杭州へ向かったのは老師の九曲紅梅の製茶を見せていただくことが目的だったのですが、実際にお会いして詳しく聞いてみると、鮮葉の質にこだわる老師が製茶しているのは杭州といってもこの付近からは車で片道3〜4時間はかかるという山奥で、その後のスケジュールもあり断念せざるを得ませんでした。老師の製茶はまた改めて計画をきちんとたててお伺いさせていただこうと思います。
それでも折角来たのだからと老師が紹介してくださったのは、ちょうど訪問初日に製茶について質問しにきていた茶農家さんの村。大きな茶業さんなどはなく、本当に小規模な茶農家さんだけの村で、製茶機械は使っているものの、勉強になるはずですよとすすめてくださいました。茶農家さんも快く招待してくださり、この日はその村を目指すことに。
近いと聞いていたものの、この村も結構な山奥です。市街地からは車で片道2時間以上はかかる場所にありました。とても小さな村で昔から製茶を行ってきているのだそうです。専業で茶農家を営む方もいれば、兼業の茶農家を営む方も。それでも殆どの住民が何かしらお茶に関わっているそうです。
このあたりでは殆どが龍井43号を栽培しています。春の早い時期は龍井茶を、葉が成長してきてからは九曲紅梅を作っているそうです。
お伺いした時は九曲紅梅の製茶が真っ盛りと言った時期で、この時も摘み取ったばかりの茶葉が集められているところでした。
小さめの揉捻機があります。これは村の有志で共同で購入した機械だそうです。交代でみなさん大事に使っていました。
このあたりでは茶摘みも自分たちで全て行います。茶業としてそれなりの規模として行う場合は摘み子さんを雇うのですが、本当に小規模な茶農家さんの集まりなので家族総出で茶摘みから全て行っていました。
とはいえ、実際の製茶が始まると周囲の村人たちが集まってきて、ここはこうした方が良いなどとみんなで意見を交わしながらワイワイと製茶しています。
とても興味深かったのは発酵工程です。村の共同製茶場には揉捻機はあるものの他の製茶機械は見当たりません。萎凋槽も見当たらないなぁと思っていたら、このように茶葉用のビニール袋に入れて密封、太陽の熱で発酵を行っていました。面白いですね。
村のお年寄りのお話では昔はビニール袋ではなかったけれど、似たような方法で発酵を行っていたとのこと。なので、このように自然の太陽の力で発酵を行うのは当たり前のことなのだそうです。もちろん天気にも左右されます。太陽の熱が足りない時には何日も十分に発酵するまで待っていたり、納屋で火を起こして発酵を促進したりすることもあるのだとか。自然の変化に対応しながら、九曲紅梅を作っているそうです。これぞ基本の作り方ですね。
乾燥も天気が良ければ太陽で行うそうです。この日も乾燥中という九曲紅梅が並んでいました。
この乾燥工程も基本は太陽の熱で行いますが、天気が悪い場合は乾燥機を使うこともあるとのこと。ちなみにこの乾燥機は村の方の手作りで薪を燃やして熱源にしている原始的なものでした。
とても興味深く製茶を見学させていただきました。正直なところ、このような作り方ということもあり、ロットによる品質にかなり差がでてしまっていたり、なにより茶葉の中の水分量が多いために保存が難しいということなどもあり、ショップでご紹介することのできるお茶ではありませんが、とても魅力的なお茶でした。こうしたお茶は誰もが美味しく淹れられるというものではないのですが、ある程度お茶を淹れる技術のある人が淹れると本当に魅力的な個性のある美味しいお茶として楽しめます。この地域、地元のお茶というのは本当に美味しく魅力的です。
杭州では陳老師をはじめ、たくさんの茶農家さんに大変良くしていただきました。快く案内してくださったり、製茶方法をご紹介いただいたり、本当にありがとうございました。
※陳老師による2016年の九曲紅梅は今月6月中にはご紹介させていただく予定です。
今年は入荷しますか?とご質問をいただくことの多い紅茶です。
最高品質の紅茶として有名な金駿眉を最初に作り出した1人という、とても技術の高い作り手によって作られた無焙煎の正山小種です。
この正山小種は桐木保護地区内の在来種を通常は行う松の枝を使った焙煎を行わずに作られました。清らかで上品な甘い花香とバランスの良い甘味とミネラル感がしっかりと感じられる味わいは無焙煎という変わった正山小種ではなく、非常に上質な武夷紅茶であることが実感できます。とても清らかな紅茶に仕上がっています。
こちらは中国で大変お世話になっている恩師のご好意で入手することができました。そのため、中国国内よりも価格を抑えてご提供することができています。
人気の高い黒茶、蔵茶 金尖 雅細が再入荷いたしました!
蔵茶は四川省の雅安で作られる黒茶で、普洱茶などを含む黒茶の中では最も古い歴史を持ちます。
辺境の少数民族へと運ばれ消費される「辺茶」の1つであり、その名の通り、蔵茶はチベットへ運ばれ、消費されるお茶です。
(チベットは西「蔵」といいます)
蔵茶の中でも最上質のお茶で味わいや香りはとても素晴らしいです。