10月から11月の出張では福建省北部の茶産地と共に龍泉窯へ行ってきました。
日々の忙しさで旅の様子をなかなかご紹介できていないことが多いのですが、ちょっと反省して龍泉窯の様子をご紹介いたします。(茶産地の様子は茶畑と製茶場ばかりなので、あまり面白くないかと思いますが、リクエストがあれば書きます・・・)今回は在山堂の劉傑大師が私たちの訪問に合わせて柴窯(薪窯)の開窯を行ってくださるとのことでの訪問でした。
店主が前回訪問した際と違って、龍泉自体はかなり発展してきたという印象です。街中にはショッピングモールができたり、国内外から陶芸を志す人達を集めてセミナーやイベントなどを行う文化芸術交流施設もできていたり、ほんの数年でずいぶんと変わっていました。ただし、交通の便があまりよくないのは変わっていません。高速鉄道の駅や空港が近くにないので、車での移動が必須という地域は変わらずです。
在山堂は龍泉の街から外れたちょっと郊外にあります。(ガス窯の工房は別に街中にあります。)
工房は以前と変わらずです。
これは開窯を待つばかりの登り窯です。火入れは2日ほど前におこなっています。薪は主に松を使いますが温度によって木材の種類を変えるそうです。松の薪は温度が高く持続性が良いものの、登り窯に複数設置してある温度計などを見て、薪を入れるタイミング、素材などを見ているそうです。また天気、気温、湿度なども大きく影響するそうです。
そういえば新しいメンバーも増えていました。
親戚の家で今年生まれたワンちゃんで、とても人懐っこく良い子でした。
なんと、お食事には劉傑大師の器を使っています・・・羨ましいですね。
開窯前日の様子はこちらでご紹介しています。
劉傑大師自ら説明してくださいました。
竜泉窯の在山堂に来ました。
明日の開窯ですが、劉傑大師のご厚意でちょっと中を拝見させていただきました。
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開窯当日は親しい友人が集まりお茶を飲み、劉傑大師のお母さま手作りの昼食をいただきます。
これが優しくてとても美味しい食事でした。食器はすべて龍泉窯という贅沢な昼食です。
ちなみに劉傑大師は岩茶と鳳凰単叢、紅茶が好みとのことで、淹れるお茶は基本的にその3種類です。今回は龍泉窯前に私たちが福鼎に行っていたので、そこで入手した白茶も一緒に楽しんでいました。
開窯前には親しい友達とお茶を飲み、食事でした。当地に来てから、ずっと劉傑大師と一緒に食事していますが、一番美味しいのはレストランではなく、この在山堂でいただく家庭料理です。
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食事後に開窯が行われます。
先ほどと違って全国から駆けつけてきたバイヤーさんたち、テレビ局など一気に人が増えます。
昨日の在山堂、開窯の様子です。
各地からのバイヤー、テレビ局など、たくさんの人が集まりました。柴窯(薪窯)は完美品が本当に少なく、窯玉(完美品)はほんの少し、ほとんど遺珠でした。難しいですね。
品質基準がとても厳しく、日本であれば問題無しとされる僅かな白点や窯傷も遺珠とされます。
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実際に窯玉といった完美品はほんのわずかしかありません。薪窯は温度管理が至難の業というほど難しく、窯の中での配置1つとっても温度などが変わってしまいます。また、火を入れた後の気温や湿度の変化でも大きく変わるそうです。なるべく気候の安定した時期に行うそうですが、お茶づくりと同じく人のチカラだけでなく、天のチカラも必要とするものでした。
在山堂では開窯に立ち会って一番に購入できる権利を持っているのは7人(店舗)のみです。ありがたいことに当店はその中に入っているのですが、この7人の中でも更に抽選があり、購入順序が決まります。その後に残った作品が一般市場に各業者を通じて流通する仕組みになっています。欲しかった作品が別の人に取られてしまった場合は、個人間での交渉になります。今回、私たちは希望する作品すべて入手できたのですが、中にはずっと交渉している人もいたりします。とはいえ、お互いに劉傑大師を通して長い付き合いがあったりするので、可能な限りお互いに融通するようにはしています。
龍泉滞在中は市内外にも足を伸ばしました。
龍泉で一番古い街、西街です。一般的な老街と違い観光地化さらておらず、今も生活の場として残されています。縫製屋さん、鍛冶屋さん、お菓子屋さんなど、素敵な場所でした。
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龍泉の街の中にある西街です。
中国によくある観光地化された老街と違って、ここは普通に今も地元の人が利用する街として残っています。
写真にある棕床とあるお店は中国で昔からあるシュロを編んで作るベットを作るお店です。今も普通に営業しておられました。
裁縫屋さん。20年位前まで中国では裁縫屋さんに依頼して服を作ってもらうことは珍しいことではありませんでした。かつては北京や上海などでもよく見られましたが(台湾などでもありましたよ)最近はほとんど見かけなくなりました。西街では今も健在のようです。
林記食品は昔からある地元のお菓子屋さんです。懐かしさを感じる素朴な中華菓子を作っていて、地元の人に大人気です。かなり美味しかったです!
友人の実家のある源底村にちょっと立ち寄りました。
丸い土楼は昔のもので、穀物の保存庫だそうです。時間が止まっているかのような村です。龍泉市内から30kmほどの場所にあります。
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こちらは龍泉中心部から車で40分ほどの場所にある源底村です。現地友人の実家がこの村ということで、空き時間に足を伸ばしてきました。
時が止まっているかのような昔のままの村です。明代、清代の頃からある土楼造りの建物に今も村人が住んでいます。
丸い土楼は穀物の保存庫で、このあたりには今も使われている土楼があるそうです。源底村の土楼穀物庫は明代のもので現在は使用されていません。(現在も使用している土楼の穀物庫は新しいとのことです。)
あまり行かれる方はいないと思いますが、観光地という感じではないので土楼穀物庫の場所は大変分かりにくい場所にあります。建物に囲まれた中にあり、道路から見えない場所にあります。道を尋ねようにも若い方がほとんどいないので、標準語が通じず、後から来た友人が到着してようやく辿り着きました・・・
今回入手した劉傑大師の作品は早ければ11月19日、あるいは20日ごろからご紹介開始予定です。
(商品撮影が難しく時間がかかっております・・・終わり次第ご紹介開始します。)
メールマガジンなどでご案内させていただきます。