お茶の旅」カテゴリーアーカイブ

チベット シガツェ

シガツェ・ゾン

チベットではラサに続く第2の都市、シガツェにも行ってきました。
第2の都市と言っても街自体はそれほど大きくもなく、暖かい、素朴で素敵な街でした。

写真はシガツェの街から見上げるシガツェ・ゾンと呼ばれる城塞建築です。中国共産党によるチベット侵攻の際、ここシガツェ・ゾンではかなりの抵抗を行ったそうで、そのせいで徹底的に破壊されてしまったそうです。かつての姿が分からず、現在は中国政府によってポタラ宮を模した形で再建されています。

シガツェ 自由市場

シガツェの有名なタシルンポ寺(扎什倫布寺)の近くには自由市場があります。他にも地元の人々が集まる大きな市場もあり、買い物をする人たちで賑わっています。
この自由市場では羊肉やヤク肉などの食肉から野菜、食料品、茶葉、衣料品から日用品まで揃っています。ここで私たちがチベットへ来た目的の1つでもあるドンモと呼ばれるバター茶を作る撹拌機を探しました。

ドンモ

このドンモ。事前に日本で調べて行った情報ではチベット人のお宅には必ずあるとされていました。しかし実際にラサで聞いてみたところ、現在は電動の撹拌機(ミキサーのような形状をしています)が主流になっていて、このドンモを持っている、まだ使っている家は少なくなってきているとのことでした。さらに、ドンモはお店で販売するようなものではなく、家を建てた時などに余った木材で大工さんに作ってもらうなどして入手するもので、売っているお店は観光客用の骨董品屋さんにあるかどうかと言われてしまいました。
それでも諦めきれず、シガツェでもドンモを探していたのですが、市場の蔵茶を売るお店の女性にドンモが売っている場所がないかどうか尋ねたところ、ドンモを販売している場所を教えてもらうことができました。

ドンモ製造工房

チベットでは外国人がチベット人の自宅などを訪問することが禁じられています。そのため、周囲がわかるような写真を掲載できないのですが、特別にドンモの製造工房を見せていただきました。
ドンモの材質は様々で最も上質なものは硬い木製のもので、他には柔らかい木製のもの、合板で作られたものなど様々なものがありました。またドンモに付けられた飾りも様々です。

シガツェ

気に入ったドンモを譲ってもらい、その大きなドンモを抱えて宿泊しているホテルへ戻る途中、たくさんの人たちから「何故漢民族がドンモを持って歩いているのか?」と質問を受けました。日本人だと答えると余計驚かれます。若いチベット人のなかにはドンモを見ても何か分からない人もいました。電動撹拌機の普及が進んでいて、都市部でのドンモの使用は本当に少数派になってきているのかもしれません。

ツァンパ

これはそのバター茶を使うことで有名なツァンパという食べ物です。日本で言う「はったい粉」で、加熱した麦を粉にしたものです。
ここにチベットのチーズやバター、砂糖または塩などを入れてバター茶で練って食べるものです。現地の方のお話では主に朝食に食べるそうです。意外と美味しい食べ物ですが、慣れていないせいか上手くこぼさずに練るのがなかなか大変です。

シガツェでは多くの方のご厚意によって無事にドンモを入手することができましたが、こうした伝統的な道具は今後姿を消していってしまうように思います。電動の撹拌機は確かに便利ですが、何だか寂しい気もします。


品切れでご迷惑をおかけしておりましたが、再入荷いたしました!


蔵茶 康磚

鈴茶堂でも一番人気の蔵茶です。
四川省雅安茶廠の蔵茶は癖が少なく、プーアル茶のような刺激性もカフェインもないため
飲むタイミングを気にせず、空腹時でも就寝前でもお楽しみいただけます。
とても体に優しく、疲れた胃腸にも優しい健康茶です。
暖かいままお楽しみいただくだけでなく、冷やしても美味しく楽しめます。

使いやすいティーバックタイプもございます。

蔵茶 康磚(ティーバッグ)
蔵茶 康磚(ティーバッグ)おためし


蔵茶 金尖 雅細

蔵茶の中でも味を追求するのであれば、こちらの金尖 雅細です。
チベットの高僧が楽しむ蔵茶とされています。
黒茶とは思えない華やかな甘い花果香があり
蔵茶の優しさはそのままで、深みのある甘さがとても美味しいお茶です。

ラサ お茶事情

ラサ市内

チベットではバター茶(酥油茶・ཇ་སྲུབ་མ་)や甜茶と呼ばれる甘いミルクティーを日常的に飲んでいます。
気候が厳しいという理由から、平地にある他の地域のようにミルクなどの乳脂肪分を入れずにそのままお茶を楽しむといったことや、塩や砂糖を入れずに楽しむといったことはほとんど無いようです。

これは街中にたくさんあるバターやミルク、チーズを販売するお店です。基本的にはヤク(牦牛・གཡག་)のミルクを使用しています。
実際にはヤクよりも牛のほうが安価で販売されているそうですが、チベットの人々はあまり牛を好まないそうです。なかにはヤクのバターやミルクと偽って牛乳やそのバターを販売するお店もあるそうです。現地のチベット人の方によれば味が違うので飲んでみると違いが分かるそうです。

ラサ市内

バターやミルクだけではなく、甜茶や茶葉を販売するお店もたくさんありました。
使用、販売されている茶葉のほとんどは四川省で作られた蔵茶です。鈴茶堂では味わいの関係から四川省雅安茶廠(中国蔵茶)の蔵茶しか扱っていませんが、実際に蔵茶を製造する茶廠はたくさんあります。ほとんどが四川省雅安茶廠から独立して設立した茶廠で、その味わいは様々です。四川省雅安茶廠のように癖の少ないものもあれば、かなり癖が強いものまで様々です。
他には湖南省で作られる茯茶がちらほらと見られましたが、雲南省の普洱茶は殆ど見かけることはありませんでした。おそらく普洱茶は他の地域で人気が高く、価格が高騰しているため、日常的なお茶としてチベットへ運ばれてくることが今は少なくなってきてしまっているのだと思います。その反面、蔵茶はチベットの人々が日常的に飲むことができるように中国政府によって価格が値上がりすぎないようにコントロールされています。

ラサでは漢民族を中心としたチベット以外の場所から移住してきた人々のためと思われる茶荘(茶葉販売店)も少ないながら見られます。こういった茶荘は他の地域と変わらず鉄観音や普洱茶、緑茶なども販売しています。

丁江茶馆

茶館もたくさんありました。
歴史のある有名な茶館から地元の人しか行くことがないローカルな茶館まで様々です。その数は最も茶館が多いと言われる四川省成都を越えるのではないかと思うほどです。ただし、成都の茶館の殆どは麻雀やトランプをするための、日本で言うところの雀荘というタイプのものですので、純粋にお茶を楽しむ茶館としてはラサの方が多いのかもしれません。

チベットの茶館でのお茶はほとんど甜茶と呼ばれるミルクティーしか選ぶことはできません。バター茶はどちらかと言うと食事に近いものになるそうで、茶館によっては扱っていないお店もありました。逆にレストランや食堂ではバター茶を提供していることが多いようです。

丁江茶馆

茶館には色々な人達がやってきます。
一人でくる人はもちろん、小さなお子さん連れのお母さん・おばあちゃん、若い人からお年寄り、なかには商談をするために来る人も見かけました。知らない人でも近くに座れば仲良く世間話が始まるのもチベットならではです。

そして必ず見かけるのが物乞いをする人たちです。茶館でお茶を飲んでいると必ずと言って良いほど見かけます。中には子供の物乞いもいて、歌を歌うからお金をくださいというような子も見かけました。
日本や他の地域ではあまりこの感覚はありませんが、チベットでは物乞いの人にお金を渡すことを美徳としていました。物乞いをしている人は何らかの事情で働くことができないため、それを支えることで功徳を積むという仏教の考え方です。大体金額にして5角(日本円で大体8〜9円)を渡していました。
お金を受け取る方も仏教の考え方を持っていて、必要以上には受け取らないようです。ある時、細かいお金がなかったため、5元(日本円で大体8〜90円)を渡そうとしたところ、多すぎるとして断られてしまいました。現地の人が言うには、そういった時はお茶を奢ってあげるそうです。

ラサでは本当にお茶で人々が繋がっているようです。


昨年は早い時期に完売してしまった明前 四川玖瑰紅茶、雲南の緑茶も入荷しております!
どちらも日本にはあまり輸入されることのないお茶ですが、珍しいという以上に美味しくお楽しみいただけます。

思茅 頭春茶
思茅 頭春茶

頭春茶と呼ばれる雲南緑茶です。中国・雲南省南部の思茅にある標高1800m付近にある茶園で2014年3月15日に摘み取られました。今年に最初に摘み取られた茶葉で作られたお茶です。

思茅はお茶づくりの歴史がとても古い地域です。多くの野生茶樹、人工栽培の茶園、過去に人工栽培の茶園として利用されていたけれども何十年と放置された古茶樹園など様々な種類の茶樹が豊富に存在しています。

甘い爽やかな花の香りと雲南紅茶を連想させるような深みのある優しい甘さが感じられます。飲み終えた後の余韻も長く、体の中から甘さが戻ってきます。
特に2014年は甘さが強く美味しく仕上がっています。

明前 四川玖瑰紅茶 2014
明前 四川玖瑰紅茶 2014

人気の四川高山紅茶の明前茶です。

名前にある玖瑰(メイグイ)は日本で言うところのハマナス、バラの原種です。
この四川紅茶はその玖瑰の香りのする紅茶として命名されています。後から香りを添加したり、花茶のように花の香りを移した紅茶ではなく、茶葉本来の香りがまるでバラのようであることから名づけられています。四川省蒙山の標高1200m以上という高山地帯で栽培された茶葉を3月15日に摘み取って作った特別な紅茶です。

緑茶と違い、酸化発酵を行って作る紅茶の場合はある程度成長した茶葉が必要になります。若い茶葉で美味しい紅茶を作るには高い技術力が必要です。この紅茶がとても美味しく仕上がっているのは、この作り手さんが常に真摯に製茶技術の向上を日々努力している結果です。四川高山紅茶を既にお楽しみいただいている方には、その技術の高さが実感していただけていると思います。

黒々とした茶葉に金粉をまぶしたような、金色の美しい茶葉は甘い可憐なバラの香りがあり、柔らかく品のある自然な甘味とミネラル感を味わっていただけます。淹れたお茶の湯温が下がるとまた変化します。花の香りと合わせてキャラメルのような甘い香りが立ち上り、味わいもより深い甘みが増してきます。
特に2014年は香りも甘味も非常に綺麗に出ています。

光明港琼甜茶館

八廓 བར་སྐོར་

チベットのラサには沢山の茶館があります。
この光明港琼甜茶館もそのひとつで、旧市街地のバルコルにあるチベットの人々でにぎわう茶館です。

早朝から大昭寺をとりまくバルコルには巡礼の人たちがたくさん歩いています。五体投地をしている人も。なかにはとても熱心な信者の方でボロボロの服装で五体投地をしながら進んでいる人もいます。おそらくこのラサへの巡礼自体を五体投地で進んできたのだと思います。その純粋な信仰心を目の当たりにすると心が打たれるような気持ちになります。

光明港琼甜茶館

薄暗い茶館の中では人々がお茶を飲みながら思い思いに過ごしています。
おしゃべりに夢中の人たちやくつろいでいる人たち、食事をする人たち。

共通しているのは、みなさん本当にたくさんお茶を飲みます。
グループの人たちはポットでお茶をオーダーしています。ひとりの人や少人数の場合は一杯単位でオーダーしていますが、ポットであっても一杯単位であってもお代わりしながら何杯もお茶を飲んでいました。

光明港琼甜茶館

ここでもお茶はバター茶ではなく甜茶、ミルクティーです。
ベースのお茶は黒茶といっても普洱茶ではなく蔵茶を使用しているそうです。
現地の方に質問させていただいたところ、最もチベットで一般的なお茶は蔵茶で、次に湖南省の茯茶だそうです。といっても茯茶よりも蔵茶が圧倒的に多いそうで、普洱茶は実際にチベットで見かけることは殆どありませんでした。
確かにこうした甜茶やバター茶には癖が比較的少ない蔵茶の方が美味しく楽しめるように思います。

光明港琼甜茶館

茶館の厨房では大きな鍋で甜茶を作っていました。
鍋に蔵茶を入れて煮出したものに、ミルクと砂糖を加えて大きな攪拌器でよく混ぜます。最近はミキサーのような電動の攪拌器が普及していて、昔ながらの手動の攪拌器はもう殆ど使われていないようです。

光明港琼甜茶馆
西藏自治区拉萨市城关区藏医院路香巴拉酒店斜对面(近北京中路)
0891-6885357


今年の四川の新茶が到着しております。
どれも美味しく、上質な新茶です。
鈴茶堂定番の蒙頂甘露・蒙頂石花に加えて、今年はとある古刹の依頼で作られた希少なお茶も入荷しております。

今年は気温が低い日が続いていたため、例年より1週間ほど遅く茶摘がはじまりました。蒙頂山茶区の標高の低い地域は例年通り3月上旬からはじまっていましたが、標高の高い地域は気温が上がるのが遅れていたようです。

私たちがお願いしている蒙頂の作り手さんは蒙頂山の中でも主峰、その中の標高1200m付近にある茶畑の茶樹から1つ1つ手摘みした茶葉にこだわっています。

2014年 明前 蒙頂甘露
2014年 明前 蒙頂甘露

中国を代表する銘茶、蒙頂甘露です。
2014年3月27日に摘み取り、製茶されています。

今年の蒙頂甘露は甘い栗の香りと清らかな甘い花の香り、その香りに答えるように深みのある甘味と爽やかな旨みが心地よく、飲み終えたあとも甘さが戻ってくるような蒙頂甘露に仕上がっています。

2014年 明前 蒙頂石花
2014年 明前 蒙頂石花

日本ではあまり馴染みのない蒙頂石花ですが、その歴史は古く、中国の銘茶の中では最も古いお茶とも言われています。
2014年4月3日に摘み取り、製茶されています。

とろみのある金色のお茶は甘い花とほっこりと香ばしい豆のような香りです。
丸い柔らかな甘味と上質な旨み、ミネラル感が感じられます。
翡翠のような、ふっくらと肥えた芽で構成された、とても美しいお茶です。

2014年 明前 蒙頂山禅茶
2014年 明前 蒙頂山禅茶

このお茶は1500年を越える歴史のある、ある古刹の依頼で作られました。
蒙頂山主峰の標高1100m付近で栽培されている在来種の茶樹から2014年3月26日に摘み取り、製茶されています。

仏教とお茶の関わりが深いのは良く知られていますが、中国ではこうしたお寺で開光(祈祷して魂を入れる)したお茶を、そのお寺の信者に分けるということが良くあります。このお茶もそうした目的で作られています。
その開光はされていませんが、今回、作り手さんにお願いして特別に分けていただきました。

とろみのある金色のお茶はキャラメルのような甘いお菓子のような甘い香りが強く感じられます。その甘い香りに応じるように濃厚な甘味とミネラル感がしっかりと感じられます。
緑茶がここまで複雑に濃厚な甘味を持てるのかと驚かされます。

希少なお茶ですが、それ以上に驚くほどに美味しいお茶です。

チベット ラサ 倉姑寺茶館

ポタラ宮

四川省成都でチベット自治区に入境する準備をした後は目的のチベット自治区にあるラサへ向かいました。
現在(2013年11月時点)はチベット自治区への入境には政府が発行する入境許可証(パーミット)が必要です。この許可証を取得するためには旅行会社を通して事前にチベット自治区を旅行する全ての行程とその手配をしておく必要があります。またガイドも必要です。事前にそれらの手配をしていましたが、最後に成都で現地の旅行会社から入境許可証を受け取って、ようやくチベット自治区へ入れます。

ラサは聞いていたよりも青く素晴らしく美しい空の青さでした。
その空の下に浮かび上がるようにポタラ宮が街の中心にあります。

倉姑寺茶館

チベットでは実際に蔵茶をはじめとする黒茶がどのように飲まれているのか見せていただきました。
まず最初に訪れたのはこの倉姑寺茶館です。仓姑寺(倉姑寺)という尼寺が運営する茶館で、地元の人々に人気のある茶館です。

建物の中は意外と大きく、半野外の席から2階の席までかなりの席数があります。それでもお昼時はほとんど満席に近い混雑振りで、その人気の高さがうかがえます。尼寺が運営しているというだけあって、茶館のスタッフは全員尼さんです。若い女性からお年を召した方までいらっしゃいました。

倉姑寺茶館

倉姑寺茶館に限らず、チベットの茶館では軽い食事も提供されています。

これはモモです。中にヤク肉の餡が入った蒸し餃子のような食べ物です。
モモというとチベット風水(蒸し)餃子というように良く言われていますが、実際には小麦粉を原料とした主食にあたる料理を指すようです。ラサではこの蒸し餃子のような料理をモモと呼んでいましたが、四川省のアバ・チベット族チャン族自治州の方ではパンをモモと呼んでいます。

他にもトゥクパと呼ばれる「うどん」のような麺なども提供されています。

倉姑寺茶館

お茶はバター茶ではなく甜茶、ミルクティーです。黒茶にミルクと砂糖を入れて混ぜたものをポット単位で購入してガラスのコップでいただきます。人数が少ない場合はグラス単位で注文することもできます。

チベットというとバター茶をいつも飲んでいるように思っていましたが、実際に一番飲まれているのはこの甜茶のようです。バター茶は朝などにツァンパと呼ばれる裸麦の粉と一緒に食事としていただくことが多いそうで、お茶として楽しんでいるのはこの甜茶の方がずっと多いのだとか。
それにしてもチベットの人たちは本当にたくさんお茶を飲みます。甜茶を何杯も、ポットをお代わりしてまでずっと飲んでいます。

甜茶の味はなかなか美味しいものでした。日本にいると普段は甘いお茶を飲むことが少ないのですが、チベットのように気候が厳しい場所ではこの糖分が必要なものだと身体で実感できます。
甘さも程よく、とても美味しいお茶でした。

仓姑寺甜茶馆
西藏自治区拉萨市城关区林廓南路(近玛吉阿米)



蔵茶 康磚

鈴茶堂でも一番人気の蔵茶です。
四川省雅安茶廠の蔵茶は癖が少なく、プーアル茶のような刺激性もカフェインもないため
飲むタイミングを気にせず、空腹時でも就寝前でもお楽しみいただけます。
とても体に優しく、疲れた胃腸にも優しい健康茶です。
暖かいままお楽しみいただくだけでなく、冷やしても美味しく楽しめます。

使いやすいティーバックタイプもございます。

蔵茶 康磚(ティーバッグ)
蔵茶 康磚(ティーバッグ)おためし


蔵茶 金尖 雅細

蔵茶の中でも味を追求するのであれば、こちらの金尖 雅細です。
チベットの高僧が楽しむ蔵茶とされています。
黒茶とは思えない華やかな甘い花果香があり
蔵茶の優しさはそのままで、深みのある甘さがとても美味しいお茶です。

成都お茶事情

成都の茶座

上海から四川省成都へ移動、成都では茶業兼茶商をしている友人のお店を訪問したり、四川省のお茶事情を見てきました。

成都をはじめとした四川省では野外に椅子とテーブルを並べた青空茶館、茶座が有名です。成都では鹤鸣茶社が有名な茶座です。雅安をはじめとした地方にも街の景観が良い場所や公園に茶座が設けられているのが良く見られます。地元の人たちはこうした茶座でゆっくりとお茶を飲みながらトランプをしたり、おしゃべりをしたり、思い思いに過ごしています。
こうした地元の人たちに愛されている茶座ですが、それでも少しずつその数は減ってきているようです。文殊院という古い由緒あるお寺の中にあった茶座をはじめ、街が都会化するのにつれて、かつてあった茶座が無くなってきているようです。残念ですが、これも変化なんですね。
そんな中、偶然通りかかって茶座を見つけました。観光地として有名な文殊院の近くの裏路地にある茶座で、名前もない地元密着型の茶座です。とても活気のある茶座で、地元の人たちの憩いの場として賑わっていました。
姿を消してしまう茶座もあれば、こうして残っていく茶座もあります。

大西南茶城

成都の北部、五块石にある大西南茶城です。
中心部からは少し離れた場所にあるため、交通の便が良いとは言えない場所ですが、ここに来ると四川省を中心とした中国西部のお茶事情が分かります。
写真はその茶城の中にある友人の店舗、裕昌源茶庄です。成都では最も上質な茶葉を扱っているお店の1つで、四川省のお茶はもちろん、作り手でもある店主自ら雲南省へ赴いて作った普洱茶、上質で美味しい岩茶などを揃えています。1935年の創業とのこと。ちょっとした老舗です。
お店の奥にはとても雰囲気の良い茶室もあり、店主のコレクションでもある素敵な紫砂茶壺や茶器が飾られています。
この日も沢山の素敵な茶器と美味しいお茶をいただき、お茶話で時間が経つのを忘れてしまうほどでした。

紫砂茶壺

大西南茶城でも普洱茶の人気は衰えることはないようで、地元四川省のお茶と並んで殆どのお店で普洱茶を扱っているのは変わらないようです。ただし、以前よりもお店によってその質の差が大きくなってきているようで、友人のお店のように非常に上質な普洱茶を扱っているお店は少数、その他は普通かそれ以下の量産型の茶葉を扱っているようでした。普洱茶自体が非常に人気が出てきてしまい、自ら現地に赴いて製茶に参加できる店舗とそうではない店舗の仕入れることができる茶葉の質が随分と差が出てきているようです。

そういった雰囲気もあり、茶城の中でも店舗の入れ替わりが目立っていました。以前に覗いてみたり、勉強用にと買い求めた店舗の半分以上が無くなって全く違うお店になっていたり。
成都のここに限ったことではありませんが、なかなか競争が厳しい状況にあるようです。

裕昌源茶庄
成都市金牛区五块石大西南茶城2-1-68号
028-83152938
日本語は全く通じませんが成都の大西南茶城へお越しの際はぜひ遊びに行ってみてください。


3月28日から4月10日の中国出張では発送業務をお休みさせていただき、みなさまにはご不便、ご迷惑をおかけしました。
発送業務を再会させていただきました。

今年も美味しい四川と雲南の新茶を見つけてきました。通関・検疫が完了次第、ご紹介させていただきます。
今回は新茶の買付けの他にも福建省政和にある白茶の茶畑と製茶場、武夷山なども訪問してきました。こちらは順にブログでご紹介させていただきます。(プログにアップするのが遅れがちで申しわけありません。)


桜の時期も過ぎようという頃ですが、まだ朝晩は冷え込みますね。
そんな時には身体の芯から温めてくれる岩茶がお勧めです。

10135.1
天心岩 半天腰
岩茶の本流を感じさせるような品格のある花果香と火の香りが素晴らしく
岩茶とはこのような美味しさのあるお茶だったと再認識させてくれるような格の違う深みのある美味しさがあります。
まるで上質なモルトウィスキーのような奥行きのある複雑な味わいに仕上がっています。

10134.1
慧苑坑 瓜子金
甘く深みのある果香と柔らかい甘味のバランスが良い岩茶に仕上がっています。
煎を進めていくと甘い味わいが変化してお菓子のようなニュアンスもでてきます。
火入れの程度は中火。強すぎず弱すぎず、絶妙のバランスで火入れが行われています。

10133.1
天心岩 黄玫瑰
黄玫瑰はまだ比較的新しい品種で、2013年から本格的に収穫がはじまりました。
綺麗な優しいバラの香りのする岩茶です。
美しい琥珀のようなお茶は香りだけでなく爽やかな甘味と複雑で上品な滋味
しっかりとしたミネラル感と合わさり、上品で軽やかな美味しさがあります。

10131.1
慧苑坑 千里香
名前の通り、驚く程に素晴らしい甘い花の香りを持つお茶です。
甘さと複雑な旨味が合わさり、非常に良いバランスの岩茶に仕上がっています。

10117.1
流香澗 悦明香
南国の果物を連想させるフレッシュな香りと火の香ばしさが合わさり、非常に素晴らしい香りを持っています。
またこの悦明香の特徴とも言える深みのある甘さは正岩茶の持つミネラル感と合わさり
非常に複雑で奥深い味になっています。

10108.5
百年老枞水仙(百年老欉水仙)
慧苑坑にある樹齢160年ほどの水仙の茶樹から摘み取った茶葉で作られた貴重な老欉水仙です。
特別な古樹だけが持つ落ち着きある、凄みすら感じる旨味を持つ岩茶に仕上がっています。

上海大寧国際茶城

上海大寧国際茶城

安徽省から上海へ移動して、上海では上海大寧国際茶城を見学してきました。

上海では最も大きいと言われる茶城(茶市場)ですが、広州や北京の茶市場に慣れている人にとっては、やっぱり小さいと思ってしまうかもしれません。それでも同じ上海にある天山茶城よりは広い市場です。

上海大寧国際茶城

上海らしく浙江省や江蘇省、安徽省の緑茶が多く見られます。
最近の紅茶ブームもあって祁門紅茶の専門店などもありました。

これは上海のここに限ったことではありませんが、最近は台湾茶も流行りつつあり
各地の茶市場で台湾茶のお店が見られるようになってきました。
ここ上海大寧国際茶城でも数店舗の台湾茶専門店を見かけました。

上海大寧国際茶城

茶城の周囲にも少しですがお茶屋さんが並んでいます。
中にはお茶屋さんではなく一般食料品のお店や向かいには食料品の市場もあります。

天山茶城よりは地元密着型の市場という印象です。
日本語や英語が通じるお店は少ないと思いますが、そのぶん価格も控えめになっているようです。
茶器などの品揃えも上海ならではのスタイリッシュなものが多く揃っています。

上海大宁国际茶城
上海市闸北区共和新路1536号(近洛川东路)


凍頂烏龍茶 2013年冬茶
凍頂烏龍茶 2013年冬茶

鈴茶堂の凍頂烏龍茶は昔ながらのしっかりと発酵・火入れを行った伝統的な製法によるものです。

凍頂烏龍茶というと日本にも良く輸入されていることもあり馴染み深いお茶ですが、この凍頂烏龍茶は深みのある味わいと余韻の長さが違います。その美味しさは癖になるほどで、お客さまの中にはこの凍頂烏龍茶だけをリピートされている方もいらっしゃいます。

焙煎技術が非常に高く、一般的な凍頂烏龍茶の半分ほどしか水分量がありません。
そのため、実質的な賞味期限がなく、時間が建てば経つほど、その美味しさを増していくお茶です。
現在最もお勧めの凍頂烏龍茶は2012年冬茶です。(2012年春茶は完売いたしました。)

凍頂烏龍茶 2012年冬茶
凍頂烏龍茶 2012年冬茶

凍頂烏龍茶 2013年春茶
凍頂烏龍茶 2013年春茶

最近は本来の産地以外で作られた安価なものも流通しています。
この凍頂烏龍茶は代々、伝統的な製法を頑なに守って作り続けています。
ぜひ本来の凍頂烏龍茶の味わいをお試しください。

涌溪育苗施設 訪問

涌溪育苗施設

訪問した涌溪火青の製茶場、茶畑とはまた別の場所にある育苗施設へもお邪魔しました。
この育苗施設もまた山深い、霧がたちこめる、茶樹の育成には非常に適した場所にありました。

この施設では茶樹の品種・育成研究はもちろん、茶樹の生産・販売が行われています。
今後はそれだけでなく茶文化なども含めた一大文化施設にする計画もあるようです。

涌溪育苗施設

こちらは茶樹を挿し木で増やしている様子です。

健康で勢いのある茶葉を同じ大きさに切り、挿し木用に整備した土に刺しています。
普段は黒いネットで保護されています。
大切に育てて3年ほどでようやく数十センチという大きさになります。
こうして数年かけて育てた茶樹は各茶業さんのもとへ出荷されていきます。

涌溪育苗施設

この育苗施設では涌溪火青に使用する在来種以外にも新しく開発した品種はもちろん、他の地域やお茶で使用される茶樹品種も育てられています。
この写真の茶樹は福鼎大白茶種という品種で、主に福建省の福鼎市で作られる白茶に使われる品種です。研究用に育てられているようです。

茶樹は品種に限らず、育った場所の影響を非常に受けやすい植物です。この涌溪で育った福鼎大白茶種は福建省の福鼎市で育てられた茶樹と全く同じ特性を持っているとは限りません。そう考えると、この地で育った福鼎大白茶種で作ったお茶も機会があれば味わってみたいですね。


鈴茶堂が扱う鉄観音の中でも一番のお勧めはこちらの中国と台湾にまたがって作られた絶品の鉄観音です。

鐵觀音茶王
鐵觀音茶王

鉄観音発祥の地、中国福建省安渓の西坪で無農薬・有機栽培で大切に育てられた茶葉を使い、高い製茶技術を持つ作り手が丁寧に作った鉄観音を台湾の凍頂烏龍茶で有名な南投県凍頂へ運び、熟練した焙煎技術者によって焙煎、後熟成を行った非常に贅沢な鉄観音老茶です。
私たちが師事する台湾の高名な茶人が自ら福建省まで赴き、茶摘みから監修して作り上げた最高の鉄観音です。

3年間ゆっくりと火入れを行いながら熟成させてきた、言わば「好いとこ取り」の傑作となりました。

凄みを感じるほどに滋味深く、柔らかく、華やかな鉄観音です。

四川高山紅茶
四川高山紅茶

ちょっと寒い日には甘くてコクのある紅茶がとても美味しく感じられます。

中国の四川省・蒙頂山主峰で栽培された茶葉を使用して丁寧に作られた紅茶です。四川省の紅茶と言うと聞きなれない方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?四川省の紅茶という意味で「川紅」と呼ばれる、あまり見かけない希少な紅茶です。

ティーポットで、中国式であれば茶壷や蓋碗で淹れてみてください。
綺麗な透明度の高い褐色の紅茶です。
花の香りと香ばしさ、濃厚に深く甘い果実の香りをしっかり感じることができますが、これは香料も何も足していない、自然の茶葉本来の香りのみです。味は深みのある濃厚な甘さと旨みをしっかりと感じていただけます。

体の中から優しく暖まるような本当に美味しい紅茶です。

涌溪火青 産地訪問

涌溪火青

安徽省では涌溪火青の産地を訪問してきました。

涌溪火青は安徽省を代表する緑茶の1つです。とはいえ、生産量がそれほど多くないせいか、安徽省以外の場所ではあまり流通の無いお茶の1つです。安徽省以外の茶市場では殆ど見かけることはないように思います。

明代末期にはこのお茶の記録がある歴史のあるお茶で、茶葉の形がとても特徴的なお茶です。艶のある球状の緑茶で、すっきりとした爽やかな緑茶です。ガンパウダーと呼ばれる球状の緑茶と良く間違えられますが、それとは異なります。(ガンパウダーは基本的に輸出用の安価な緑茶で産地などが異なり、涌溪火青は銘茶と呼ばれる高級茶になります。)

涌溪火青発祥の地

安徽省泾县(涇県)涌渓がその産地で、茶産地の中でもかなりの田舎に位置しています。
実際、かなり山深い場所にその茶畑と工場があり、大型車の通行ができないということで、生産者の方の自家用車に分乗しての訪問となりました。おそらく雨が降り続いたり、天候によっては簡単に通行止めになってしまいそうな、そんな山奥にあります。

写真はその涌溪火青発祥の地です。製茶工場はさらに山深い場所にありました。

涌溪火青 製茶場

製茶場では木製の揉捻機がありました。
木製の揉捻機は自分たちで制作しているそうです。涌溪火青の製茶に最適になるよう、色々な工夫が行われている揉捻機です。

涌溪火青 製茶場

こちらは涌溪火青の製茶工程でも重要な掰老锅で使われる鉄鍋です。
この鍋の中で低温で加熱、長時間の整形を行うことで、特徴的な球状の緑茶に仕上がります。鍋の深さは一般的な緑茶の製茶に使われる鉄鍋よりもかなり深みのあるもので、これは安徽省に多い特徴のように思います。

涌溪火青 製茶場

こちらはその掰老锅を行う機械です。機械といっても意外と手作業が必要な部分が多く、結構大変そうな感じです。熱源は電気と炭火の両方があり(写真は電気です)、この機械も他のお茶には使われることが無いため、この地域でしか使われていないそうです。

涌溪火青 茶畑

製茶場の横にはこんな茶畑もありました。
基本的には在来種が使用されているそうですが、その在来種にもいくつかのパターンがあります。葉が大きい物もあれば小さいものも、長細い形をしたものもあれば、その逆のものもあります。どうやら在来種の中でも数系統に分かれているようでした。


2月13日からの中国出張では発送業務をお休みさせていただき、みなさまにはご不便、ご迷惑をおかけしました。
無事に帰国いたしました。明日より発送業務を再開させていただきます。
順次、品切れの茶器・茶道具なども入荷いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。


10135.1
天心岩 半天腰
岩茶の本流を感じさせるような品格のある花果香と火の香りが素晴らしく
岩茶とはこのような美味しさのあるお茶だったと再認識させてくれるような格の違う深みのある美味しさがあります。
まるで上質なモルトウィスキーのような奥行きのある複雑な味わいに仕上がっています。

10134.1
慧苑坑 瓜子金
甘く深みのある果香と柔らかい甘味のバランスが良い岩茶に仕上がっています。
煎を進めていくと甘い味わいが変化してお菓子のようなニュアンスもでてきます。
火入れの程度は中火。強すぎず弱すぎず、絶妙のバランスで火入れが行われています。

10133.1
天心岩 黄玫瑰
黄玫瑰はまだ比較的新しい品種で、2013年から本格的に収穫がはじまりました。
綺麗な優しいバラの香りのする岩茶です。
美しい琥珀のようなお茶は香りだけでなく爽やかな甘味と複雑で上品な滋味
しっかりとしたミネラル感と合わさり、上品で軽やかな美味しさがあります。

江南茗茶城

江南茗茶城

安徽省の合肥では茶市場へ行く機会がありました。

合肥には古くからの茶市場もあるそうですが、こちらはまだ新しい茶市場です。まだ建物も綺麗で整然としています。
訪れたのが平日ということもあってお客さんの数も少なく、少し寂しい気もします。
まだ新しい市場ですのでお客さんが少ないのかもしれません。

北京や広州の茶市場に慣れているとその他の茶市場を小さいと感じることが殆どですが、この江南茗茶城はかなり広い市場でした。

江南茗茶城

安徽省らしく安徽省の緑茶のお店が多く並んでいます。
続いて祁門紅茶のお店も他の茶市場に比べるとかなり多く並んでいました。
太平猴魁が大流行した今となっては他の地域にある茶市場でも安徽省のお茶を見かけますが、これほどの数の専門店が並んでいることはありません。やはり安徽省の茶市場ならですね。
黄山毛峰や霍山黄芽、六安瓜片などの看板も見えます。

江南茗茶城

あまり時間がなかったのですが、その中の1件、太平猴魁の専門店にお伺いしました。

このお店は太平猴魁が大人気となるきっかけとなった、胡錦濤元国家主席がロシアのプーチンにプレゼントした太平猴魁を作ったメーカーさんの直営店だそうです。
太平猴魁はこの一件で大変な人気となり、今では気軽に購入することが難しいほどに価格が上昇しました。
今は少し落ち着いてきたとはいえ、元々高価な緑茶だけに当分はこの状態が続きそうです。

江南茗茶城

お店の中では丁度太平猴魁の篩い分けを行っていました。篩い分けといっても、この形状のお茶ですので1枚1枚手作業で行われています。
大変立派な太平猴魁の茶葉ですが、途中で折れてしまったものや、欠けてしまったものを1枚1枚分別しています。
選り分けた茶葉は折れないように丁寧に専用の箱に詰めていました。

こうした太平猴魁の篩い分けなど、他の地域の茶市場ではなかなか見かけることはありません。
茶市場、特に産地に近い地域の茶市場はこうしたその地域の特色がよく出ていて面白いです。

江南茗茶城
中国安徽省合肥市蜀山区樊洼路


寒い時期に身体の中からほっこりと暖かくなるような、火入れ・発酵をしっかり行った味わい深い鉄観音のご紹介です。

感徳鉄観音 6年老茶
感徳鉄観音 6年老茶

感徳鉄観音 9年老茶
感徳鉄観音 9年老茶

感徳鉄観音 14年老茶
感徳鉄観音 14年老茶

中国・福建省安渓の感徳で伝統的製法を守り作り続けている作り手による鉄観音の老茶です。昔ながらの深みのある甘い味わいに年月を経た柔らかさがとても美味しい鉄観音に仕上がっています。

鉄観音の老茶は珍しいというだけでなく、茶葉に充分滋味を持っていないと年月をかけても美味しく仕上がりませんが、これらの鉄観音老茶はしっかりと醗酵させられる力を持った茶葉を丁寧に製茶し熟成した、とても美味しいお茶に仕上がっています。

鐵觀音茶王
鐵觀音茶王

絶品ともいうべき鉄観音です。

鉄観音発祥の地、中国福建省安渓の西坪で無農薬・有機栽培で大切に育てられた茶葉を使い、高い製茶技術を持つ作り手が丁寧に作った鉄観音を台湾の凍頂烏龍茶で有名な南投県凍頂へ運び、熟練した焙煎技術者によって焙煎、後熟成を行った非常に贅沢な鉄観音老茶です。
私たちが師事する台湾の高名な茶人が自ら福建省まで赴き、茶摘みから監修して作り上げた最高の鉄観音です。

台湾では木柵で作られる木柵鉄観音が有名ですが、今や生産量が減少し、木柵で作られたものではない鉄観音が「木柵鉄観音」として流通しているような状態になっています。また、数少ない木柵で生産される鉄観音も以前に比べて質が低下してきてしまっている状態となってしまいました。
そんな中、昔ながらの最高に美味しい鉄観音を作ろうと中国安渓の西坪でも名人として知られる作り手に依頼、納得のいく、老茶となることのできる美味しさを持った鉄観音を作ってもらったそうです。その鉄観音を今度は台湾でも製茶技術が高いことで知られる凍頂の中でも焙煎名人として有名な作り手に託し、3年間ゆっくりと火入れを行いながら熟成させてきた、言わば「好いとこ取り」の傑作です。

凄みを感じるほどに滋味深く、柔らかく、華やかな鉄観音です。

安徽農業大学 再訪

安徽農業大学

昨年、10月から11月にかけての中国・台湾訪問による発送業務のお休みでみなさまには大変ご不便、ご迷惑をおかけしました。

中国へは北京から入国、現地スタッフや茶業さんたちとの調整を済ませてから安徽省へ移動しました。この時も前年と同じく、安徽省合肥にある安徽農業大学を訪れました。Webと仕入れを担当させていただいている私の高級茶藝師養成・受験講座の受講が目的です。

茶藝師という資格は単にお茶を綺麗に淹れるというだけではなく、茶藝館に勤務するために必要な知識や技術を学びます。中級は茶藝館で勤務する人のための内容になっています。対して高級は茶藝館を経営する内容とされています。
評茶員と同じく、普通にお茶を楽しむ分には必要ない資格で、美味しくお茶を淹れるという技術とはまた別のものですが、こちらも最後まで受講してみることにして、日本中国茶協会が主催する講座を受講してきました。

安徽農業大学茶藝室

1年ぶりに訪れた大学の茶藝室が新しく綺麗に改装されていました。

ここでは一般的な工夫茶の茶器だけではなく、レストランなどで使用するような大きなティーポットなども含めた様々な茶器を使用した淹れ方を学びます。
他にも茶藝とか何か、茶道(中国における茶道)とはどのようなものかなど概念的な部分も学習します。
現地では茶藝館の経営者として中国の労働基準に関する内容も学習するようですが、今回は日本人受講者向けということもあり、どちらかと言うと文化的な内容に絞られていたようです。

安徽農業大学

評茶員の講座は大学が夏休み期間中の開催で大学の敷地内は学生が殆ど残っていないような状態でしたが、今回は大学も通常授業が行われている時期で、敷地内には沢山の学生さんがいました。
前回は人気が少なかった学内も学生のみなさんの熱気でまた違った普通の雰囲気を感じることができました。学校というものから離れて久しいので、こういった雰囲気はとても新鮮です。

出会った先生方をはじめ、学生のみなさんもとても親切にしていただきました。特に偶然交流ができた学生の方からは合肥の美味しいお店を教えていただいたり、色々と大変親切にしていただき、本当に感謝しています。
今回も前回に増して、素敵な経験をたくさんさせていただきました。ありがとうございました。


凍頂烏龍茶 2013年冬茶
凍頂烏龍茶 2013年冬茶

最近は本来の産地以外で作られたものなども多く流通していますが、この凍頂烏龍茶は代々、伝統的な製法を頑なに守って作り続けています。その味わいはまさに本来の凍頂烏龍茶そのものです。他の作り手がとっくに冬茶の摘み取りを終えるころまで充分に待ってから、作られたこの冬茶は数が少ないものの非常に良い出来です。

この作り手の凍頂烏龍茶は伝統的に醗酵が強く、火入れもしっかり行うため、実質的な賞味期限がないどころか年月を経た方がより柔らかく美味しくなります。
この冬茶も本当に美味しいのは半年後、6月以降です。ご紹介するのには早いかとも悩んだのですが(毎回のことですが)、その後熟成の変化もお楽しみいただけることと思い、ご紹介させていただきます。

既にリピートされている方も多い凍頂烏龍茶ですが、春茶とはまた違った味わいがあります。台湾では1年中春茶しか飲まない人や、冬茶しか飲まない人もいるほど味わいや香りが異なります。
どうぞ、お好みの味を見つけてください。

実際、今いちばん美味しい凍頂烏龍茶は後熟成がしっかり行われている2012年の春茶です。数が少なくなってきております。

凍頂烏龍茶 2012年春茶
凍頂烏龍茶 2012年春茶

凍頂烏龍茶 2012年冬茶
凍頂烏龍茶 2012年冬茶

凍頂烏龍茶 2013年春茶
凍頂烏龍茶 2013年春茶