お茶の旅」カテゴリーアーカイブ

九曲紅梅の製茶

九曲紅梅

杭州へ向かったのは老師の九曲紅梅の製茶を見せていただくことが目的だったのですが、実際にお会いして詳しく聞いてみると、鮮葉の質にこだわる老師が製茶しているのは杭州といってもこの付近からは車で片道3〜4時間はかかるという山奥で、その後のスケジュールもあり断念せざるを得ませんでした。老師の製茶はまた改めて計画をきちんとたててお伺いさせていただこうと思います。
それでも折角来たのだからと老師が紹介してくださったのは、ちょうど訪問初日に製茶について質問しにきていた茶農家さんの村。大きな茶業さんなどはなく、本当に小規模な茶農家さんだけの村で、製茶機械は使っているものの、勉強になるはずですよとすすめてくださいました。茶農家さんも快く招待してくださり、この日はその村を目指すことに。

九曲紅梅

近いと聞いていたものの、この村も結構な山奥です。市街地からは車で片道2時間以上はかかる場所にありました。とても小さな村で昔から製茶を行ってきているのだそうです。専業で茶農家を営む方もいれば、兼業の茶農家を営む方も。それでも殆どの住民が何かしらお茶に関わっているそうです。
このあたりでは殆どが龍井43号を栽培しています。春の早い時期は龍井茶を、葉が成長してきてからは九曲紅梅を作っているそうです。
お伺いした時は九曲紅梅の製茶が真っ盛りと言った時期で、この時も摘み取ったばかりの茶葉が集められているところでした。

九曲紅梅

小さめの揉捻機があります。これは村の有志で共同で購入した機械だそうです。交代でみなさん大事に使っていました。
このあたりでは茶摘みも自分たちで全て行います。茶業としてそれなりの規模として行う場合は摘み子さんを雇うのですが、本当に小規模な茶農家さんの集まりなので家族総出で茶摘みから全て行っていました。
とはいえ、実際の製茶が始まると周囲の村人たちが集まってきて、ここはこうした方が良いなどとみんなで意見を交わしながらワイワイと製茶しています。

九曲紅梅

とても興味深かったのは発酵工程です。村の共同製茶場には揉捻機はあるものの他の製茶機械は見当たりません。萎凋槽も見当たらないなぁと思っていたら、このように茶葉用のビニール袋に入れて密封、太陽の熱で発酵を行っていました。面白いですね。
村のお年寄りのお話では昔はビニール袋ではなかったけれど、似たような方法で発酵を行っていたとのこと。なので、このように自然の太陽の力で発酵を行うのは当たり前のことなのだそうです。もちろん天気にも左右されます。太陽の熱が足りない時には何日も十分に発酵するまで待っていたり、納屋で火を起こして発酵を促進したりすることもあるのだとか。自然の変化に対応しながら、九曲紅梅を作っているそうです。これぞ基本の作り方ですね。

九曲紅梅

乾燥も天気が良ければ太陽で行うそうです。この日も乾燥中という九曲紅梅が並んでいました。
この乾燥工程も基本は太陽の熱で行いますが、天気が悪い場合は乾燥機を使うこともあるとのこと。ちなみにこの乾燥機は村の方の手作りで薪を燃やして熱源にしている原始的なものでした。

とても興味深く製茶を見学させていただきました。正直なところ、このような作り方ということもあり、ロットによる品質にかなり差がでてしまっていたり、なにより茶葉の中の水分量が多いために保存が難しいということなどもあり、ショップでご紹介することのできるお茶ではありませんが、とても魅力的なお茶でした。こうしたお茶は誰もが美味しく淹れられるというものではないのですが、ある程度お茶を淹れる技術のある人が淹れると本当に魅力的な個性のある美味しいお茶として楽しめます。この地域、地元のお茶というのは本当に美味しく魅力的です。

杭州では陳老師をはじめ、たくさんの茶農家さんに大変良くしていただきました。快く案内してくださったり、製茶方法をご紹介いただいたり、本当にありがとうございました。

※陳老師による2016年の九曲紅梅は今月6月中にはご紹介させていただく予定です。


明前 正山小種 無焙煎 2016
明前 正山小種 無焙煎 2016

今年は入荷しますか?とご質問をいただくことの多い紅茶です。

最高品質の紅茶として有名な金駿眉を最初に作り出した1人という、とても技術の高い作り手によって作られた無焙煎の正山小種です。
この正山小種は桐木保護地区内の在来種を通常は行う松の枝を使った焙煎を行わずに作られました。清らかで上品な甘い花香とバランスの良い甘味とミネラル感がしっかりと感じられる味わいは無焙煎という変わった正山小種ではなく、非常に上質な武夷紅茶であることが実感できます。とても清らかな紅茶に仕上がっています。

こちらは中国で大変お世話になっている恩師のご好意で入手することができました。そのため、中国国内よりも価格を抑えてご提供することができています。

蔵茶 金尖 雅細
蔵茶 金尖 雅細
蔵茶 金尖 雅細 (バラ)

人気の高い黒茶、蔵茶 金尖 雅細が再入荷いたしました!

蔵茶は四川省の雅安で作られる黒茶で、普洱茶などを含む黒茶の中では最も古い歴史を持ちます。
辺境の少数民族へと運ばれ消費される「辺茶」の1つであり、その名の通り、蔵茶はチベットへ運ばれ、消費されるお茶です。
(チベットは西「蔵」といいます)

蔵茶の中でも最上質のお茶で味わいや香りはとても素晴らしいです。

杭州 九曲紅梅

杭州 茶葉市場

2015年の4月に浙江省杭州へ九曲紅梅の製茶を学びに行ってきました。

以前からお世話になっている陳和震老師と待ち合わせさせていただいたのは、杭州のはずれにある茶葉市場です。ここは周囲に観光的なものが何もなく、交通の便も良いとは言えない場所であるせいか、殆ど業者向けといった雰囲気の市場です。一般的に中国の茶市場は業者以外のお茶好きの人も利用しやすいようになっているのですが、この茶市場の雰囲気は中国の中でも珍しい方ではないかと思います。

陳老師

もうすぐ80歳になろうかという杭州茶業界の重鎮ですが、今も現役の作り手として製茶を続けています。近年は九曲紅梅の製茶の研究や改良、そして技術指導が有名な方ですが、元々は龍井茶を主として製茶し、杭州に老陳ありとも言われている作り手です。
普段はここから片道3時間はかかるという奥地にある製茶場にいらっしゃるのですが、この時は杭州の市街地まで出てきてくださいました。

杭州

老師が山から出てくると周囲の茶農家さんが次から次へと作ったばかりのお茶を持ってきます。久しぶりに老師にお会いして色々と伺いたいことがあったのにも関わらず、訪問客で会話が中断されてばかりになってしまうほどなのですが、会話を聞いてみると茶農家さんが老師に作ったお茶の評価と技術指導を請いに来ていたのでした。老師も快く持ち込まれたお茶を品茶し、改善点などを細かく説明しているということを繰り返しています。
みなさん本当に熱心で凄いのですが、答える老師も真剣そのもの。その熱心さに最初はその茶市場にある老師の息子さんが営む問屋さんで買い取りもしているのかと思っていたのですが、聞けばそれはしていないとのこと。質問されたら答えない訳にはいかないでしょう?仲間だからね。と話す老師の姿勢に頭が下がります・・・

杭州

人が途切れたところで、老師と周囲を散歩しながら色々とお話をさせていただきました。
このあたりは九曲紅梅よりも龍井茶を主流として作る茶農家さんの多い地域です。(九曲紅梅をメインに作る村などは少し離れた場所にあります。)本格的な九曲紅梅の製茶を見せていただくのは明日ということにして、この日は龍井茶や径山茶についてなど、杭州に伝わるお茶について教えていただきました。ありがとうございます。


2016年 特級 蒙頂黄芽
2016年 特級 蒙頂黄芽

毎年たくさんの方が楽しみにされている蒙頂黄芽が入荷いたしました!

中国を代表する銘茶、中でも希少性の高い黄茶の蒙頂黄芽です。
かつては皇帝への献上茶として作られていたお茶ですが、産地が限られていることや、その独特の製法(悶黄)などから、中国でもごく一部の地域でしか作られていません。一般的に黄茶は独特の風味が強いものが多く、好みが分かれますが、この蒙頂黄芽は誰もが美味しいと思うような品格のある黄茶です。

2016年は現地の流行もあり、悶黄の弱いタイプが主流となっています。
現在流通する黄茶は緑茶と変わらないようなタイプが殆どですが、鈴茶堂では作り手さんに依頼し悶黄のしっかりした昔ながらのお茶を特別に作っていただきました。
こだわりの蒙頂黄芽です。

特に今年は産地でも雨が多く、昔ながらの蒙頂黄芽を作るのには大変に難しい年であったようです。産地の蒙頂山でも悶黄という特別な工程のある黄茶となると今年は作れないという茶業も少なくありませんでしたが、当店が懇意にしていただいている作り手さんの技術の高さが実感できる、これまでにない良い出来あがりになっています。

金華 野生茶 2016
金華 野生茶 2016

ここ数年ご紹介ができずにいましたが、今年は入荷しました!

中国、浙江省金華市でも古くからお茶が作られています。商業的な生産を目的とした茶業さんや茶農家さんはもちろんですが、一般家庭でも春になるとその年のお茶を作る習慣が残っています。

生活の習慣の中に当たり前のように
「家族のお茶をつくる」
ということが入っている地域です。

このお茶は現地に住む親友のお母様が毎年手作りしているもので、名前のない自家製茶です。野生茶樹から作るお茶のため、いつしか野生茶と呼ぶようになりました。普段は全くと言ってよいほどに人が立ち入らない急斜面の山の中に自生する野生茶樹から作られました。標高約800mの急斜面を1日茶摘みをして回っても1日で作れるお茶の量は多くてもたった250gとのこと。山が厳しいうえに野生茶樹は品種改良された茶樹と違って成長が遅く、また点在して自生しているために、少しずつしか摘むことができません。苦労して摘み取られた茶葉は昔ながらの方法で丁寧に製茶されます。

昔からの土着のお茶です。一般に販売されることのない自家製茶です。
その作る苦労からか、今では現地でも作る人が少なくなりつつあります。

明前 正山小種 無焙煎 2016
明前 正山小種 無焙煎 2016

こちらも大変お待たせいたしました!
今年は入荷しますか?とご質問をいただくことの多い紅茶です。

最高品質の紅茶として有名な金駿眉を最初に作り出した1人という、とても技術の高い作り手によって作られた無焙煎の正山小種です。
この正山小種は桐木保護地区内の在来種を通常は行う松の枝を使った焙煎を行わずに作られました。清らかで上品な甘い花香とバランスの良い甘味とミネラル感がしっかりと感じられる味わいは無焙煎という変わった正山小種ではなく、非常に上質な武夷紅茶であることが実感できます。とても清らかな紅茶に仕上がっています。

こちらは中国で大変お世話になっている恩師のご好意で入手することができました。そのため、中国国内よりも価格を抑えてご提供することができています。

黄龍山

黄龍山

紫砂を語るには外せない黄龍山という場所があります。
山と言っても大きなものではなく、どちらかというと大きな岩の丘のようなものですが、ここは上質な泥料の原石が採れる場所として知られています。実際に泥料が採れる採掘井はいくつかあります。とても良質な原石が採れることで有名な採掘井もありますが、中でもこの黄龍山は最良質の原石が採れる場所として非常に有名な場所です。

現在は資源保護の目的で閉鎖されています。とはいえ、最良質の原石が採れることで有名な場所ですから、周囲を壁で囲んで、門にも鍵がかけられています。中にも人影などもなく、とても静かな場所になっています。

黄龍山

黄龍山の泥料を使用して作られた紫砂作品は最高の原料で作られたものとして、高値で取引されています。現在も黄龍山の泥料を使った作品が新たに発表されているのは、過去に採掘された原石を各作家さんや工房が大事に確保しているからです。
もちろん誰でも確保できている訳でもありませんし、確保している人が作る作品が全てその泥料を使用して作られたものという訳でもありません。特に若手の作家さんたちなどは原石の確保にも大変と聞きます。
例えば龍徳堂などは工房で良質な原石を確保していますし、売りに出されている原石を必要に応じて買い付けることもしています。それによって工房に所属する作家はその原石を使用して作品を作ることができます。
良質な原石はとても高価です。まだ名の知れていない若手の作家さんなどには難しい価格ですが、中には才能を認められたり、将来性を買われて、そういった原石などを融通してくれる場合もあります。
泥料の確保というのは紫砂にとって技術と同じ位に大変で重要なことでもあります。

紫砂工房

宜興では最後に方壺を得意とする作家さんの工房にもお邪魔しました。
一般的に四角い方壺を作るのが得意な作家さんは、丸い球形の茶壺はあまり良くないことが多いのですが、この作家さんは珍しくどちらもとても素晴らしい作品を作ります。また、黄龍山の緑泥の扱いが非常に上手で、ともすればスカスカとした仕上がりになってしまう緑泥を本当に上手に扱います。

良い原石を入手しても、それをきちんと扱うことができるかどうかは、その作家の技術によります。
原石から陶土に加工する際の技術ももちろんですが、硬度を保ったままで作品の形にできるかどうかも技術です。殆どの作家は硬度の高い陶土の状態で細かい細工をすることができません。また技術と硬度のバランスがきちんと取れていないと、全体的にぼんやりとした造形になりがちです。もちろんセンスの問題もあります。

紫砂工房

紫砂作品というのは本当に色々な技術と環境が合わさって生み出される道具であり、美術品です。
良質な原料を入手できる環境にあり、それを上質な陶土に加工する技術、高い硬度を保ったまま作品として完成させることができること。
本当にとても難しいことです。
茶器以外の作品であれば硬度はそれほど問われないと思いますが、特に茶壺は「お茶を淹れる道具」でもあります。見た目の美しさだけでなく、使いやすい「道具」であることはもちろん、なによりお茶が美味しくはいるように高い硬度を保っていなくてはいけません。硬度が不十分な紫砂茶壺は茶壺自体がお茶の香りや味わいを吸い取ってしまい、お茶を美味しく淹れているつもりが、茶壺に全て良いところを取られてしまいます。紫砂の性質上、ある程度、使用するお茶に合わせて茶壺を鍛えることは必要ですが、硬度の低い茶壺は締まりがあまり良くないため、時間をかけてもなかなか育ちません。硬度の高い、上質な泥料をそのまま使用して作られた茶壺はすぐに安定して美味しいお茶がはいるようになりますし、なにより養壺などを行わなくても自然と艶やかに成長していきます。

腕の良い作家の作品が人気があるのには美しさだけではなく、理由もあります。使いやすさ、扱いやすさ、なにより美味しいお茶を淹れることのできる道具として秀逸であることです。
これから茶壺を使ってみたいと思われる方にお勧めは可能な限り上質な茶壺(=価格ではありません。硬度や形の使いやすさなどです。)で、少し大き目の茶壺を選んでみてください。上質であることは先に挙げた通りですが、容量が小さいと茶葉は少なくて済みますが、湯を注ぐ際の湯量や角度のコントロールなどが非常に難しくなり、美味しくお茶を淹れる練習にはなりませんし、その感覚が掴みにくくなります。
初心者だからと敬遠する方にこそ、本当に良い茶壺を使ってお茶を楽しんでいただきたいと思います。違いを理解できる上質な道具を使うということは、お茶を美味しく淹れることができるようになる近道でもあります。


王雲雲 景船石瓢
王雲雲 景船石瓢

国家級助理工芸美術師の王雲雲による景船石瓢です。
彼女も青花を茶壷に描いた作品を得意とする作家で、女性らしい繊細な青花を描いた作品を多く作り出しています。

こういった青花の茶壺は使用していくうちに自然と深みを増した陶肌へ変化していきます。この青花は現在の美しさだけでなく、深みを増した陶肌になっていくにつれ、その美しさを増していきます。
とても美しい青花の茶壺です。
少し容量に余裕があるため、紅茶やプーアル茶などに向いています。

湯宣武  陶然自得
湯宣武 陶然自得

お茶会などにご参加いただいた方は何度か目にしていただいている国家級工芸美術師である湯宣武の紫砂茶壷です。

この陶然自得という茶壺は私が数年前から愛用している茶壺です。近年は全く作らない形の茶壺ですが、岩茶などの青茶を淹れる際に非常に使いやすく、湯宣武さんにお願いして復刻していただきました。

龍徳堂陶藝 訪問

龍徳堂陶藝

宜興では龍徳堂陶藝にも訪問させていただきました。

龍徳堂とは鈴茶堂でもご紹介している湯宣武さんや徐飛さん、将来は大師確実とも言われる湯宣武さんのご主人、範澤鋒さんなどが所属する工房です。中国国内の紫砂好きの間でも非常に人気、評価の高い工房の1つです。実際、龍徳堂に所属することのできる作家といえば技術、センス共に優れていると見なされるほどです。また、名の知れた作家以外の作品や一般普及品とも言えるような茶器も製造していますが、やはり品質にこだわる工房のものということもあり、龍徳堂の製品は品質が良いと人気があります。
私自身も宜興で一番で一番お世話になっている工房です。

とても大きな工房です。1階はギャラリーになっていて、所属する作家さんの作品が展示されています。もちろん購入することもできますが、実際のところは展示品以外の在庫が追い付かない状態で、昔から繋がりのある茶商から優先に予約生産になっています。

実はこの工房、昔は日本輸出向けの陶芸工場だったそうです。その名残で日本の招き猫が飾ってありました。まだ中国国内で紫砂が評価される以前、日本向けの商品として招き猫の生産、輸出を行っていたとか。今はそのような業務はしていませんが、その記念として工房の端に招き猫が展示されています。

龍徳堂陶藝

今、一番勢いのある作家でもある湯宣武さんや徐飛さんの作品がやはり目につきます。龍徳堂のギャラリーといえば美術館にも劣らない展示なのですが、中でも美しさが際立っているのは彼らの作品ではないかと思います。
この写真は徐飛さんの作品です。均整のとれた美しいフォルムと品格を感じる、ため息がでてしまうように美しい茶壺でした。他にもたくさんの素晴らしい作品が惜しげもなく展示されています。

2階には範澤鋒さんなどのトップクラスの作家さんの作品を展示しています。このクラスの作品になると完全に美術品です。最近は紫砂だけでなく、漆工芸や天目釉などにも興味を持っていらっしゃるようで、友人を通じて漆などの材料について質問を受けたりしていました。常に新しい技術に興味を持つ積極的な作家さんで、新しく天目釉を使用した作品などが展示されていました。
また、実際に制作を行う工房もあります。工房では所属する作家さんたちが制作活動をしていますが、一般の見学はできません。少し見せていただきましたが、みなさん真剣に作品を作っていらっしゃいました。

徐飛老師

徐飛さんにお会いしました。国家級工芸美術師で、その技術力はもちろん、非常に美しい作品を作る作家さんです。本来はそう気軽にお会いできるような作家さんではないのですが、この時はお願いしていた茶壺を受け取ることもあり、少しお話させていただきました。
彼の作品は他の作家とは明らかにレベルが違うと分かるほどに素晴らしく、その繊細さと品格、そしてなによりも使いやすさを追求しています。土の扱いも素晴らしく、艶やかさと硬度の高さを保ちつつ、ここまで繊細に作り上げることができる技術は本当に素晴らしいものです。ご本人はいたって気さくな方で、冗談交じりに特別注文させていただいていた作品が本当に大変だったんだからね~普通なら断ってるよ!なんて笑って話してくれました。


徐飛 合歓
徐飛 合歓

国家級工芸美術師の徐飛による合歓です。

既に作家本人はこの作品の制作を終了していますので、この入荷が最後となります。

非常に美しい造形をした紫砂茶壺です。歪みのないフォルムと細やかで繊細な装飾のバランスが見事なとても美しい作品になっています。このような細やかな装飾を施しているにも関わらず、土質の硬さも特筆すべきほど硬く上質な紫砂泥が使用されています。
このような硬度の高い紫砂泥を使い、細やかな装飾を施した繊細な茶壺を作ることの出来る作家はなかなか見つかりません。

徐飛は非常に技術力が高く、人気のある青年紫砂作家です。
良質な紫砂泥を所有する、湯宣武といった技術が高いことで知られる工房、龍徳堂に所属し、中でもトップクラスの技術の高さを誇る作家です。

習作 明月清風壷
習作 明月清風壷

非常に高名な高級工芸美術師である範澤鋒の有名な作品、明月清風壷の習作です。範澤鋒が所属する工房、龍徳堂からのものです。
この習作は2011年に範澤鋒が明月清風壷を発表して高い評価を受けた直後に制作されたもので、同じ龍徳堂に属する若手作家が彼の指導を受けながら作っています。土質はもちろん、細部に至るまで非常に秀逸な仕上がりになっています。

宜興紅茶 茶畑

宜興紅茶 茶畑

宜興、丁蜀鎮から外れたあたりでは宜興紅茶を作っています。

中国の殆どの地域では緑茶を楽しむことが殆どですが、ここ宜興では珍しく紅茶を日常的に昔から楽しんでいます。そんな生活に密着した宜興の紅茶は、とても優しく柔らかい甘さが特徴的です。飲み飽きない、まさに生活の紅茶というものが多く、紫砂の作家さんたちの工房などでいただくお茶もこの宜興紅茶がとても多いです。

宜興紅茶 茶畑

近年の紅茶ブームで高級な宜興紅茶も比較的大規模な茶業さんなどによって作られるようになりましたが、基本的には茶農家さんや兼業農家さんといった小規模な生産が多く見られます。

宜興紅茶の生産に茶樹品種の指定はありませんが、基本的には伝統的に使われている在来種が多いようです。土種と呼ばれます。(土着の在来種という意味です)
この写真の茶葉もその在来種です。小さな綺麗な茶葉でした。

宜興紅茶 茶畑

この時はもう秋も終わりに近い頃で、製茶はもう終了している時期でした。
とはいえ、とても綺麗に手入れされている茶畑で、後ろにある湖(ダム)と合わさって美しく優しい風景になっています。何だか宜興紅茶が優しく柔らかい味わいなのが分かるような、優しい雰囲気の茶畑です。


2016年3月 お茶会のお知らせ
3月6日に行うお茶会のお知らせです。
まだ若干、お席のご用意がございます。

日時 2013年3月6日(日曜)14時00分~16時00分頃まで
場所 Bistro & Bal Picoler
東京都新宿区西新宿4-14-7新宿パークサイド永谷1F
03-6383-3143
西新宿5丁目駅より徒歩5分 / 京王バス 十二社池の下バス停 徒歩2分
料金 4000円(お茶4種以上・デザート・お土産つき)
ご予約 お席に限りがありますため、2月29日までにBistro & Bal Picoler店舗までご予約ください。満席になりしだい、ご予約を締め切らせていただきます。ご了承ください。
(03-6383-3143 ご予約のお電話は17:00~3:00の時間帯にお願いいたします。

宜興紅茶
宜興紅茶

紫砂茶壺で有名な江蘇省宜興で作られる歴史ある紅茶です。
この地域では唐代から献上茶を作る地域として知られてきました。今も陶芸だけでなくお茶作りは変わらず続けられています。

日々、緑茶を楽しむ地域が殆どと言って良い中国の中でも、この宜興では日常的にこの宜興紅茶が楽しまれています。素直に優しく甘いこの紅茶は一度飲んでみると、宜興の人たちに愛されているのが良く分かります。

細い縒りの黒褐色が美しい茶葉から淹れた紅茶は甘く優しい花果香で、主張するような感じでもなく、自然な感じで心地よく感じられます。それに対応するように味わいも優しい甘さと奥行のある滋味が、素直に、しかし、しっかりと、身体になじむような美味しさとなって感じられます。
ここ最近、主張するような強さのある紅茶が多い中、こういった肩の力が抜けた自然体で楽しめる紅茶は貴重です

南糯山 古樹滇红(雲南紅茶) 2015
南糯山 古樹雲南紅茶 2015

古茶樹で有名な雲南省南糯山の樹齢300年以上の茶樹から作られた非常に上質な古樹雲南紅茶です。

一般的な雲南紅茶は甘く、誰もが美味しいと思えるお茶である反面、味わいが分かりやすすぎて飲み続けるには飽きてしまう部分もあります。当店では飲み続けられる美味しさを持った雲南紅茶を探しました。

今回のこの雲南紅茶は金色一色ではありませんが、その香りと味わいの複雑さ、奥深さが違います。金色の雲南紅茶が入門向けとすれば、このお茶は上級者向け、玄人好みの味わいです。昨年にこのお茶と出会い、雲南紅茶にこれほど奥行きのある美味しさを持つものがあったのかと驚きました。
2015年は深みのある甘さが良く感じられる仕上りです。

少数民族が代々大切に守ってきた古茶樹から丁寧に作られた紅茶です。
ぜひ、大切な時間に楽しんでいただければと思います。

紫砂作家の工房

宜興

このあたりは丁蜀鎮の中でも作家さんの工房が密集している地域です。
割と小規模な工房が多く、ほとんどの工房では作品を展示、販売しながら、奥で制作活動もしているという感じになっています。また、工房だけでなく、金継ぎ修理屋さんなどもあります。

作家さんの工房が密集している地域とざっくり説明してしまっていますが、こういった場所は多数あります。写真の場所はまだ街中の方ですが、中には畑の中に点在する集落状態で、その集落全体が作家さんの工房の集まりだったりすることもあります。

宜興

また、いくつかあるビルの中にも工房がたくさんあります。
この写真の建物はとても有名で技術力の高い作家さんが多く集まる場所で、入居者一覧に書かれているお名前は、分かる人にはとてもすごい作家さんばかり並んでいます。ちなみにみなさんドアが結構立派な感じで(工房毎に違う感じです)知らないと絶対に中も覗けない雰囲気です。路面に面している工房とは全くイメージが違います。

とはいえ、こういった雰囲気の工房が集まる建物は少ない方で、殆どはビル(といってもマンションのような雰囲気です)の中でも通路から中を覗けるようになっている工房がほとんどです。やはり、有名な作家さんが多く集まる建物は特別な雰囲気なんですね。

宜興

若手女性作家の工房を訪問させていただきました。

作家の紫砂茶壺といっても、大きく分けて2つの作り方があります。
1つは全て手で作る完全手作りのもの、もう1つは型を用意して、そこに土を詰め込んで作り上げる半手作りのものです。

作家物でも価格が手ごろなものは型を使用した半手作りのものが殆どです。(安すぎるものは作家物と偽った工場製品だったりします)この方法だとかなり製作時間を短縮することが可能になります。

完全手作りのものは、やはりそれなりの価格になります。しかし、全体のバランスや陶肌の美しさ、なにより使い心地などは、完全手作りの方が優れています。
両方の方法を使って作る作家さんもいらっしゃいますし、完全手作りしかしない作家さんもいらっしゃいます。もちろん半手作りしかしない作家さんもいます。
例えば当店でも人気の高い湯宣武さんは完全手作りのものしか作りません。茶壺内に継ぎ目をあえて隠さないでおくことで、完全手作りということを証明しています。

宜興

写真は整形した茶壺を乾燥させているところです。

作家さんが1つの茶壺を作るのには、とても時間がかかります。その作家さんにもよりますが、先に挙げた湯宣武さんは新しい茶壺を作る際、数か月から長い時は半年以上、茶壺の設計に取り組みます。何度も作っては確認、直すべき部分があれば直すということをくりかえし、ようやく1つの作品パターンを完成させます。その期間はその作品を作るための設計と試行錯誤のためでもありますが、自分の手をその作品制作用に慣らすという意味もあるそうです。その作品パターンが完成するころには、以前の作品パターンとは「手」が変わってしまいます。そのため、過去の作品を作りたがらない作家さんも多くいらっしゃいます。再度「手」の調整からしていかないと過去の作品と同じものを作るのが難しいからです。

まさに茶壺は一期一会ですね。


湯宣武  聖珠
湯宣武 聖珠

使いやすい茶壺です。クラシカルな印象でありながら、品の良さと洗練さを感じるのは彼女の感性の高さと硬い材質であってもちゃんと扱うことができる技術力の高さによるものです。
しっかりと硬度のある上質な土から作られていますので、陶肌から自然に発する艶が非常に豊かに見られます。

王雲雲 秋韻
王雲雲 秋韻

工芸美術大師・社曼倫を師とする女性作家、王雲雲の作品です。
他の作家には真似できない女性らしい品格と美しさを備えています。
その造形の素晴らしさはもちろんですが、中でもこの作品は黄龍山の小紅泥のみを使用して作られています。この茶壺は自然に発せられる艶やかな陶肌の美しさはもちろん、触れると吸い付く様な心地よさのある作品に仕上がっています。

紫砂の町 宜興へ

宜興

2014年10月に中国・江蘇省の紫砂の産地として有名な宜興へ行ってきました。

宜興は実際にそれなりに大きな都市ですが、紫砂の工房のある地域は都市部から離れた丁蜀鎮という場所に集中しています。その丁蜀鎮でも中心部だけでなく、それぞれの工房は農村地帯に点在する集落にもあったりと、かなり広範囲に工房が点在しています。また、紫砂だけでなく、宜興紅茶などのお茶の産地としても有名ですし、質の良い竹が採れることからも竹細工も有名です。

宜興駅

いつものベースの北京から高速鉄道に乗って5時間半前後で宜興駅に到着します。
高速鉄道開通に伴って作られた新しい駅で、またとても綺麗です。この駅の赤色はきっと紫砂の色を表しているんですね。
あまり乗降者もいないような綺麗ですが、寂しい駅で、この駅は都市部と丁蜀鎮の中間にあります。

陶都陶瓷城

丁蜀鎮の中でも、おそらく茶商などが集まる紫砂関係の中心地でひときわ目立つのがこの陶都陶瓷城です。中には沢山の紫砂関連の茶商が店を連ねているそうです。
私たちは中を訪問することはありませんでしたが、作家や工房と繋がりを持たない茶商や一般の人などが利用することが多いそうです。

宜興

その陶都陶瓷城の周囲にも、このように沢山の茶商や紫砂の工房が並んでいます。
とはいえ、基本的にはあまり歩いている人も殆どいないような場所で、お店を構えている茶商は基本的に陶都陶瓷城と同様に作家や工房と繋がりを持たない茶商や一般の人を対象にしている他は各地への出荷センターとしての役割を持っているようです。北京や広州といった大規模な茶市場に支店を持っているという茶商も少なくありません。


プーアル茶盆
プーアル茶盆

プーアル茶などの固形茶を崩す際に使用する茶盆です。
一般的なプーアル餅茶(350g)はもちろん、大型の餅茶も十分にお使いいただけるサイズです。

留青茶鋏
留青茶鋏

中国茶を淹れる際に使用する竹製の茶鋏です。
雲南省の少数民族によって1つ1つ手作りで作られています。

持ち手の部分に蓮の花や蘭、竹や梅の花などの模様が彫られています。
基本は蓮の花の模様で、もう片方が蘭や竹などの図柄になっています。
とても美しい茶鋏です。

高山茶園

インドネシア国営第8農園

インドネシア国営第8農園は高地にあるバンドンからも更に車で数時間かかる山の中にあります。急傾斜の山道をずっと登って行くと、日本や中国の茶園とはまたスケールの違う広大な敷地が広がっています。見渡す限り茶畑と山しかないような茶園で圧倒されます。

こちらでは主にCTC加工用の茶畑と工場があります。

インドネシア国営第8農園

プランテーション式経営の影響と思われるような茶園の責任者の自宅兼ゲストハウスがあります。私たちもこちらのゲストハウスにお世話になりました。内部は暖炉のある欧米風の住宅設備になっていて何人ものゲストが同時に宿泊できるようになっています。
高山地帯のため朝晩は非常に冷え込みます。10月というのに真冬のような寒さで、室内にあった暖炉には本当に助けられました。

インドネシア国営第8農園

茶園の中にはそこで働く人々の住宅、学校、病院、商店などが揃っています。月に何度かは市場も開かれるそうで、まるで1つの街のようになっています。聞けば、一生をこの茶園の中で過ごす人も少なくないそうで、このスケールの広さを目の当たりにすると納得できます。
とはいえ、もっとより良い仕事を求めて茶園から離れる人も若い人を中心に増えてきているそうです。このあたりの労働力の確保という問題はどこも深刻な問題になりつつあるようです。

インドネシア国営第8農園

茶園の中にあるCTCの工場です。
一般には内部は見せていただけないのですが、特別に見学させていただきました。ありがとうございます。
とても衛生的な工場で、品質保持に非常に力を入れていました。真剣にお茶と向き合う姿勢が素晴らしく、インドネシアのお茶の中でもこちらが高い品質を保ち続けている理由が理解できます。

インドネシア国営第8農園

非常に広い茶園で全てを見せていただくには数日から1週間位は必要なのではないかと思うほどでした。
しかし管理が徹底されていること、この摘み取ったばかりの茶葉の美しさを見ても、美味しいお茶が作り続けられているのが伝わってきます。


無農薬 碧潭飄雪 2015
無農薬 碧潭飄雪 2015

今年もジャスミン茶、碧潭飄雪の2015年ロットが入荷いたしました。

現在流通するジャスミン茶には完全無農薬のものはまず存在しません。というのも、茶葉よりも香りの強いジャスミンの花を栽培する場合に花が虫を引き寄せてしまうため、無農薬で栽培することが非常に難しく、茶葉は無農薬でもジャスミンは農薬を使用せざるを得ないという事情があります。

この碧潭飄雪はそのジャスミンの花においても無農薬にこだわっています。

この碧潭飄雪に使われるジャスミンの花は、木にネットをかけて栽培し、それらの木から摘み取られたジャスミンを使って作られています。非常に手間のかかる栽培方法ですので、ごくわずかの量しか作ることができません。

茶葉は四川省蒙山の標高1000m以上という高山地帯で栽培された
蒙頂甘露を使用しています。こちらも無農薬で栽培されています。

当店の碧潭飄雪の特徴は無農薬というだけではありません。
ジャスミン茶を作るためには生の花から花の香りを茶葉に移しますが、その際にどうしても花のもつ水分が茶葉に吸収されてしまいます。そのため、1晩花の香りを移した茶葉は加熱して乾燥させます。これを何日も何度も繰り返すのですが、段々と茶葉も焼けてしまいます。多くのジャスミン茶に焼けたような味が残るのはそのためです。
この碧潭飄雪にはその独特の味がありません。
非常にフレッシュで甘く爽やかな香りと味を持っています。

ジャスミン茶はどれも同じと思っている方も多いと思いますが、そういった方にぜひお勧めしたい、非常に美味しいジャスミン茶です。

南糯山 古樹滇红(雲南紅茶) 2015
南糯山 古樹雲南紅茶 2015

南糯山 古樹雲南紅茶の2015年ロットも入荷しました。

古茶樹で有名な雲南省南糯山の樹齢300年以上の茶樹から作られた非常に上質な古樹雲南紅茶です。

一般的な雲南紅茶は甘く、誰もが美味しいと思えるお茶である反面、味わいが分かりやすすぎて飲み続けるには飽きてしまう部分もあります。当店では飲み続けられる美味しさを持った雲南紅茶を探しました。

今回のこの雲南紅茶は金色一色ではありませんが、その香りと味わいの複雑さ、奥深さが違います。金色の雲南紅茶が入門向けとすれば、このお茶は上級者向け、玄人好みの味わいです。昨年にこのお茶と出会い、雲南紅茶にこれほど奥行きのある美味しさを持つものがあったのかと驚きました。
2015年は深みのある甘さが良く感じられる仕上りです。

少数民族が代々大切に守ってきた古茶樹から丁寧に作られた紅茶です。
ぜひ、大切な時間に楽しんでいただければと思います。

宜興紅茶
宜興紅茶

紫砂茶壺で有名な江蘇省宜興で作られる歴史ある紅茶です。
この地域では唐代から献上茶を作る地域として知られてきました。今も陶芸だけでなくお茶作りは変わらず続けられています。

日々、緑茶を楽しむ地域が殆どと言って良い中国の中でも、この宜興では日常的にこの宜興紅茶が楽しまれています。素直に優しく甘いこの紅茶は一度飲んでみると、宜興の人たちに愛されているのが良く分かります。

細い縒りの黒褐色が美しい茶葉から淹れた紅茶は甘く優しい花果香で、主張するような感じでもなく、自然な感じで心地よく感じられます。それに対応するように味わいも優しい甘さと奥行のある滋味が、素直に、しかし、しっかりと、身体になじむような美味しさとなって感じられます。
ここ最近、主張するような強さのある紅茶が多い中、こういった肩の力が抜けた自然体で楽しめる紅茶は貴重です。

インドネシア国営第8農園

インドネシア国営第8農園

2014年の10月、インドネシア国営第8農園へ行く機会がありました。
お茶の縁がきっかけで引きあわせていただいた、ジャワティー・ジャパン越智社長のインドネシア出張に同行させていただきました。普通には立ち入ることも、見ることもできないような場所まで連れて行っていただき、また色々と教えていただき、大変勉強になりました。どうもありがとうございます。

ジャワティーというと、清涼飲料として販売されているものをつい思い浮かべてしまいますが、実際に現地へ行ってみて、実に沢山の種類と味わい、香りがあることに驚かされました。癖が少なく、飲みやすいインドネシアの紅茶ですが、これは中国紅茶にも通じる美味しさがあります。きっと中国紅茶がお好きな方には、結構好まれる味わいなのではないかとも思います。私自身も実際に色々と味わってみて、すっかりインドネシア紅茶、ジャワティーが好きになってしまいました。

インドネシア国営第8農園

インドネシア国営第8農園のオフィスはインドネシアのジャワ島西部にある都市で首都ジャカルタから数時間という場所にあります。
ちょっとした高原地帯にあたるため、比較的涼しい気候で避暑地としても有名な場所のようです。
地元の人が住むかわいらしいオレンジ色の屋根が並ぶ住宅地から豪華な別荘地、ショッピングモールなど、色々な要素が詰まった心地よい場所でした。

インドネシア国営第8農園

インドネシアでも紅茶産業は主要な輸出産業の1つでもあります。
中でもこの国営の農園は品質が高いことで知られていて、ここで生産されたお茶の殆どは輸出用とされています。
実際に町中で紅茶を販売しているのを見かけますが、国営農園のものではなく民間企業のお茶であったり、品質もバラバラという状態で、ここでいただいたお茶ほど上質で美味しいものは、この農園以外では最後までインドネシア国内で出会うことはありませんでした。それほどまでに品質の高い、上質な美味しい紅茶です。

インドネシア国営第8農園

茶園自体はここから更に車で数時間かかる山奥にありますが、オフィスではこうして専門のブレンダーのみなさんが日々、評茶を繰り返しています。その様子をしばらく見学させていただきましたが、普段接している中国茶の審評と同じと思う部分もあり、違うなと思う部分もあり、大変面白く、勉強させていただきました。
普段、中国や台湾で小規模な茶農家さんや茶業さんの審評を見たり一緒にさせてただいてはいるものの、ここまでの種類を一度にすることは滅多にありません。なかなか壮観とも言える審評風景に若干押されつつも、色々と質問させていただいたり、とても貴重な経験をすることができました。


白茶が入荷しています。
今年もたくさんの白茶を飲み比べましたが、一番美味しいと自信を持ってお勧めできるのが、この無農薬・無肥料栽培 政和白茶です。

無農薬・無肥料栽培 政和白茶 2015
無農薬・無肥料栽培 政和白茶 2015

今年は春先の低温に悩まされることがなかったせいか、昨年よりも肥えた芽と複雑なミネラル感がしっかりと感じられます。また、この時期だけしか感じられない青さも、今年は青りんごのような爽やかな甘い香りに仕上がっています。昨年も相当に美味しく、人気のあったこのお茶ですが、今年は更に上質で複雑な美味しさを持っています。

爽やかな甘さから楽しみたい方は今年、2015年のものを、時間を経て熟成させた方が、より甘く美味しくなる白茶ですので、濃厚な甘味をお好みの方には2014年の方をお勧めします。

無農薬・無肥料栽培 政和白茶 2014

手軽に楽しめて美味しい雲南白茶も入荷しています。
今年は2種類の雲南白茶をビンテージ違いでご紹介いたします。
芯芽のみから作られた白芽は上品な甘さが特徴的です。2013年と2015年をご用意しました。

雲南白茶 白芽 2013
雲南白茶 白芽 2013

雲南白茶 白芽 2015
雲南白茶 白芽 2015

もう1つの雲南白茶は月光美人です。
こちらは芯芽のみではなく、芯以外の芽も含まれていますので、より複雑で奥行のある味わいになっています。

雲南白茶 月光美人 2013
雲南白茶 月光美人 2013

雲南白茶 月光美人 2015
雲南白茶 月光美人 2015

雲南白茶も他の白茶と同様に時間を経て熟成させた方が、より甘く美味しくなります。フレッシュな味わいを求める方には2015年を、深みのある甘味を求める方は2013年をお勧めします。

武夷山の茶畑

武夷山 大紅袍母樹

武夷山では製茶場だけでなく、同行していた現地スタッフの見学ということも兼ねて主要な場所へ訪れたりしながら茶畑を見学させていただきました。
シーズン前ということもあって、茶業さん自ら同行しての説明は大変勉強になりました。ありがとうございます。

まずは有名な大紅袍母樹から。
絶壁とも言える崖の途中にかたまって生えているので近寄っては見ることができませんが、今回は望遠レンズを使ってじっくりと茶樹の様子を見てきました。まだ茶葉の萌え始めということもあって(2014年4月上旬)、ちょっと寂しいような茶葉の量でしたが、それでもしっかり新芽が動き始めているのが確認できました。生えている場所も凄いですが、樹齢も相当なもので300年から400年とも言われています。それだけの樹齢でも、これだけ力強いというのは、本当に凄いと思います。植物の力に改めて驚かされます。

老枞水仙(老欉水仙)

こちらは流香涧(流香澗)の老枞水仙(老欉水仙)です。
老欉水仙というだけあって、樹齢も高く、その分樹高も高く成長しています。老欉というのは老木、この場合は老茶樹を意味しています。
この写真の場所、流香涧(流香澗)は武夷山の中でもとても良い茶畑がある場所として有名ですが、それ以外の地域でも老欉水仙はとても大事にされていることが殆どです。一般的に茶樹の商業樹齢はそれほど長いものではありませんが、老欉水仙は年月を経て初めて老欉水仙になれるという、世代を超えて育てていく茶樹ですので、どの茶業さんも本当に大事に育てています。また、機械をなるべく使わず、炭火を使う昔ながらの作り方をされていることも多いように思います。他の茶樹品種に比べても、やはり老欉水仙は特別な品種の茶樹のようです。

武夷山 牛栏坑(牛欄抗)

こちらは牛栏坑(牛欄抗)の茶畑です。
この場所で採れる武夷肉桂は牛栏坑(牛欄抗)肉桂、通称、牛肉と呼ばれ、武夷肉桂の中でも最高級のものになります。
正岩地区の茶畑は良い場所になると、どこも厳しい場所にありますが、この牛欄抗は中でも岩がむき出しのままになっていったり、岩茶と呼ばれる理由が分かるような厳しさがまた違う場所になっています。
とはいえ、武夷山の中では、それでもかなりアクセスしやすい、穏やかな場所にある茶畑になります。非常に良いとされる場所の多くは岩山に立てかけられた梯子をよじ登ってやっと到着するような茶畑です。

武夷山と一口に言っても岩により、谷により、本当にその環境が異なります。こうした激しいとも言える環境の違いが、武夷岩茶の味わいの違いに反映されていることは間違いありません。更に製茶するタイミング、環境、作り手の技量によっても大きく左右されます。


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百年老枞水仙(百年老欉水仙)
慧苑坑にある樹齢160年ほどの水仙の茶樹から摘み取った茶葉で作られた貴重な老欉水仙です。
特別な古樹だけが持つ落ち着きある、凄みすら感じる旨味を持つ岩茶に仕上がっています。

流香涧(流香澗) 雀舌 2012年
流香澗 雀舌 2012年

大紅袍母樹の1つに起源する岩茶です。
雀舌は岩茶の中でも香り高く、味わい深い品種として知られていますが、この雀舌は特に力をしっかりと秘めた岩茶に仕上がっています。これがお茶ですか?と驚かれる方もいらっしゃるほどです。

岩茶 牛欄抗肉桂 2012年
岩茶 牛欄抗肉桂 2012年

肉桂のなかでも最高峰とされるのが、この牛欄抗で作られる肉桂です。その味わいや香りは説明が必要ないほど、素晴らしいものがあります。

青獅子岩 金牡丹
青獅子岩 金牡丹

現地でも殆ど作られることが無く、流通が非常に少ない希少な岩茶です。やはりこの品の良さ、美味しさは他の岩茶ではなかなか感じることはできません。