な方や男性の方がハマってしまう、不思議なお茶です。

湖心亭

湖心亭

こちらは上海最古の茶館として有名な湖心亭です。
上海観光で有名な豫園の中にあり、実際に訪れたことのある方も多いのではないでしょうか?

いつも観光客で混雑している豫園ですが、意外と湖心亭の中にはお客さんの数も少なく、2階に上がると時間帯によっては他に誰もいないような状態になっていたりする穴場でもあります。
この時も私たち以外に2階は誰もいない状態で、暫くの間貸切状態でくつろぐことができました。

湖心亭

茶譜(お茶のメニュー)は中国各地のお茶が並んでいます。
青茶(烏龍茶)をオーダーすると一番上の写真のように1煎目はお店の方が工夫茶の形式で淹れてくださいます。この時は同行されていたお客様が鳳凰単叢を、私は緑茶をお願いしました。緑茶の名前は忘れてしまったのですが、上海市のお隣にある浙江省で作られる緑茶で、あまり遠くの地域まで流通することのない、地域で消費されるような地元密着型の緑茶です。
中国各地にはこのようなお茶が沢山あって、中には名前すらないものも。素毛峰や炒青とだけ書かれている緑茶も各地にあります。こうしたお茶を含めると、中国茶はなんて数が多いのだろうと改めて驚かされますね。
こうした名前の知られていない、まだ出会ったことのないお茶を楽しめるのが旅の一番の楽しみであったりします。

湖心亭

今回確認していませんが、1階と2階で茶譜が違ったと思います。
確か1階には湖心亭オリジナルの茶器やお茶のショップと有料試飲がメインで、普通に茶館として楽しむこともできますが、ショップの売り込みなどもあり、ゆっくりしたい場合は2階を是非おすすめします。その分若干2階のお値段は高めになっていますが、茶館ですので標準的な価格設定になっています。日本の喫茶店の感覚では高いと思われるかもしれませんが、何煎も楽しめる中国茶ですから、もういいやと思うまで滞在できる分の席料もあると考えていただければと思います。

湖心亭

湖心亭の2階からの景色です。
茶館の中は本当に静かで、外に見える豫園の喧騒が嘘のようです。
夏の暑い盛りでしたが、ちゃんとエアコンも効いています。ご安心を。

このあたりではなかなかゆっくり休憩できる場所もないので、意外といつも空いている湖心亭は有難い存在です。
また、朝も8時半から開店しているとのこと。早朝の散歩コースに取り入れても良さそうですね。

湖心亭
上海市豫园路257号
021–6355-8270


12月23日より台湾・中国出張のため発送業務をお休みさせていただきます。
また、年末年始にあたりますため、発送業務の再開は翌年1月4日となります。

度々の出張で発送業務をお休みさせていただき、みなさまにはご不便、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。

12月21日14時までのクレジットカード・代金引換によるお支払い方法をお選びいただいたご注文は翌日22日に発送させていただきます。銀行振込やゆうちょ銀行送金などのお支払い方法をお選びいただいた場合は、12月21日中に入金確認ができたご注文を翌日22日に発送させていただきます。それ以降のご注文は翌年1月4日以降の発送となります。

とはいえ、年末の発送業務停止は私たちも大変申し訳なく思っております。

発送業務をお休みさせていただいている間のご注文で、ご希望される方には12月30日にも発送させていただきます。
ご注文の際の備考欄に「12月30日発送希望」とお書き添えください。

年末発送のご希望が多い場合は12月30日の発送が難しい場合もございます。その場合、翌日の31日以降になるべく早く対応させていただきますが、その際にはメールにてご相談させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

発送業務をお休みさせていただいている期間も、ご注文は変わらずお受けいたしておりますが、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどにいつもより少しお時間をいただく場合がございます。
ネット接続環境が不安定な場所へも行くことを予定しておりますため、ご返信などに最長で3日程度のお時間をいただくことも予想されます。

大変ご不便をおかけしますが、どうぞご了承いただけますようお願いいたします。

大可堂 普洱会所

大可堂普洱会所

中国の茶館には大きく分けて2つのタイプがあります。
1つは気軽に利用できる元祖カフェのような茶館ですが、こちらは主に台湾や中国でも南の方に多く見られます。もう1つはビジネスの場としての茶館で、日本の料亭のような役割を持っています。北京の茶館はこのタイプが多く見られます。意外に思われるかもしれませんが、中国では商談や接待をする際にお酒ではなくお茶で行うことが多くあります。
この上海にある大可堂普洱会所は両方のタイプを合わせた茶館です。

天山茶城を見学した後はこの大可堂普洱会所でお茶をいただいてきました。

1900年台前半に建てられた洋館を利用した茶館はとても素敵な場所でした。インテリアも素晴らしく、中には高価なアンティークもあるようです。

1208shanghai_003

茶譜(お茶のメニュー)は名前の通りに普洱茶(プーアル茶)が中心です。素晴らしいラインナップで通常では入手できないようなビンテージの普洱茶が並びます。ただし、創業当初に作られた茶譜とのことで、これは是非いただいてみたいと思う普洱茶の殆どは品切れたままになっていました。確かに今となっては入手することすら困難なお茶ばかりです。再入荷の予定はたたないと思います。
高価で貴重な普洱茶以外にもお手頃な普洱茶も揃っています。ですが、折角ここに来ることがあるのなら熟成を重ねた上質な普洱茶を味わっていただきたいと思います。今、茶譜にあるそういったお茶も無くなれば再入荷されることはないと思いますし、何より本当に入手の難しい普洱茶ばかりです。ぜひ普洱茶の本当の美味しさを味わってみてください。全く違うことに驚かれると思います。

ここのオーナーさんは相当なコレクションを持っていたのですね。凄いです。

1208shanghai_004

私たちは1990年台初頭の中茶牌8653鉄餅をいただきました。茶葉はグラムで指定できます。8g、12g、16gと選べますが大人数ではない限り8gで大丈夫です。こちらは8gで500元(約6700円)でした。安いお値段ではありませんが、茶館ということやお茶うけも含まれていること、グループで1つのオーダーで良いことを考えれば良心的な価格だと思います。

お茶はお店の方が丁寧に淹れてくださいます。非常に良質な普洱茶ですので何十煎も楽しめます。

中茶牌8653鉄餅はとても甘く美味しい普洱茶でした。

大可堂普洱会所
中国・上海市徐汇区襄阳南路388弄25号(近永嘉路)
021-64676577 64675077


大益 2009年 普洱熟散茶
大益 2009年 普洱熟散茶

普洱熟茶には定評のある勐海茶厂(モウ海茶廠)の大益・普洱熟散茶です。大益には珍しく固形茶ではなく散茶の形状で2009年の製造です。
深みのある旨味と甘味がある美味しい普洱熟茶です。
香りはナッツのような香ばしい香りとナツメのような果物の香りがある、とても美味しい普洱熟茶に仕上がっています。もちろん、カビ臭さなどは一切感じません。湯温が高い時にはアミノ酸系の旨味が強く感じられます。湯温が下がってくると回甘が強くなってきて、果物のような味と香りが強く出てきます。

下关特级沱茶 2007年
下关特级沱茶 2007年

云南下关茶厂(雲南下関茶廠)の2007年特級沱茶です。
下関茶廠は雲南省临沧(臨滄)地区の春摘みの喬木型雲南大葉種のみを使用して沱茶(お椀型の普洱茶)を作り続けている歴史ある茶廠です。沱茶であれば下関茶廠の右に出るものはいないほど品質の良い普洱茶を作り続けていることで知られています。
気品を感じるような爽やかな甘味と旨味があり、甘味、旨味、微かな渋味のバランスがとても良くとれています。煎持ちもかなり良く、1日中楽しんでいただくこともできるお茶です。
今も十分楽しめ、これからも長く数十年単位で楽しめる上質な普洱生茶です。