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西双版納 勐海 普洱茶工場 2 / 発送業務お休みのお知らせ

西双版納 勐海 普洱茶工場

一般的に知られる普洱茶の固形茶の成形も見せていただきました。
これは今では少なくなりつつある石磨圧延に使用する重しです。1つ1つ、人の手で成形、押し固めていくのでとても大変な作業です。労力も必要ということ、時間もかかるということもあり、昔ながらの石磨圧延ができる製茶場は限られています。
この製茶場では機械による圧延も行いますが、良い品質の茶葉のみを石磨圧延で行っているということでした。他の製茶場でも同じような場合が多く、品質の良いもの、良いお茶は石磨圧延を行うということが多いようです。確かに石磨圧延は味わいも香りも違います。

西双版納 勐海 普洱茶工場

ここ数年、良く作られるようになってきた小さな固形茶です。良く見かける小沱茶と違い、球形をしているのが特徴です。
元々、普洱茶は良いお茶であればあるほど固形茶にしてきました。逆に言えば散茶はそれほど良いお茶ではないことが多かったのです。しかし、ここ数年の普洱茶の価格高騰に伴い、従来の大きさの固形茶では高額になりすぎて買い手がつかないということが増えてきました。そこで1回分ずつ球形にすることが多く見られるようになりました。小沱茶の形にしないのは機械が必要で、良いお茶は機械を使用せずに成形したいということもありますが、殆どの小沱茶は品質が良いとは言えないものが多く、差別化を図るためにもこの形で落ち着いたようです。

西双版納 勐海 普洱茶工場

この成形にもいくつかの方法があります。一般的にはビニールを使用して成形していく方法です。丸めて形が落ち着くまでビニールで包んだままにしておきます。その後、乾燥させていきます。このビニールは表面がツルツルしていることもあり、これを使用した固形茶は表面が平らで綺麗に作ることができます。しかし、通気性がないため味わいや香りに影響してきます。
本当に良いお茶はここでビニールではなく布を使います。ビニールほど形は綺麗にできませんが、通気性があるため、完成したお茶の香りや味が良いのはこちらの方です。布の種類も工場によってこだわりがあります。

西双版納 勐海 普洱茶工場

成形した固形茶はこうして乾燥させていきます。普洱茶の乾燥は基本的に晒日、太陽ですが、ここまで成形した普洱茶を野外で乾燥させることはあまりありません。太陽の光が強く、茶葉の色が焼けてしまったり、当然ながら味わいなどにも影響するため、太陽の光が程よく入る室内で日光量を調節しながら数日かけて乾燥していきます。
天気の悪い日や時間が無い場合、また大量に製造する場合は乾燥室で乾燥を行います。実際に熱を加えて乾燥させていきますが、通常のお茶よりもずっと低温で時間をかけて乾燥を行っていきます。

西双版納 勐海 普洱茶工場

完成した固形茶は包装して出荷します。雲南の製茶場では製茶したお茶は通常全て出荷します。後熟成などは基本的に購入した茶商が行います。この製茶場でも基本的に全て出荷していますが、なかには自分の所で熟成倉を持ち、一部は出荷せずに自分で熟成しているところもありますが少数です。

乾燥が終わったお茶を包装していく紙は通常の紙とは少し違います。和紙というのでもないのですが、楮が通常よりも多い紙を使用します。この紙も専門の工場で作られています。小さな町工場のような感じの場所が多く、希望にあわせて作ってもらうことができます。
包装したお茶は昔ながらの竹の包みで7枚で1筒という具合にまとめていきます。

西双版納 勐海 普洱茶工場

こうして一連の成形工程を見てきましたが、成形だけでもかなり大変な作業で、殆どは人の手で1つ1つ行っています。大益などの大きな製茶場では殆どを機械化することができましたが、村の小さな製茶場では殆どがこうして手作業で今もお茶を作っているのが現状ですが、勐海は比較的機械化が進んでいる方ではないかという印象です。易武の方では全く製茶機械がないということも珍しくありません。(易武については改めてご紹介していきます。)


4月の中国雲南出張では長年に友人を訪ねてシーサンパンナの易武を中心に茶産地をまわってきました。
2017年の春の易武はお茶作りにとって決して穏やかな年ではありませんでした。大雨や雹、急激な気温の急降下に見舞われ、大きな減産となってしまったのは事実です。とはいえ、そういった年でも例年と変わらない、中には例年以上に良いお茶も作られます。ただし産出量が少ないため価格が高騰してしまうという事情があります。

製茶期間中、この地を訪問してきました。これはその際に代々、麻黒寨で茶農家を営む友人から譲っていただいた貴重なプーアル生茶です。
本来であればこの価格でご紹介できるような品質のお茶ではありませんが
長年の友人ということ、新たにショップでも易武のお茶の美味しさを
日本の方にご紹介したいということで、譲っていただくことができました。

2017年 麻黒寨 喬木古樹茶
2017年 麻黒寨 喬木古樹茶

できたばかりのプーアル生茶は強くて美味しいと感じられないと思いがちですが、このお茶は違います。雲南のプーアル茶の中でも特に易武は甘いお茶であることが知られていますが、この麻黒寨で作られたお茶はその特徴がよく分かるように優しく甘いお茶に仕上がっています。香りは見事な蜜香が感じられ、飲み込んだ後の余韻も非常に長く強く感じられます。しっかりとしたミネラル感がありながらも、優しく、とても心地の良いお茶です。

能天源七子餅茶 易武正山古樹 古式手工 2014
能天源七子餅茶 易武正山古樹 古式手工 2014

このお茶は易武の古鎮で代々お茶作りを営む易武天能茶庄は今年で9代目という歴史ある茶農家さんによるものです。名作り手と名高い何能天老師とその息子さんによるプーアル茶は小さな製茶場でありながらも易武の中でも高い評価を受けています。

使用する茶葉は易武の山深い場所にある自然のままに育った古茶樹、茶葉の殺青(発酵を止める工程)もガスではなく薪を使い、製茶機械を可能な限り使用しない昔ながらの製法にこだわる茶農家です。もちろん、圧延工程も昔ながらの石磨圧延です。

非常に高く綺麗な、そして長く続く見事な、易武の人たちの言うところの「蘭花香」が感じられます。ちょうど熟成が一段落したところで、本来持っている香り高さに加えて蜜のような甘い香りも深く出ています。易武らしい甘味は深くしっとりと、優しいミネラル感とあわせて複雑な、それでいて喉に心地よい仕上がりになっています。3年間熟成させていますが、易武での徹底した乾倉管理ということもあり、いわゆる陳香は感じられません。

友人である茶農家さんのご好意により麻黒寨古樹茶、能天源七子餅茶は現地と変わらない価格でご紹介できるようになりました。上質なプーアル生茶の美味しさをお楽しみいただければと思います。


6月24日から6月26日までのあいだ中国出張のため、
発送業務をお休みさせていただきます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。

発送業務をお休みさせていただいている期間も、ご注文は変わらずお受けいたしておりますが、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどに、いつもより少しお時間をいただく場合がございます。
大変ご不便をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

西双版納 勐海 普洱茶工場 1

西双版納 勐海 普洱茶工場

昆明から国内線で1時間、西双版納(シーサンパンナ)へ移動しました。
ここは言わずと知れた普洱茶の産地として有名ですが、同じ西双版納の中でも地域によってその味わいも香りもまるで別のように変わります。

西双版納の中心、景洪の空港から、比較的近い勐海へ。昔からお世話になっている老班章の名作り手である哈尼族(ハニ族)の老師の案内で、駆け足ながらも勐海を案内していただきました。ありがとうございます。

春城と呼ばれる昆明とは500キロ位しか離れていないのですが、西双版納は完全に東南アジアの気候です。12月の訪問時も気温は28度と(昆明は20度少し位)春から夏に季節が変わるようです。空の青さも太陽の強さも変わります。

西双版納 勐海 普洱茶工場

まずは老師の長年の友人という傣族(タイ族・泰族とは違います。言葉は近いそうですが。)の方が運営している普洱茶工場へお邪魔しました。12月ということで基本的に製茶はお休みですが、熟茶の成形をこの時期はしています。
ちょうどこの時期は中国でも大流行したと言ってよい青柑の成形をしていました。とはいえ、青柑は広東省で栽培されるもので、ここ雲南にはありません。陈皮(陳皮)普洱茶や青柑普洱茶にする場合は熟茶を雲南から広東省へ運び、成形しますが、ここ雲南では檸檬(レモン・ただし日本で言うレモンとは違います。ライムに近い感じの果実です。)で行います。基本的な成形方法は変わりません。

西双版納 勐海 普洱茶工場

青柑茶に限らず、固形茶にするには乾燥したお茶のままでは硬すぎるため、蒸気で蒸しながら柔らかくして成形を行います。作業台の真ん中にある缶の下から蒸気が出るようになっていて、茶葉を柔らかくしながら人の手で成形していきます。これは普洱茶に限らず白茶などの固形茶にも行われます。
この「蒸す」という工程があるかないかでも味わいが変わります。普洱茶にしても白茶にしても固形茶の方がより柔らかく味わい深いものが多いと言われるのはそのためです。淹れやすいという理由で散茶を選びがちではありますが、こうした昔ながらの固形茶の味わい深さには敵わないというのが理由があるのです。

西双版納 勐海 普洱茶工場

工場は基本的に傣族の人が働いています。こうして集まっておしゃべりをしながら、時には笑いながら楽しそうに作業をしています。それでも作業の早さには驚かされます。みなさんプロなんですね。少しお手伝いさせていただきましたが、なかなか難しい作業です。

西双版納では傣族を中心に様々な民族が暮らしていますが、特に傣族の方は服装がカラフルで明るいように思います。その服装に表されるように楽しく明るい人が多いようです。お手伝いさせていただきながら、色々なお話を楽しくさせていただきました。

西双版納 勐海 普洱茶工場

檸檬は良く洗浄した後に中身をくり抜いて綺麗に皮だけにしてから使います。果肉は捨ててしまうとか。もったいないですね。確かに広東省のオリジナル、茶枝柑も果肉は食用に向かないとのことで皮のみを漢方薬や陈皮(陳皮)普洱茶に使用しています。
工場の中はお茶の良い香りと檸檬の清々しい香りが充満していて、とても心地よい香りに包まれています。

西双版納 勐海 普洱茶工場

檸檬以外の柑橘類でも同じようにお茶に加工しています。1年を通して暖かい西双版納ですが、こういった柑橘類が収穫できるのは12月を中心とした冬場のみ。この時期はこうしたお茶の加工の最盛期となっています。


新会柑 珍珠青柑
新会柑 珍珠青柑

陳皮プーアル茶の1種ですが、青い小さな新会柑と呼ばれる広東省の果実の中に宮廷級プーアル熟茶を詰めて焙煎しているお茶です。これがプーアル茶ではなく、上質なアールグレイのように爽やかで美味しいお茶に仕上がっています。

雲南省の西双版納モウ海茶区で作られたプーアル熟茶を茶枝柑と呼ばれる果実の中に詰め焙煎、熟成を行ったお茶です。ここ数年、中国で徐々に流行りはじめ、様々な品質のものが流通するようになりました。通常は陳皮プーアル茶と呼ばれるオレンジ色の果実に詰め込んだプーアル熟茶ですが、これは新会柑と呼ばれる広東省の果実、中でも青柑を使用しています。非常に香りが爽やかなのが特徴で、その香りはまるで上質なアールグレイのように素晴らしく美味しいお茶に仕上がっています。

近頃は天然のアールグレイ果汁を使った紅茶は少なくなりましたが、これはそれを思い出させるような素晴らしい香りと味わいを持っています。青柑の爽やかで品のある香りはもちろん、プーアル熟茶の深みのある柔らかい旨味と甘味がプーアル茶であることを忘れさせてしまうほどにバランスよく味わい深いお茶になっています。
人工香料には決してまねできない品格のある高い香りと深い味わいがお楽しみいただけます。

新会柑 大紅柑
新会柑 大紅柑

以前は陳皮プーアル茶というと品質の低いプーアル茶を使うことが普通でした。そのため、あまり美味しいと思える品質のものは少なかったのが実際のところでしたが、ここ数年は生産技術の向上や使用する茶葉を上質なものを使用する茶業も増えてきました。

11月から1月にかけて収穫された大紅柑に宮廷級プーアル熟茶を丁寧に詰め、何日もかけて低温で焙煎を行います。大紅柑は陳皮と呼ばれる漢方として珍重される果実でもあります。年数が経過すればするほど体によく、香りが良くなるとされ、この陳皮プーアル茶も10年以上保存が可能なものです。果実、大紅柑自体の品質も大変に良いものを使用しています。

甘く柔らかい香りが素晴らしく、また、使用されているプーアル熟茶の甘味に寄り添うように一体感のあるお茶が楽しめます。
とても身体が温まり、飲みやすく、バランスの良いお茶です。


6月9日から13日までのあいだ中国出張のため、発送業務をお休みさせていただきます。
ご迷惑をおかけして申し訳ありません。

6月6日22時までにクレジットカード・代金引換によるお支払い方法をお選びいただいたご注文は6月8日までに発送させていただきます。
銀行振込やゆうちょ銀行送金などのお支払い方法をお選びいただいた場合は、6月6日中に入金確認ができたご注文を6月8日までに発送いたします。それ以降のご注文は6月14日以降の発送となります。
また、ご注文が混みあう場合はお休み前の発送締め切りを早めさせていただく場合もございます。ご了承ください。

発送業務をお休みさせていただいている期間もご注文は変わらずお受けいたしておりますが、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどに、いつもより少しお時間をいただく場合がございます。
大変ご不便をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

昆明 雄達茶城

昆明 雄達茶城

2016年の12月、2017年の4月は中国雲南省へ視察、茶産地訪問をしてきました。
雲南省は言わずと知れた普洱茶の産地ですが、その他にも紅茶や白茶、緑茶など、色々なお茶を作る地域でもあります。おそらくこれだけ多くの種類を作っている省は他には無いのではないかと思うほどです。

まずは省都である昆明の茶市場、雄達茶城を見学してきました。
当店の場合、このような茶市場からお茶を仕入れるということは無いのですが、一般的な街中のお茶屋さんや一部のお茶好きな人たちは、こうした茶城と呼ばれる茶市場へ出向いてお茶を購入します。規模は地方によって様々。中国でも一番大きな茶市場は広東、次が北京と続き、他の地域の茶市場は概ねそれほど大きくないことが多いのですが、ここ昆明の雄達茶城は比較的広い方だと思います。

昆明 雄達茶城

何度も拡張をしているようで、エリアによって雰囲気も違います。やはり雲南ということもあって雲南のお茶、普洱茶が多いですね。お茶の種類はたくさんありますが、紅茶、緑茶に至ってもほとんど全てが雲南のお茶です。これは他の茶産地に近い場所にある茶市場の中でも珍しい方だと思います。大抵は他の地域のお茶もたくさん並んでいることが多いものです。例えば四川省の茶市場では鉄観音や普洱茶のお店がたくさんあり、四川のお茶屋さんと同じくらいの数です。黄茶以外のお茶はほぼ作っているという雲南ならではの光景かもしれませんね。

昆明 雄達茶城

12月ということもあってわりと閑散としています。春の新茶シーズンであれば賑わっていたのかもしれませんが、茶市場の状況が厳しいというのは昆明も同じようです。人件費や物価の上昇によるお茶の価格の上昇と(特に物価の上昇は厳しく、ここ5年で概ね3倍といったところでしょうか。)、政府による贈り物禁止キャンペーンの影響はやはりここでも決して少なくないようです。友人茶業のお店を訪問、お茶をいただきながら、厳しい状況などをお伺いしてきました。この茶市場でも閉店するお店も多く、たしかにところどころ空き店舗のままになっています。これも時代の変化なのかもしれません。

昆明 雄達茶城

時代の変化といえば、普洱生茶の仕上げ方も以前とは随分変わってきました。
普洱茶といえば時間が経過して美味しくなるものとして知られています。特に普洱生茶の良いものは成分が強く、作られてすぐは美味しく楽しむことが難しいお茶でした。地域差はあるものの、ここ最近は萎凋を長く、香り高く、製茶後の早い時期から美味しく楽しめるような製法が広がりつつあります。製茶にも時代の変化があります。
雲南では色々と試飲させていただきましたが、とても美味しく、たしかに強さは感じるものの優しく、香りが非常によく出ているのが特徴です。3年経過後はもっと美味しくなると言われたものの、あまりの美味しさに(飲んでしまって)3年ももたないのでは・・・?というほどの美味しさを持つ普洱生茶が増えています。


2017年 麻黒寨 喬木古樹茶
2017年 麻黒寨 喬木古樹茶

できたばかりの普洱生茶は強くて美味しいと感じられないと思いがちですが、このお茶は違います。雲南の普洱茶の中でも特に易武は甘いお茶であることが知られていますが、この麻黒寨で作られたお茶はその特徴がよく分かるように優しく甘いお茶に仕上がっています。香りは見事な蜜香が感じられ、飲み込んだ後の余韻も非常に長く強く感じられます。しっかりとしたミネラル感がありながらも、優しく、とても心地の良いお茶です。
普洱茶は苦手という方にもぜひお試しいただきたいお茶です。あまりの美味しさに普洱茶の認識が変わるようなお茶です。


毎年楽しみにお待ちいただいている蒙頂黄芽が入荷しています!

この蒙頂黄芽は蒙頂山主峰の標高1200m付近で栽培されている茶樹を2017年4月4日に摘み取り、製茶されています。

特有の癖が強い黄茶や、殆ど緑茶としか思えないような黄茶が増えている中、この蒙頂黄芽は黄茶本来の旨みを持ちながら癖を取り除いたような純粋に蒙頂黄芽としての美味しさを楽しめる上質な黄茶に仕上がっています。黄茶は美味しくない、癖があると思っている方にも是非お試しいただきたいお茶です。

2017年 特級 蒙頂黄芽
2017年 特級 蒙頂黄芽

デチェン・チベット族自治州のバター茶

酥油茶

麗江では蔵族(チベット族)の友人に、この地の酥油茶(バター茶)について教えていただきました。
麗江は基本的に納西族(ナシ族)が多く住んでいる地域ですが、他にも白族(ペー族)や彝族(イ族)、蔵族(チベット族)といった少数民族も暮らしています。今回は麗江よりもずっと奥にある迪庆藏族自治州(デチェン・チベット族自治州)から麗江に移り住んだチベット族の友人を訪ねてきました。

西チベット、西蔵自治区(チベット自治区)や甘孜藏族自治州(カンゼ・チベット自治州)、阿坝藏族羌族自治州(アバ・チベット族チャン族自治州)などの四川省に位置する東チベットではバター茶には四川省雅安で作られる蔵茶が主に使われていますが、ここ雲南省の藏族自治州では当然ながら普洱茶が使われています。
昔は生茶を使用することもあったそうですが、基本的には熟茶を使用し、味付けは塩を用いることが普通です。甘いバター茶は今のところ西チベットのチベット自治区以外では好まれているのを見たことがありません。これは気候にも関係するのでしょうね。麗江あたりでは観光客向けに甘いバター茶も作ることがあるそうですが、日常的には甘いバター茶は好まれないそうです。
東チベットのバター茶にはハダカムギの粉などを入れることが良く見られますが、この地域では穀物を入れることはあまり無いようです。またヤクの乳を入手することが年々難しくなってきて(価格も上がっているそうです)牛乳を使用することも増えているそうです。比較的さっぱりとして、サラッとした飲みくちが印象的なバター茶でした。

酥油饼

これは酥油饼と呼ばれるチベット族の主食です。日本語で言えばバター餅(パン)といったところでしょうか。
焼き立ての熱々をいただきました。とても香ばしくてフカフカで美味しいです。チベット族が日常的に使うバター(といってもインドのギーのような常温保存可能なバターオイルです。)に砂糖を混ぜたものをつけていただきます。感覚的には素朴なミルクジャムという感じです。
香ばしくて甘い酥油饼と塩気のあるバター茶の組み合わせはとても美味しく、後を引く味わいになります。そしてなにより身体が暖まるというのは、どの地域のバター茶でも同じですね。


蔵茶
蔵茶 康磚(布袋)

蔵茶は四川省の雅安で作られる黒茶で、プーアル茶などを含む黒茶の中では最も古い歴史を持ちます。辺境の少数民族へと運ばれ消費される「辺茶」の1つであり、蔵茶はチベットへ運ばれ、消費されるお茶です。
美味しいだけでなく非常に胃腸にやさしく、カフェインを全く含まないため、お子様から妊娠中の方、お年寄りの方まで幅広く、お楽しみいただけます。特にこれからの胃腸を酷使しがちな時期にはお勧めです。
当店でも非常にリピートの多いお茶の1つになっています。


雲南・老班章

昨日、3月15日から雲南省・西双版納の老班章では今年の製茶がはじまったそうです。お世話になっている作り手さんより連絡をいただきました。もう春ですね。


3月18日から3月22日までのあいだ中国出張のため、発送業務をお休みさせていただきます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。

発送業務をお休みさせていただいている期間もご注文は変わらずお受けいたしておりますが、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどにいつもより少しお時間をいただく場合がございます。
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麗江と茶馬古道博物館

麗江

2016年の9月に中国雲南省の麗江へ行ってきました。
麗江は茶馬古道の雲南ルートの要所の1つで、チベットとの交易で栄えた街の1つです。現在は世界遺産にも指定された観光地としても有名です。
その観光地として有名な麗江古鎮(大研古鎮)ではこの写真のような風景が見られます。納西族を中心とした少数民族が多く住む古鎮で、独特の雰囲気と文化を持つ場所です。この有名な麗江古鎮の周囲にもいくつかの古鎮があり、今回は隣にある束河古鎮へ滞在してきました。

麗江

麗江古鎮と違い束河古鎮は現地の人々の生活に密着した比較的ローカルな古鎮で、もちろんある程度は観光地として整備されているものの、少数民族の人々の暮らしがそのまま感じられる古鎮でもあります。古鎮の内部は車両の侵入は禁止されているため、主な移動手段は徒歩か電動自転車、そして馬です。
石畳の路は昔のままのところがまだ多いそうです。道端では野菜や果物を売る露天が並んでいます。地元の人たちが集まる路上市場もあり、中には見たこともないようなキノコや山菜なども見かけます。

麗江

この地域ならでは生薬の露天も見かけます。チベット高原に隣接するこの地域では、その自然の恵みとして他の場所では採れない生薬が多くあります。当店の周年記念のプレゼントにさせていただいた黒枸杞(ご注文いただいた時期によってプレゼントの内容が変わっています。)もこの地域のものです。まさに山の恵ですね。
この地域の人たちは生薬などを生活に上手く取り入れています。もちろんお茶もその1つ。標高が高いため、お茶の栽培は行うことができませんが、茶馬古道としてお茶の交易が行われていた場所としても生活に欠かせないものとして根付いています。

麗江

束河古鎮の方は非常に水が綺麗な古鎮です。清流を中心として古鎮があり、その川と並行するように昔のままの茶馬古道も残されています。今もその道は人々の生活の場として、住宅の並ぶ中にあります。あまり宣伝もされず、気にしなければそのまま通り過ぎてしまう生活道路になっていますが、かつての茶馬古道の1つだったそうです。

麗江

生活道路となっていることもあり、殆どの場所はこのように綺麗な石畳の道となっています。横に流れる川の支流の水は、そこに暮らす人々が果物を冷やしたり、野菜を洗ったりする生活用水の1つです。とても綺麗な冷たい水で、ここで冷やした桃をいただきましたが、とても冷たくて甘くて美味しかったです。今では行っていないそうですが、昔はこの水で食事やお茶をいれていたそうです。

麗江

束河古鎮には茶馬古道博物館があります。中心部に近い場所にあるのですが、横道に入ったその奥にあるので、うっかりしていると気が付かずに通り過ぎてしまうような場所にあります。
古い立派な建物を利用していて、かなり大きな四合院建築となっています。
かつて雲南ルートで茶葉などを運んでいた装備など、四川ルートとはまた違ったものを見ることができます。意外としっかりとした展示で楽しめますが、残念ながら館内の写真を撮影はすることができませんでした。

麗江

雲南ルートだけに、この地域を通って運ばれていたのは普洱茶です。この少し先に蔵族(チベット族)が暮らす地域もありますが、そのあたりでも普洱茶を主に使ってバター茶を飲んでいます。今回は時間の関係もあって先の地域まで行くことはできなかったのですが、麗江へ移り住んできた蔵族のご家族にバター茶を教えていただきました。四川省の東チベットとはまた違う製法で大変勉強になりました。これらはまた改めてご紹介したいと思います。


中茶牌 藍印鉄餅 春尖 2006
中茶牌 藍印鉄餅 春尖 2006

この価格帯では近年稀にみるほどの美味しく上質な普洱生茶です。
価格がお手頃ということもありますが、何より驚く位にとても美味しいということ。
特に樟香系の香りがお好きな方にはぜひ試していただきたいと思います。

中茶牌の鉄餅の歴史は古く、1950年代まで遡ります。
元々はロシアなどの輸出向けに鉄の型を使って整形する製法で作られていた普洱生茶です。通常、石と布を使って整形する普洱茶ですが、この鉄の型を使うことで独特の風味が生まれ、当時、初期生産のものは今や手の届かないほどに高価なお茶として知られています。この藍印鉄餅は2006年に作られた、その鉄餅の復刻版です。

雲南中茶公司による、この藍印鉄餅は春尖、早春の清明節前に1芯3葉で摘み取られた上質な茶葉を使用して2006年に作られました。出庫直後から広州乾倉で、ほぼ10年間熟成を行っています。

広州乾倉の中でも非常に腕の良い茶商によって熟成されているせいか、高く見事と言えるほどの綺麗な樟香が楽しめます。心地よい柔らかい収斂味、しっかりと、そして長く続く回甘とのバランスが本当に素晴らしい生茶に育っています。生茶の強さはすっかり影を潜めて、柔らかく、優しく、それでいて力強い、まさに普洱茶熟成のお手本のように育っています。

通常であれば倉熟成を行い、ここまで状態が良く、香り高い普洱茶はそれなりに高価になります。今回、黒茶専門家として大陸ではとても高名な師のおかげで現地と殆ど変らない価格でご提供できることになりました。とても美味しく、そして本当におすすめできる普洱茶です。

※1筒(7枚)でご購入をご希望の場合はお問い合わせください。(45,500円・税抜)

武夷山 最後の茶摘み

武夷山

2016年5月の福建省訪問では南福建の安渓、漳平、南靖と回って北福建の武夷山も訪問してきました。
とはいえ、5月中旬、製茶時期を南福建の産地に合わせてであったこともあり、武夷山では茶摘みもそろそろ終了。製茶も一段落して、あとは半月後からの火入れを待っている状態でした。当店がお世話になっている茶業さんも同様で、この年の茶摘みは終了しています。

武夷山

中国スタッフの研修も兼ねての武夷山訪問ということもあり、静けさを取り戻した茶畑を訪問してきました。これは最高に肉桂が採れると有名な牛蘭坑の茶畑です。山間にある狭い空間のみが本当の牛蘭坑とされます。当然、牛蘭坑肉桂の産出量も相当に少ない筈ですが、実際にはもっとたくさんの「牛蘭坑肉桂」が流通しています。一時期日本でも魚沼産コシヒカリが実際の産出量を超えた量がその名前で流通していることで問題になりましたが、同じようなことは岩茶にもあります。中には上質な肉桂を大紅袍と偽って高額で販売されているケースも見かけます。信頼できる生産者から直接入手するということ、見分ける知識を持つということはとても重要です。

武夷山

これも牛蘭坑です。この茶畑はその茶業さんが所有する畑で、この後にこの畑から摘み取り、製茶した、できたばかりの毛茶(荒茶)を試飲させていただきました。まだ焙煎前のお茶ですが、深みのある独特のミネラル感は十分に、とても美味しいお茶でした。
2016年は茶摘みの時期に雨が多く、また、雨量も例年になく多かったため、南福建ほどではないですが製茶には難しい年でした。そういった年でも良いお茶は生まれます。ただし量が少ないため、価格の上昇が残念ながら多く見られました。

武夷山

武夷山の中を歩いていると積んだ茶葉を運んでいるところに出会いました。これは現地でもとても大きいメーカーの武夷星茶業さんのスタッフで(当店では武夷星の取扱はございません)、聞けばその年最後の茶摘みだったそうです。この運んでいる茶葉は1つで30キロ以上あります。相当に重いのですが、この2つを持って小走りで移動しています。そのスピードも相当なもので、追いつくのも結構大変です。

武夷山

相当な重労働なのだと思います。50mほど進んでは休憩して・・・ということを繰り返しながら運んでいます。休憩中に色々とお話をおうかがいしました。武夷山では車が入れる場所にある茶畑は少なく、特に良い場所となると人が歩いて行くのもやっと、ほとんど登山という状態になります。そのため、人の手で茶摘みをし、人の力で茶葉を運ぶということは欠かせない昔からの方法で、今も変わらず続いています。こうした人たちのおかげで、美味しい岩茶が作られています。


新会柑 青柑 古樹雲南紅茶
新会柑 青柑 古樹雲南紅茶

古茶樹で有名な雲南省南糯山の樹齢150年以上の茶樹から作られた、上質な雲南紅茶を茶枝柑と呼ばれる果実の中に詰め、熟成を行ったお茶です。当店でも大変人気のある新会柑 珍珠青柑の紅茶版です。

現在中国では青柑のお茶が流行っている関係で、その紅茶版も見られるようになりました。ただし、紅茶の場合はレモンを使用していることが殆どで、青柑のような優しい爽やかな香りを楽しめることが少ないという状態です。紅茶本来の味わいや風味を損なわず、レモンのような強い風味ではなく、青柑の優しい香りも楽しめるお茶を目指して作られました。

北京の有志茶商と企画、製造した、こだわりのお茶です。
無農薬栽培の青柑に、2016年の雲南紅茶を使用しています。通常は大地茶、平地に近い状態の茶園の紅茶が使われますが、南糯山の急傾斜にある古茶樹園の樹齢150年以上の雲南紅茶を贅沢に使用しています。もちろん無農薬栽培の紅茶です。

新会柑 青柑 六堡茶
新会柑 青柑 六堡茶

広西梧州茶廠の六堡茶を茶枝柑と呼ばれる果実の中に詰め、熟成を行ったお茶です。

こちらも北京の有志茶商と企画、製造した、こだわりのお茶です。
8月から10月にかけて収穫された無農薬栽培の青柑に、品質が確かなことで有名な2013年の特級三鶴六堡茶を丁寧に詰めています。通常はその後に低温焙煎を行って乾燥させますが、この六堡茶はその風味を失わないように晒乾、プーアル生茶のように太陽の光でゆっくりと乾燥させています。そのため、六堡茶本来の優しい美味しさは損なわず、また、青柑の香りも晒乾によって柔らかく、これらの調和が見事な仕上がりとなりました。
今までの青柑茶とは違います。


2月11日から2月15日までのあいだ中国出張のため、発送業務をお休みさせていただきます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。

2月8日22時までにクレジットカード・代金引換によるお支払い方法をお選びいただいたご注文は2月10日までに発送させていただきます。銀行振込やゆうちょ銀行送金などのお支払い方法をお選びいただいた場合は2月8日中に入金確認ができたご注文を2月10日までに発送いたします。それ以降のご注文は2月16日以降の発送となります。また、ご注文が混みあう場合はお休み前の発送締め切りを早めさせていただく場合もございます。ご了承ください。

発送業務をお休みさせていただいている期間もご注文は変わらずお受けいたしておりますが、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどにいつもより少しお時間をいただく場合がございます。
大変ご不便をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

客家のお茶作り

雲水謡

漳平を後にして、次に向かったのは漳州市南靖県にある雲水謡古鎮です。ここでは客家の土楼に宿泊してお茶作りを見ることができました。
客家土楼は世界遺産にも指定されていますが、有名な土楼は主に同じ漳州市でも永定県、山をいくつか越えた場所にあります。この雲水謡古鎮はあまり交通の便が良い場所ではないせいか、比較的観光客の少ない落ち着いた村になっています。
この地域には客家が多く住んでいるため、たくさんの土楼があります。ほとんどは地元の人が実際に生活をする土楼で観光客は中に入ることはできません。いくつか観光用に開放されている土楼もありますが、生活用の土楼とは全く雰囲気が違います。今回宿泊した土楼は実際に客家の人たちが住む土楼で、宿泊することでゆっくり生活に密着した土楼を見学することができました。

雲水謡

土楼の周囲は茶畑です。この村の中、周囲はほとんど茶畑といってよいほどです。この地域のお茶は鉄観音ではなく金観音が多いようで、自家消費用であったり、有名な茶産地ではないので全国に流通するわけではありませんが、厦門などへも出荷されているようです。ちょうど訪れた5月は製茶の真っ只中で、集落のあちらこちらで製茶が行われていました。

雲水謡

基本的に小規模な茶農家さんが多く、素朴な製茶方法でお茶を作っています。製茶機械は最小限といったところで、基本的に自家消費、地域消費の地元密着型のお茶づくりです。畑仕事をしながら、家事をこなしながら家族全員で製茶を行うといった、昔ながらの、お茶づくりの原点のような風景を見ることができます。そんなお茶づくりをしているせいか、この村の人たちは自分たちの作ったお茶を販売するということには、あまり執着していないようです。生活に根ざしたお茶です。

雲水謡

この地で仲良くなった地元の方に金観音を分けていただきました。6月のお茶会のお土産にお持ちいただいた金観音がそのお茶です。決して製茶技術が上手な訳でも、綺麗に団揉されている茶葉ではありませんが(どちらかと言えば、きちんと団揉されていない茶葉です)、自家用にと作られたそのお茶の素朴な美味しさは他にはない優しい味わいであったと思います。実際、お茶会にご参加いただいた方からも販売のリクエストをいただきましたが、元々が自家用のお茶のため、生産量が少なく、販売するほどの量を確保することができません。

雲水謡

村は樹齢1000年を超えるガジュマルの木があり、大きな川を囲むように昔からの石畳が美しい場所でした。10年前ほどの映画「雲水謡」のロケ地にもなったほどの素朴で美しい自然に囲まれた場所です。
こうした素朴で美しい場所の土着のお茶も、いつかご紹介できたらと、新たに友人になった茶農家さんと今も連絡をとりあっています。有名なお茶や高価なお茶ももちろん美味しいのですが、またこうした人の生活に密着したお茶もとても美味しいものです。何年かかかるかもしれませんが、ぜひこうした生活の原点のようなお茶も楽しんでいただくことができればと思っています。


12月19日から1月11日までのあいだ中国出張のため、発送業務をお休みさせていただきます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
今回は中国でも遠方、雲南省の西双版納の方まで足を伸ばすため、かなり長期間のお休みとさせていただいております。

発送業務をお休みさせていただいている期間もご注文は変わらずお受けいたしておりますが、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどに、いつもより少しお時間をいただく場合がございます。特に今回は通信環境の無い地域へ訪問している期間もございますため、最長で1週間程度お時間をいただく可能性もございます。
大変ご不便をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

炭焙煎 漳平水仙

漳平

炭焙煎の漳平水仙を作る茶農家さんも訪問させていただきました。
通常の漳平水仙は電気の乾燥機を使って乾燥や焙煎を行います。電気のないころは炭焙煎が普通であったと思いますが、火の調節などが難しく、現在、炭焙煎を行うことのできる茶農家は数件となってしまいました。
この茶農家さんでは昔からの製法を変えること無く、今も炭焙煎のみの漳平水仙を作り続けています。

漳平

造形し、紙で包んだ漳平水仙をこのような篭に入れて焙煎を行っていきます。この焙煎篭は武夷山などのものと似ていますが、少し形状が異なるようです。見た感じでは若干こちらのほうが口が広く、浅いような印象です。
炭焙煎と聞くと茶色い焙煎がしっかり効いた茶葉を思い浮かべますが、この焙煎具合にも色々あります。軽火のものから重火まで、その時の茶葉の状態を見て決めていくそうです。

漳平

数時間おきに天地をかえして、まんべんなく焙煎できるようにします。この焙煎工程は茶葉の状態にもよりますが、最低でも2〜3日。長い場合は茶葉を休ませながら1週間から1ヶ月以上になることも。最初の焙煎、2日位はほとんど徹夜で作業にあたります。焙煎を行うことのできる作り手さんが少ないこともあり、大変な重労働です。
この茶農家では茶摘みから焙煎までのすべての工程を自分たちで行います。時期によっては他の茶農家から持ち込まれた漳平水仙の焙煎依頼もあるそうですが、電気乾燥機で焙煎する場合と炭焙煎で行う場合では発酵度合いを変えた方が良いなど、なかなか思うような仕上がりにはならないようです。焙煎工程を理解しているからこそ分かるという、まさに職人の技術ですね。

漳平

頻繁に炭の状態をチェック、灰を被せて火の調節を行います。この火の調節が本当に難しく、技術を問われます。散茶の形状の茶葉と異なり、紙で包まれている漳平水仙の場合は水分量を低下させることも、均一に焙煎を行うこともなかなかできることではありません。散茶の焙煎よりもずっと長い時間が必要な上、より低温で行うことが求められます。そんな大変な作業のせいか、年々炭焙煎のものは生産量が低下しつつあります。

漳平

この茶農家では使用する炭も自家製にこだわっています。炭の質が悪いとうまく焙煎ができないとのことで、製茶の時期に合わせて炭から作っているそうです。これは本当に大変なことです。炭の材料となる木材探しから(山の中へ入って自分で探すそうです)、その炭焼きまで作り手が一人で行うというのは他に聞いたことがありません。武夷山などでも天然木から作られた炭(練炭を使うことも多いので)を使う作り手さんはいますが、炭焼きからというのはなかなかいません。

炭焙煎を行った漳平水仙は清香系のものもありますが、多くは軽火(軽焙煎)と重火(重焙煎)です。先日ショップでご紹介した炭焙煎は重火タイプのものになります。(完売いたしました。ありがとうございます。)
近年は焙煎を行った漳平水仙でも電気乾燥機を使用したものが多いのですが、炭火焙煎のものはまた香りや味わいの深さが異なります。


漳平水仙 紅茶 2016年秋茶
漳平水仙 紅茶 2016年秋茶

甘い果実香と深みのある旨味、甘さを持っています。
中国紅茶にしては珍しく甘く柔らかい中にミネラル感も感じることができます。
紅茶でありながらも煎持ちが非常によく、かなり長く楽しめます。英徳紅茶にも通じるような心地良い独特な余韻もしっかり感じられます。


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漳平水仙 発祥の地

漳平

漳平水仙の発祥の地とされる茶農家さんを訪問させていただきました。
一口に漳平といってもかなり広い地域になります。漳平水仙を作っているのは漳平市ですが、これは広さにして日本の1つの県位はあります。その中でも双洋镇と呼ばれる地域で行われていますが、それでもそれなりの広さがあります。その中でも漳平水仙発祥の茶農家さんは山の中の方にあります。

漳平

こちらも昔ながらの土壁の農家で、かなり大きい方ではないかと思います。茶畑のある山の中腹にある集落の1つで、今も人が変わらず製茶や農業を営んでいます。メインはお茶作りですが、他の茶農家と同様に養蜂も行われていました。
漳平の中でもこの茶農家を含むこの集落が最も昔から漳平水仙を作ってきた人たちです。今も漳平の他の地域から製茶技術を学びに訪れる人が絶たないとのこと。ここの作り手さんたちも快く教えているようです。

漳平

古い農家ですが、かなり立派な闽南式建築で見応えがあります。基本的にこの地域は土壁で、これは温湿度の調節にも役立っているそうです。日本と同じですね。
最近は現代式のコンクリートによる家も増えているそうですが、昔ながらの土壁の家の方がはるかに快適とのこと。ただし、この建築方法を行うことができる技術者が年々減ってしまっているそうで、壊れてももう直すことが難しいそうです。お茶に限らず技術の伝承というのは難しいですね。

漳平

訪問した際には造形工程が行われていました。基本的に家族総出で行います。他の地域と少し造形方法が異なります。これは本来の作り方がこれだったということではなく、人手不足を補うために造形方法を変えたのだそうです。製茶にあたっての人手不足はどの地域でも深刻な問題です。特に漳平水仙のような特殊なお茶は他の地域から技術者を呼ぶ訳にもいきません。

漳平

一度にたくさんの固形茶を造形できるように工夫されています。四角形のセルクルのような型を並べて、そこに毛茶(荒茶)を詰めて蓋をして、大きな万力のような機械で一度に圧力をかけて固めます。この方法だと1つ1つ作る必要がなく、一度にたくさんの固形茶を作ることができ、またお茶を詰める人、圧力をかける人と分業も可能になります。

漳平

家の裏の山には茶畑が広がっています。こちらは完全な自然農法、まったく何も手を入れていない茶畑です。最初から手をかけないと決めていたのではなく、ここ数年は人手不足が深刻で、茶畑の整備まで手が回らなくなってきてしまったとのこと。また、作り手もこの集落にはわずか3名となってしまい、今年は摘み取ることすら出来ない茶畑が半分以上になったとか。以前は紅茶も作っていたそうですが、今はそこまで手が回らないとのこと。漳平水仙の紅茶は作ることができる作り手、茶農家さんが限られているので残念です。
わずかに残る作り手さんのうちの1人にお話をお伺いしました。製茶時期でお忙しい状況であったにも関わらず、できたばかりの漳平水仙を数種類淹れてくださり、お茶のこと、自然のこと、村のこと、色々なことを教えていただきました。ありがとうございます。


漳平水仙 紅茶 2016年秋茶
漳平水仙 紅茶 2016年秋茶

甘い果実香と深みのある旨味、甘さを持っています。
中国紅茶にしては珍しく甘く柔らかい中にミネラル感も感じることができます。
紅茶でありながらも煎持ちが非常によく、かなり長く楽しめます。英徳紅茶にも通じるような心地良い独特な余韻もしっかり感じられます。

南糯山 古樹雲南紅茶 2016
南糯山 古樹雲南紅茶 2016

通常、雲南紅茶は俗に言う茶畑で栽培された若い栽培茶樹から作られますが(台地茶)、この紅茶は上質なプーアル生茶を作るような、少数民族が代々大切に守ってきた古茶樹から手摘みで丁寧に摘み取られた茶葉から作られています。

雲南紅茶は甘味を出しやすく、飲んで誰もが美味しいと思うお茶が多いものです。その反面、味わいが単調で飽きやすい、飲み続けにくいということもあります。この雲南紅茶は複雑さと奥行きの深さが違います。

2016年はここ数年では一番と言えるほどに美味しく上質に仕上がりました。
複雑なミネラル感、上品な香りと甘味のバランスが最高の仕上がりとなっています。


12月19日から来年1月11日までのあいだ中国出張のため、発送業務をお休みさせていただきます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
今回は中国でも遠方、雲南省の西双版納の方まで足を伸ばすため、かなり長期間のお休みとさせていただいております。
12月16日22時までにクレジットカード・代金引換によるお支払い方法をお選びいただいたご注文は12月18日までに発送させていただきます。銀行振込やゆうちょ銀行送金などのお支払い方法をお選びいただいた場合は、12月16日中に入金確認ができたご注文を12月18日までに発送いたします。それ以降のご注文は来年1月12日以降の発送となります。また、ご注文が混みあう場合はお休み前の発送締め切りを早めさせていただく場合もございます。ご了承ください。
発送業務をお休みさせていただいている期間もご注文は変わらずお受けいたしておりますが、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどに、いつもより少しお時間をいただく場合がございます。特に今回は通信環境の無い地域へ訪問している期間もございますため、最長で1週間程度お時間をいただく可能性もございます。
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水仙茶合作社見学

漳平

漳平では水仙茶合作社の見学もさせていただきました。

当店の漳平水仙はここのものではありませんが、この水仙茶合作社は国からの補助金と村人たちの一部が資金を出し合って設立した会社です。もちろん、当店がお世話になっている茶農家のように参加せず、自分たちだけで製茶を続けているケースもありますが、現在市場に流通している漳平水仙の多くは、この合作社を経ているのではないかと思います。

漳平

個人の茶農家では揃えるのが大変な製茶機械も全て共同で使用することができます。栽培した茶葉の摘み取りも製茶も全て共同で行うため、個人の負担を減らすという意味ではとても良い方法であると思います。特に漳平水仙のような特殊なお茶は専用の製茶機械は殆ど存在しません。そのため、一般的な製茶機械を工夫しながら使用していくしかありません。その分、手間がかかってしまったり、時間がかかってしまうという問題があり、それを個人の茶農家で吸収していくのはなかなか大変なことです。

漳平

丁度訪問した際は造形工程を行っていました。作業をしている人たちは、この会社に出資をした村の人達です。
漳平水仙の造形は荒茶(毛茶)の状態、まだ水分の多い柔らかい茶葉を1つ1つ型に入れて押し固め、専用の紙で包んでいきます。これがなかなか難しく、少し作業を体験させていただきましたが、適量に綺麗に整形するのは技術が必要です。

漳平

これが造形に使用する型です。この型も自分たちで作っています。型の中には鉄の重しが入っているので、なかなか重量のある木型になっています。一般的にはこの型を使用しますが、茶農家によっては別の形状の型を使用する場合もあります。それについてはまた追ってご紹介したいと思います。

この漳平でも人手不足は深刻な問題です。こうした合作社はその人手不足を解消するのにも役立っているようです。各個人の茶農家が製茶を行うよりも、お互いに協力して製茶を行うほうがずっと効率がよく、人手も集まります。

漳平

こうして紙に包んだ状態になった茶葉を感想、焙煎していきます。紙ごと乾燥を行うこと、固形になっていることなどからも通常の乾燥機をそのまま使用することはできません。散茶の状態を想定している乾燥機では温度が高すぎてしまいます。そのため、茶葉の様子を頻繁に確認しながら乾燥機の扉を開けながら行います。この扉を開ける角度も含め、乾燥時の温度管理は作り手さんの腕次第です。

合作社は人手不足などの問題解消にはとても有効な対策の1つだと思います。一方で一定の品質は保たれるものの、茶農家さん、作り手さんによって変わる品質、味わいが全て均一化されてしまうという問題もあります。それでも福建の中でも取り残されてしまった感のある漳平水仙が、今後市場で生き残り続けていくためにも合作社の役割には期待をしたいところです。


新会柑 珍珠青柑
新会柑 珍珠青柑

陳皮プーアル茶の1種ですが、青い小さな新会柑と呼ばれる広東省の果実の中に宮廷級プーアル熟茶を詰めて焙煎しているお茶です。これがプーアル茶ではなく、上質なアールグレイのように爽やかで美味しいお茶に仕上がっています。

雲南省の西双版納モウ海茶区で作られたプーアル熟茶を茶枝柑と呼ばれる果実の中に詰め焙煎、熟成を行ったお茶です。ここ数年、中国で徐々に流行りはじめ、様々な品質のものが流通するようになりました。通常は陳皮プーアル茶と呼ばれるオレンジ色の果実に詰め込んだプーアル熟茶ですが、これは新会柑と呼ばれる広東省の果実、中でも青柑を使用しています。非常に香りが爽やかなのが特徴で、その香りはまるで上質なアールグレイのように素晴らしく美味しいお茶に仕上がっています。

近頃は天然のアールグレイ果汁を使った紅茶は少なくなりましたが、これはそれを思い出させるような素晴らしい香りと味わいを持っています。青柑の爽やかで品のある香りはもちろん、プーアル熟茶の深みのある柔らかい旨味と甘味がプーアル茶であることを忘れさせてしまうほどにバランスよく味わい深いお茶になっています。
人工香料には決してまねできない品格のある高い香りと深い味わいがお楽しみいただけます。