宜興では龍徳堂陶藝にも訪問させていただきました。
龍徳堂とは鈴茶堂でもご紹介している湯宣武さんや徐飛さん、将来は大師確実とも言われる湯宣武さんのご主人、範澤鋒さんなどが所属する工房です。中国国内の紫砂好きの間でも非常に人気、評価の高い工房の1つです。実際、龍徳堂に所属することのできる作家といえば技術、センス共に優れていると見なされるほどです。また、名の知れた作家以外の作品や一般普及品とも言えるような茶器も製造していますが、やはり品質にこだわる工房のものということもあり、龍徳堂の製品は品質が良いと人気があります。
私自身も宜興で一番で一番お世話になっている工房です。
とても大きな工房です。1階はギャラリーになっていて、所属する作家さんの作品が展示されています。もちろん購入することもできますが、実際のところは展示品以外の在庫が追い付かない状態で、昔から繋がりのある茶商から優先に予約生産になっています。
実はこの工房、昔は日本輸出向けの陶芸工場だったそうです。その名残で日本の招き猫が飾ってありました。まだ中国国内で紫砂が評価される以前、日本向けの商品として招き猫の生産、輸出を行っていたとか。今はそのような業務はしていませんが、その記念として工房の端に招き猫が展示されています。
今、一番勢いのある作家でもある湯宣武さんや徐飛さんの作品がやはり目につきます。龍徳堂のギャラリーといえば美術館にも劣らない展示なのですが、中でも美しさが際立っているのは彼らの作品ではないかと思います。
この写真は徐飛さんの作品です。均整のとれた美しいフォルムと品格を感じる、ため息がでてしまうように美しい茶壺でした。他にもたくさんの素晴らしい作品が惜しげもなく展示されています。
2階には範澤鋒さんなどのトップクラスの作家さんの作品を展示しています。このクラスの作品になると完全に美術品です。最近は紫砂だけでなく、漆工芸や天目釉などにも興味を持っていらっしゃるようで、友人を通じて漆などの材料について質問を受けたりしていました。常に新しい技術に興味を持つ積極的な作家さんで、新しく天目釉を使用した作品などが展示されていました。
また、実際に制作を行う工房もあります。工房では所属する作家さんたちが制作活動をしていますが、一般の見学はできません。少し見せていただきましたが、みなさん真剣に作品を作っていらっしゃいました。
徐飛さんにお会いしました。国家級工芸美術師で、その技術力はもちろん、非常に美しい作品を作る作家さんです。本来はそう気軽にお会いできるような作家さんではないのですが、この時はお願いしていた茶壺を受け取ることもあり、少しお話させていただきました。
彼の作品は他の作家とは明らかにレベルが違うと分かるほどに素晴らしく、その繊細さと品格、そしてなによりも使いやすさを追求しています。土の扱いも素晴らしく、艶やかさと硬度の高さを保ちつつ、ここまで繊細に作り上げることができる技術は本当に素晴らしいものです。ご本人はいたって気さくな方で、冗談交じりに特別注文させていただいていた作品が本当に大変だったんだからね~普通なら断ってるよ!なんて笑って話してくれました。
国家級工芸美術師の徐飛による合歓です。
既に作家本人はこの作品の制作を終了していますので、この入荷が最後となります。
非常に美しい造形をした紫砂茶壺です。歪みのないフォルムと細やかで繊細な装飾のバランスが見事なとても美しい作品になっています。このような細やかな装飾を施しているにも関わらず、土質の硬さも特筆すべきほど硬く上質な紫砂泥が使用されています。
このような硬度の高い紫砂泥を使い、細やかな装飾を施した繊細な茶壺を作ることの出来る作家はなかなか見つかりません。
徐飛は非常に技術力が高く、人気のある青年紫砂作家です。
良質な紫砂泥を所有する、湯宣武といった技術が高いことで知られる工房、龍徳堂に所属し、中でもトップクラスの技術の高さを誇る作家です。
非常に高名な高級工芸美術師である範澤鋒の有名な作品、明月清風壷の習作です。範澤鋒が所属する工房、龍徳堂からのものです。
この習作は2011年に範澤鋒が明月清風壷を発表して高い評価を受けた直後に制作されたもので、同じ龍徳堂に属する若手作家が彼の指導を受けながら作っています。土質はもちろん、細部に至るまで非常に秀逸な仕上がりになっています。