武夷山では製茶場だけでなく、同行していた現地スタッフの見学ということも兼ねて主要な場所へ訪れたりしながら茶畑を見学させていただきました。
シーズン前ということもあって、茶業さん自ら同行しての説明は大変勉強になりました。ありがとうございます。
まずは有名な大紅袍母樹から。
絶壁とも言える崖の途中にかたまって生えているので近寄っては見ることができませんが、今回は望遠レンズを使ってじっくりと茶樹の様子を見てきました。まだ茶葉の萌え始めということもあって(2014年4月上旬)、ちょっと寂しいような茶葉の量でしたが、それでもしっかり新芽が動き始めているのが確認できました。生えている場所も凄いですが、樹齢も相当なもので300年から400年とも言われています。それだけの樹齢でも、これだけ力強いというのは、本当に凄いと思います。植物の力に改めて驚かされます。
こちらは流香涧(流香澗)の老枞水仙(老欉水仙)です。
老欉水仙というだけあって、樹齢も高く、その分樹高も高く成長しています。老欉というのは老木、この場合は老茶樹を意味しています。
この写真の場所、流香涧(流香澗)は武夷山の中でもとても良い茶畑がある場所として有名ですが、それ以外の地域でも老欉水仙はとても大事にされていることが殆どです。一般的に茶樹の商業樹齢はそれほど長いものではありませんが、老欉水仙は年月を経て初めて老欉水仙になれるという、世代を超えて育てていく茶樹ですので、どの茶業さんも本当に大事に育てています。また、機械をなるべく使わず、炭火を使う昔ながらの作り方をされていることも多いように思います。他の茶樹品種に比べても、やはり老欉水仙は特別な品種の茶樹のようです。
こちらは牛栏坑(牛欄抗)の茶畑です。
この場所で採れる武夷肉桂は牛栏坑(牛欄抗)肉桂、通称、牛肉と呼ばれ、武夷肉桂の中でも最高級のものになります。
正岩地区の茶畑は良い場所になると、どこも厳しい場所にありますが、この牛欄抗は中でも岩がむき出しのままになっていったり、岩茶と呼ばれる理由が分かるような厳しさがまた違う場所になっています。
とはいえ、武夷山の中では、それでもかなりアクセスしやすい、穏やかな場所にある茶畑になります。非常に良いとされる場所の多くは岩山に立てかけられた梯子をよじ登ってやっと到着するような茶畑です。
武夷山と一口に言っても岩により、谷により、本当にその環境が異なります。こうした激しいとも言える環境の違いが、武夷岩茶の味わいの違いに反映されていることは間違いありません。更に製茶するタイミング、環境、作り手の技量によっても大きく左右されます。
百年老枞水仙(百年老欉水仙)
慧苑坑にある樹齢160年ほどの水仙の茶樹から摘み取った茶葉で作られた貴重な老欉水仙です。
特別な古樹だけが持つ落ち着きある、凄みすら感じる旨味を持つ岩茶に仕上がっています。
大紅袍母樹の1つに起源する岩茶です。
雀舌は岩茶の中でも香り高く、味わい深い品種として知られていますが、この雀舌は特に力をしっかりと秘めた岩茶に仕上がっています。これがお茶ですか?と驚かれる方もいらっしゃるほどです。
肉桂のなかでも最高峰とされるのが、この牛欄抗で作られる肉桂です。その味わいや香りは説明が必要ないほど、素晴らしいものがあります。
現地でも殆ど作られることが無く、流通が非常に少ない希少な岩茶です。やはりこの品の良さ、美味しさは他の岩茶ではなかなか感じることはできません。