2016年 どうもありがとうございました!

麗江 玉龍雪山
中国雲南省麗江 玉龍雪山(白沙古鎮から)

2016年もあと僅かとなりました。
今年は予想以上に多くのみなさまにご利用いただき、本当にどうもありがとうございました。
鈴茶堂は5年目を迎えることができました。

2011年の12月に鈴茶堂を立ち上げた際、5年間を節目と考えておりました。
日本での中国茶の販売は事業としては厳しい状況にあります。
また当店の扱うお茶はその中でもどちらかと言うとマニア向け
一般的に「売れる」お茶ではないものも多く
日本のみなさまに受け入れていただけるかどうか、手探りの5年間でした。
おかげさまで、毎年少しづつではありますがご利用いただくお客さまも増え
特に2016年、今年からは私たちも驚くほどにご利用いただくことが増えてまいりました。
これからも鈴茶堂として続けていくことができます。
どうもありがとうございます。

2016年は春に福建省へ、冬は雲南省へと、それぞれのお茶の産地を訪問させていただきました。
今年は外国人が行くには少し難しい場所を中心に訪問しましたが
その分、とても大きな収穫がありました。
そして各地の茶業さん、作り手さんだけでなく、中国で高名なお茶の専門家の方々など
思いもよらない縁がたくさん、予想もしないほどに広がった年でもありました。
まだ訪問時のブログが途中ではありますが、順次ご紹介させていただきたく思います。

来年はWebショップ以外にも活動を広げていこうと考えております。
多くのお客さまからご要望をいただいておりました
お茶の淹れ方、お茶についての講習会を都内ではありますが開催することを計画しています。
また、お茶会も不定期ではありますが続けていきたいと思っています。

新年はメールマガジンご購読者の方を対象に特別販売を企画しております。
こちらもぜひご期待ください。

これからも当初からのポリシーである
私たちが美味しい、飲みたいと思うお茶、使いたいと思う茶器しかご紹介しない
という基本に忠実に、日本および中国スタッフ一同、努めてまいります。
来年もどうぞよろしくお願いします。

どうぞ良いお年をお迎えください。


2016年の発送は受付を終了させていただきました。
年明け2017年1月11日まで発送業務をお休みさせていただきます。
発送業務をお休みさせていただいている期間もご注文は変わらずお受けいたしておりますが、中国出張中のため、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどにいつもより少しお時間をいただく場合がございます。
ご不便をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

客家のお茶作り

雲水謡

漳平を後にして、次に向かったのは漳州市南靖県にある雲水謡古鎮です。ここでは客家の土楼に宿泊してお茶作りを見ることができました。
客家土楼は世界遺産にも指定されていますが、有名な土楼は主に同じ漳州市でも永定県、山をいくつか越えた場所にあります。この雲水謡古鎮はあまり交通の便が良い場所ではないせいか、比較的観光客の少ない落ち着いた村になっています。
この地域には客家が多く住んでいるため、たくさんの土楼があります。ほとんどは地元の人が実際に生活をする土楼で観光客は中に入ることはできません。いくつか観光用に開放されている土楼もありますが、生活用の土楼とは全く雰囲気が違います。今回宿泊した土楼は実際に客家の人たちが住む土楼で、宿泊することでゆっくり生活に密着した土楼を見学することができました。

雲水謡

土楼の周囲は茶畑です。この村の中、周囲はほとんど茶畑といってよいほどです。この地域のお茶は鉄観音ではなく金観音が多いようで、自家消費用であったり、有名な茶産地ではないので全国に流通するわけではありませんが、厦門などへも出荷されているようです。ちょうど訪れた5月は製茶の真っ只中で、集落のあちらこちらで製茶が行われていました。

雲水謡

基本的に小規模な茶農家さんが多く、素朴な製茶方法でお茶を作っています。製茶機械は最小限といったところで、基本的に自家消費、地域消費の地元密着型のお茶づくりです。畑仕事をしながら、家事をこなしながら家族全員で製茶を行うといった、昔ながらの、お茶づくりの原点のような風景を見ることができます。そんなお茶づくりをしているせいか、この村の人たちは自分たちの作ったお茶を販売するということには、あまり執着していないようです。生活に根ざしたお茶です。

雲水謡

この地で仲良くなった地元の方に金観音を分けていただきました。6月のお茶会のお土産にお持ちいただいた金観音がそのお茶です。決して製茶技術が上手な訳でも、綺麗に団揉されている茶葉ではありませんが(どちらかと言えば、きちんと団揉されていない茶葉です)、自家用にと作られたそのお茶の素朴な美味しさは他にはない優しい味わいであったと思います。実際、お茶会にご参加いただいた方からも販売のリクエストをいただきましたが、元々が自家用のお茶のため、生産量が少なく、販売するほどの量を確保することができません。

雲水謡

村は樹齢1000年を超えるガジュマルの木があり、大きな川を囲むように昔からの石畳が美しい場所でした。10年前ほどの映画「雲水謡」のロケ地にもなったほどの素朴で美しい自然に囲まれた場所です。
こうした素朴で美しい場所の土着のお茶も、いつかご紹介できたらと、新たに友人になった茶農家さんと今も連絡をとりあっています。有名なお茶や高価なお茶ももちろん美味しいのですが、またこうした人の生活に密着したお茶もとても美味しいものです。何年かかかるかもしれませんが、ぜひこうした生活の原点のようなお茶も楽しんでいただくことができればと思っています。


12月19日から1月11日までのあいだ中国出張のため、発送業務をお休みさせていただきます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
今回は中国でも遠方、雲南省の西双版納の方まで足を伸ばすため、かなり長期間のお休みとさせていただいております。

発送業務をお休みさせていただいている期間もご注文は変わらずお受けいたしておりますが、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどに、いつもより少しお時間をいただく場合がございます。特に今回は通信環境の無い地域へ訪問している期間もございますため、最長で1週間程度お時間をいただく可能性もございます。
大変ご不便をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

炭焙煎 漳平水仙

漳平

炭焙煎の漳平水仙を作る茶農家さんも訪問させていただきました。
通常の漳平水仙は電気の乾燥機を使って乾燥や焙煎を行います。電気のないころは炭焙煎が普通であったと思いますが、火の調節などが難しく、現在、炭焙煎を行うことのできる茶農家は数件となってしまいました。
この茶農家さんでは昔からの製法を変えること無く、今も炭焙煎のみの漳平水仙を作り続けています。

漳平

造形し、紙で包んだ漳平水仙をこのような篭に入れて焙煎を行っていきます。この焙煎篭は武夷山などのものと似ていますが、少し形状が異なるようです。見た感じでは若干こちらのほうが口が広く、浅いような印象です。
炭焙煎と聞くと茶色い焙煎がしっかり効いた茶葉を思い浮かべますが、この焙煎具合にも色々あります。軽火のものから重火まで、その時の茶葉の状態を見て決めていくそうです。

漳平

数時間おきに天地をかえして、まんべんなく焙煎できるようにします。この焙煎工程は茶葉の状態にもよりますが、最低でも2〜3日。長い場合は茶葉を休ませながら1週間から1ヶ月以上になることも。最初の焙煎、2日位はほとんど徹夜で作業にあたります。焙煎を行うことのできる作り手さんが少ないこともあり、大変な重労働です。
この茶農家では茶摘みから焙煎までのすべての工程を自分たちで行います。時期によっては他の茶農家から持ち込まれた漳平水仙の焙煎依頼もあるそうですが、電気乾燥機で焙煎する場合と炭焙煎で行う場合では発酵度合いを変えた方が良いなど、なかなか思うような仕上がりにはならないようです。焙煎工程を理解しているからこそ分かるという、まさに職人の技術ですね。

漳平

頻繁に炭の状態をチェック、灰を被せて火の調節を行います。この火の調節が本当に難しく、技術を問われます。散茶の形状の茶葉と異なり、紙で包まれている漳平水仙の場合は水分量を低下させることも、均一に焙煎を行うこともなかなかできることではありません。散茶の焙煎よりもずっと長い時間が必要な上、より低温で行うことが求められます。そんな大変な作業のせいか、年々炭焙煎のものは生産量が低下しつつあります。

漳平

この茶農家では使用する炭も自家製にこだわっています。炭の質が悪いとうまく焙煎ができないとのことで、製茶の時期に合わせて炭から作っているそうです。これは本当に大変なことです。炭の材料となる木材探しから(山の中へ入って自分で探すそうです)、その炭焼きまで作り手が一人で行うというのは他に聞いたことがありません。武夷山などでも天然木から作られた炭(練炭を使うことも多いので)を使う作り手さんはいますが、炭焼きからというのはなかなかいません。

炭焙煎を行った漳平水仙は清香系のものもありますが、多くは軽火(軽焙煎)と重火(重焙煎)です。先日ショップでご紹介した炭焙煎は重火タイプのものになります。(完売いたしました。ありがとうございます。)
近年は焙煎を行った漳平水仙でも電気乾燥機を使用したものが多いのですが、炭火焙煎のものはまた香りや味わいの深さが異なります。


漳平水仙 紅茶 2016年秋茶
漳平水仙 紅茶 2016年秋茶

甘い果実香と深みのある旨味、甘さを持っています。
中国紅茶にしては珍しく甘く柔らかい中にミネラル感も感じることができます。
紅茶でありながらも煎持ちが非常によく、かなり長く楽しめます。英徳紅茶にも通じるような心地良い独特な余韻もしっかり感じられます。


12月19日から来年1月11日までのあいだ中国出張のため、発送業務をお休みさせていただきます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
今回は中国でも遠方、雲南省の西双版納の方まで足を伸ばすため、かなり長期間のお休みとさせていただいております。
12月16日22時までにクレジットカード・代金引換によるお支払い方法をお選びいただいたご注文は12月18日までに発送させていただきます。銀行振込やゆうちょ銀行送金などのお支払い方法をお選びいただいた場合は、12月16日中に入金確認ができたご注文を12月18日までに発送いたします。それ以降のご注文は来年1月12日以降の発送となります。また、ご注文が混みあう場合はお休み前の発送締め切りを早めさせていただく場合もございます。ご了承ください。
発送業務をお休みさせていただいている期間もご注文は変わらずお受けいたしておりますが、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどに、いつもより少しお時間をいただく場合がございます。特に今回は通信環境の無い地域へ訪問している期間もございますため、最長で1週間程度お時間をいただく可能性もございます。
大変ご不便をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

漳平水仙 発祥の地

漳平

漳平水仙の発祥の地とされる茶農家さんを訪問させていただきました。
一口に漳平といってもかなり広い地域になります。漳平水仙を作っているのは漳平市ですが、これは広さにして日本の1つの県位はあります。その中でも双洋镇と呼ばれる地域で行われていますが、それでもそれなりの広さがあります。その中でも漳平水仙発祥の茶農家さんは山の中の方にあります。

漳平

こちらも昔ながらの土壁の農家で、かなり大きい方ではないかと思います。茶畑のある山の中腹にある集落の1つで、今も人が変わらず製茶や農業を営んでいます。メインはお茶作りですが、他の茶農家と同様に養蜂も行われていました。
漳平の中でもこの茶農家を含むこの集落が最も昔から漳平水仙を作ってきた人たちです。今も漳平の他の地域から製茶技術を学びに訪れる人が絶たないとのこと。ここの作り手さんたちも快く教えているようです。

漳平

古い農家ですが、かなり立派な闽南式建築で見応えがあります。基本的にこの地域は土壁で、これは温湿度の調節にも役立っているそうです。日本と同じですね。
最近は現代式のコンクリートによる家も増えているそうですが、昔ながらの土壁の家の方がはるかに快適とのこと。ただし、この建築方法を行うことができる技術者が年々減ってしまっているそうで、壊れてももう直すことが難しいそうです。お茶に限らず技術の伝承というのは難しいですね。

漳平

訪問した際には造形工程が行われていました。基本的に家族総出で行います。他の地域と少し造形方法が異なります。これは本来の作り方がこれだったということではなく、人手不足を補うために造形方法を変えたのだそうです。製茶にあたっての人手不足はどの地域でも深刻な問題です。特に漳平水仙のような特殊なお茶は他の地域から技術者を呼ぶ訳にもいきません。

漳平

一度にたくさんの固形茶を造形できるように工夫されています。四角形のセルクルのような型を並べて、そこに毛茶(荒茶)を詰めて蓋をして、大きな万力のような機械で一度に圧力をかけて固めます。この方法だと1つ1つ作る必要がなく、一度にたくさんの固形茶を作ることができ、またお茶を詰める人、圧力をかける人と分業も可能になります。

漳平

家の裏の山には茶畑が広がっています。こちらは完全な自然農法、まったく何も手を入れていない茶畑です。最初から手をかけないと決めていたのではなく、ここ数年は人手不足が深刻で、茶畑の整備まで手が回らなくなってきてしまったとのこと。また、作り手もこの集落にはわずか3名となってしまい、今年は摘み取ることすら出来ない茶畑が半分以上になったとか。以前は紅茶も作っていたそうですが、今はそこまで手が回らないとのこと。漳平水仙の紅茶は作ることができる作り手、茶農家さんが限られているので残念です。
わずかに残る作り手さんのうちの1人にお話をお伺いしました。製茶時期でお忙しい状況であったにも関わらず、できたばかりの漳平水仙を数種類淹れてくださり、お茶のこと、自然のこと、村のこと、色々なことを教えていただきました。ありがとうございます。


漳平水仙 紅茶 2016年秋茶
漳平水仙 紅茶 2016年秋茶

甘い果実香と深みのある旨味、甘さを持っています。
中国紅茶にしては珍しく甘く柔らかい中にミネラル感も感じることができます。
紅茶でありながらも煎持ちが非常によく、かなり長く楽しめます。英徳紅茶にも通じるような心地良い独特な余韻もしっかり感じられます。

南糯山 古樹雲南紅茶 2016
南糯山 古樹雲南紅茶 2016

通常、雲南紅茶は俗に言う茶畑で栽培された若い栽培茶樹から作られますが(台地茶)、この紅茶は上質なプーアル生茶を作るような、少数民族が代々大切に守ってきた古茶樹から手摘みで丁寧に摘み取られた茶葉から作られています。

雲南紅茶は甘味を出しやすく、飲んで誰もが美味しいと思うお茶が多いものです。その反面、味わいが単調で飽きやすい、飲み続けにくいということもあります。この雲南紅茶は複雑さと奥行きの深さが違います。

2016年はここ数年では一番と言えるほどに美味しく上質に仕上がりました。
複雑なミネラル感、上品な香りと甘味のバランスが最高の仕上がりとなっています。


12月19日から来年1月11日までのあいだ中国出張のため、発送業務をお休みさせていただきます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
今回は中国でも遠方、雲南省の西双版納の方まで足を伸ばすため、かなり長期間のお休みとさせていただいております。
12月16日22時までにクレジットカード・代金引換によるお支払い方法をお選びいただいたご注文は12月18日までに発送させていただきます。銀行振込やゆうちょ銀行送金などのお支払い方法をお選びいただいた場合は、12月16日中に入金確認ができたご注文を12月18日までに発送いたします。それ以降のご注文は来年1月12日以降の発送となります。また、ご注文が混みあう場合はお休み前の発送締め切りを早めさせていただく場合もございます。ご了承ください。
発送業務をお休みさせていただいている期間もご注文は変わらずお受けいたしておりますが、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどに、いつもより少しお時間をいただく場合がございます。特に今回は通信環境の無い地域へ訪問している期間もございますため、最長で1週間程度お時間をいただく可能性もございます。
大変ご不便をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

水仙茶合作社見学

漳平

漳平では水仙茶合作社の見学もさせていただきました。

当店の漳平水仙はここのものではありませんが、この水仙茶合作社は国からの補助金と村人たちの一部が資金を出し合って設立した会社です。もちろん、当店がお世話になっている茶農家のように参加せず、自分たちだけで製茶を続けているケースもありますが、現在市場に流通している漳平水仙の多くは、この合作社を経ているのではないかと思います。

漳平

個人の茶農家では揃えるのが大変な製茶機械も全て共同で使用することができます。栽培した茶葉の摘み取りも製茶も全て共同で行うため、個人の負担を減らすという意味ではとても良い方法であると思います。特に漳平水仙のような特殊なお茶は専用の製茶機械は殆ど存在しません。そのため、一般的な製茶機械を工夫しながら使用していくしかありません。その分、手間がかかってしまったり、時間がかかってしまうという問題があり、それを個人の茶農家で吸収していくのはなかなか大変なことです。

漳平

丁度訪問した際は造形工程を行っていました。作業をしている人たちは、この会社に出資をした村の人達です。
漳平水仙の造形は荒茶(毛茶)の状態、まだ水分の多い柔らかい茶葉を1つ1つ型に入れて押し固め、専用の紙で包んでいきます。これがなかなか難しく、少し作業を体験させていただきましたが、適量に綺麗に整形するのは技術が必要です。

漳平

これが造形に使用する型です。この型も自分たちで作っています。型の中には鉄の重しが入っているので、なかなか重量のある木型になっています。一般的にはこの型を使用しますが、茶農家によっては別の形状の型を使用する場合もあります。それについてはまた追ってご紹介したいと思います。

この漳平でも人手不足は深刻な問題です。こうした合作社はその人手不足を解消するのにも役立っているようです。各個人の茶農家が製茶を行うよりも、お互いに協力して製茶を行うほうがずっと効率がよく、人手も集まります。

漳平

こうして紙に包んだ状態になった茶葉を感想、焙煎していきます。紙ごと乾燥を行うこと、固形になっていることなどからも通常の乾燥機をそのまま使用することはできません。散茶の状態を想定している乾燥機では温度が高すぎてしまいます。そのため、茶葉の様子を頻繁に確認しながら乾燥機の扉を開けながら行います。この扉を開ける角度も含め、乾燥時の温度管理は作り手さんの腕次第です。

合作社は人手不足などの問題解消にはとても有効な対策の1つだと思います。一方で一定の品質は保たれるものの、茶農家さん、作り手さんによって変わる品質、味わいが全て均一化されてしまうという問題もあります。それでも福建の中でも取り残されてしまった感のある漳平水仙が、今後市場で生き残り続けていくためにも合作社の役割には期待をしたいところです。


新会柑 珍珠青柑
新会柑 珍珠青柑

陳皮プーアル茶の1種ですが、青い小さな新会柑と呼ばれる広東省の果実の中に宮廷級プーアル熟茶を詰めて焙煎しているお茶です。これがプーアル茶ではなく、上質なアールグレイのように爽やかで美味しいお茶に仕上がっています。

雲南省の西双版納モウ海茶区で作られたプーアル熟茶を茶枝柑と呼ばれる果実の中に詰め焙煎、熟成を行ったお茶です。ここ数年、中国で徐々に流行りはじめ、様々な品質のものが流通するようになりました。通常は陳皮プーアル茶と呼ばれるオレンジ色の果実に詰め込んだプーアル熟茶ですが、これは新会柑と呼ばれる広東省の果実、中でも青柑を使用しています。非常に香りが爽やかなのが特徴で、その香りはまるで上質なアールグレイのように素晴らしく美味しいお茶に仕上がっています。

近頃は天然のアールグレイ果汁を使った紅茶は少なくなりましたが、これはそれを思い出させるような素晴らしい香りと味わいを持っています。青柑の爽やかで品のある香りはもちろん、プーアル熟茶の深みのある柔らかい旨味と甘味がプーアル茶であることを忘れさせてしまうほどにバランスよく味わい深いお茶になっています。
人工香料には決してまねできない品格のある高い香りと深い味わいがお楽しみいただけます。

漳平水仙の産地

漳平

漳平水仙の産地を訪問してきました。

数年前、漳平水仙を初めてご紹介した頃は日本はもちろん、中国国内でも殆ど知られていないお茶でした。福建省南部以外の場所で漳平水仙と言っても知らない茶商が殆どといった感じで、日本でも知名度の無いマイナーなお茶としてWebショップでご紹介しても殆ど売れなかったお茶でした。今では中国国内での知名度も少しずつアップし、日本でも少しずつ人気が出てきているようです。おかげさまで毎年、前年の倍以上の量を入荷し続けておりますが、殆ど完売する状況で、嬉しくありがたく思っています。漳平水仙の知名度アップに少しながらお手伝いできたかと思っていますが・・・

当店の漳平水仙の故郷はこのような昔のままの村で作られています。土壁の昔ながらの茶農家で、話には聞いていたものの実際の村がとても素朴な状態のままであることに驚かされました。

漳平

漳平水仙の産地全てがそうではないのですが、この村では茶畑と山、そして人が住む村について昔から変わらず守られている事柄があります。それは山の上の方、頂上付近には茶畑を作らないことが1つです。これは山とその自然を守ることが目的で、たしかに茶樹は一般的にあまり深く根を生やしません。そのため、斜面を全て茶畑にしてしまうと崩落が発生したりすることがあります。そういったことを防ぐためにも山の上の方、3分の1は原生林のまま手をつけないというルールがあるそうです。
もう1つは茶畑より上に家を建てないということ。これは茶畑を生活排水などで汚染しないようにということです。そして、化学肥料や農薬は絶対に使わないということ。たとえ種子の殺菌剤であっても薬は使用しません。これが徹底されています。その徹底ぶりがすばらしく、ここまで環境、茶畑に配慮する茶産地は私も初めて見ました。

漳平

漳平水仙には桂花香型と蘭花香型と大きく2種類に分けられます。これは茶畑の標高の違いです。比較的低い場所の茶畑から摘み取られたものは桂花香型とされ、山の上の方、1割ほどの場所から摘み取られた茶葉から作られたものが蘭花香型となります。この香りの差は標高差によって作られるもので、台湾などの高山気と同じようなものです。蘭花香型の方が清涼感のある透明な香気が感じられます。
写真は蘭花香型となる茶畑です。藪のようにしか見えませんが、ちゃんとした茶畑になっています。人の手は最低限しかかけずに自然のままに作る、山と共生していくという姿勢が徹底されているのがよくわかります。

余談ですが、紙で包むこの製茶方法が台湾の包種茶の元となったと言われています。漳平とこの周辺で昔から行われていた製茶方法が台湾へ伝わり、今の包種茶となったそうです。

漳平

漳平水仙の茶畑は生き物がたくさんいます。これは一般的に無農薬有機栽培を行っている茶畑よりもずっと多いです。かつて一度も化学肥料や農薬を使ったことのない土、土地ならではの光景です。ですので、漳平水仙の茶葉には細かい虫食いの跡がたくさんあります。あまりにも多い場合は製茶に使うことはできませんが、写真程度の状態では普通に製茶に使用されます。この場所では自然の生き物を受け入れ、共に生きていくということが当たり前に受け入れられています。害虫ではなく、共に生きる仲間という感覚のようです。ですので、特に駆除などはせず、対策としては茶葉よりも虫が好む木、果樹などを茶樹の近くに植えるという程度しか行いません。

漳平

また、特徴的なのはこの巣箱です。茶畑で養蜂も行っています。茶樹の間や農家の軒先などにたくさん設置していて、この養蜂も村の重要な収入源となっています。とても香りの良い美味しい蜂蜜になります。
他にも茶油なども作られています。茶産地では茶油も作ることがよくありますが、この漳平水仙の茶油は今まで色々と試してきた中でも一番と言って良いほどに香りが良いものでした。


漳平水仙 紅茶 2016年秋茶
漳平水仙 紅茶 2016年秋茶

甘い果実香と深みのある旨味、甘さを持っています。
中国紅茶にしては珍しく甘く柔らかい中にミネラル感も感じることができます。
紅茶でありながらも煎持ちが非常によく、かなり長く楽しめます。英徳紅茶にも通じるような心地良い独特な余韻もしっかり感じられます。


12月19日から来年1月11日までのあいだ中国出張のため、発送業務をお休みさせていただきます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
今回は中国でも遠方、雲南省の西双版納の方まで足を伸ばすため、かなり長期間のお休みとさせていただいております。
12月16日22時までにクレジットカード・代金引換によるお支払い方法をお選びいただいたご注文は12月18日までに発送させていただきます。銀行振込やゆうちょ銀行送金などのお支払い方法をお選びいただいた場合は、12月16日中に入金確認ができたご注文を12月18日までに発送いたします。それ以降のご注文は来年1月12日以降の発送となります。また、ご注文が混みあう場合はお休み前の発送締め切りを早めさせていただく場合もございます。ご了承ください。
発送業務をお休みさせていただいている期間もご注文は変わらずお受けいたしておりますが、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどに、いつもより少しお時間をいただく場合がございます。特に今回は通信環境の無い地域へ訪問している期間もございますため、最長で1週間程度お時間をいただく可能性もございます。
大変ご不便をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

小青柑 白牡丹 入荷しました! / 発送業務お休みのお知らせ

小青柑 白牡丹
小青柑 白牡丹

大変人気のある珍珠青柑の白茶版とも言える小青柑 白牡丹が入荷しました!

中国の福建省福鼎市で作られた白茶、白牡丹を茶枝柑と呼ばれる果実の中に詰め、焙煎、熟成を行ったお茶です。
白茶に青柑の香りが合わさり、すっきりと爽やかな白茶になっています。天然のフレーバーティーのような白茶です。

8月から10月にかけて収穫された青柑に白茶の白牡丹を丁寧に詰め、何日もかけて低温で焙煎を行っています。


植榕斉 特注壷
植榕斉 特注壷

黒茶の名店と名高い植榕斉茶行が特注で作らせた紫砂茶壷です。

大変上質な泥料と均整のとれた美しい造形はさすがといった完成度です。少数のみのこの特注品を今回は特別に分けていただきました。
非常に使いやすく手に馴染み、また出水が非常に綺麗です。泥料も素晴らしく、自然な艶が非常に美しく出ています。作家ものでもここまでの完成度の茶壺はなかなかありません。


12月19日から来年1月11日までのあいだ中国出張のため、発送業務をお休みさせていただきます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
今回は中国でも遠方、雲南省の西双版納の方まで足を伸ばすため、かなり長期間のお休みとさせていただいております。
12月16日22時までにクレジットカード・代金引換によるお支払い方法をお選びいただいたご注文は12月18日までに発送させていただきます。銀行振込やゆうちょ銀行送金などのお支払い方法をお選びいただいた場合は、12月16日中に入金確認ができたご注文を12月18日までに発送いたします。それ以降のご注文は来年1月12日以降の発送となります。また、ご注文が混みあう場合はお休み前の発送締め切りを早めさせていただく場合もございます。ご了承ください。
発送業務をお休みさせていただいている期間もご注文は変わらずお受けいたしておりますが、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどに、いつもより少しお時間をいただく場合がございます。特に今回は通信環境の無い地域へ訪問している期間もございますため、最長で1週間程度お時間をいただく可能性もございます。
大変ご不便をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

安渓 茶都

安渓 茶都

感徳の村を後にして、安渓の都市部まで戻ってきました。訪問させていただいた感徳の村は、やはり山の中にあるため、同じ安渓でも都市部まで戻るのには数時間かかります。まずは安渓での宿を決めて、急いで茶都に向かいました。

安渓には主に鉄観音の集積市場とも言える市場があり、それがこの茶都です。実際にお茶を仕入れるかというと、全てがそうではないのですが、決まった販路を持たない、あるいは新たに販路を拡大したい茶業や茶農家がこの茶都に集まります。また、茶市場としても機能しているため常設の店舗もあります。

安渓 茶都

中心部にはこのように店舗を持たず、青空市場のように茶葉が並んでいます。(実際には屋根があります)この時は既に夕方近かったため、かなり販売者も少なくなっていましたが、鉄観音のみでこの量は圧巻です。
これらの販売者は殆どが周辺の農村地帯から、これらの荷物を抱えてここまでやってきます。中にはバスを乗り継いでという人も。ですので、とにかく売りたいという気持ちが強く、歩いているだけでかなりの客引きにあいます。

安渓 茶都

品質は様々です。正直に言えば、あまり良いお茶は無かったようです。これは時間的なものもあるかもしれませんし、時期的なものもあるかもしれません。とはいえ、日本へ輸入する場合、このような市場では品質のトレースができませんので、実際には入手することはできません。ですので、一通り見学という形で終了していたのですが、常設店舗のある卸売店の方がまだ良い品質のものが多いように見受けられました。
個人用にせよ、何にせよ、原産地であっても、きちんと後までトレースできる信頼できる店舗から入手するのは変わらないですね。やはり口に入るものですから・・・

安渓 茶都

基本的には鉄観音が殆どという市場ですが、資本力のある茶業によるプロモーションも行われていました。この時も鉄観音のかなり大きな茶業さんと別に漳平水仙の茶業さんも来ていました。
この漳平水仙の茶業さん、ここ数年でかなり資本力を付けて出てきているので、その品質はともかく漳平水仙の知名度アップに頑張っているようです。この安渓以外でもちらほらと見かけるようになりました。


新会柑 珍珠青柑
新会柑 珍珠青柑

陳皮プーアル茶の1種ですが、青い小さな新会柑と呼ばれる広東省の果実の中に宮廷級プーアル熟茶を詰めて焙煎しているお茶です。これがプーアル茶ではなく、上質なアールグレイのように爽やかで美味しいお茶に仕上がっています。

雲南省の西双版納モウ海茶区で作られたプーアル熟茶を茶枝柑と呼ばれる果実の中に詰め焙煎、熟成を行ったお茶です。ここ数年、中国で徐々に流行りはじめ、様々な品質のものが流通するようになりました。通常は陳皮プーアル茶と呼ばれるオレンジ色の果実に詰め込んだプーアル熟茶ですが、これは新会柑と呼ばれる広東省の果実、中でも青柑を使用しています。非常に香りが爽やかなのが特徴で、その香りはまるで上質なアールグレイのように素晴らしく美味しいお茶に仕上がっています。

近頃は天然のアールグレイ果汁を使った紅茶は少なくなりましたが、これはそれを思い出させるような素晴らしい香りと味わいを持っています。青柑の爽やかで品のある香りはもちろん、プーアル熟茶の深みのある柔らかい旨味と甘味がプーアル茶であることを忘れさせてしまうほどにバランスよく味わい深いお茶になっています。
人工香料には決してまねできない品格のある高い香りと深い味わいがお楽しみいただけます。

おかげさまで5周年を迎えます! / 紫砂茶壺 入荷しました!

福建土楼
福建土楼

12月13日で鈴茶堂Webショップはおかげさまで5周年を迎えます。

2016年は今までにないほど多くのお客さまにご利用いただき、年を追うごとにお客さまが増えてくださっている状況は、日本、中国のスタッフ共々本当に大変うれしく感謝しております。
どうもありがとうございます。
特に日本側スタッフが1名体制となっていることに加えて、今年からは中国出張が増え、日本を不在にしていることが多いため、色々とご不便をおかけすることが多かったにも関わらず、たくさんの方に変わらず、そして今まで以上にご利用いただけたことは、お茶を探し、選ぶにあたって、私どもにとって大きな励みとなります。ありがとうございます。

5年目もたくさんの茶縁が広がった年でした。ご紹介しきれていないものの、魅力的な作り手のみなさま、お茶とたくさん出会いました。近い将来、ご紹介していきたいと少しずつ動いているお茶もいくつかあります。
6年目は今まで以上に美味しいお茶や納得できる品質の茶器などを、もっともっと日本のみなさまにご紹介していけるように努めてまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。

お世話になっているみなさまにお礼の気持ちをと思い、今年も12月5日より、5000円(税抜き)以上ご注文いただいた方には、心ばかりではありますが、お茶のセットをプレゼントいたします。
プレゼントのご用意には限りがございますため、在庫が終わり次第終了となりますのでご了承ください。

また、2016年12月5日以前からメールマガジンをご購読の方のみ、紫砂茶壺を銀行振込およびゆうちょ銀行振り込みのお支払いでご注文の場合は10%引きで販売させていただきます。
ご注文の際の備考欄に「メールマガジン購読中」とお書き添えいただき、ご購読中のメールアドレスでお申込みください。2017年1月15日までのご注文を対象とさせていただきます。(クレジットカードでのご注文は対象外となりますのでご了承ください。)

どうぞよろしくお願いいたします。


尹躍琴 玉柱
尹躍琴 玉柱

助理工芸美術師の尹躍琴による玉柱です。
彼女の作品の特徴は材質、泥料の質が非常によいこと、女性らしい柔らかで精密な造形です。実際、出水も非常に良く、また近年は良質の朱泥を使用した作品が少なく高騰している中、普段使いにできる作品としては非常に上質な作品を作っています。

植榕斉 特注壷
植榕斉 特注壷

黒茶の名店と名高い植榕斉茶行が特注で作らせた紫砂茶壷です。

大変上質な泥料と均整のとれた美しい造形はさすがといった完成度です。少数のみのこの特注品を今回は特別に分けていただきました。
非常に使いやすく手に馴染み、また出水が非常に綺麗です。泥料も素晴らしく、自然な艶が非常に美しく出ています。作家ものでもここまでの完成度の茶壺はなかなかありません。


12月19日から来年1月11日までのあいだ中国出張のため、発送業務をお休みさせていただきます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
今回は中国でも遠方、雲南省の西双版納の方まで足を伸ばすため、かなり長期間のお休みとさせていただいております。

12月16日22時までにクレジットカード・代金引換によるお支払い方法をお選びいただいたご注文は12月18日までに発送させていただきます。銀行振込やゆうちょ銀行送金などのお支払い方法をお選びいただいた場合は、12月16日中に入金確認ができたご注文を12月18日までに発送いたします。それ以降のご注文は来年1月12日以降の発送となります。また、ご注文が混みあう場合はお休み前の発送締め切りを早めさせていただく場合もございます。ご了承ください。

発送業務をお休みさせていただいている期間もご注文は変わらずお受けいたしておりますが、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどに、いつもより少しお時間をいただく場合がございます。特に今回は通信環境の無い地域へ訪問している期間もございますため、最長で1週間程度お時間をいただく可能性もございます。

大変ご不便をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

早朝からの製茶

安渓感徳

福建省安渓の感徳の山の中にある村に泊めていただいた翌日は早朝から製茶を見せていただきました。
前日まで曇りがちな空も、この日は綺麗に晴れ上がり、山の中の冷たい気温に太陽の光が熱を帯びているのが感じられます。やはり福建省は太陽が強いですね。この太陽の強さが美味しい鉄観音を作り出します。
5時頃から日が昇り、日の出とともに村も活気がでてきます。早朝から畑にでる村人も多く見かけます。この村も高齢化が進んでいるようで、畑で元気に作業をする村人の中には90歳を超えているという人も珍しくありません。

安渓感徳

山肌に張り付くように建つ製茶場に息を切らしながら朝早くからお邪魔させていただきます。ちょっとした山登りのような傾斜で、ご覧の通り、本当に平地の少ない山間の小さな村です。
村の半分以上は製茶に関わる仕事をしていますが、携わっている村人の殆どは高齢者です。同じ鉄観音でも平地の大規模な茶畑や大きな工場のあるような地域であればともかく、このような山間の傾斜のきつい小さな茶畑で、最低限の製茶機械で家族で行うような茶農家では、鉄観音といえども生産量に大きな違いがあります。裕福な暮らしをできるほど生産することが出来ないというのが現状で、若い人の殆どは茶業を辞めて街へ働きに出てしまいます。

安渓感徳

まだ6時を過ぎた頃だというのに、製茶場ではフル回転で製茶が行われています。おばあちゃんやおじいちゃんが険しい崖のような茶畑で1つ1つ摘んできた大切な茶葉を1つとも無駄にしないように、真剣に製茶が続けられています。聞けば昨夜から殆ど寝ていないとのこと。それでも和気あいあいと家族ぐるみで協力しながら作業を続けています。見ている以上に重労働ですが笑顔。快く質問にも答えてくださいました。
工程毎に頻繁に試飲を繰り返し、意見も活発に出されます。それらの意見もしっかり聞いた上で家長である作り手がその程度を決めていきます。

安渓感徳

5月中旬の訪問時は主に清香系の製茶が行われています。いわゆる青い鉄観音です。下旬になると濃香系の製茶がはじまります。茶色い焙煎が行われている鉄観音が清香系です。この濃香系の鉄観音は近年はあまり作られることのなくなってしまった鉄観音ですが、この茶農家では昔から変わらず作り続けています。濃香系を作ることを止めて久しい茶農家や茶業では清香系の製茶しかできなくなってしまっている、濃香系の製茶情報を喪失してしまっていることが多く見られます。そのため、良く市場に出回っている濃香系は売れ残った清香系や品質の低い清香系を焙煎して「濃香系」と言って販売しています。これでは濃香系の美味しさが分かりません。本来の濃香系は茶葉の成長度合い、発酵の度合いも違います。濃香系を作るためには茶葉の状態が成長しすぎず、でもしっかりと成分を保っていること。そして毛茶(荒茶)の状態から休ませ、6月頃から茶葉を休ませながら炭火で焙煎を行っていきます。
2016年は雨が多く、この茶農家では残念ながら濃香系の製茶を断念してしまいました。翌月に再度訪問して焙煎も見せていただく約束をしていたのですが、来年になりそうです。とはいえ良いお茶が作れないならば妥協せず製茶しないという決断は消費者として心強く、嬉しいです。その分の収入が無くなる訳ですから、茶農家にとっては相当な決断です。品質の低いお茶は作りたくないというその姿勢は応援していきたいと思っています。


中茶牌 藍印鉄餅 春尖 2006
中茶牌 藍印鉄餅 春尖 2006

この価格帯では近年稀にみるほどの美味しく上質な普洱生茶です。
価格がお手頃ということもありますが、何より驚く位にとても美味しいということ。
特に樟香系の香りがお好きな方にはぜひ試していただきたいと思います。

中茶牌の鉄餅の歴史は古く、1950年代まで遡ります。
元々はロシアなどの輸出向けに鉄の型を使って整形する製法で作られていた普洱生茶です。通常、石と布を使って整形する普洱茶ですが、この鉄の型を使うことで独特の風味が生まれ、当時、初期生産のものは今や手の届かないほどに高価なお茶として知られています。この藍印鉄餅は2006年に作られた、その鉄餅の復刻版です。

雲南中茶公司による、この藍印鉄餅は春尖、早春の清明節前に1芯3葉で摘み取られた上質な茶葉を使用して2006年に作られました。出庫直後から広州乾倉で、ほぼ10年間熟成を行っています。

広州乾倉の中でも非常に腕の良い茶商によって熟成されているせいか、高く見事と言えるほどの綺麗な樟香が楽しめます。心地よい柔らかい収斂味、しっかりと、そして長く続く回甘とのバランスが本当に素晴らしい生茶に育っています。生茶の強さはすっかり影を潜めて、柔らかく、優しく、それでいて力強い、まさに普洱茶熟成のお手本のように育っています。

通常であれば倉熟成を行い、ここまで状態が良く、香り高い普洱茶はそれなりに高価になります。今回、黒茶専門家として大陸ではとても高名な師のおかげで現地と殆ど変らない価格でご提供できることになりました。とても美味しく、そして本当におすすめできる普洱茶です。

※1筒(7枚)でご購入をご希望の場合はお問い合わせください。(45,500円・税抜)